200平成1  12曜日

沖縄4区、西銘恒三郎氏が再選/次点に大差付ける

1区・下地氏、2区・照屋氏、3区・嘉数氏

 【那覇支局】第四十四回衆議院議員総選挙は十一日投票、即日開票され県内四小選挙区の当選者が決まった。宮古、八重山、沖縄本島南部を含む4区では西銘恒三郎氏(51)=自民・前、公明推薦=が宮国忠広氏(43)=民主・新、社大推薦=に大差をつけ圧勝し、再選を果たした。1区は下地幹郎氏(44)=無所属・元、民主推薦、社大支持=、2区は照屋寛徳氏(60)=社民・前、社大推薦=、3区は嘉数知賢氏(64)=自民・前、公明推薦=がそれぞれ当選した。県内投票率は六二・三五%で、前回の五九・〇三%を三・三二ポイント上回った。

 郵政民営化法案の否決・解散を受けた今回の選挙は、郵政民営化をはじめとする自公改革路線や、年金制度改革、財政改革、憲法改正、増税などが争点となった。沖縄では米軍基地問題や高い失業率、離島過疎化など、山積する問題解決策が問われた。離島を抱える4区は郵政民営化が主な争点となった。
 4区の西銘氏は、前回同様に自公協力の盤石な体制を構築。市町村、地区単位で選対支部組織を配置し、支持基盤を固めた。優勢が伝えられ投票率の低下が懸念された終盤は、楽観の引き締めと運動を強化し逃げ切った。
 政策面は自公改革路線の継続を強調。地域振興策として伊良部架橋や新石垣空港、沖縄本島南部東道路などのプロジェクト推進を訴えた。
 宮国氏は政権交代や年金制度改革、郵政民営化反対を争点に戦い、終盤追い上げたが及ばなかった。
 真栄里保氏(49)=共産・新=の「庶民大増税反対」や、金城浩氏(57)=国民新党・新、自由連合推薦=の「医療福祉の地域格差是正」などの声も多くの有権者に届かなかった。
 1区は、民主、社大など反自公勢力の支持を取り付け、保守支持層にも食い込んだ下地氏が、念願の小選挙区初当選を果たした。
 2区は前職の照屋氏が知名度を発揮、社民、社大、民主の支持層を固め再選。
 3区は嘉数氏が自民、公明支持層を固め、再選。玉城デニー氏(45)=民主・新=と、東門美津子氏(62)=社民・九州比例前、社大推薦=は、野党(社民、民主)の分裂が響いた。

写真説明(上から)=万歳する西銘氏(左から2人目)と支持者ら=11日、南風原町内の選対本部

照屋寛徳氏

嘉数知賢氏

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沖縄1区・下地幹郎氏返り咲き/白保氏との大激戦を制す

 【那覇支局】「沖縄の夜明けだ」「ミキオよくやった」―。衆院選の県内4選挙区の中で最も注目を集めた沖縄1区は宮古出身で元衆議院議員の下地幹郎氏(44)が民主党の推薦、社大党の支持、社民党の実質的な協力を得て、自民党の推薦を受けた前職で公明党の白保台一氏(63)を激戦の結果退け、初めて選挙区で勝利を収めた。
 十一日の午後十一時すぎにテレビの選挙速報で下地氏の「当確」が報道されると支持者から歓喜の声が上がり、下地氏も目に涙を浮かべながら勝利をかみしめた。
 下地氏は「これまでの選挙戦が苦しかっただけにこの勝利はうれしい。個人個人の支援でこの勝利を勝ち取った。今、沖縄には保革の枠にとらわれない政治が求められている。新しい風を吹かせたい」と勝利の感想を述べた。
 那覇市おもろまちにある下地氏の選対事務所にはオレンジの鉢巻きをした大勢の支持者が詰め掛け午後八時から始まったテレビの開票速報を見守った。
 開票速報が進む中、一時白保氏がリードの結果が示されると、事務所内に緊張した空気が流れたが、開票が進み下地氏の票がどんどん伸びると支持者たちは一気にヒートアップした。
 午後十一時すぎに「当確」のテロップが出た瞬間は、歓喜の声が事務所内に響き万歳三唱で下地氏は支持者らと勝利を喜んだ。
 国会返り咲きについて下地氏は「十月には訪米して基地問題にまずは取り組みたい」と述べた。また、今後の政治スタンスについては「今回、協力してくれた民主党、社大党、社民党とも相談しながら早急に決めたい」と説明した。

