200平成1  10曜日

出口の見えない協議延々 /宮古島市長選保守系

 宮古島市市長選挙に向けて、分裂回避と候補者の一本化を目指して立ち上がった保守系選考委の協議が混迷を深めている。すでに九回の協議を重ねたが方針も二転三転し、選考委内部の「思惑」が絡み合い、出口の見えない協議が延々と展開されている。分裂した保守系の関係修復が前提の協議が行われずにそのままその確執を選考委内部に持ち込んだ形で協議が進んでいる。人選作業が行き詰まる状況で、今後は内部だけの「人物」調整ではなく「政策」を基本にそれを直接住民に示して共感を得られる人物かどうかを焦点に作業を進められるかが事態収拾の足がかりの一つになるだろう。

■ 選考委の役目
 三年間も保守系が分裂している中で発足した選考委員会の役目は、これまでの確執を解消しながら全体が納得する候補者の人選をすることだった。しかし、これまでに選考のテーブルに上がった人物はこの三年間に実際に分裂選挙を戦った前県議の坂井民二氏ァーと城辺町助役の下地敏彦氏ァエの二人であることから作業は混迷化した。
 結局、選考委内部では水面下でこの両氏のせめぎ合いが展開されるだけで両氏以外を求める経済界、婦人部は新たな候補者を推薦できない状況で、保守系内部の確執はいっそう深まっている状況となっている。

■ 保守分裂の現状
 三年前の市長選で分裂選挙となった保守系は下地敏彦氏が七千四十三票、坂井氏が支持した松原信勝氏が四千九十八票を獲得。現平良市長の伊志嶺亮氏に破れたもののこの時点で下地氏が保守系の主導権を握った。
 しかし、昨年の県議選では現職だった坂井氏が五千九百五十五票、下地氏が支持した嵩原弘氏が五千五百六十二票で保守票はこの時点で二分した。
 両方の選挙とも稲嶺恵一知事や自民党県連、県選出国会議員の支持取り付けをめぐり両陣営が激しい攻防戦を展開。県連、国会議員側も「自公路線」を絡めて地元への影響を考慮するよりも今後の各選挙をにらんだ動きを展開したため、 事態はさらに混迷化し、宮古の保守系の溝はいっそう深くなってしまった。
 新市の市長選に向けては、当初、下地氏を中心に保守系は展開されるだろうとの見込みが強かったが、選考委の協議途中で仲間克城辺町長と下地氏との間で確執があることが表面化。現在でも修復には至っていないようで下地氏にとって支持母体の要となるはずだった仲間町長との衝突が大きな痛手となった。
 仲間町長との確執が表面化してから状況は一変し、現在は坂井氏、下地氏両派の激しい主導権争いが今も展開されている。

■ 今後の選挙
 混迷を招いている現状に微妙にそして大きく影響しているのが合併後の選挙だ。関係者の間では「特に三年後の県議選が最も影響している」と指摘する声もある。
 これまで県議選は平良市区と宮古郡区の二つの選挙区でそれぞれ一議席ずつの二議席となっていたが宮古島市になれば一選挙区で二議席になる予定だ。この状況の変化は現在の平良市区で際立っていた保守系の分裂が宮古全体に影響することとなる。
 現在、平良市区選出は前回の保守分裂選挙の追い風を受けて革新系の奥平一夫氏が当選。郡部は現職の砂川佳一氏が二期目を迎えている。
 市長選への意向を示している坂井氏だが、今後の展開次第では県議選への方向転換も予想されており、そうなった場合に砂川県議と坂井氏がぶつかる可能性もはらんでいる。

■ 思惑の衝突
 これまで選挙があるごとに政治の裏舞台で展開されてきた各方面からの思惑の調整。しかし、今回の宮古島市市長選は議員選と同時選挙となることからこの思惑の調整が難しい状況だ。
 在任特例を適用すれば五市町村議会議員が主導権を持って、候補者の選定作業を進めることができたが同時選となることでそれもできない状況だ。
 しかし、そうした慣例が合併を機にかなりの割合で改められる見込みで、利害関係、思惑の調整が減る分、住民が求める住民代表が生まれる可能性が高い。
 選考委内部でうごめく思惑と利害関係は、協議が長引けば長引くほど表面化してくる。新市に最もふさわしい市長候補を求める保守系の支持者に対して、自信を持って示せる候補者を選定することができるか、早急にこの思惑と利害関係を調整しきれるかは微妙な情勢だ。
 身内だけでの協議で「誰」を選ぶとの選考は旧態依然として困難な状況となっていることから、今後は「政策」を基本に、新市のリーダーにふさわしい人物かどうかに焦点を絞り候補者を選ぶということも一考だ。   (垣花 尚記者)

