200平成1  618曜日

宮古島市市議選・定数28巡り争奪戦へ

新人の動向にも注目(本社が調査)

 10月1日に新市「宮古島市」が発足し、50日以内に市長選と市議選が同時に行われる。宮古毎日新聞社は合併する5市町村の現職議員80人に対して17日、新市市議選に向けた現時点での立候補の意向について聞き取り調査を実施した。その結果、38人が立候補の意思を示し、11人が未定か検討中、31人が立候補しないとする見解を示した。新市市議選は5つの選挙区が1つになることから、立候補予定の現職議員たちもこれまでとは違う戦術と取り組みが必至の状況となっている。新市の議員定数は28人。今後、新人の動向にも注目が集まっている。
 立候補の意向については、平良市議が現職20人中、立候補予定は16人、未定・調整中が3人で立候補せずは1人だけと、立候補の意思を示した議員割合は5市町村の中で最も高かった。
 郡部の中でも有権者が5千人を超える城辺町と伊良部町では、城辺町議が立候補予定8人、未定・検討中1人、立候補せずは9人。伊良部町議は8人が立候補を予定、未定・検討中が4人、立候補せずは6人となっている。
 有権者数が2500人前後の下地町と上野村では、下地町議が立候補予定1人、未定・検討中が2人で、そのほかの10人は立候補せずの意思を示している。一方、上野村議は、5人が立候補予定で未定・検討中が1人、立候補せずが六人となっている。
 水面下では、各方面で新人の名前が浮上したり、消えたりの状況が続いている。しかし、選挙戦が近づけば具体的な新人候補擁立の動きも活発化する見込みで、今後何人が立候補の意思を示すのか、現職議員もその動向に注目している。
 宮古地区の3月2日現在の有権者数は4万2285人で、内訳は▽平良市2万6379人▽城辺町5890人▽下地町2504人▽上野村2485人▽伊良部町5027人。また、男女別では男性が2万709人、女性が2万1576人となっている。
 郡部の議員は、これまで当選に必要だった票を新市市議選では、大幅に上回ることが絶対条件であることから、新たな支持取り付けを現在の自治体の枠を超えた形で展開する見込みだ。
 一方の平良市議は、これまでの郷友票が郡部から立候補する候補者に流れることも予想され、郡部議員同様にさらなる支持拡大を含め、現在の支持票堅守にも目を配った動きとなりそうだ。

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台湾から訪問団が来島/牡丹社事件の「和解」求め

きょう、遺族らと交流
 1871(明治4)年に台湾の屏東県牡丹郷に漂着した宮古島民などの年貢納進使節団のうち54人が先住民のパイワン族に殺害された「牡丹社事件」から130年が経過したのを契機に、加害者・被害者の垣根を越えて「和解と交流」を図ろうと、牡丹郷訪問団(団長・林傑西牡丹郷長)の一行18人が17日、来島した。林団長らは平良市役所に伊志嶺亮市長を表敬訪問。林団長は「過去の悲しい出来事を乗り越えて、宮古と経済・文化の交流を深めたい」と要望。伊志嶺市長は歓迎の言葉を述べた上で「過去を見つめ、未来の明るい展望に向けて交流したい」と答えた。一行はきょう18日、遺族と交流することにしている。
 林団長は「牡丹事件が起こった当時は、部落によそ者が入ってきた時は、自分たちが殺されるかも知れないと思い、琉球の人たちに危害を加えた」と説明。その上で「宮古の遺族の皆さんは過去を乗り越え、互いに愛と平和でまい進することを望む」と、和解への協力を訴えた。
 伊志嶺市長は「お互いに話し合うことで心が通じ合う。宮古島と牡丹郷が仲良くなることを期待する」と強調し「短い滞在の中で良い交流をしてください」と激励した。

 写真説明・牡丹社事件で和解と交流を図るため来島した訪問団ら=18日、平良市役所
 
 牡丹社(ぼたんしゃ)事件
 1871(明治4)年10月、宮古島の年貢運搬船1隻が那覇港から出帆、宮古へ帰郷中、暴風に遭い、台湾の屏東県牡丹郷に漂着した。全乗組員69人中、宮古島民は51人。陸地を前にして宮古島民の2人と那覇の人1人が海に転落して水死。残り66人の中には、宮古の頭職仲宗根玄安、国仲与人棚原玄永ら19人の役人のほか、従内と称する士族の随行者、供と称する平民の随行者らがいた。上陸後、66人中、54人は先住民のパイワン族によって略奪・殺害された。
 このうち宮古島民は43人だった。生還者12人は、その後福建省から琉球へ送還された。
 この事件は、「牡丹社事件」、「宮古島民殺害事件」「宮古島民遭難事件」、「琉球民殺害事件」などと呼ばれている。
 明治政府は、3年後の74年、報復を大義名分に開国後初めて海外派兵を決め、「台湾出兵」を強行。台湾に上陸した日本軍は、パイワン族を制圧した。この事件を契機に琉球処分が本格化したという。
 パイワン族に殺害された宮古の人たちは、台湾に築造された墓地に葬られた。墓地の供養と清掃は親子3代にわたって引き継がれ、現在は林乾生氏が執り行っている。


