200平成1  8曜日

伊良部架橋 海上部工事に着手へ/知事、きょう国に要請

 【那覇支局】県(稲嶺恵一知事)は三日、庁議を開き二〇〇六年度の国庫支出金要請内容を決定した。宮古関係では主要継続事業に平良下地島空港線道路改築事業(伊良部架橋)、主要新規事業に宮古養護学校建物新増築事業、城辺町福北と上野村高田のかんがい排水事業が盛り込まれた。稲嶺知事はきょう四日、内閣府の小池百合子沖縄担当大臣に要請を行い、沖縄県分の要求額は今月末までに決まる見通し。
 伊良部架橋は〇六年度から、海上部の仮桟橋設置や橋梁工事に入り本格化する。延長は平良市側の取付道路二・一`、橋梁三・四五`、海中道路〇・七`、同道路から伊良部側取付道路までの橋〇・一`、伊良部側取付道路〇・一五`など合わせて約六・五`。総事業費は三百二十億円を見込み、二〇一二年度の完成を予定している。
 宮古養護学校の校舎は、〇七年度の幼稚部設置に伴い新築する。面積は約百二十平方bで、一教室を設置する。
 離島地域に関しては「国民に健康保養の場を提供するとともに、経済水域の確保など国土保全の面で、重要な役割を担っている」とし、沖縄離島(美ら島)活性化特別事業に必要な措置を要請する。
 同事業に関連して▽離島活性化人材育成・専門家派遣事業▽各島のアイデアを支援する離島地域資源活用・産業育成モデル事業▽観光案内板や標識などを整備する離島観光振興地域等整備事業▽地域貢献・交流による体験滞在交流促進事業▽離島地区ブロードバンド環境整備促進事業―などを組んだ。
 県は沖縄振興計画五年目の〇六年度を、「従来の成果を踏まえ、さらなる発展に向けた県づくりを進める重要な年度」と位置付けた。
 沖縄振興計画に基づく基本施策では@自立型経済の構築に向けた産業の振興A雇用の安定と職業能力の開発B科学技術の振興と国際交流・協力の推進C環境共生型社会と高度情報通信社会の形成D健康福祉社会の実現と安全・安心な生活の確保E多様な人材の育成と文化の振興F持続的発展を支える基盤づくりG離島・過疎地域の活性化による地域づくりH駐留軍用地跡地の利用の促進―など九本の柱を示した。

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職務執行者に川田氏(上野村長)/新市長決定までの約2カ月間

 宮古五市町村合併推進協議会(会長・伊志嶺亮平良市長)は三日、同協議会事務局で市町村長会議を開き、十月一日の宮古島市発足から新市長が誕生するまでの約二カ月間の職務執行者を現上野村長の川田正一氏(64)とすることを全会一致で決定した。川田氏は「新しい市長の誕生まで、職員とともにスムーズに行政運営をしていきたい。新市長が手腕を発揮できるよう、職員の皆さんに協力をお願いしたい」と抱負を述べた。
 市長職務執行者とは、合併後、新市長が選挙により選出されるまでの間、市長の代理を務めて行政運営をする役職。条例の専決処分など、政策以外の事務手続きを行う。新市の市長選挙は合併後五十日以内に行われることから、川田氏は十一月の中旬ないし下旬まで市長職務執行者を務めることになる。
 宮古島市長選に向けて、現役市町村長では現平良市長の伊志嶺亮氏(72)が出馬を表明しているほか、保守系候補者としては城辺町長の仲間克氏(66)の名前も取りざたされている。
 この日の会議ではまた、宮古島市収入役の職務代理者を会計課長が担うことも併せて決定。特別職となる同市水道局長に関しては合併協市町村長会議で選任し、市長職務執行者が十月一日付で任命することとなった。

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吉野海岸・利用料金500円を徴収/施設の管理運営が再開

 城辺町保良の吉野海岸利便施設の管理運営が三日、約一カ月ぶりに再開された。以前のように町道の交通は規制していないが、管理人が崖上に整備された大型の駐車場に利用者を誘導し、利用料金として車両一台につき五百円を徴収する業務が行われた。観光客ら多くの利用者が理解を示している。この管理再開により、海浜に下りる町道の路上駐車はなくなった。また、これまで海浜で営業していた海水浴用具などのレンタル・物販業者は撤退した。
 管理が再開された吉野海岸の入り口付近にはプレハブの料金所が設置された。訪れる利用者は五百円を支払った上で管理人の誘導に従い大型の駐車場を使用した。海浜までは管理業者が準備したシャトルバスを利用して行き来していた。
 この日の吉野海岸は夏休み期間中とあって本土から観光で来島した多くの親子連れが利用したが、管理に伴う大きな混乱もなく管理運営はスムーズに行われていた。
 神奈川県から来島した五十代男性は利用料金の徴収について「管理するために必要なら良いと思う。下(海浜)まで送り迎えしてくれるし、特に言うことはない」などと話していた。
 吉野海岸の交通を規制し、管理運営費を徴収する管理業務は今年四月末にスタートしたが、一部利用者の不満や町当局の条例制定における不備が指摘され、六月二十五日から交通規制が解除されていた。
 ただ、規制を解除したと同時に海浜へ下りる町道が再び混雑するという結果になった。これを受け町議会は町が提案した管理条例案の一部を修正して可決。さらに同海岸の利便施設を管理する指定管理者の指定案件も可決したことで管理が再開されることになった。指定された業者は同町保良のふるさと村(西里尚子代表取締役)。