写真説明=激しい選挙戦を制した下地幹郎氏と支持者らは「当確」の報道が流れると歓喜の声を上げ万歳三唱で喜びを爆発させた=11日午後11時すぎ、那覇市おもろまちの下地幹郎選対事務所

 

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仲村氏、赤嶺氏、安次富氏が当選/比例代表九州ブロック

 

 

 

 

 【那覇支局】衆議院比例代表選出議員選挙の九州ブロックは、沖縄から三人の当選が確定した。自民党比例名簿登載単独一位の仲村正治氏(74)は、前回に引き続き比例から連続当選。重複立候補した共産党単独一位の赤嶺政賢氏(57)と自民新人の安次富修氏(49)が復活当選した。

 

写真説明(左から)=仲村正治氏、赤嶺政賢氏、安次富修氏

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下地氏勝利で新展開へ/宮古の政局、保革の枠にも影響か

05年衆院選・解説

  【那覇支局】衆院選沖縄1区で宮古出身で元衆議院議員の下地幹郎氏(44)が自公路線を破り、初めて選挙区からの当選を果たした。今回、自民党を離党し、民主党の推薦と社大党の支持、社民党の事実上の協力を得た選挙戦で勝利を収めたことから来年の県知事選を控えた県内政局は波乱模様となってきた。さらに、十一月に合併新市の市長選、市議選を同時実施する宮古地区の政局も今回の結果を受けて先行きは不透明になっている。下地幹郎派と反下地幹郎派で分裂してきた宮古地区保守系に加え今回、下地氏が革新系の支持を受けて当選したことから宮古地区の革新系も含めた政局は今後枠組み、支持体制などで新たな展開を迎えそうだ。

 ■ 下地幹郎氏と政局

 自民党を離党し、民主党、社大党、社民党などの推薦、支持、協力を得て選挙戦を勝ち抜いた下地氏の今後の政治姿勢は県内政局に大きな影響を与える見込みで、来年の県知事選に向けて自民党県連も自公路線の立て直しに向けた動きを早急に展開する見込みだ。
「反自公」の旗印の下で下地氏を勝利に導いた革新系も県知事選に向け、下地氏を絡めて今回の選挙戦勝利をつなげていく考えだ。
 「保革、与党野党の政治ではなく人で行う政治。沖縄のための政治を行うため『第三の波(勢力)』が必要」と訴え続けた下地氏は今後、保革の枠にとらわれない新しい勢力を県内で形成していくことを明言しており、その動きが具体化すれば県内、宮古の政局は新たな局面を迎えることが予想される。

 ■ 宮古への影響

 三年前の平良市長選以来、分裂選挙を繰り返してきた宮古地区の保守系は今年に入り修復に向けた動きを展開してきた。分裂の実質的な中身は「下地幹郎派」と「反下地幹郎派」に分かれていたことから、今回の下地氏の当選は新市市長選、市議選に向けた宮古の政局にも大きく影響することは必至となっている。
 保守系の候補者選考委で擁立が決定している前城辺町助役の下地敏彦氏(59)だが、これまで公明との協調路線を歩んできたことから今回、「反自公」の下地幹郎氏が勝利したことで下地幹郎氏の支持を取り付けるのか「自公路線」を貫くのか今後の判断が注目となっている。
 一方、革新系で立候補を予定している伊志嶺亮平良市長を下地幹郎氏の支持、協力に回った社民、社大が推薦していることから、「第三の波(勢力)」を掲げた下地幹郎氏の支持を伊志嶺陣営が取り付ける可能性もある。
 こうした状況から、宮古の政局において下地幹郎氏がどのような政治スタンスでその影響を与えるのかも注目だ。伊志嶺後援会の副会長を務める県議の奥平一夫氏も1区では下地幹郎氏の支持を打ち出すなど、すでに新しい動きは生まれている。下地幹郎氏の「保革の枠を超えた政治」の流れが生まれれば宮古の政局も大きな変革の局面を迎える見込みとなっている。

