200平成17  101曜日

宮古島市 きょう誕生/新たな「船出」に決意5市町村で閉庁式

1-1.jpg (39485 バイト) 平良市、城辺町、伊良部町、下地町、上野村の五市町村合併によりきょう一日、「宮古島市」が誕生した。新市長が決定するまでの間は前上野村長の川田正一氏が市長職務執行者を務め、業務を代行する。宮古島市誕生を控えた三十日で各市町村の三役、議会議員らは失職。五市町村や一部事務組合の庁舎では閉庁式が行われ、各庁舎の業務に幕を下ろすとともに、職員らがきょう一日からの新たな「船出」に意気込みを示した。各庁舎では一、二の両日で最終の移転作業や電算システムの切り替え作業などが行われ、三日から本格業務がスタートする。

平良市
 平良市(伊志嶺亮市長)の閉庁式は三十日午後四時から、市役所玄関前で行われ、職員、議会議員らが参加して、「平良市」への名残を惜しみつつ、新市の業務に意気込みを示した。
 伊志嶺市長は「本日をもって平良市役所は閉庁する。一九四七年三月七日に市制施行してから五十八年の間、平良市の発展に力を尽くされた市民、名誉市民、歴代市長・三役、議長をはじめとする歴代議員ら、関係する皆さん、宮古、平良市の発展に力を添えてくれた国・県に感謝したい」とすべての市民や関係者に謝意。その上で「あす(一日)から宮古島市が発足する。職員の皆さんはこれまで培ったノウハウをしっかりと生かして、新しい宮古島市づくりに頑張ってもらいたい」と職員らを激励した。
 池間青昌市議会議長は「本日をもって平良市役所、平良市および市役所という名称はなくなるが、この庁舎は新市においても本庁となり、宮古島市の活性化はこの新庁舎を中心に図られることになる」と述べた上で、「今後は、宮古島市職員としての業務を遂行し、夢が広がる街づくりに頑張っていただきたい。平良市を支えてきたことを誇りに、宮古島市の住民福祉の向上のため、その力を最大限に発揮してほしい」とエールを送った。
 職員代表が平良市憲章を読み上げた後、伊志嶺市長、下地学助役、松原正郎収入役、久貝勝盛・市教育委員会教育長、池間議長、富浜浩市議会副議長の六人が、平良市歌に合わせて市旗を降納した。
 また閉庁式に引き続き教育長を含めた「四役」の退任式も行われ、伊志嶺市長、下地助役、松原収入役、久貝教育長がそれぞれあいさつ。職員の代表から花束が贈られ、花道でこれまでの労をねぎらった。

 写真説明・全職員、議会議員らが出席して行われた閉庁式=30日、平良市役所


ノウハウ生かして/伊志嶺亮 平良市長
1.jpg (16174 バイト) 本日をもって平良市役所は閉庁する。一九四七年三月に市制施行してから五十八年がたった。平良市の発展に尽くされた市民、名誉市民、歴代市長・三役、議長をはじめとする歴代議員など関係する皆さんに感謝するとともに、宮古、平良市の発展に力を添えてくれた国・県にも心から感謝したい。あす(十月一日)から宮古島市が発足する。職員はこれまで培ったノウハウを生かし、新しい宮古島市づくりに頑張ってほしい。

地域にこだわりを/仲間克 城辺町長
2.jpg (15999 バイト) いよいよ城辺町の歴史が終わる。これまで町の発展のために頑張ってきた職員の皆さんはそれぞれの部署に異動するが気持ちを新たにして業務に励み、今以上に襟を正して地域にこだわった行政を心掛けてほしい。これまで共に頑張ってきた気持ちを忘れず地域のためになる仕事をすることが肝心。職員それぞれ道は違うが、それぞれの場所でやることはたくさんある。どの部署に行っても誇れる仕事に全力を尽くしてほしい。

架橋の効果に期待/浜川健 伊良部町長
3.jpg (15165 バイト) 伊良部町は、明日から新市の宮古島市に昇格する。新市になることは発展する可能性を秘めている。合併して一番良かったのは「伊良部」と言われるように頑張ってほしい。伊良部架橋の取り付け道路も今年から着工した。架橋の効果は大きくなる。これまで下地島空港とその周辺残地の有効活用について県や国へ要請を行ってきた。しかし、小さい町の要請は中央に届かない場合がある。新市で有効活用を実現してほしい。