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昆虫の楽園、サガリバナ

 今が真っ盛りの開花時期を迎えたサガリバナ(サガリバナ科)が、昆虫たちの楽園となり、鑑賞に訪れる人たちの視線は美しい花と昆虫にくぎ付けだ。
 昆虫たちは、サガリバナの花から放出される甘い香りに誘われて次々と飛来する。
 夕暮れ時から現れるのはセスジツユムシ(キリギリス科)。普段は「チキチキチキ…チーッ、チーッ」と鳴く。しかし、花を訪れるとほとんど鳴かない。花から花へ移動し、朝方までみつを吸って離れない。
 一方、リュウキュウツヤハナムグリ(コガネムシ科)は二十四時間、花やつぼみに潜ることを繰り返し、花粉やみつを食べ放題。つぼみの中に蓄えられたみつは、空っぽになるまで食べ尽くされる。食欲は旺盛で、よそへ飛んでいく気配はまったくない。
 サガリバナは、平良市の添道地区の排水路そばに生えており、白と桃色の二種類の花は来月まで鑑賞できる。

写真説明=鳴かずにみつを吸うセスジツユムシ=9日午後、平良市(撮影・伊良波彌記者)top.gif (811 バイト)


 

行動計画作成向け議論/「環境マップ」「マイバッグ推進」など

 平良市の環境保全に向けた各種課題について協議し、市長に提言・答申などを行う「環境を考える市民委員会」(委員長・中西康博東京農業大学助教授)の第二回会議が八日、平良市役所で開かれ、環境を守るために実際に市民が取り組むべき「アクションプラン」(行動計画)の策定に向け議論した。委員らは「地下水保全に関連して、不法投棄場所などに関する環境マップの作成が必要」「買い物時のマイバッグの推進」「学校教育現場における環境教育の推進」など、市民がすぐにでも取り組めることを中心に意見を交換した。
 冒頭、中西委員長が「いくつもの課題をこなしていく、アクション化していくのは難しいので、まずは短期的な課題について、確実に議論を進めたい」として議論をスタート。
 宮平エミ委員は「地下水保全に向けては、どのような場所に不法投棄があるか分からないので、問題点が分かるような環境マップを作成したら分かりやすいのではないか」と提案。
 清水早子委員は「各学校が独自に総合的な学習の時間などもあると思うので、教育現場とも連携を取りながら、環境教育を実施していくことが大事」と述べた。
 仲里タカ子委員は「買い物時にレジ袋を使わない『マイバッグ運動』は今までも言われているが、それほど主流になっていない。どのようにしたらそれが推進されるか、具体策を作っていかなければならない」と強調した。
 このほか、久高正春委員は「市民が短期的な部分で取り組んでいくことが、地下水汚染の問題や海洋汚染の問題などにつながっていく」、儀保正司委員は「化学肥料や農薬などをどこでも平気で使っている。化学肥料に頼らないようにしながら、緑化推進を進めないといけない」などと述べた。
 同委員会の検討課題は、短期的、長期的など、すぐに取り組むべき課題や長期的な視点で取り組むものなどに分けられ、▽総合▽生活環境▽自然環境▽地下水▽ごみ問題▽観光▽健康―などの項目に分けられた具体的な内容が検討される。


