200平成1  617曜日

候補者選定振り出しに/宮古島市長選・保守系

 新市「宮古島市」市長選に向けた保守系の選考委員会(比嘉米三委員長)の第6回会合が16日、平良市内で行われ、これまでの選考協議を白紙とし、選考作業を振り出しに戻した。今後の協議について比嘉委員長は「これから5市町村議会、経済界、婦人団体が候補者を推薦し、26日に決選投票で候補者を決定する」との方針を示した。しかし、推薦する人物の選定にはある程度の時間が必要であることが委員会後に各方面から示され、26日は延期となる公算が大きくなっている。今回示された方針は実質的に予備選挙となり、さらなる確執を生み出さないか不安視する声も1部で上がっている。
 決選投票の中身は、5市町村議会と経済界、婦人団体の7つの団体がそれぞれ5人以上の連名で候補者を推薦する。推薦された候補者については、この7団体から3人ずつの計21人と現在の選考委16人の合わせて37人が投票を行う。
 37人の内訳は、選考委の比嘉委員長、砂川佳一県議と平良市議七人、城辺町、伊良部町、下地町、上野村の4議会が各5人、経済界4人、婦人団体4人となっている。
 投票方法は、まず推薦された候補者について投票し、その結果上位となった2人について、37人が再度投票を行い、最多票を獲得した人物を保守系候補者とすることとなった。
 また、これまでに選考対象となっていた県議の坂井民二氏(55)と城辺町助役の下地敏彦氏(59)も、条件を満たした推薦があれば再度選考のテーブルに載ることが可能となっている。
 26日に予定している決選投票だが、同日は市議会の六月定例会中であり、28日には沖縄宮古商工会議所の総会も予定されている。日本商工連盟宮古支部の中尾英筰支部長は「日程的に短すぎるし、28日の総会後でないと無理。比嘉委員長には26日の延期を要望してある」と述べた。
 各方面から決選投票の日程については延期を求める声が高まっており、26日の実施は難しく、早くとも七月の初旬以降に行われる公算が大きくなっている。

 写真説明・決選投票による候補者決定を説明する比嘉委員長(左)と砂川県議(右)=16日、平良市の花ギャラリーTOMOE
 
「3年前の二の舞に」/予備選実施に反発の声
 新市市長選に向けた候補者の人選作業を行ってきた保守系の選考委員会が足踏み状態からの脱却を目指して打ち出した決選投票だが、選考委内部や関係者の間でも反発の声が上がっている。
 26日予定の決選投票が実質的な予備選挙となることから、立候補の意思を示している前県議の坂井民二氏(55)と城辺町助役の下地敏彦氏(59)に加え、推薦を受けた新たな候補者が期間中に多数派工作を行うことも予想され、選考委メンバーの1人は「こんな決め方では『一本化』は無理。なぜ話し合いで決めないのか。選考委の1部では2人のうちどちらかにしようとする思惑が先行しているようだ」と指摘している。
 第6回選考委の終了後、比嘉米三委員長は決選投票の中身をマスコミに対して報告し、さらに人選協議が密室協議と指摘されていることを考慮して、今後は公開で選考委を行うことを説明した。
 また、決選投票について比嘉委員長は「ベストではないがベターな方法だと思う」と述べた。
 しかし、今回の決選投票が無記名投票となることから、多数派工作にも拍車が掛かりそうな状況で、選考委メンバーの1人は「3年前の市長選の際も下地敏彦氏と松原信勝氏との間で調整を図ったが最終段階で結局、今回と同じように挙手による多数決を取った。しかし、1部の市議は退席し、結局分裂選挙となった。今回も決選投票となれば同じ結果を生むだろう」と指摘する。
 そのほかにも「なぜ、この人数で投票なのか。有権者がこの決定方法に納得するとは思えない」「結局、この方法では分裂をさらに深め泥沼化になる可能性が強い。もっと、選考委がしっかりとした方針を持って協議し調整して分裂した両派が納得する候補者を決定するべきだ」などの声も聞かれた。
 選考委内部でも今回の方針については微妙に足並みが乱れており、今後新たな展開が生まれることも予想されている。

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博愛ビーチ 「海水浴場と認識」/上野村議会6月定例会一般質問

 上野村議会(平良隆議長)の6月定例会は16日、一般質問を行い、5氏が登壇して村当局の姿勢をただした。先月4日に男子児童が水死するという事故があった博愛わいわいビーチについて川田正一村長は「地元は海水浴場として認識している。県にもそのような認識の下で、早期に再発防止に向けた取り組みを実施してほしい」と県の対策を求める姿勢を示したが、今月中に対策が講じられなかった場合、村と議会が連携し県に再発防止、ビーチ開設に向けた取り組みを要望することを明言した。上野博通氏の質問に答えた。
 一般質問には、上地氏のほか宮国幸清、砂川寛茂、仲元成美、芳山辰巳の計5氏が登壇した。
 同村宮国にある同ビーチについて県はこれまで、「条例に基づいた海水浴場ではない。今後も海水浴場として開設する意思はない」との方針を示していた。
 県の方針について上地氏は「責任逃れの詭弁。客観的に見ても海水浴場に見える。海水浴場として利用されている現状を知っていたのであれば、それに応じた対策を講じるべきでは」と質問。川田村長の見解を求めた。
 川田村長は「同感。見るからに人工ビーチであり、海水浴場として認識している。県には、海水浴場として認識し、その上で安全、安心して利用できる対策を取ってほしい」と答弁。
 事故から1カ月以上が経過しているのにもかかわらず、対策が講じられていない状況について川田村長は「ある程度の時間がかかるかもしれないが、夏休みも控えている。今月末まで県の対策の様子を見守りたい。対策がなければ、当局と議会が連携し再発防止、ビ ーチ開設に向けた取り組みを要望する」との考えを示した。

