200平成1  827曜日

宮古病院の赤字5億円/経営状況さらに悪化

 【那覇支局】県監査委員が二十六日、稲嶺恵一知事に提出した二〇〇四年度県病院事業会計決算審査意見書によると、宮古病院は五億六百二十四万円の単年度赤字を計上した。赤字幅は前年度と比べ七千八百九万円拡大し、経営状況は悪化している。監査委員は経費増を赤字の要因として指摘した。
 宮古病院の事業総収益は四十四億六百九十二万円で前年度と比べ二千七百八十二万円(〇・六%)増加した。一方、費用も四十九億一千三百十七万円と、材料費や経費の増などにより前年度に比べ一億五百九十二万円(二・二%)の増加。この結果、五億六百二十四万円の純損失を計上した。材料費は前年度比四・九%(四千百万円余)、経費も六・三%(三千四百万円余)それぞれ増え、経営を圧迫した。収入の伸びを費用増が上回ったため、医業収支比率は八四・〇%と前年度を〇・四ポイント下回った。
 宮古病院の入院患者延べ数は十万八千三百六十四人(同比千五十四人減)。外来患者延べ数は十一万七千五百十二人(同比四千百四十三人減)となった。一日平均二百九十七人が入院し、四百八十六人が外来した。
 県全体の単年度決算は三十億七千五百七十六万円の純損失を計上し、累積赤字は四百二十一億三千五百五十二万円に膨れ上がった。県立の七病院すべてが赤字だった。
 病院事業収益は三百九十五億六千五百四十五万円と前年度に比べ六億四千七百四十七万円(一・七%)伸びたものの、費用が四百二十六億四千百二十二万円と同十三億二千九百三十二万円(三・二%)増えた結果、赤字となった。不良債権は十五億七千九百七十七万円で、前年度の三億一千九百九万円より大幅に増加した。
 県監査委員は厳しい経営状況を受け、経営体質の強化や経費の縮減、未収金対策などを求めている。

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地下水保全へ協力求める/水質保全対策協

 宮古島地下水水質保全対策協議会(会長・伊志嶺亮平良市長)は二十六日、平良市中央公民館で二〇〇四年度宮古島地下水水質調査報告書説明会を開き、調査に参加した琉球大学理学部教授の渡久山章氏=伊良部町出身=がその内容を説明、参加者に地下水保全に関する意識高揚を呼び掛けた。渡久山氏は、地下水に悪影響を与える硝酸性窒素濃度は微減傾向にあるものの、窒素肥料の使用量増加を懸念し、地下水環境保全に向け▽緩効性肥料の使用▽家畜ふん尿の堆肥化▽生活排水対策としての下水道整備―などを提言した。
 すべての飲料水や生活用水を地下水に頼っている宮古では、化学肥料から出る硝酸性窒素による地下水の慢性的な汚染は深刻な問題であることから、一九八八年に宮古島上水道企業団と各市町村などが連携して同協議会を設立、八九年から毎年調査を行っている。
 今回の報告では、硝酸性窒素濃度は微減傾向にあるとしながらも、窒素肥料の使用量の増加傾向が続いていることを指摘した。特に、伊良部、多良間で窒素含有率の高い高度化学肥料が多用され、作付面積当たりの窒素施用量が押し上げられていることも示した。
 その上で、@硝酸性窒素が土地に溶け出しにくい、効果的で無駄の少ない施肥方法を検討・普及するA家畜排せつ物法の周知・管理基準の順守を図り、野積みや素掘りなど不適切な管理の解消、堆肥化処理を進めるB伊良部・多良間では緩効性肥料や施肥方法の導入など、硝酸性窒素対策が緊急に必要C地下ダムによる地下水環境に対する影響の継続調査―を課題として挙げた。
 訪れた参加者からは、「硝酸性窒素が基準値内と言っても本当に安全なのか」といった疑問や、地下水に関するもう一つの懸念材料となっている塩素イオン濃度上昇について尋ねる声も上がるなど、活発な質疑も行われた。
 また、報告書説明会と併せて、同協議会と宮古広域圏事務組合が制作した「癒しの島の地下水を守ろう!〜地下水汚染のメカニズムと対策〜」と題した広報番組も上映された。

 写真説明・04年度地下水水質調査報告書の説明に聞き入る参加者ら=26日、平良市中央公民館

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サガリバナが開花/夜空に浮かぶ幻想的な花

 平良市下里にある民家の庭でサガリバナが咲き、幻想的な淡いピンク色の花が夏の夜を彩っている。サガリバナは夜に咲き朝には散る「一夜限りの花」。この民家で咲くサガリバナの見ごろはきょう二十七日の夜まで。
 サガリバナはサガリバナ科の植物で、マングローブ帯からやや上流に生える常緑高木。奄美大島より南に分布し、六月から八月にかけて開花する。
 民家の男性(66)によると、このサガリバナは苗を植えてから四年がたち、昨年から花が咲き始めた。陽が落ちる夕暮れごろからつぼみが少しずつはじけ、午後十時ごろには甘い香りを漂わせて開花するという。男性は「毎年楽しみにしている。山の中だけでなく民家の庭でも花を咲かせることを多くの人に知ってもらえれば」と話し、夜空に浮かぶサガリバナに目を細めた。

