200平成1  6曜日

宮古島市市長選・城辺「内紛」で保守系混迷へ

候補者一本化に足並み乱れ

 10月1日に発足する新市の市長選に向けて、候補者1本化を目指す宮古の保守系の足並みが乱れ始めている。先月31日に城辺町議会の保守系議員団が同町助役の下地敏彦氏(59)の支持を打ち出したが、下地氏と仲間克町長との確執も表面化してきた。さらには今回の同町議会の動向に対して選考委のメンバーでもある平良市議の1部は「いっそう混乱させるだけ」「選考委の存在する意味がなくなった」など難色、不満を示した。「1本化」を掲げて選考委を立ち上げた保守系だが、城辺町の「内紛」という新たな問題が発生し、現状はこれまで以上の混迷となっている。
 混迷を深めた要因となったのは城辺町の仲間町長と下地氏の確執だ。先月29日に行われた選考委員会で仲間町長が選考の対象に前県議の坂井民二氏(55)と下地氏が浮上したことを問題視し、さらには下地氏の候補者としての擁立にも難色を示したようだ。
 こうした動きを受け、これまで下地氏擁立で方針を固めていた城辺町議会の保守系議員が下地氏支持を31日に仲間町長に明言したが、仲間町長は「候補者一本化」の必要性は示すも坂井、下地両氏での調整には疑問を呈した。
 同町議会保守系の動きについて、選考委のメンバーで市議会保守系議員団の会長も務める下地秀一市議は「選考委で人選をしているときにこのような動きは好ましくない。みんな動きを止めて選考委の決定を待っている中で城辺町の動きは混乱に拍車を掛けている。まずは選考委に委ねるべきだ」と述べた。
 選考委メンバーのそのほかの市議でも見解が分かれている。ある市議は「各市町村から候補者として挙げてくる人を駄目だとは言えない」とする一方で、別の市議は「1本化する候補者については選考委に委ねている中で、あり得ない行動。議会が支持を打ち出して本人も出馬の意向を示せば選考委で調整しても出馬を断念することはできなくなってしまった。この選考委員会はまったく意味をなさなくなってしまっている」と述べた。
 選考委の比嘉米三委員長は4日に坂井、下地両氏と沖縄宮古商工会議所の中尾英筰会頭の4者会談を予定している。この中で話し合われる内容は次回の選考委で協議されることになっているが状況的に人選作業の進展は難しく、選考委員会そのものが「人選」についてのイニシアチブを失いつつある状況であることから保守系の混迷はしばらく続きそうだ。

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堆肥化への利用など紹介/バイオマスでセミナー開催

 「宮古島のバイオマス利用を考えよう」をテーマに1日、上野村農村環境改善センターで宮古島バイオマスセミナー(主催・NPO法人亜熱帯バイオマス利用研究センター、沖縄農業研究会)が開かれた。行政関係者らが大勢来場し、専門家の講話に耳を傾け、クリーンで再生可能なエネルギーとされるバイオマスについて知識を深めた。同センターでは、きょう2日にも「宮古島バイオエコシステム研究センター」の説明会を同村野原の施設で行う予定。
 セミナーは、県立宮古農林高校環境班の取り組むバイオマス資材と微生物を利用した地下水保全のための研究など、宮古島は日本における「バイオマス研究のメッカ」になりつつあるが、まだまだ一般的に知られていない実情を踏まえ、地域住民と意見を交換しようと開催された。
 「バイオマスニッポン総合戦略」と「バイオマスタウン構想」について講話した沖縄総合事務局農林水産部農政課の道菅稔さんはバイオマスを使うメリットとして「地球温暖化の防止につながる」と強調。活用事例として▽堆肥化利用▽エネルギー利用―などが実践されていることを紹介した。
 農業工学研究所の凌祥之さんは「宮古島におけるバイオマス循環システムの構築及び実証に関する研究」と題して講話。「このまま石油を使っていけば必ず近い将来、石油は枯渇する」、「大量生産、大量消費の生活をしていては地球環境は悪化し続ける」とバイオマスに注目が集まっている現況を説明。
 問題点としてコストがかかること、技術的に確立されていないこと、大量消費の癖が抜けていないことを挙げながらも「地下ダムの水を保全していかなければならないため、宮古島で実践しなければならない」と意義を訴えた。
 また、宮古農林高校の前里和洋教諭も「バイオマスを活用した宮古の地下水保全と島おこし」と題して講演した。
 バイオマスとは「生物資源」という意味で、具体的には廃棄物(有機物)や植物(栽培物)を燃料にして取り出すエネルギー。たき火に使うまきなど木材資源やサトウキビの搾りかす(バガス)なども対象となる。こうした資源は産業革命でもたらされた石油・天然ガスの発見から次第に利用されなくなった。しかし、利用しやすい石油や石炭などはいつかはなくなる限られた資源であり、便利さの半面、環境問題を引き起こす原因ともいわれ、近年バイオマスの利活用が注目されている。

