200平成17  1018曜日

宮古島市長選・両陣営 最大動員/今週相次いで決起大会開催

 十一月十三日に実施される宮古島市長選に向けて立候補を予定している伊志嶺亮氏(72)=民主、社民、共産、社大推薦=と下地敏彦氏(59)=自民推薦の総決起大会が今月二十日と二十一日に相次いで行われる。伊志嶺氏は二十日に宮古島市総合体育館で、下地氏は二十一日マティダ市民劇場で実施する予定だ。混迷の政局に加え合併により選挙区、有権者の拡大など未知数の要素も加わり、建設業者などは「勝ち候補」の見極めに躍起で、両陣営の総決起大会の動員状況は今後を大きく左右しそうだ。
 伊志嶺、下地両陣営の関係者からよく聞かれるのは「両方の総決起大会の内容が現状の目安になり、これからの選挙戦をどちらが主導権を握るかのカギとなる」との見解だ。
 両陣営とも市議選との同時実施で手探りの選挙となっており、これまでにも各地で後援会事務所を開くなど精力的に動いているが、合併で大きく様相を変えた選挙戦に明確な手応えを得られていないのが現状だ。
 こうした状況の中でこれまでの支持層も揺れている。組織票の代名詞だった建設業者票もこれまでの動きは鈍かった。長引く不況で業界内では「実際に選挙運動を必死にやっても不況の中では仕事も増えない。逆に一生懸命やりすぎて支持した候補が負けた方が怖い」との声も多い。
 しかし、合併して旧五市町村内の業者がライバルとなることから、今回の市長選についてある業者は「現在、業者の多くが揺れている。これから『勝つ』候補者を見極めようと様子を見ている。両候補の総決起大会がその目安となるだろう。勢いのある予定候補に多くの業者が流れると思う」と話した。
 一方で選挙区拡大と市長選、市議選が同時に行われることでこれまでの保守支持層、革新支持層の様相も変化しているようだ。五市町村の前職議員の支持層にも市長選については前職議員の意向とは逆の判断となるケースもあり、ある市議立候補予定者は「支持者の中には市長選に立候補予定している両方の支持者が交ざっている。自分がどちらかを選択してくれとは言えないし、言えば票が確実に減る。まずは自分の選挙が大前提なので、市長選についてはそれぞれの判断に任せてある」と難しい現状を説明する。

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来間川の復元進む/島の昔伝える文化財に

 宮古島市の来間島唯一の井戸「来間川(泉)」を復元し、過去の風景を取り戻す宮古島市の工事が進められている。これまで設置されていた井戸入口のコンクリートで造られた取水升などを撤去することで湧水を海岸まで流して以前の風景を取り戻す。来間川の水は生活用水や農業用水として使われてきたが、現在は地下ダムの水供給が行われておりその役目を終えている。事業を担当する宮古島市教育委員会下地分室の川満好信室長は「元に戻すことで観光客を含む多くの人たちに昔の生活状況を伝えることができると思う」と話した。
 来間川は来間集落北側の断崖絶壁の下方にあり昔から「島唯一の泉」として来間住民の生活に欠かせなかった。島の農業用水としても活用されてきたが、一九七五年に宮古本島より海底送水がスタートし、九五年の来間大橋開通後は、付設パイプで地下ダムの水が供給されて、今日ではまったく使用されない状況となっている。
 復元工事は来間部落会が「先人の残した財産を後世に引き継ぎたい」との要請がきっかけで実現した。旧下地町も「昔をしのぶ史跡として後世まで保存することが望ましい」などと文化財保護を目的に単独事業で実施を決めた。
 今回の工事では周辺の石畳を直し、コンクリートの構造物を撤去して湧水が海岸まで流れるように復元する。先月から工事が始まっており十二月には完了する見込み。
 川満室長は「観光資源として親しまれることを期待している」と話すとともに、貴重な史跡を後世に伝えることの大切さを強調した。