 写真説明・管理が再開された吉野海岸の入り口=3日、城辺町吉野地区
 

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宮古上布の伝承、発展に尽力/総理大臣賞に洲鎌ツルさん

 ものづくりに携わる人で革新的な技術や伝統技能の熟練者などを対象とした「第一回ものづくり日本大賞」の内閣総理大臣賞に、宮古上布保持団体代表の洲鎌ツルさん(75)が選ばれた。宮古上布の創製者と言われる稲石刀自の第十三代目の直系の子孫に当たり、六十年以上にわたって宮古上布の伝統を受け継いでいる。今回の受賞に「思いもよらない名誉。身に余る光栄です」と喜びを話した。総理大臣賞受賞は県内では洲鎌さんのみ。きょう四日に首相官邸で行われる表彰式に出席する。
 宮古上布がまだ身近にあった時代に生まれ育った洲鎌さんは小学生のころから苧麻を績み、成人前には宮古上布を織り上げるまでになったという。糸作りから藍染め、織りなど宮古上布が完成するまでのすべての工程をこなし、宮古上布で生活を支えてきた。
 現在は、下地町与那覇に工房「藍風」を構え、苧麻績み講習会も開くなど技術の伝承や宮古上布普及にも力を注いでいる。
 「宮古上布を作るのは本当に楽しい。苧麻を績みに来るみんなが楽しんでいるのを見るとうれしい。これからはもっと多くの人に宮古上布について伝えていきたい」と意欲を見せた。
 ものづくり日本大賞は、日本の産業や文化を支える技術を継承・発展させることを目的に創設されたもので、内閣総理大臣賞に二十五件五十九人、経済産業大臣賞に十七件八十五人が選ばれた。県内では画期的な義肢で佐喜眞保さん、もろみ酢の製造で石川信夫さんが経済産業大臣賞を受賞した。政府は今後、二年に一回大賞を選定する予定。 

 写真説明・第1回ものづくり大賞の内閣総理大臣賞に選ばれた洲鎌ツルさん

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期待背に九州大会へ出発/上野中男子バスケ部

ホームステイの生徒も香港へ

 県中学校バスケットボール競技大会で準優勝した上野村立上野中学校男子バスケットボール部は三日、長崎県で開催される九州大会へ向け出発した。初戦は五日、宮崎県代表の清武中学校と対戦する。上位三位入賞で全国大会出場となる。また、香港沖縄県人会の協力で初の香港ホームステイに参加する同校生徒たちも同じ便で出発。一週間滞在し香港の文化などを学ぶ。宮古空港には父母らが見送りに訪れ、生徒たちにエールを送った。
 普天間裕校長は「バスケット部はこれまで練習に励んできた。父母の皆さんの声援を胸に期待に沿うよう頑張ってきたい」とあいさつ。香港ホームステイに引率する亀川昌彦教頭は「貴重な体験に子供たちも楽しみにしている。一週間の経験を残る生徒たちに伝える気持ちを持って行ってきます」と話した。狩俣廣一教育長は「バスケ部はチームワーク良く一戦一戦を勝ち抜いて勝利の栄冠を持って帰ってくることを期待している。ホームステイに参加する生徒は礼儀正しくし、香港の文化を学んできてほしい」と激励した。
 バスケ部の小禄洋平キャプテンは「全国大会へ行けるよう応援をお願いしたい」、ホームステイに参加する愛澤優君は「沖縄と香港の文化の違いを学び友達にも伝えたい」と意気込みを話した。

 写真説明・九州大会へ出場する男子バスケットボール部と香港ホームステイへ参加する生徒たち。声援を受けて出発した=3日、宮古空港

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   新城麻希さん(沖尚3年)優秀賞/全国高文祭・弁論部門

 【那覇支局】青森県で先月末に開催された第二十九回全国高校総合文化祭の弁論部門で、沖縄尚学高校三年生の新城麻希さん=平良中学校卒=が、全国二位の優秀賞に輝いた。同部門には都道府県の代表五十二人が参加した。
 新城さんは「阿嘉さんがくれたもの」と題して発表。幼稚園児のころ父の仕事の関係で、名護市のハンセン病国立療養所「愛楽園」内で過ごし、元患者のおばあさん(阿嘉さん)と触れ合った経験から「差別や偏見のない社会の実現」を訴えた。講評では「社会への大きな提言」と高い評価があったという。
 新城さんは「全国の舞台で発表できたのがとてもうれしい。賞をもらえたのは多分、言いたいことが伝わった結果なのでは」と満面の笑み。また、「友達がつくれたし、いろいろな人の弁論を聞いて視野も広がった」と話した。
 引率した上里節子教諭は「麻希さんは幼いころ、貴重な体験をした。その体験を温めて社会に訴えた気持ちは素晴らしい」と祝福した。

 写真説明・賞状と盾を手にする新城さん=3日、沖縄尚学高校

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