200平成1  6曜日

漁業補償額の同意を訴え/伊架橋早期着工総決起大会

 伊良部架橋を早期に実現し、豊かな宮古島市を建設しようなどをスローガンに、「伊良部架橋早期着工町民総決起大会」(主催・同大会実行委員会)が2日午後、伊良部町の中央公民館で開かれた。子供から大人まで大勢の町民が参集。浜川健町長らは3漁協(伊良部町、平良市、池間)が今月開く定期総会で、県が同架橋建設に伴う漁業権の一部消滅で提示した漁業補償額5010万円の同意案について「3漁協とも決議するようお願いしたい」と強く訴えた。国や県へ同架橋の早期着工・早期実現を要請する決議文を全会一致で採択した。
 同大会は、同架橋の必要性について町民一体となって再認識し、架橋の早期着工について内外ともにアピールすることを目的に開かれた。
 町内の小・中・高校の児童生徒や町民らが参加した。町議18人のうち、療養中の町議3人を除いた7人が出席、8人が欠席。
 冒頭、主催者を代表して浜川町長は、「最終的に一致団結して引き締めしなければならない時に、大人の町民が少なく、町議は半分しか参加しないのは残念である」と声を荒げた。その上で「伊良部架橋の実現に向けて最後に残る問題は、今月開かれる3漁協の総会。1つの漁協でも否決した場合、6億8000万円の架橋予算は執行できなくなり、来年の予算要求もできなくなり、架橋事業は危機的な状態に陥る」と強調し、3漁協が総会で漁業補償額の同意を決議するよう訴えた。
 来賓で出席した宮古市町村会長の伊志嶺亮平良市長は、同架橋がもたらす経済効果などを述べた上で「3漁協の同意が得られたら伊良部架橋は実現する。実現してみんなで渡りましょう」と激励した。
 次いで砂川佳一県議、久貝健寿町議会副議長、伊良部架橋促進青年会議の与儀盛会長、同町婦人代表の渡久山ひろみ氏、同町老人クラブ連合会の仲宗根玄信会長らが早期実現を訴えた。
 小・中・高校の児童生徒代表五人が作文を朗読。「時間に関係無く、宮古本島へ渡れる架橋を実現し、離島苦を解消してください」などと訴えた。
 最後は、架橋実現に向けて全員でガンバロー三唱を行った。

 写真説明・砂川県議や伊志嶺市長らも出席し架橋早期実現を強力にアピールした町民総決起大会=2日、伊良部町中央公民館

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45年ぶりに下地明増氏の作品里帰り

キタムラ氏所蔵絵画平良市へ寄贈

 復帰前の1959―60年にかけて、アメリカ民政府公報局琉米文化会館担当官だったサムエル・キタムラ氏(77)=アメリカ在住=が所蔵していた、画家・下地明増氏(87)=平良市=の45年前の作品がこのほど、平良市に寄贈され、45年ぶりの「里帰り」を果たした。2日、報道陣に作品を公開した伊志嶺亮市長は「博物館などで保存して、市民の皆さんに見てもらいたいということで、このたび贈っていただいた。本当に感謝したい」と述べ、キタムラ氏の厚意を喜んだ。同市総合博物館での管理・展示を検討している。
 作品は、下地氏が西表島の仲間橋を描いた油絵で、縦60センチ、横41センチ。当時はキャンバス地が稀少だったため、ベニヤ板に描かれている。キタムラ氏が45年にわたり大切に飾ってきたもの。
 市によると、下地氏がかつてベニヤ板に描いた絵は虫に食われて残っていない状態で、キタムラ氏からの連絡に下地氏は「この絵のことは全然覚えていなかった。こんなに保存状態が良いとは」と言い、自らの作品の予期せぬ里帰りを喜んでいるという。
 寄贈に際し、キタムラ氏は「45年間親しんだ絵は、宮古との懐かしい思い出のきずなだった。宮古の生んだ優れた画家の、中年期の充実した作品がアメリカで埋もれてしまうことを危惧し、私物化すべきでないと思った。より多くの人々が故郷の文化財に接する機会に恵まれる事を信じてやまない」とつづっている。