 写真説明・バイオマスについて理解を深めた=1日、上野村農村環境改善センター

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04年度平良市税徴収率/7年ぶりに80%超え

 平良市(伊志嶺亮市長)の2004年度市税徴収率が7年ぶりに80%を超えることが確実となった。税務課によると市税徴収率は年々下降傾向で、98年度からは80%を下回り03年度は過去最悪の77・7%となっていた。昨年、同市は財政非常事態克服実践本部を発足させて財政健全化に取り組んだことが奏功し、04年の徴収率は前年度比2・4ポイントアップの80・1%を見込んでいる。下地実税務課長は「総務部の職員全員が徴税吏員として市税の納付呼び掛けと滞納分徴収にあたった結果。税の公平負担の観点からも今後も徴収率の向上を図っていきたい」と述べた。
 市税は▽市民税▽固定資産税▽たばこ税▽軽自動車税▽特別土地保有税―などで、このうち約7割を固定資産税が占める。今回の徴収率アップは固定資産税の滞納分徴収率が18・9%と前年度を4・1ポイントも上昇したことが大きく影響したようだ。
 下地課長は「軽自動車の台数も伸びており軽自動車税も増加しているが、市税全体の7割を占める固定資産税滞納分の徴収率向上が大きい。バブル崩壊以降、市税徴収率は下降傾向が続いて歯止めがきかない状況だったが今回は財政非常事態宣言など全庁的な取り組みで何とか80%台に乗せることができた。今後も滞納分の徴収を強化していきたい」と述べた。
 市税徴収率の最高値は75年度の94%。平成に入ってからは97年度の81・7%を最後に徴収率が80%を超えることはなく、03年度は過去最低の77・7%となっている。

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選挙違反取締本部を設置/多良間村長選挙で宮古署

 今月19日に投開票される多良間村長選挙に伴い、宮古警察署(伊波盛春署長)は1日、同署に「多良間村長選挙違反宮古警察署取締本部」を設置した。買収事犯などの選挙違反を重点的に取り締まる。取締本部は伊波署長以下37人体制。伊波署長と金城勲刑事課長が同署の玄関前に看板を設置した。
 取締警戒重点は▽買収、供応事犯▽詐偽投票、投票干渉事犯▽選挙の自由妨害事犯▽公務員などの地位利用による選挙違反▽計画的かつ組織的な脱法文書の頒布・掲示事犯▽暴力団の介入する各種選挙違反―の6項目。
 伊波署長は「6つの警戒重点取り締まりを強化し、自由かつ公正な選挙を確保しよう」と署員らに訓示した。
 任期満了に伴う多良間村長選挙は14日に告示、19日に投開票される。
 同村長選には、これまでに現職の兼濱朝徳氏(56)、元議員の下地昌明氏(53)の二人が出馬を表明しており、4年前と同様、両氏による一騎打ちの公算が大きい。