産業形態の確立を/川満省三 下地町長
4.jpg (14217 バイト) 百二十五人の職員に支えられ、七年間町政を任され頑張ってきた。いろいろな事業や施策を行えてきたのも職員が一致団結し協力してくれたおかげ。感謝したい。合併後も下地町は農業を中心とした産業形態を確立していかなければならない。新市へ行っても下地地域のことを忘れず、さらなる研さんを高め頑張っていただきたい。下地地域の発展は皆さんに懸かっている。明日(十月一日)から新しい気持ちで頑張ってほしい。

誇りと自信持って/川田正一 上野村長
5.jpg (19773 バイト) 上野村は、本日で五十七年の村制に幕を閉じる。職員の絶え間ない努力が村民の福祉向上につながった。皆さんには、村の公僕として、頑張ってきてくれたことに深く感謝したい。そのおかげで、私も職務を遂行することができた。あす(十月一日)になると宮古島市が誕生し、皆さんは宮古島市の職員となる。上野村職員だったという誇りと自信を持ち、これまで培ったノウハウと経験を、宮古島市のため生かすよう頑張ってほしい。


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新市臨時職員・当初予定より大幅増

見失った歳出抑制の意識

 きょう十月一日に新市「宮古島市」が誕生した。自主財源が乏しい中で歳出抑制を図り新市の市民に対してスムーズな行政サービスを目指した合併だが、ここにきて臨時職員の雇用をめぐり疑問の声が上がっている。発足した宮古島市において当初予定の雇用人数を四十三人も上回ってきょう一日付で採用することとなった。その分の賃金は予備費から充当し、その賃金は本年度中に一人当たり七十五万円で総額三千二百万円以上が必要となっている。歳出抑制を掲げながらも実際の取り組みは状況を無視したもので新市の行政運営はスタートから合併の目的を見失ったものとなった。

 ■ 臨時職員
 合併前、九月二十六日現在の五市町村の臨時職員数は三百五十六人。内訳は平良市百五十四人、城辺町九十九人、下地町四十五人、上野村四十人、伊良部町十八人。宮古島市がスタートする段階では三百十五人が臨時職員として残ることとなった。
 一月の市町村長会議で合併後の臨時職員については保育所、給食センター、小中学校事務、司書、用務員、幼稚園、労務「のみ」とする。また、合併後の臨時職員の雇用は必要最少限とし事務補助員については九月末までの雇用とし、普通建設事業費で賃金が発生している臨時職員についても同様の取り扱いとすることが確認されていた。
 しかし、九月に入り五市町村の課長会議で公民館などの施設には職員の配置が必要であることや補助事業に伴う臨時職員についても事業の停滞が予想されるとの理由から当初予定よりも四十三人増で雇用することとなったようだ。
 ■ 困惑
 突然の臨時職員の増員に財政を預かる職員らは困惑している。当初、必要最少限の臨時職員で業務を行い必要性が生じた段階で雇用を検討する方針だったが、スタート段階から雇用となったことで一部の職員からは「これまでの歳出抑制に向けた取り組みも意味がなくなっている。合併後の財政シミュレーションも現状では無理だ」と怒り心頭だ。
 しかし、ここにきて分庁方式に伴う各庁舎の支所が人員削減の足かせになっているとの声も聞かれ始めている。
 宮古島市の組織編成で税務課は、実際に本庁となる宮古島市役所で業務を行う職員数が平良市の時よりも二人少ない状況となった。これは各支所で窓口業務を行う人員が必要となったことで生じている。
 新市の税務課はこれまで以上の課税業務を平良市時代に比べ少ない人数で対応せざる得ない状況となり、臨時職員の必要性に迫られているという状況もあるようだ。
 ■ 意識
 合併により、議員数は三分の一以下の二十八人となった。しかし、五市町村の職員数はそのままで今回、臨時職員まで当初方針を無視した形で増員となった。「臨時職員が必要」との意識はどこから発生するのだろうか?
 臨時職員を求める条件は、どうしても対応できない状況となった時点で採用すべきで、ただ単に本採用職員の仕事量を減らすためだけに雇われるものではない。
 しかし、ある臨時職員からは「実際にある部は多くの業務を実質的には臨時職員で対応して仕事をしていない本採用職員も多い。逆に臨時職員を残して、本採用職員を外した方が仕事はスムーズにいくかもしれない」との声も聞かれ、これについて本採用職員の中でも同調する意見も多い。
 ■ 合併
 宮古地区で合併を目指した最も大きな要因は国の三位一体改革に伴い地方交付税など国庫支出金も減少となることから、自主財源の少ない宮古の自治体は合併して、合併特例債などを利用しながら自立を目指す方針となった。
 新市の財政シミュレーションでも臨時職員の雇用については大幅削減が基本となっており、二〇〇六年度は合併前の臨時職員数の約半数とする計画になっている。ある職員からは「実際に臨時職員の雇用や、その他の方針を決定する人たちの意識の低さとわがままさだけが目立つ。厳しい状況の現状を全く受け止めていない」とあきらめムードさえ漂っている。
 歳出の抑制とは多くの面で住民サービスの低下を招く可能性を秘めている。それでも未来を見据えて官民が一体となって痛みに耐えながら自立を確立することが「合併」の目標となっていた。きょう、十月一日は宮古島市の誕生日でもあり、自立に向けた苦難の道のりのスタートでもある。この認識をもった行政運営を新市には期待したい。

