200平成1  30曜日

肉用牛販売額30億円目指し気勢/「母牛増」運動展開へ

 高齢化に伴う生産者の廃業などが影響し、肉用牛競りの出荷頭数が減少していることを受け、宮古和牛改良組合(砂川博一組合長)は二十九日、JAおきなわ宮古地区事業本部大ホールで「和牛増産・生産者大会」を開いた。会場には組合員ら生産農家四百人(主催者発表)が集まり「一農家、母牛一頭の増頭」など具体的な目標を掲げ、年間の販売額三十億円の達成に向けて決意を新たにした。砂川組合長は「購買者(肥育農家)のニーズに応じる子牛の生産体系を確立しよう」と呼び掛けた。
 宮古地区の和牛生産は過去二年間微少した。さらに枝肉市場の高騰を受け子牛が高値で販売されていることから、優良母牛になる素牛を手放す農家が増えている傾向にあるため、和牛改良組合など関係機関が危機感を強め、今回の生産者大会を開催した。 大会は午後二時から開かれ、はじめに砂川組合長が「競り価格が高いために、優良な素牛が県外に出荷されている」と競りの現状を指摘。その上で優良な繁殖母牛を保留することの大切さを強調するとともに「飼養頭数の減少に歯止めを掛けなければならない」などと訴えた。
 引き続き県宮古支庁の兼城克夫支庁長、宮古地区農業振興会の伊志嶺亮会長(平良市長)、JAおきなわ宮古地区事業本部の下地隆弘本部長が来賓祝辞を述べ、それぞれ生産農家を激励した。
 この後、和牛増産運動実施要領をはじめ、スローガン、大会宣言を出席者全員で決議した。
 増産運動には▽一農家母牛一頭の増頭▽和牛経営新規参入者の育成強化▽一年一産の確立▽子牛の育成技術の向上▽環境保全型畜産経営の確立―などを掲げた。スローガンでは年間販売額三十億円の達成や産肉能力の高い子牛の生産、自給飼料の増産などを挙げた。その上で改良方針に基づく計画交配を実施し、競り出荷子牛の斉一化などを盛り込んだ大会宣言文を決議した。
 最後は参加者全員でガンバロー三唱を行い後継者不足を解消するとともに、優良母牛の保留、子牛の増産に伴う年間販売額三十億円の達成に向け気勢を上げた。
 宮古地区の和牛生産を過去十年でみると二〇〇四年度の飼養頭数は一万六千二百二十四頭、九四年度対比で三〇・二%増加している。子牛生産頭数は七千二百五十八頭で同比で二五・四%の伸び率。競り出荷頭数は六千七百十六頭で同比三八・二%増、子牛一頭当たりの価格に至っては七〇・九%と大幅な伸びを示している。販売額も右肩上がりで、〇四年度は二十六億四千三百六十七万円を販売し、九四年度と比べると十五億四千五百四十四万九千円も増加している。
 同組合などは〇八年度までに飼養頭数二万一千四百六十五頭、子牛生産頭数を一万一千三百五十八頭の目標を設定、これに基づき年間の販売額を三十億円としている。

 写真説明・ガンバロー三唱で和牛増産の決意を新たにした生産農家ら=29日、JAおきなわ宮古地区事業本部大ホール

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久貝さん(鏡原出身)に山之口貘賞/宮古出身5人目の快挙

 【那覇支局】第二十八回山之口貘賞(主催・琉球新報社)の贈呈式が二十九日、那覇市天久の琉球新報社新社屋で行われ、平良市鏡原出身で画家の久貝清次さん(68)=東京都渋谷区本町=と、昭和薬科大付属高校教諭の大城貞俊さん(56)=宜野湾市嘉数=に賞状と副賞が贈られた。
 同賞は、沖縄の生んだ日本を代表する現代詩人・山之口貘をしのぶとともに琉球新報創刊八十五周年を記念して一九七八年に創設された。県出身者や県内在住者を対象に毎年公募を行い、今回は十三冊の詩集が寄せられた。
 選考委員会が六日、東京都千代田区の日本プレスセンタービルで開かれ、久貝さんの「おかあさん」(私家版)と、大城さんの「或いは取るに足りない小さな物語」(なんよう文庫)の二詩集に決まった。
 宮古出身の受賞者はこれまで、一九七九年第二回の伊良波盛男さん、第七回与那覇幹夫さん、第八回市原千佳子さん、第十回松原敏夫さんが受賞しており今回の久貝さんで五人目の快挙となった。
 琉球新報社の比嘉辰博社長は「受賞者の皆さんには心からお喜び申し上げる。今後ますますの活躍を期待したい」とあいさつした。
 選考委員を代表して、詩人で第十四回山之口貘賞を受賞した花田英三氏が選考経過を報告。久貝さんの作品は「おかあさんに呼び掛けている清らかな詩」、「柔らかくて温かい詩」、「やさしく書いているがレベルが高い」と選考委員から評価された。
 久貝さんは「素晴らしい賞を頂きうれしく思う。今後も子供たちにも分かりやすい詩を書いていきたい」と受賞の喜びを語った。