 写真説明・「多良間村長選挙違反取締本部」の看板を掲示する伊波署長(右)と金城刑事課長=1日、宮古警察署

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 販売額5億円達成に決意

宮古地区野菜・果樹生産出荷連絡協総会

 JAおきなわ宮古地区野菜・果樹生産出荷連絡協議会(国仲和男会長)の定期総会が1日、JAおきなわ宮古地区事業本部大ホールで開かれ、2005年度事業計画や収支予算を承認した。今年度は「安全・安心な農作物づくり運動」の推進を事業方針に掲げるとともに、販売額5億円を目指し生産や流通・販売に関する活動を強化させることを確認した。
 総会は午後3時から開かれ、はじめに同協議会の国仲会長が「今後とも生産者の経営安定と所得向上を目指し、安全、安心、高品質の野菜生産に奮闘してほしい」などと呼び掛けた。
 続いて、04年度事業報告および収支決算書と05年度事業計画および収支決算書の承認について審議し、原案通り承認した。
 04年度事業報告では農産物の販売実績も示され、すべての品目を合わせた出荷数量は1569トン(前年度比12・3%増)で、販売額は4億6108万円(同比9%増)に上ることが報告された。カボチャやトウガン、ゴーヤーが好調で、トウガンとゴーヤーは1億円以上を販売している。
 これを受け今年度計画では数量を前年度比12・5%増の1765トン、販売額は同9%増の5億238万円に設定、各品目とも増産を目指して取り組む。
 達成に向けて生産面では▽品種選定▽作付け面積の調整▽栽培技術の研さん▽トレーサビリティー(栽培履歴)の充実―を挙げ、流通・販売面では▽輸送販売▽集出荷調整▽出荷規格における設定統一▽情報提供―を計画に据えた。
 総会後はJAおきなわ農業事業本部園芸農産部の金城保さんが講演し安全、安心な農作物づくりを推進するために、農薬の使用方法など十分に注意するよう呼び掛けた。
 優績農家として表彰された方は次の通り。(敬称略)

 【販売額の部】▽販売額総合の部=@友利龍雄(平良)A根間吉一(下地)B平良知子(城辺)▽品目別販売高・カボチャ部門=@亀川哲雄(伊良部)A下地四郎(同)B下地守(城辺)▽同トウガン部門=@池間邦博(上野)A山口修(同)B川満信英(下地)▽同ゴーヤー部門=@砂川ミツ子(上野)A下地恭一(同)B盛島健有(城辺)▽同メロン部門=@友利研一(城辺)A千代田ファーム(上野)B砂川玄光(城辺)▽同インゲン部門=@伊良皆憲司(平良)A福原博之(城辺)B川満康男(同)▽同マンゴー部門=@下地定治(平良)A根間文子(同)B砂川金三(同)▽同オクラ部門=@新里清子(城辺)A松原正昇(同)B福里和枝(同)▽同サトイモ部門=仲宗根文(下地)

 【特別表彰の部】▽県野菜フェスティバル野菜品評会部門金賞=新里邦夫(下地)▽同部門銀賞=砂川広明(城辺)、山口修(上野)、下地剛(伊良部)▽同部門銅賞=高里盛武(城辺)、嘉手苅加代子(下地)、川満健(伊良部)

 写真説明・販売額5億円を目指す今年度事業計画などを承認した定期総会=1日、JAおきなわ宮古地区事業本部大ホール

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   ケミズキンバイ/清楚な白い花咲かす

 平良市内で、ケミズキンバイ(アカバナ科)の小群落が1日、新たに2カ所で見つかった。小群落の自生地はこれで1カ所から3カ所に増え、ケミズキンバイの絶滅の危機は免れそうだ。今の時期、清楚な白い花を咲かせ、自然界を彩っている。
 在来種のケミズキンバイの小群落の自生地は、宮古では同市内で一カ所のみ確認されていた。ほかの町村では開発などの影響で近年、確認されていない。
 昨年、市文化財審議委員会では「絶滅の危機にあり、文化財に指定すべき」「文化財に指定したら、逆に乱獲されて絶滅するのでは」などと言った意見があったという。まだ文化財には指定されていない。
 ケミズキンバイは、多年草の水草。花は白く、花の底部分は黄色。花の直径は2―3センチ。今の時期と秋ごろに開花する。

 写真説明・新たに見つかったケミズキンバイ=1日、平良市内(撮影・伊良波彌記者)

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