      (垣花 尚記者)

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「職員と協力し職務全う」/川田氏、職務執行者に意欲

 きょう十月一日、宮古島市が発足し、上野村長の川田正一氏(64)が市長職務執行者に就任する。「市民に選ばれた新しい市長が職務を全うできるように頑張りたい。千人余の職員と協力し、職務を全うできれば」と意欲を見せる。
 市長職務執行者とは、合併後、新市長が選挙により選出されるまでの間、市長の代理を務めて行政運営をする役職。条例の専決処分など、政策以外の事務手続きを行う。川田氏は、宮古島市市長が誕生するまでの約一カ月半、職務に従事する。
 川田氏は「住民福祉を低下させず、住民にとって住みよい、美しい街になってほしい」と期待した上で、「宮古島市が発展するためにも、市長が全力で頑張れる環境を整えて引き継ぎたい」と気を引き締める。また、「市長職務執行者としての責任の重さは十分に感じている。職員との協力体制を築き、職務に全力を注ぎたい」と述べ、決意の固さを示した。

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宮古8月肉用牛競り 「適正」を30日余上回る/雌・出荷日令

 宮古地区の肉用牛競り実績で、牛が産まれてから競りに出されるまでの出荷日数(日令)が適正日令を大きく上回っていることがJAおきなわ宮古地区営農センター(川上政彦センター長)の調べで分かった。特に雌は四カ月連続で三百日を超えている。県内における子牛の適正な日令は二百六十―二百七十日とされているが、八月競りでは雌がこれを三十日以上も上回った。日令が延びれば必要経費がかさみ、結果的に収入減を招く。日令が延びている要因には初期の育成方法が挙げられており、同センターでは育成技術の向上を呼び掛けている。
 県畜産振興基金公社や同センターがまとめた県内の子牛取引状況をみると、今年の競りにおける宮古地区の日令は去勢が二百九十日以上、雌は三百日以上で推移し、平均は二百九十日前後で取引されているのが現状だ。
 これに対し県内他地区の競り市場はほぼ適正な日令が守られており、八月競りをみると今帰仁は二百六十四日、南部は二百七十日前後、八重山も二百八十一―二百八十四日で出荷されている。
 日令が延びると収入面に影響が出る。例えば競りで同じ金額で販売したとしても、日令が適正な牛に比べて日令が長い牛は必然的に飼育に必要な経費がかさむ。日令が三十日上回れば三十日分の経費を余分に出費しなければならない。同センターの試算で三十日延びた場合、餌代だけで七千―八千円の負担があり、さらに草代や労賃などもかさむため一日約千円単位の経費がかかるという。
 同センターによると日令が延びる最大の要因は出荷時の体重不足だ。多くの生産農家が適正な日令に達しても、体重が足りなければ出荷を拒む傾向があるという。これは適正な日令に合わせて出荷される際の牛の体重二百六十―二百七十`に達しないため、日令を無視してしまうという悪循環による結果だ。
 適正な日令で、適正な体重に調整していくのは飼育技術によるところが大きい。牛は農耕飼料を食べ始めるころによく下痢を引き起こすが、下痢を起こした牛に餌を与えない農家がいる。このために体重がうまく調整できない。同センターでは「下痢を防止するためには月令に合った栄養価の高い餌を与えることが大切になる」などと指摘。ただ、その餌に価格差があるため経費削減を求める一部の農家で敬遠する見方がある。一方で子牛育成のノウハウを守っている農家は適正な日令に体重を合わせてくることから、育成技術の重要性がうかがえる。
 年間三十億円の販売を目指している肉用牛産業だが、日令が延びていることは懸念材料の一つとして早急な対策が求められている。

