第9回平良好児賞(主催・宮古毎日新聞社)受賞者は、歌集「海神祭」の著者・伊良部喜代子さん(54)=平良市西原出身=と、ノンフィクション「あなたの夢は何ですか?私の夢は大人になるまで生きることです。」の著者・池間哲郎さん(51)=上野村出身=に決定した。3日午前、同賞選考委員会(松原清吉委員長)が平良市役所で会見を開き発表した。松原委員長は「両者とも内容、表現力ともに大変優れている」と絶賛した。授賞式は、今月21日午後7時から平良市内の共和ホテルで行われる。
今回の平良好児賞は、昨年まで運営を担ってきた平良好児顕彰会から、今年で50周年を迎える本社が主催を引き継いで初めての賞となった。5人の選考委員が推薦した21冊の候補作の中から7作に絞られ、最終的には4月21日に開かれた選考委員会で伊良部さん、池間さんの著書に全会一致で決定した。
伊良部さんの第1歌集となる「海神祭」は、故郷・宮古の習俗、民俗を色濃く反映した作品。池間さんは、NGO沖縄アジアチャイルドサポート代表常任理事を務め、アジア貧困地域で暮らす子供たちの実情や自らの支援活動の状況を伝えつつ問題点を指摘している。
松原委員長は「宮古の風景や歴史、人のつながりを短歌のリズムで個性豊かに表現したセンスは目を見張るものがある」(伊良部さん)、「ボランティア活動を実践した人にしか書けない迫力あふれるルポルタージュ」(池間さん)と、それぞれ高く評価した。
伊良部さんの歌集を講評した仲宗根將二委員は「これほど宮古にこだわり、しかも平易に詠んだ作品は他にないように思う。引き続き第2、第3の歌集が期待される」と述べた。また、池間さんの著書に対しては、友利昭子委員が「勇気を持って行動し続ける著者の肉声が静かに聞こえてきて、読者は自分自身の生き方を見つめ直される」と講評した。
伊良部 喜代子(いらぶ・きよこ)1950(昭和25)年11月10日生まれ。平良市西原出身。98年橄欖賞新人賞受賞、98年第11回県短歌大会(宮古島大会)平良市長賞受賞、99年合同歌集「きさらぎ」出版、04年歌集「海神祭」出版。
池間 哲郎(いけま・てつろう)1954(昭和29)年3月13日生まれ。上野村出身。99年NGO沖縄アジアチャイルドサポート設立、以後、モンゴル、カンボジア、ミャンマー、タイの各国で子供たちの教育支援活動などに携わる。02年カンボジア王国地域貢献勲章受章、05年地球倫理推進賞・文部科学大臣奨励賞受賞。
写真説明・上から伊良部喜代子さん、池間哲郎さん
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