 写真説明・博愛わいわいビーチについて見解を示す川田村長=16日、上野村議会議場

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市長 83万円 議長 41万5千円/新市特別職給与は平良市並み

 宮古5市町村が合併して10月1日に「宮古島市」が発足するのに伴い、新市の市長ら三役と教育長の特別職給与と、議会議員なの報酬等について協議を進めてきた「新市特別職報酬等検討委員会」(松堂邦彦委員長)は16日、平良市役所に宮古5市町村合併推進協議会長の伊志嶺亮市長を訪ね、新市特別職給与や議会議員などの報酬を、「現在の平良市と同額とすることが適当」とする協議結果を答申した。伊志嶺市長は「市民の理解は得られるだろう。答申を受け審議を行いたい」と述べた。
 答申によると、宮古島市の特別職給与は▽市長83万円▽助役66万円▽収入役、教育長62万円―、議会議員の報酬は▽議長41万5000円▽副議長36万3000円▽議員34万2000円―など。このほか農業委員会など各種委員の報酬も盛り込まれている。いずれも現在の平良市の水準に準じた。
 同委員会では、平良市や、「宮古島市」と人口や財政状況が近い類似団体の状況などを総合的に比較、検討した。この中では事務局が宮古島市の財政計画を説明。5市町村が一つの自治体になることで、首長や三役、議員数などがいずれも減ることで大幅な歳出削減が見込まれる一方、歳入面では交付税や臨時財政対策債の削減が見込まれることから厳しい状況にあることが報告された。
 このような状況の中で、糸満市や名護市などの類似団体と同程度の給与・報酬を設定すると、現在の平良市の水準より約2400万円多い歳出(同委員会試算)となることから、「市民の理解を得られない」と結論付け、結局「現在の平良市と同額にすることが適当」と判断した。
 議論の中では、「平良市の特別職給与や議員報酬は県内10市に比べても低い水準にあり、それを上回るべき」「糸満市や名護市など、『宮古島市』と類似する市と同程度にすべき」といった意見もあった。
 答申の席で、松堂委員長はこれらの意見も付け加えた上で、「特別職給与や議員報酬は県内10市に比べ低い水準。新市の財政状況を踏まえ、類似団体と同等になるよう、適切な時期に検討すべき」と述べ、合併後の新市の財政状況によって見直すことも必要との見解を示した。

 写真説明・伊志嶺市長(左)に答申書を手渡す松堂委員長(中央)と委員長職務代理者の幸地良憲氏=16日、平良市役所

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 牡丹社事件「和解」へ来沖/パイワン族の子孫らが墓参

 【那覇支局】1871(明治4)年宮古島の島民ら66人が台湾南部に漂着し54人が先住民のパイワン族に殺害された「牡丹社事件」の和解と沖・台交流促進のため来沖している林傑西・屏東県牡丹郷長ら訪問団一行は16日、御霊が眠る那覇市波之上の護国寺の墓を参拝した。墓参には仲宗根豊見親17代目子孫の仲宗根玄治さん(大分県在住)も遺族代表として参列し、今後の交流を誓った。一行はきょう17日、宮古島に渡り、遺族らとの交流会に出席する。
 訪問団は牡丹郷の代表や学識経験者、役人ら約20人
 団長の林さんは「130年前に不幸が起こった。誠心誠意、理解を得て、交流を深めたい」とあいさつした。 仲宗根さんは「和解は感無量。風習の違いが不幸を生んだ。これからは理解し合い仲良く付き合っていきたい」と話した。
 和解の橋渡し役となった沖縄大学の又吉盛清教授は「勇気を振り絞って来られた皆さんに感動している」と述べた。
 あいさつ後、林さんや仲宗根さん、牡丹郷の代表らが墓前で握手を交わした。
 又吉教授によれば、殺害された54人の出身は平良市32人、伊良部町4人、下地町、上野村各3人、城辺町1人、那覇市9人、西原町、今帰仁村各1人。護国寺の墓は1899年に造られ、このうちの44人の遺骨が埋葬されている。台湾にも同様な墓があり、当地の人々が手厚く供養しているという。牡丹社事件は1874年の台湾出兵やその後の「琉球処分」のきっかけになった事件として知られる。
 一行は墓参の前、県庁を訪れ、松本真一観光交流統括監と懇談した。
 林さんは「過去の過ちに了解を求めるために訪問した。今後も仲むつまじくやっていきたい」とあいさつ。
 松本統括監は「勇気ある行動に敬意を表する。沖縄と台湾の相互理解を深めたい」と話した。

 写真説明・林さんや仲宗根さん、牡丹郷の子孫たちが墓前で拝礼した=16日、那覇市波之上の護国寺 

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生演奏で魅了/久松小でクラシックコンサート

 県教職員共済会と県教育弘済会共催の2005年度公益文化事業「子どものためのクラシックコンサート」が16日、平良市立久松小学校(菅間雅子校長)を皮切りにスタートした。東京アーティスツ合奏団が18日までの3日間、5小学校、1幼稚園の子供たちに生のクラシック演奏を提供する。
 同合奏団は1981年に結成、クラシック音楽に親しんでもらおうと、全国の小・中学校などでコンサートを開いている。この日は、シュトラウス作曲の「春の声」で幕を開け、バイオリン、チェロ、コントラバス、オーボエ、ハープの各奏者が、それぞれの楽器の特徴を生かした曲目を披露して児童らを魅了。時に迫力たっぷりに、時に繊細に表現する生演奏のステージに、子供たちは息をのんで引き込まれていた。

 写真説明
・生のクラシック演奏で子供たちを魅了する東京アーティスツ合奏団=16日、久松小学校

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