 ■ 今後の展開

 下地幹郎氏が当選したことで自公支持派は県内における自公路線の立て直し作業を早急に展開する必要に迫られる。その照準は来年の県知事選に向けられるが民主、社民、社大も下地氏を絡めて対抗する構えで今後も激しい攻防戦が展開されそうだ。
 一方の宮古の政局も、下地幹郎氏を中心として保革の枠を超えた新しい動きがこれから各方面で活発に展開されることが予想されており、どのような構図と枠組みで島内政治が構成されるかも注目となっている。

                                     (垣花尚記者)     

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八月踊り、華麗に開幕/多良間島/組踊りなど多彩に

 【多良間】国の重要無形民俗文化財に指定されている多良間島の「八月踊り」が十一日開幕し、字仲筋の正日(しょうにつ)(初日)が土原(んたばる)御願所で行われた。島を直撃した台風t号の影響をものともせず、住民らが古くから島に伝わる素朴な民俗踊りや、明治時代に伝わったとされる華麗な組踊などを次々と披露、訪れた観光客を魅了した。
 二日目となる十二日は字塩川の正日がピトゥマタ御願所で行われる。最終日となる十三日は「ワカレ」といわれ、両字の芸能が同時に行われてクライマックスを迎える。
 初日の舞台は、アカギやフクギなどの大木に囲まれた土原御願所。例年は午前十時ごろから始まる踊りも、この日は台風t号の影響で、午後零時三十分ごろからスタートした。
 あでやかな衣装をまとった島民たちが女踊や若衆踊、二才踊、コミカルな掛け合いを繰り広げる狂言、勇壮な棒踊りなど多様な演目を相次いで熱演した。
 ひときわ観客の目を引いたのが組踊り「忠臣仲宗根豊見親組」。首里王の命に背く与那国の首長、鬼虎を宮古島の首長、仲宗根豊見親が征伐するという内容で、絶世の美女とうたわれたオーガマ、クイガマ姉妹など歴史上の人物が多数登場し、討伐の模様が詳細にわたり演じられた。演者の熱演に会場からは終始、惜しみない拍手がわき起こった。
 八月踊り 人頭税の納税が終わる旧暦八月に、納めきった喜びと、翌年の五穀豊穣(ほうじょう)を願ったもの。起源ははっきりしていない。

写真説明=島民があでやかな衣装を身にまとい、島に伝わる伝統芸能を披露した=11日、多良間村仲筋の土原御願所



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   台風15号/係留中の漁船が沈没/伊良部町

 非常に強い台風15号が吹き荒れた十日午後から十一日未明にかけ、伊良部町佐良浜漁港内で係留中の漁船一隻が沈没した。燃料の流出は無く、十一日午前、クレーン車で陸揚げされた。被害額は数百万円とみられている。
 沈没した漁船は、長嶺豊彦さん(68)=同町字池間添=所有のFRP(特殊プラスチック)漁船の「第十八漁高丸」(三・三d)。同町漁協所属の小型漁船。
 十一日午前、沈没を確認した同町議会の友利浩一議長が、同町消防本部に引き揚げを要請。同本部は要請を受け、クレーン車を使って陸揚げした。漁船には大きな破損は無かった。
 漁船が装備していた自動操舵や魚群探知機、無線機、電動一本釣り機、衛星からの電波を受信して漁船の位置を割り出すGPS(全地球測位システム)などは使用不能。エンジンは分解修理の予定。
 長嶺さんは「十年余り前に新造した漁船。漁船保険は掛けてはあるが」と落胆の表情で話した。


写真説明=陸揚げされた「第18漁高丸」=11日、伊良部町佐良浜漁港



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