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きょうから切手販売/宮古島市誕生とドイツ年記念

 沖縄日独協会(会長・山内啓邦宮古毎日新聞社会長)はきょう一日から、宮古島市誕生と日本におけるドイツ年を記念し、写真付き切手の販売を開始する。八十円切手十枚一セット。価格は千四百円。千シートの限定販売で、うえのドイツ文化村で販売するほか、宮古地区の郵便局で配布する専用の申込用紙を使用して通信販売も可能。
 記念切手の図柄は、同協会の事務所が設置されているうえのドイツ文化村(上野)や、砂山ビーチ(平良)、東平安名崎(城辺)、渡口の浜(伊良部)、前浜ビーチ(下地)などの景勝地、宮古島市の発足を記念した市章、二〇〇〇年に来島したゲアハルト・シュレーダー独首相の写真、日本におけるドイツ年のロゴなど。
 同封される特製ホルダーには、一八七三(明治六)年にドイツ商船ロベルトソン号が上野宮国沖で座礁。宮国住民が危険を顧みずに救助したことから始まるドイツと宮古の関係、宮古島市発足の経緯、各景勝地の紹介文も掲載されている。
 同協会の山内会長は「記念切手が宮古島市とドイツの友好の絆を深め、末永い交流の記念になることを願っている」とあいさつし、記念切手製作に携わった関係機関に深く感謝した。

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   「未来のために役立てて」/JTA 「美ぎ島募金」に300万円

5-1.jpg (25631 バイト) 日本トランスオーシャン航空(JTA、市ノ澤武士社長)は三十日、宮古島環境自然保護募金推進協議会(会長・長濱政治県宮古支庁次長)が設置した「美ぎ島募金」に三百万円を贈呈した。同日午前、市ノ澤社長が県宮古支庁に同協議会の長濱会長を訪ね、「宮古島の未来のために役立ててほしい」と寄付金を手渡した。
 美ぎ島募金は宮古島の自然と環境を保護するとともに、緑化推進のための財源確保を目的に設置するもの。きょう一日から趣旨に賛同する企業や団体などに募金箱が設置される。
 寄付金の贈呈式で市ノ澤社長は「美ぎ島募金箱の設置はJTAも非常に意義深いものと考えている。宮古島への観光客も年々増えているが、観光客が期待、楽しみにしているのはやはり自然だと思う。美ぎ島募金は未来の自然環境を保つためのスタートになる。われわれも少しでも役に立ちたいと思う。寄付金は有効に活用してほしい」と述べた。また、宮古島市誕生についても触れ「宮古、八重山の観光客が増えることで沖縄の観光が伸びていく。宮古島のさらなる飛躍を期待している」などと話した。
 多額の寄付金贈呈を受けた同協議会の長濱会長は「大きな気持ちをありがとうございます。宮古島の自然環境を守るために有効に活用させてもらいます」と感謝。同席した兼城克夫支庁長も「宮古島にはデリケートで素晴らしい環境がある。趣旨を全うするために一生懸命取り組みたい」と感謝を込めて話していた。
 美ぎ島募金の活用方法については推進協議会で決定する。募金の額や使途金額は年一回、地元の新聞紙上で公開される。

 写真説明・美ぎ島募金への寄付金を贈呈するJTAの市ノ澤武士社長(左)。右は宮古島環境自然保護募金推進協の長濱会長=30日、県、宮古支庁

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