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 両校の交流の絆末永く/宮高、台湾復興高級中学

 県立宮古高校(仲間博之校長)と台湾の台北市立復興高級中学(陳萬富校長)は九日夕、姉妹校締結五周年を記念する式典と祝賀会を平良市内のホテルで開催した。宮古高校の歴代校長を含む両校の関係者多数が出席し、今後の末永い交流を誓い合うとともに、交流事業に伴う両校のさらなる発展に向けて決意を新たにした。式典には両校の生徒たちも出席、ホームステイをはじめスポーツ、芸術、情報の各分野における交流のきずなを深め合っていた。
 記念式典は午後六時三十分ごろから行われ、はじめに過去五年間の交流の経過がビデオで報告された。続いて、宮古高校の吹奏楽部が両校の校歌を演奏、出席者全員が起立し、それぞれの校歌を口ずさんだ。
 この後、復興高級中学の陳校長が「青い空と青い海、純白の砂浜が光る夏の中で、復興高級中学と宮古高校の関係者が集まり、こうして姉妹校締結五周年を祝うことができてうれしく思う。両校は五年間、各分野で交流を深めてきたが、この交流が互いの大きな収穫につながった。今後も固い友情に結ばれた両校がさらに発展するよう祈念している」と話した。続いて宮古高校の仲間校長が「復興高級中学との交流は、本校の長い歴史の中でも特筆すべき行事となっている。これも関係する皆さんの協力のおかげです」と感謝。その上で「これからも、この交流事業が継続できるようお願いしたい」などと話し、今後の末永い交流に期待を込めた。
 県宮古支庁の兼城克夫支庁長と宮古教育事務所の新崎治所長が来賓祝辞を述べ、今後の交流事業の充実に期待を寄せた。
 この後、交流事業に尽力してきた歴代校長やPTAなどの関係者に感謝状が贈呈されると、会場からは大きな拍手が送られていた。
 六日からホームステイのため宮古島に来島している復興高級中学生徒の自己紹介もあり、それぞれ宮古島の良さを強調していた。
 式典後は引き続き祝賀会が開かれた。歴代校長らは乾杯の音頭を取り両校の交流事業の成果と意義を強調。会場の出席者と共に祝杯を挙げ、これまで以上の国際交流に期待を込めていた。
 式典で感謝状贈呈を受けたのは次の皆さん。(敬称略)
 【台湾関係者】▽陳萬富校長▽沈條通訳▽李玉美PTA顧問
 【宮古関係者】▽伊波寛▽仲舛勲▽宮城功▽久貝勝盛▽狩俣幸夫▽川満和彦
 【国際交流推進委員】▽方肇靖

写真説明=宮高と台湾復興高級中学の末永い交流を誓い合った姉妹校締結5周年の記念式典=9日、ホテルアトールエメラルド宮古島

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「宮古島から世界へ」/田嶋幸三氏が講演

 日本サッカー協会(JFA)の技術委員長、田嶋幸三氏を招いた平良市制五十八周年記念事業・スポーツ講演会(主催・同市、同市教委委員会、県サッカー協会)が九日、平良市中央公民館で開催された。「宮古島から世界へ DREAM 夢があるから強くなる」をテーマに講演した田嶋氏は、JFAが二〇一五年までに世界トップo入りし、二〇五〇年までにワールドカップで優勝するという大きな目標を掲げていることを紹介し、「その夢の主役になるのはここにいる子供たち。そしてそれを支えるのは指導者や父母の皆さんだ」と呼び掛けた。会場にはサッカー部員の小・中・高校生やその父母、指導者ら約五百人が詰め掛け、田嶋氏の話に熱心に耳を傾けた。
 田嶋氏は冒頭、「子供たちがヨーロッパのいろいろなクラブのユニホームを着ていることに驚いた。宮古島から世界へというテーマにはふさわしい」と、子供たちの様子を見て感想を述べた。また「小・中・高でほとんどの選手が一緒の宮古島で指導の成功例があれば、それは全体のモデルケースとなりうる」と、宮古島の環境の可能性を評価した。
 田嶋氏は、世界トップo入りという目標に向けてJFAが現在、子供の育成や競技普及に重点を置いていることを説明。中でも「子供のころからの個の育成が急務だ」と強調した。
 「個の育成」に向けては、キッズ年代からの「エリートプログラム」を挙げた。「当然、エリート教育で全員が大成するわけではないが、キッズ年代からの指導は才能を持った選手を探すために母集団を広げるから裾野も広がるし、全体が伸びる。小さなころから体を動かす楽しみを覚えてもらいたい。発育・発達上、刺激を与えるのは非常に良いこと」と語った。
 また、指導者や父母の存在について、「親のひと言で子供たちはネガティブにもポジティブにもなる。世界のトップを目指そうと思ったら、親の意識も変わらないといけない。また、指導者が変わらないと選手も変わらない」と述べるなど、大人が与える影響の大きさも指摘した。
 講演の中では、ビデオで世界の一流選手や日本代表のプレーを紹介する場面もあり、参加者らはじっくりとそのプレーぶりに見入った。また質疑応答では田嶋氏が選手や父母、指導者からの質問に丁寧に答えていた。

写真説明=講演する田嶋幸三氏=9日、平良市中央公民館

 

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