 写真説明・復元工事が行われている来間川=17日、下地来間島


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伊良部、多良間の水源確保へ/新規地下ダム整備で意見交換

 宮古の水資源を考える会が十七日午後、県宮古支庁で開催され、内閣府沖縄総合事務局農林水産部土地改良課の職員が宮古島市城辺の保良、仲原における新規地下ダムの計画や同市伊良部地区、宮古多良間地区の水源確保計画の概要を説明。計画実現に向け国、県、市、宮古土地改良区が同じテーブルに着き、事業化への決意を新たにした。農林水産省は現在、保良、仲原における新規地下ダム整備に向け、来年度の概算予算要求に関連費用を盛り込んでいる。
 二〇〇六年度の地域整備方向検討調査要求(新規)では多良間地区の受益面積を九百五十四fとし、受益戸数は二百五十戸としている。調査期間は〇六年度からの三年間に設定、かんがい排水事業で事業構想策定は〇八年度を予定する。多良間地区における農業用水不足による営農支障を訴えている。
 宮古本島と伊良部島でも水源不足を懸念。概要では受益面積を九千九百六十fとし、受益戸数は六千七百十九戸。伊良部島には架橋建設に伴い宮古本島から農業用水を送水することを予定している。水源は宮古本島に築造される地下ダムにより確保、伊良部島においては既設および新設ため池と宮古島からの送水によりかんがい用水を確保するという計画だ。伊良部島は水源開発が困難な地域であるため営農に必要な農業用水が確保できず「不安定な農家経営」として新市水源整備の必要性を求めていく方針だ。
 このほか会議では▽全体計画と検討体制▽法手続き関係▽営農関係▽環境計画▽事業PR―などについての説明が行われたほか、意見交換でも活発な議論が交わされるなど関係機関の代表が各種事業の実現に向けて決意を新たにしていた。

 写真説明・宮古の水資源について国、県、宮古島市、土地改良区の代表らが意見を交わした=17日、県宮古支庁

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開庁記念で書道展/煌月書道塾

 宮古島市城辺庁舎の開庁を記念した書道展が十七日から、同庁舎で行われている。主催は城辺字福里にある書道研究「滴仙会」煌月書道塾(池田煌月塾長)。同塾に通う幼稚園児、小・中・高校生が「宮古島市」「希望」「未来」など、市町村合併を祝う言葉や、「みず」「空」「海」など、宮古の自然をイメージさせる内容の言葉を書いた作品約六十点が同庁舎ロビーにずらりと展示されている。二十一日まで。
 この作品展は同塾にとっては初めての展示会。城辺地域にある書道塾として、書道を通して地元地域に貢献したいと企画し、城辺庁舎が受け入れた。半紙、条幅の作品に、古典や墨絵などユニークな作品も含め、来庁者の目を楽しませている。
 旧城辺町西城出身の池田塾長は「城辺庁舎を利用するたくさんの地域住民に作品を見ていただきたい。見てもらうことで、子供たちの自信、励みになる」と話した。

 写真説明・来庁者の目を楽しませている城辺庁舎開庁記念書道展=17日、宮古島市役所城辺庁舎

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「愛情持って大きく伸びて」/植木さん(元沖縄開発庁長官)が講話

 十六日と十七日の日程で宮古農林高校(下地恵吉校長)を訪問している元沖縄開発庁長官・植木光教さん(78)の講演が十七日、同校で行われた。「沖縄の温かく豊かな県民性が大好き。皆さんもたくさんの愛情を大切にし、将来に向かって大きく伸びてください」と、沖縄に対する熱い思いを語るとともに、生徒たちを力強く激励した。
 植木さんは一九七四―七六年にかけて、総理府総務長官兼沖縄開発庁長官を務め、首里城復元などさまざまな分野で沖縄振興に努めた。農業技術者の父のもとで育ち、兄は京都大学の農学部教授だったことなどから緑増進や農業振興に関心が高く「沖縄の人々は戦後の復興から生活に追われてきたためか、自分たちの手で緑や花を育てるということをなかなかしない。これからますます多くの人が沖縄にやってくるという時代に、緑と花が少なすぎるのでは」と指摘。産業振興についても触れ「サトウキビだけでなく野菜や花などいろいろな農作物を作り、漁業は遠洋だけでなく養殖も行ってください」と呼び掛けた。
 また、生徒たちに「家族や友達、先生などたくさんの人に愛を向けることが世界平和と人類共生への一歩」と説いた。
 同校学友会図書委員長の小林孝太郎君(一年)は、植木さんから贈られた図書券を生徒を代表して受け取り「貴重なお話をありがとうございました。先生のお気持ちに沿うよう全校生徒で頑張ります」と謝辞を述べた。
 講演に先立ち植木さんは校庭で記念植樹も行い、来校の足跡を残した。

 写真説明・講話に聞き入る生徒たち=17日、宮古農林高校体育館


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