 写真説明・キタムラ氏より平良市に寄贈され、45年ぶりに里帰りした絵画について説明する伊志嶺市長=2日、平良市役所

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地域の受け入れ体制期待 /精障者グループホーム「スマイル」

 宮古で初めての精神障害者グループホーム{スマイル」(事業主体・平良市、運営主体・同市社会福祉協議会)が、平良市下里に開設して1日で2カ月を迎えた。現在、4人の入居者が社会自立に向けた「新生活」を送っている。関係機関の支援体制と今後の課題を探った。

 ■開設までの経緯
 県立宮古病院の精神科病棟は、四月末現在で閉鎖病棟に延べ1030人、開放病棟に延べ790人の患者が入院している。同院では、服薬により通常の生活を営むことができる患者については可能な範囲で社会復帰を促しており、この方針に基づき開放病棟の患者数は近年、除々に減少しているという。しかし、居住面など地域の受け皿が整備されていないことから、行政にグループホームの設置を要望。家族会などからの要望もあり、宮古で初めての開設に至った。

 ■個人と社会のメリット
 グループホームを推進するにあたり、2つの大きなメリットが挙げられる。1つは、これまで社会的入院を余儀なくされていた精神障害者が、地域で生活することにより社会復帰の実現に近付き、親亡き後の自立生活がより明確に望めるということだ。
 もう1つは、行政の国保負担軽減だ。平良市の精神障害者入院費にかかる国保負担金の目安は、1人当たり年間2772000円。今回、4人がグループホームに入居したことで単純計算で1108万8000円の抑制につながった。
 グループホーム設立に向けた今年度予算は、4人分で317万600円。このうち4分の3が国庫、県補助となるため、同市の持ち出しは79万4400円となる。自立支援という重要な意義を持ち合わせながら、財政負担の軽減にもつながるという考え方だ。

 ■世話人が生活支援
 グループホーム「スマイル」は、平良市が事業主体、同市から受託する平良市社会福祉協議会が運営主体となっている。入居者は各自、家賃を支払い、家事を担って生活。その生活支援を行うのが、世話人の伊地博政さんだ。掃除、洗濯、買い物、料理など生活の細々とした場面で入居者を手伝い、ネットワークを結ぶ各関係機関への窓口にもなる。
 伊地さんは「洗濯機のボタン一つ押すにしても、何十年ぶりという皆さん。生活に戸惑いがあるのは当然だが2カ月の間にそれぞれの個性が見えてきた。個性に応じて役割を分担した結果、料理を楽しむなど生き生きした姿が見られるようになった」と笑顔を見せる。

 ■今後の課題
 伊地さんは、入居者の課題について「自発性」を挙げる。「自分から率先して行動する、意識の目覚めを目指したい」と話す。その目線の先にあるのは、当事者の「就労」だ。「現在は生活の基盤づくりの段階。自主性を培い、仕事が持てれば真の自立につながる」。
 また、社会整備の課題もある。同市社会福祉協議会の松川英世事務局長は「運営は社協でも行政でもNPOでも可能。今回の開設がステップになり、精神障害者に対する地域の受け入れ体制が充実することに期待したい。『スマイル』のノウハウは積極的に提供するので」と話した。

(砂川智江記者)

