200平成1  630曜日

市町村合併に影響せず/伊良部町長リコール住民投票

 宮古の5市町村が合併して新市「宮古島市」が発足する10月1日に向けカウントダウンが始まっているが、28日に市町村合併に関連した伊良部町の浜川健町長の解職請求(リコール)問題に関する訴訟の最高裁判決で住民投票が60日以内に実施されることなった。この判決による合併への影響が心配されたが現在、合併に関する手続きは県議会の議決と国の告示を待つだけで今後、同町で解職請求の住民投票の結果、出直し町長選が行われても、日程的に合併に向けた手続きが先に終了する見込みで県も「影響はないと思う」と説明した。

 合併に向けた今後の手続きとしては、来月14日の県議会6月定例会の最終本会議で議決し、その後国の告示で「宮古島市」設置が正式に決定する。合併の是非が発端となった浜川町長の解職請求訴訟は、最高裁まで持ち込まれたが判決の結果、解職の是非を問う住民投票は実施されることとなった。同町選管によると住民投票は判決の出た28日から60日以内に行われる予定。
 住民投票の結果、浜川町長の「解職」が決定した場合は、その後50日以内に出直し選挙が実施される予定だが、住民投票が行われるのは準備などを考慮して日程的に8月にずれ込む見込みだ。
 また、住民投票の期間も期日前投票など含め20日程度必要であることから、出直し選挙も伊良部町として存続する9月30日までに実施できるのか微妙な状況だ。
 作業が急ピッチに行われ、合併前の9月中に選挙が行われても、当選した町長の在任期間は超短期間になることも予想されている。
 合併の是非については首長の判断ではなく、議会議決事項であり、伊良部町議会はほかの4市町村同様に「合併する」の判断を下している。
 県議会では同案について来月7、8、11日に行われる総務企画委員会の中で審議され採決後、14日の最終本会議で議決される予定となっている。
 同委員会には伊良部町の川満昭吉氏(伊良部町長解職請求代表)から議案審議を9月定例会まで延期するよう求める陳情書も付託されているが、同委員会委員には平良市区選出の奥平一夫県議、宮古郡区選出の砂川佳一県議もおり、両氏とも昨年の県議選では「合併推進」を掲げて当選している。
 今後の住民投票などの結果が宮古地区の合併に与える影響について、県は、関係市町村議会の議決もあり、すでに県議会に提案されていることなどを説明した上で「影響はないと思う」と述べた。
 今後、住民投票やその結果に伴う出直し選挙が最短でも2か月以上必要なことに比べ、現在の合併に向けたスケジュールでは来月14日の県議会議決と総務省告示を待つだけとなっていることから、合併への影響はほとんどないようだ。

《解職請求とは》
 住民が自分たちの選んだ地方公共団体の首長や議員を、その任期内でも不適当であるとして解職する表決を行うこと。直接請求の一種でリコールともいう。直接民主制の1つ。有権者の3分の1以上の署名を得て請求。住民投票を実施して、過半数の同意があれば、首長や議員は解職される。

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「選挙運動」「所見」めぐり与野党が対立、空転

平良市議会一般質問

 開会中の平良市議会(池間青昌議長)6月定例会は一般質問3日目の29日、下里茂博氏が、合併後の宮古島市市長選への出馬を表明した伊志嶺亮市長の実績を評価し、政治姿勢を支持する内容の所見を発言し続けたことに対し、保守系議員団(下地秀一会長)が反発、議場を退席し、空転した。結局、午後8時25分すぎ、出席の全議員が再び議場に戻り、延会となった。保守系議員団は下里氏に対し、発言の撤回と謝罪を求めているが、下里氏は拒否の姿勢を示しており、最終本会議の予定となっているきょう30日の議事日程にも大きく影響しそうだ。

 富浜浩、下里茂博、眞栄城徳彦、下地秀一の4氏が登壇予定だったこの日の一般質問。2人目の下里氏は、事前に通告された事項の前に、伊志嶺市長を評価する内容の所見を11分間にわたって続け、「新市においても頑張ってほしい」と述べた。保守系議員らは「一般質問になっていない」などの声を上げ、池間議長に休憩を告げることなく、一斉に退席した。
 与党議員らはこれに反発、「出席議員の半数がいるので続行すべき」としたが、地方自治法による定数24の半数、12人に満たないことから、議事は滞った。
 午後3時45分すぎ、全議員でいったん延会の手続きを取ったものの、保守系議員団は再び退席。議場外の与野党の協議で、保守系議員団は下里氏に対し、発言の取り消しと謝罪を求めたが、下里氏は拒否し、空転の状態が続いた。午後8時25分すぎ、池間議長は「これ以上待っても進展の望みがない」として、延会とした。
 議会終了後、報道陣に対し、保守系議員団会長の下地氏は「(下里氏の発言は)選挙運動とはっきり言っている。一般質問の場で、所見といえども好ましくない。何度もやめろと言ったがやめないので、あえて退場した」と説明。「下里氏がわれわれの出した条件をのまなければ、(30日の)開会は保証できない。予算が流れることもある。条件をのめば済むことで、与党という立場で議会の正常化を考えてほしい」と述べた。これに対し、下里氏は自らの発言について、「所見を述べるのは当然の権利。(与党議員として)市長を激励する立場であり、どのような点を評価するかは述べるべきこと。それを聞きたくないという理由で退席するのは、議員の責務を放棄している」と保守系議員団を批判し、「要求には応じられない。(議案の採決ができなければ)市民が許さないだろう」と語気を強めた。
 きょう30日にかけての議事日程について、議会事務局の下地嘉春局長は「29日の一般質問が完全に消化されていない。議長が議事日程に載せるのか、議事の前に調整が行われるのか。このような場合、過去には通告を取り下げることもあったが、今回はどうなるか分からない」と話した。