 写真説明・淡いピンク色の花を咲かせるサガリバナ。夜に咲き、朝には散る=25日午後11時ごろ、平良市下里の民家(撮影・山里勝美記者)

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飲酒運転の危険性体験/高齢者交通安全大学開く

 高齢者の事故防止を目的とした「高齢者交通安全大学」(主催・宮古警察署、宮古地区交通安全協会ほか)が二十五日夜、安全運転学校宮古分校で開かれた。約四十人の高齢者が参加し、夜間や飲酒運転の恐ろしさを学んだ。
 参加したのは、各市町村のシルバー交通安全指導員や城辺町比嘉部落自治会の高齢者ら。実験を通して蒸発現象(歩行者が見えにくくなる)、反射材の視認性、飲酒運転の危険性について指導を受けた。
 飲酒運転の実験では、実際にビールや泡盛水割りを飲んだ男性三人が、「運転シミュレーション機」と呼ばれる機械で、飲酒運転を体験した。
 缶ビール(三五〇_g)五本を飲んだ男性は、交差点で右折する対向車の横側に衝突。また、泡盛水割り六杯、ビール一本を飲んだ男性は、右折時、対向車の陰から進行してきたバイクと接触事故を起こした。実験後、アルコール検知を行ったところ、呼気一g当たり、缶ビール五本を飲んだ男性は〇・二五_c、泡盛水割り六杯、ビール一本を飲んだ男性は〇・三_cのアルコールが検出された。いずれも酒酔い運転に相当する数値という。
 同署交通課によると今年、管内で発生した事故の約三割が高齢者がかかわっている。伊波興二課長は「夜間や飲酒運転の危険性を再認識してもらいたい」と開催の意義を説明した。

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生徒たちが芋もちに挑戦/昔ながらの家庭料理を学ぶ

 県立宮古農林高校(下地恵吉校長)は二十六日、地域の伝統料理を学ぼうと芋料理講習会を同校で開いた。平良市食生活改善推進員のメンバーが講師を務め、「ンーもち(芋もち)」「ンーギーアイズー(芋の葉の和え物)」の作り方を指導。生徒たちは委員から食生活について話を聞きながら、昔ながらの家庭料理を学んだ。芋を使った料理の調理法を学ぶことで、農業祭での販売や地域サロンへのプレゼントなどを予定している。
 講習会には生徒約二十人と食生活推進委員八人が参加。芋は生徒たちが育てた紅芋など二種類を使用したほか、ピスナと呼ばれる野草も料理に取り入れた。
 生徒の中には芋もちや芋の葉を使った和え物は初めてという生徒もおり、食材や調理法に興味津々。講師に細かく説明を受けながら、芋料理に挑戦していた。伊志嶺成美さん(生活福祉科二年)は「食べたこともなくて初めて作るものばかり。芋を使った料理はめったにしないのでこの機会に学ぼうと思った。作り方を覚えて自分でも作ってみたい」と感想を話した。指導に当たった与那覇ヨシ子さんは「楽しみながら作り方を教えている。こうした料理を伝えていくのが私たちの役目。ほかにもいろいろな料理を教えていきたい」とうれしそうに話した。

 写真説明・食生活改善推進員の説明を受けながら芋料理に挑戦する生徒たち=26日、県立宮古農林高校

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   グルクン大漁に大喜び/宮島小船釣り体験学習

 海や自然の偉大さから感性豊かな心を育てようと、平良市立宮島小学校(与儀透校長)の「船釣り体験学習」が二十六日行われ、児童らは地域の船主と共に島尻漁港から沖合三`の海域でグルクンを狙ったサビキ釣りに挑戦。クーラーボックスを色とりどりの魚でいっぱいにするなど、初めての船釣りを楽しんだ。
 同体験学習は今回が初めての試み。地域の船主会七人の協力を得て全児童十七人が参加し、午前九時に同漁港を出航。沖合三`の海域まで七隻の船で行き、サビキ釣りに挑んだ。参加した児童らは三時間の船釣りにも疲れた表情を見せず、大漁を願って待つ父母らのもとへ、昼前に笑顔で下船した。参加した砂川美香さん(三年)は「面白かった。二十匹以上は釣ったよ」と日焼けした笑顔。船主の武島秀忠さんは「子供たちの喜ぶ顔がうれしい。来年以降も船主会共々協力していきたい」と意気込んだ。同校の鶴町利之教諭は「普段、地域の船主さんと触れ合う機会は無い。今回子供たちはとても良い経験をしたと思う」と目を細めた。
 児童らは釣った魚を父母らと一緒にさばき、魚汁や刺し身に調理して「自分たちが釣った魚はやっぱりおいしいね」と大喜び。六年生にとっては最後の、一年生にとっては最初の夏休みの思い出の一ページとなった。

 写真説明・大漁を喜ぶ児童ら=26日、島尻漁港

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