200平成1  6曜日

歳入欠陥削除効果は1億3600万円

平良市財政非常事態克服実践本部

 平良市財政非常事態克服実践本部(本部長・伊志嶺亮市長)の第14回会議が8日、同市役所で開かれ、昨年4月の発足から今年5月までの取り組み結果が報告された。2005年3月時点での歳入欠陥3億2600万円に対し、累積滞納税などの徴収強化、負担金・補助金の削減などに取り組んだ効果額は1億3678万1000円で、赤字幅は1億8921万9000円に縮小。累積滞納税などの徴収強化に基づく実績は2億2364万7000円で目標額3億5937万円に対する達成率は62・2%だった。
 本部長の伊志嶺市長は「目標額を高めに設定したため、目標には及ばなかったが、市民の協力、職員の頑張りがあり、成果はあった」と振り返り、「職員の業務に対する心構えが、強くなった。引き続き財政再建に向け、全庁体制で取り組み、胸を張って合併できるようにしたい」と述べた。同本部はこの日の会議で終了となり、今後は「市財政健全化本部」を設置して▽滞納税などの徴収強化▽市有財産の売却▽行政サービス制限の実施―などに引き続き取り組む。
 報告によると、▽累積滞納税などの徴収強化に基づく徴収実績2億2364万7000円▽市有財産の売却による赤字縮減額119万8000円▽各種団体などに対する負担金・補助金の削減1397万6000円▽事務費の削減1888万6000円▽4役、職員の給与、議員報酬の削減3407万4000円▽滞納整理不用額3000万円―。
 累積滞納税などの徴収による効果は、同本部の新目標に基づく実績2億2364万7000円から、例年の徴収率に基づく徴収額1億8500万円を除いた3864万7000円。歳入欠陥の縮減努力による効果額は、これらの項目を合わせた1億3678万1000円となった。
 同本部で特に重点を置いて取り組んだ累積滞納税などの徴収強化では、悪質な滞納者に対する行政サービスの制限や職員による電話督促、直接督促などを実施。市税では目標に対し91・2%と高い達成率を記録したが、目標達成率が1ケタの項目もあるなど、達成状況にばらつきがあった。
 これに対し、04年4月時点での歳入欠陥は5億6000万円。その後普通交付税や特別交付税が見込み額より増えるなどして05年3月時点で3億2600万円となっており、縮減効果による赤字額は1億8921万9000円まで縮小した。
 平良市は04年度の予算編成で、国の三位一体改革の影響を受け、編成作業が難航。1次内示では異例の「歳入欠陥」内示に踏み切った。国や県の指導を受けた最終内示では歳入と歳出の帳尻を合わせるも、実質的には5億6000万円の歳入欠陥に陥り、昨年3月に「財政非常事態」を宣言した。
 同4月には「財政非常事態克服実践本部」が発足。また、市民から直接意見を聞く「市民委員会」も同5月に設置され、委員からは厳しい指摘や提言があった。この間、市では各部署で目標額を設定し、全庁体制で累積滞納税などの徴収強化に取り組んだ。04年度いっぱいで同本部は終了予定だったが、今年5月まで延長となっていた。

 写真説明・歳入欠陥の縮減努力の結果などが報告された財政非常事態克服実践本部会議=8日、平良市役所

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1本化、今週中に決着か/宮古島市長選・保守系候補選考

 10月1日に発足する宮古島市の市長選で、保守系選考委員会の比嘉米三委員長は8日午後、出馬に意欲を示す前県議の坂井民二氏(55)、城辺町助役の下地敏彦氏(59)と2回目の協議を行った。この中で坂井氏は前回市長選や県議選における下地氏との確執について「わだかまりは一切ない」などと述べたという。比嘉委員長は「2の間の溝は解消された」と強調した。近く両氏は2人だけで協議し候補者の1本化を目指す。ただ、両氏ともに出馬には強い意欲を示しており、人選は今後も混迷が予想される。比嘉委員長は両氏の協議結果を待った上で、今週中には選考委員会を開催したい方針だ。
 この日の協議は午後5時から比嘉委員長の自宅で行われ、約1時間にわたる協議の後、比嘉委員長が会見した。比嘉委員長は「2人が力を合わせて1人前の力が出る」などと両氏に一本化への理解を求めたという。
 両氏がどのような発言をしたかについては「2人に言いたいことを話してもらった。坂井氏の場合は胸のつかえが取れたようで、下地氏とのわだかまりは一切ないということだった。2人の溝は解消されている」と話した。下地氏は、支持をめぐって城辺町長の仲間克氏との間に生まれた確執が解消されたことを報告したという。
 両氏のうち誰を保守系候補にするかという具体的協議については「2人だけで協議することでまとまった。10日夕方までに報告してくれと言った」とし、その結果を受け今週中には選考委員会を開催したいという考えを示した。坂井、下地両氏の協議次第で保守系候補者選考作業は一気に加速する。今回、比嘉委員長との協議で前回市長選などにおける両氏の溝は解消されたとみられるが、今後は2人だけの協議で1本化を確立できるかどうかが注目される。