 写真説明・下里氏(壇上)の質問中に保守系議員らが退席、議会は空転した=29日午前11時20分ごろ、平良市議会

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3人減の34人で可決/多良間村職員定数決議

 【多良間】多良間村議会(西平幹議長)は29日、最終本会議を開き、森山実夫氏らが新たに議員発議として提案した村職員定数を37人から34人とする条例案を可決した。同案は起立による採決を図った結果、「賛成3」、「反対3」の同数となり議長裁決で可決され、閉会した。当初、可決され兼濱朝徳村長が再議に付していた定数を35人に減らす条例案は、議長を含む「賛成4」、「反対3」で3分の2以上に当たる5人の賛成に足りず、廃案となった。
 「多良間村職員定数条例の一部を改正する条例案」は、当初、石原朝英、豊見城玄淳、森山実夫の3が行財政運営の効率化を図る手段として、定数を37人から35人に減らす条例案を提案。1度可決されたが、最終本会議で兼濱村長が「行政運営上、支障を来す」と異議を申し立て再議に付した。会期を延長し29日に採決を図った結果、廃案となったが、再び3氏が新たな発議として職員定数を37人から34人に減らす条例案を提案し、可決された。

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 ハウス施設、3年補償します/農業離れの歯止めにも期待

 各種温室の設計・施工などを行う渡辺パイプ(本社・東京都墨田区、渡辺元社長)は、同社ハウスを利用する施設園芸農家に対し、災害時の損害を補償する「3年補償ハウス」を展開している。29日、JAおきなわ宮古地区事業本部で同社の説明会が開かれ、県や市町村、JAなどの施設園芸担当者らが出席して理解を深めた。関係者は、「農業離れにも歯止めがかかるのでは」と効果を期待している。
 同社の説明によると、業界初となる同補償サービスは、災害・事故などによるグリーンハウスの復旧、建て替えなどを補償する制度。補償対象は、同社が設計・施工した骨組み、フィルム、部材を含めた工事一式、付帯設備で、宮古の農家にとって最も深刻な災害となる台風(水害)時の適用も可能。同社と保険会社との契約になるため、補償期間内は仮に対象ハウスが全壊した場合でもほとんど農家負担なしで建て替え復旧工事が実施されるという。
 同補償サービスの特徴は▽農家の掛け金が不要▽被害ハウスの片付け費用を含む▽見舞金が支払われる▽4年目からは農家任意で最大7年まで延長できる(補償額1%程度の保険金を支払う)▽経年減価率が低い―などが挙げられる。
 詳しい問い合わせは、渡辺パイプ沖縄サービスセンター(電話098・855・3100)まで。

 写真説明・渡辺パイプの「3年補償ハウス」説明会が開かれた=29日、JAおきなわ宮古地区事業本部

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「取れたてパインどうぞ」/「南風」が支庁長に贈呈

 下地町でパイナップルを生産する「南風」の古波蔵明社長らは29日、県宮古支庁に兼城克夫支庁長を訪ね、取れたてのパイナップルを贈呈した。早速、試食した関係者らは「酸味がなくて甘い」「日本一おいしい」などとおいしそうにほお張っていた。
 古波蔵社長は「まだまだ課題はあるが、努力によって宮古でもパイナップルを作ることはできた。これからも良い物を作りたい」と語り、パイナップルを手渡した。
 兼城支庁長は「栽培に適さないとされていた宮古で、こんなにおいしいパイナップルが作れるとは思わなかった。生産、流通、販売に協力し、地産地消を幅広くできるよう支援したい」と述べた。
 同社は5年前からパイナップルを栽培している。栽培に適した土地で土壌改良を重ねた結果、酸味が少なく、糖度が高いパイナップルの生産に成功している。例年の出荷数は5000個だが、将来的には10万個の出荷が目標。

 写真説明・古波蔵社長(右)から取れたてのパイナップルが兼城支庁長に贈呈された=29日、県宮古支庁

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   農地の無断転用だめ/防止対策でパトロール

 宮古地区農業委員会会長会(会長・下地春綱平良市農業委員会長)は29日、2005年度農地無断転用防止の対策強化活動として、宮古本島と伊良部町の5市町村でパトロールを実施した。同日午前、平良市役所前広場で出発式が行われ、下地会長は「農地の無断転用は許してはならない。それを指導するのが活動の狙い。現場の仕事が申請通りに進んでいるかを確認する必要がある」と述べ、参加者らに十分な調査を呼び掛けた。一行は各市町村のほ場を回って、農地の状況を調べた。
 活動に意義について、下地会長は「優良農地の保全、確保に努めることで、農家の所得向上につながるようにするのが、私たちの役目。遊休農地もあるかもしれないので、それにも視野を広げ、解消に努めるのも重要」と強調した。

 農地無断転用防止対策強化活動は、農地法に対する認識不足や悪質な農地転用の未然防止のための啓発と、違反転用に対する指導の強化を図るのが目的。
 各市町村の農業委員をはじめ、県宮古支庁農林水産振興課と県農業会議の担当者ら、合わせて20人余りがパトロールに当たった。同日は平良市役所を出発し、平良市郊外から池間島、城辺町、上野村、下地町、伊良部町の順に各地の農地をチェックした。

 写真説明・農地の無断転用防止パトロールを前に行われた出発式=29日、平良市役所前広場

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