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浜元君(宮工高3年)難関の国家資格に合格

/アナログ・デジタル総合種

 県立宮古工業高校(兼島信雄校長)電気情報科に通う浜元志賢君(3年)がこのほど、難関といわれる国家資格「アナログ・デジタル総合種」試験に合格し17日、兼島校長に喜びの報告を行った。浜元君は「合格を知ったときは信じられなかった。次は消防設備士甲四種と同乙七類の合格が目標。快挙を狙いたい」と意気込んだ。同校で昨年に次ぎ2人目の合格。
 同資格は、アナログおよびデジタルの伝送路設備に端末設備などを接続するための工事を監督することができる資格。全国で八百人が合格した(合格率22・3%)。県内で同資格に合格したのは浜元君を含め2人。
 浜元君はこれまでに第二種電気工事士など11種の資格を取得。アナログ・デジタル資格はこれまでに2度挑戦し、不合格だったという。
 3度目の挑戦となる今回は2月から準備を始め、毎日7時間、勉強したという。「試験では計算問題が難しかったが、合格できてうれしい。資格をできるだけ多く取って将来の選択肢を広げたい」と意気込みを語った。
 同校で2人目となる合格に兼島校長は「浜元君は自分の意志で目標を立てて勉強している。合格は一生懸命頑張った証拠だ」と高く評価した。

 写真説明・アナログ・デジタル総合種に合格した浜元君=17日、宮古工業高校

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 「さとうきび畑」など熱唱/平良中で平和の歌コンサート

 今月23日の「慰霊の日」に向け、平良市立平良中学校(平良正校長)の生徒会(大城啓会長)は17日、平和学習会「平和の歌コンサート」を体育館で開いた。歌い手の新城悦子さんが、兼島真喜子さんのピアノ伴奏に合わせて「さとうきび畑」などを熱唱し、平和の大切さを訴えた。
 このコンサートは「慰霊の日」を前に、沖縄戦について理解を深め、かけがえのない生命の尊さや平和を願う心をはぐくむ機会とするのが狙いで実施された。全校生徒555人が参加した。
 新城さんは「ひめゆりの塔」や「青い空」「折り鶴」を伸び伸びとした歌声で披露した。歌の合間には、沖縄戦や平和について語った。生徒たちは熱心に聴き入っていた。
 2年生の仲宗根綾さんが平和を考える詩を朗読。3年生の比嘉愛莉さん、下地奈菜子さん、長浜直美さんの3人が一緒に詩を群読した。

 写真説明・平和を訴えたコンサート=17日、平良中学校体育館

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戦争体験生々しく/狩俣中で平和学習会

 23日の「慰霊の日」に向け、平良市立狩俣中学校(佐久本茂美校長)は17日、平和学習会を行い、狩俣地域の戦争体験者から元市議の新里新登さん(77)が招かれ、生徒らを前に講話した。
 義勇隊の一員として旧満州で戦争を体験した新里さんの「地獄の入口に足を踏み入れた」などといった生々しい証言に、生徒らは真剣な表情で聞き入った。会の締めくくりに生徒らは「世界から『戦争』の2文字を消し、世界に『平和』の2文字を広めたい」とする平和宣言を行い、2度と戦争が起こらないことを願った。
 新里さんは「開拓義勇隊」として14歳のときに旧満州に向かい、18歳で宮古に戻ってきたという。新里さんは「死体が次々に積み上げられていく様子は本当に地獄絵図だった。戦争はこういうものかと、今でもときどき夢を見る」と切々と語った。
 生徒を代表して、島尻絵梨花さんが新里さんに感謝するとともに、「日本は今平和だが、平和だからこそ戦争について学ばないといけない。もう2度とこのような出来事を起こさないよう、平和の大切さをもう一度考えたい」と話した。

  写真説明・新里さんの話に耳を傾ける生徒ら=17日、狩俣中学校

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