 写真説明・第28回山之口貘賞を受賞した久貝清次さん=29日、那覇市天久の琉球新報社

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パート労働希望者が増加/雇用環境の悪化裏付け

 長引く景気の低迷や女性の社会進出を裏付けるように、新規求職申込件数に占めるパートタイム労働者の割合が全国的に増加している。宮古地区も同様で宮古公共職業安定所(ハローワーク宮古、上原忠所長)がまとめたパートタイム職業紹介によると、二〇〇〇年度は百四十六件(新規求職者全体の五・六%)だったパートタイム労働求職申込件数が〇四年度には五百六十五件(同一六・七%)まで跳ね上がっている。上原所長は「雇用環境が悪化していることや、女性が積極的に社会に進出していることの表れ」と指摘、併せて中央の雇用形態が地方にまで及んでいることを強調した。
 パートタイム労働者とは、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者より短い労働者だ。長引く景気の低迷で、各企業とも正規の職員よりパート労働者や派遣・契約社員を雇う傾向にあるという。
 同所がまとめた過去五年間の雇用の状況をみると、二〇〇〇年度は新規求職申込件数二千六百七件に対しパートタイム労働求職申込件数が百四十六件(五・六%)、〇一年度は二千八百三十三件に対し二百五十五件(九%)、〇二年度は三千四百十件に対し四百五十六件(一三・四%)、〇三年度は三千三百九十三件に対し四百三十八件(一二・九%)、〇四年度は三千三百八十二件に対し五百六十五件(一六・七%)とパートタイム労働求職者が年々増加。パートタイム労働を求める企業もあるため就職件数も一般就職件数より良く、〇二年度は三百五十五人、〇三年度は二百五十六人、〇四年度は二百三十五人が就職している。
 同所はパートタイム労働の増加傾向は雇用環境の悪化と女性の社会進出を主な要因に挙げるが、これに加えてグローバル化、IT化など経済社会情勢の変化に合わせた即戦力を求める企業のニーズと「都合の良い時間に働ける」という労働者のニーズが合致していることも増加要因の一つとしている。

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宮古牛、26頭死ぬ/鹿児島への移送中、熱中症か

 県内から九州に向けて出荷された子牛八十六頭と豚二百二十五頭の計三百十一頭が二十五日に鹿児島港に入港した定期貨物船内で死んでいたことが分かった。死んだ子牛八十六頭のうち、二十六頭は宮古で七月十九日に競り落とされた子牛で、JAおきなわ宮古地区事業本部などによると損害額は約千四百万円になる。鹿児島県など関係機関は熱中症か酸欠が原因で死んだものとみている。
 子牛は鹿児島県や熊本県の肥育農家が石垣市と平良市で競り落としたもので、豚は県内の業者が那覇から九州向けに出荷したものだった。子牛や豚を乗せた船は二十四日に那覇港を出港。二十五日に鹿児島港で引き取られる予定だった。
 JAおきなわ宮古地区事業本部によると、宮古の子牛が出荷・搬送中に大量に死んだのは二〇〇二年の夏に多良間島から搬送中の子牛五十頭余が死んで以来。死んだ子牛を購入していた本土の肥育農家に対する補償についてはJAおきなわ内で検討されている。

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後輩に甲子園への夢託す/宮高野球部ベスト4祝賀会

 宮古高校野球部父母の会(伊計武治会長)は二十八日、第八十七回全国高校野球大会県予選でベスト4入りした県立宮古高校野球部の祝賀会および激励会を平良市内のホテルで開き、選手たちをねぎらうとともに新チームの今後の活躍に期待した。大会に出場した選手たちは応援した父母や関係者らに感謝し、後輩たちに甲子園への夢を託した。
 「夢実現への実行委員会」を立ち上げ声援を送った宮古高校野球部OBの平良勝之さんは「記憶と記録に残る素晴らしいベスト4。この実績を糧に新たな歴史をつくっていってほしい」と激励した。舞台に上がった選手たちは一人ひとりあいさつ。濱元優作主将は「選手だけでなく父や母、島の人たちで勝ち取ったベスト4」とこれまで支援してきた関係者に感謝。国仲豊彦投手は「一試合一試合を楽しんだ。糸満や八重山商業には一度負けたが県予選では勝つことができた。まさにリベンジの大会だった。沖尚に一点差で負けたが、一、二年生が来年リベンジしてくれると思う」と期待した。新キャプテンの松川雅史君は「先輩たちがベスト4を成し遂げた。次は自分たちが宮古に優勝旗を持ち帰りたい」と意気込みを見せた。
 山城明男監督は「小・中学生に小さな宮古でも勝てるという声が出たことがうれしい。宮古は個々の能力が高い。将来甲子園へ行けるチームが出てくるための踏み台となれたと思う。選手たちにはプレーの成功者でなく人生の成功者になってほしい。宮古のサポートに感謝し、これからの人生を突き進んでほしい」と言葉を送った。

 写真説明・声援を送った父母や関係者に感謝の言葉を述べる宮高野球部の部員たち=28日、ホテル共和

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