 写真説明・入居者の生活を支援する世話人の伊地博政さん

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牛ふんで発電機稼働/バイオマス研究センター

 NPO法人亜熱帯バイオマス利用研究センター(理事長・新城俊也琉球大学名誉教授)と沖縄農業研究会(会長・大屋一弘同大学名誉教授)は2日、上野村内の宮古島バイオ・エコシステム研究センターで、循環型社会構築へ向けて実証研究中のプラントなどの説明会を開いた。行政や企業などの関係者ら多数が参加。上野正実琉球大学教授らが説明を行った。メタン発酵プラントは、牛ふんを使ってメタンガス(バイオガス)を発生させ、そのメタンガスで発電機を稼働させるシステム。参加者たちは興味津々の表情を見せていた。
 同センターでは、宮古島に存在するバイオマスを総合的に活用する仕組みをつくり▽二酸化炭素排出量の削減と二酸化炭素の永久固定化▽バイオマスエネルギーの効率的利用▽地下水の保全および土壌環境の保全―などの研究を目的に設立された。国の委託を受けて昨年から研究しているもので、研究期間は3年間。
 メタン発酵により得られるバイオガスの主成分はメタンが約60%、二酸化炭素が約40%。メタンガスを利用して現在稼働している発電機は6キロワット。4人家族の1日当たりの電気使用量は約3キロワットとされ、6キロワットは2世帯分の電気容量に相当するという。

 写真説明・多数の参加者らはメタン発酵プラントなどに興味を示していた=2日、上野村内の宮古島バイオ・エコシステム研究センター

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 死亡事故多発で検問強化/宮古署交通3悪の撲滅目指す

 宮古警察署(伊波盛春署長)は、重大事故につながる可能性が高い交通3悪(飲酒、無免許、速度超過)と交差点違反(信号無視、一時停止違反)撲滅を目指し、連日、昼夜を問わず郡部を含む各地で検問やパトロールを実施している。今年、宮古地区で発生した死亡事故は4件。昨年同時期がゼロ件だったことに比べると異常事態となっている。同署では「徹底した取り締まり」で事故、違反の減少とともに、ドライバー一人ひとりの意識改革を図りたい考えだ。
 「取り締まりをやればやるほど違反者が出てくる」(同署幹部)―。
 5月20―31日までの12日間で交通違反検挙総数は162件。1日に13・5人が検挙されている計算だ。
 最も多いのがシートベルト装着違反。最も基本的なことながら、全体の59%を占めた。
 酒気帯びは11件、警告(呼気1リットル当たりのアルコール保有数0・14以下)も2件あり、飲酒絡みは13件に上るなど、取り締まりを実施すればするほど、ドライバーのマナー、意識の低さが浮き彫りとなる結果となった。
 今年発生した死亡事故4件のうち、半数に当たる2件は飲酒絡み。発生場所は▽城辺町▽伊良部町▽下地町▽平良市添道―と、比較的交通量の少ない郡部や市郊外に集中している。
 また、信号や一時停止場所を守れば防げる、交差点での事故も人身事故総数の47%を占める。
 現状を重く見る同署は、徹底した取り締まりを展開。交通課を中心に各地の駐在や交番勤務の署員も動員し、交通3悪、交差点事故防止のための信号無視、一時停止違反など管内全域で広く警戒に当たる。
 1日夜から2日未明にかけては平良市の中休み付近(県道78号線=通称・城辺線)、城辺町下里添付近(県道201号線=通称・友利線)、上野村野原付近(県道190号線=通称・上野村)で通過する全車両に対して検問を実施。署員がドライバーに「交通安全に気を付けてください」などと声を掛け意識高揚を図る一方で、一時停止義務違反、免許不携帯などの違反者9人を検挙した。そのほか、市内でパトロールを行っていた別働隊が2日未明、酒気帯び、無免許で普通乗用車を運転していた男)27)を現行犯逮捕した。
 同署の伊波署長は「検問やパトロールの本当の狙いは、違反者の検挙ではなく、交通ルール、マナーの高揚を図るため。事故、違反を一つでも減らすため、今後も継続的に取り締まりを実施する」と強い姿勢を見せる。
 伊波興二交通課長は、死亡事故が郊外、郡部に集中していることを挙げ、「田舎だから『まさかこんなところで取り締まりはしないだろう』という油断、気の緩みは重大事故に直結する」と警告。「そのような住民の意識を払しょくするため、交通法規を順守してもらうためにも、小さな違反でも見逃さず厳しく検挙していく」と力を込める。

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