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「環境に配慮した開発を」/農村振興計画を市長に答申

 宮古地域全体の農村振興を目的に、地下水保全や地域資源の循環利用などに重点を置いて協議を進めた「宮古地区農村振興基本計画推進委員会」(委員長・中西康博東京農業大学助教授)は8日、平良市役所を訪れ、諮問した伊志嶺亮市長に同計画を答申した。中西委員長は「『農村』はほぼ全域で本当に環境に配慮した地域開発をしっかりと考えてほしい」と強調。伊志嶺市長は「これを元に実施計画を作り上げ農業振興策が図られるよう取り組みたい」と述べた。
 同計画は2005年度から10年間の宮古地域全体の農村振興計画。農村振興テーマに▽「ゼロエミッション宮古」を目指す「地域資源循環利用」▽台風や病害虫などに強い宮古を目指す「減災」▽体験滞在ふれあい型観光を展開する「農業と観光の連携」▽若年者が残りたいと思う「定住環境づくり」▽身近に農業がある宮古を目指す「人づくり」―の六点を掲げている。バガスや家畜ふん尿、生ごみなど地域資源の有効活用や地下水保全型ほ場整備など、各項目で目標や指標を設定している。
 答申した同推進委員会は昨年10月に発足。中西委員長をはじめ、宮古農林高校の前里和洋教諭、関係機関や各地域の代表らで構成され、市町村の担当者らによる「同計画推進協議会」で検討された事務局案について協議した。

 写真説明・中西委員長(左から3人目)が伊志嶺市長(同2人目)に計画を答申した=8日、平良市役所

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美ぎ島グリーンネットが発足/防風・防潮林の植裁へ

 台風による農業被害の軽減と地域の緑づくりを推進するボランティア組織「美ぎ島宮古グリーンネット」が8日、発足した。宮古林業総合センターで設立総会が行われ、同組織の発起人代表を務めていた伊志嶺亮宮古森林組合長を会長に選任した。2003年に襲来した台風14号による農業被害を教訓に、防風・防潮林の植栽やその維持管理などを行い、台風に強い島づくりを目指す。現在は425人・団体が会員として登録しており、地域住民の協力を得て活動を展開する方針。
 「美ぎ島宮古グリーンネット」は、台風14号の襲来時に農作物が壊滅的な被害を受けた中、防風林が機能している個所の被害が比較的軽微であったことに着目し、地域の手で植樹・育樹活動を実践しようと設立。この日の総会では組織規約、役員選出など五議案を審議し、原案通り承認した。
 伊志嶺会長はあいさつの中で、「宮古の農業には、台風、干ばつ、病害虫の3大障壁が挙げられる。地下ダム建設やウリミバエ根絶運動など干ばつと病害虫対策は着実に成果を挙げてきたが、台風に関してはいまだ被害損失を繰り返しており、もはや人災と言っても過言ではない」と指摘。「宮古地区の持続的発展につなげるため地域の財産としての緑造成に努める必要がある」と呼び掛けた。
 同組織は、防風・防潮林、水源涵養林の植栽とその維持管理、調査および普及啓発などの活動を展開することになっており、6月3日現在で373個人、52団体の計425個人・団体が会員として登録。会費により、設立当初収支予算265万6000円を計上している。今後も、広く会員を募集し、目的達成を図る方針。
 県農林水産部長の国吉秀治部長は「地域の課題を地域で解決しようとする姿勢に敬意を表する。県としても、住み良い生活環境を確保できるよう、森づくりを進めていく」と話し、会員らを激励した。

 写真説明・台風に強い島づくりを目指す「美ぎ島宮古グリーンネット」の設立総会が行われた=8日、宮古林業総合センター

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漂着ごみを調査/池間中・海洋保全の大切さ実感

 「体験の中に自ら課題を見つけて、探求・創造し、豊かな心とたくましさをもつ生徒の育成」をテーマに、平良市立池間中学校(野原敏之校長、生徒数16人)は8日、同市池間島北側のカギンミ浜で海浜漂着ごみ調査を実施。大量の流木やプラスチック類、発泡スチロールなどが打ち上げられ、一帯はごみの山。生徒らはプラスチック製品の原料となる小粒のレジンペレットやペットボトルの国籍調査を実施し、海洋保全の大切さを実感した。教員や平良海上保安署の署員らがこの日1日で回収した大小の浮きの数は、過去4年間で回収した数の2倍の1715個。ダンプ2台分を超えるごみを撤去した。
 総合的な学習の時間の一環。ごみの回収を通して、ふるさと池間島の景観、海洋保全に対する意識を高めるとともにボランティア精神および勤労精神の姿勢を身に付けることなどが狙い。今回で5年連続、5度目の調査。同署と共催で実施し、ごみの陸上輸送は平良市生活環境課が協力した。
 この日のごみ調査は、カギンミ浜の西側で行われた。流木や木くず、プラスチック製の浮き、発泡スチロール、廃ガスボンベ、ロープ、スリッパ、草履などの大量の漂着物が打ち上げられていた。
 1年生は砂の中に埋もれたレジンペレットを103個回収した。レジンペレットの大きさは2―5ミリで5種類。
 ウミガメが海に浮遊するレジンペレットを餌と間違えて食べた場合、消化不良が原因で死亡するケースが多い。
 2、3年生は、ごみ袋を片手にペットボトルを中心に拾った。ラベルのバーコードから国籍を割り出し、国籍別の順位を付けた。2年生の浜元功太君は「発泡スチロールは、短時間の間にいっぱい集めた。予想以上に多いのでびっくりしている」と感想を話し額の汗をふいた。

 写真説明・多種類のごみが大量に打ち上げられていたカギンミ浜=8日、平良市池間島

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