200平成1  4 21曜日

県の観光振興地域に指定/税制上優遇措置など特典

 自然環境を生かした総合的な滞在型観光・リゾートなどの観光拠点となりうるとして、東平安名崎を中心とする宮古島東部地区(下里添と西里添を除く城辺町全域)がこのほど「宮古島南岸・東平安名リゾート地域」として県の観光振興地域指定に加えられた。指定されたことで観光開発に際し国や県、市町村の税制上の優遇措置を受けることができるため、同町では「民間企業が参入しやすい」として、今後の観光発展に期待を寄せている。また、今年度内には温泉や天然ガスの掘削に着工する予定で、こうした資源を活用した施設などで観光活性化を図っていく考え。
 観光振興地域は、観光振興を図るためスポーツ・レクリエーション施設、教養文化施設、休養施設、販売施設、宿泊施設などの関連施設の整備を特に促進することが必要とされる地域で、国の同意を得て県が指定する。指定要件は▽優れた自然の風景地、文化財などの観光資源を有している▽観光関連施設の整備を図ることが相当と認められる―など。優遇措置として▽法人税の投資税額控除▽地域税の課税免除または不均一課税に伴う措置▽特別土地保有税の非課税▽事業所税の非課税―がある。
 現在は県内で18カ所が指定を受けており、宮古地区ではすでに「トゥリバー地域」(平良市久貝)と「宮古島南岸地域リゾート地域」(上野村宮国・新里・城辺町砂川)が指定を受けている。今回は南岸地域のエリア拡大としてこれに接する城辺町の友利、保良、新城、比嘉、福里、長間の六地区が「東平安名リゾート地域」として加わり、新たに指定を受けた。
 仲間克町長は「指定を受けることで観光開発で優遇措置が受けられる。東平安名崎一帯は宮古でも景観の良い観光地域。今後計画を立てていく上でプラスになり、観光開発振興になると喜んでいる。この有利性を利用し取り組んでいきたい」と話した。

 写真説明・観光振興地域指定を受け、会見を行う仲間克(右)町長ら=20日、城辺町役場

 top.gif (811 バイト)

県提示の5000万円に不満/伊良部漁協臨時総会

 伊良部町漁業協同組合(奥原隆治組合長)は20日午後、同漁協で臨時総会を開いた。同漁協伊良部架橋漁業補償交渉委員会(友利義文委員長)がこれまでの同漁業補償交渉の経過を報告し、意見交換を行った。正組合員からは「県が提示した漁業補償金5010万円は少ない」との強い不満が示され「上積みすべき」との意見が多数を占めた。だが、組合員の意志は統一されておらず組合員同士での反論・異論が相次いだ。
 60代の男性組合員は「5010万円は少なすぎる。もっと時間を掛けて県側を説得して上積みすべき」と提案した。別の60代の男性組合員は「5010万円は県の言い分。伊良部漁協が要求した15億7000万円は曲げられない。県側は、15億7000万円をのんでもらいたい」と意見を述べた。
 これらの意見に対し、50代の男性組合員は「15億7000万円をのめという考えは通らない。交渉委員が漁業補償金がいくらなら妥結するかを考えるべき」と反論した。
 また別の50代の男性組合員は「県側は『50101万円以上は出さない』と言っているから、漁業振興策を真剣に考えては」と提言した。
 これに対し、佐良浜地区の自治会役員を務める男性組合員は「伊良部町と漁業振興策を話し合っても、今年10月には5市町村合併するから町長の発言も効力が無くなる。漁業振興策については、合併前に5市町村の首長との間に必ず実行するという誓約書を書かせた方が良い」と強調した。
 組合員の中から、他の架橋に関する漁業補償金の状況についての質問があった。議長を務めた友利委員長は「池間大橋が3000万円、来間大橋が468万円、沖縄本島の浜比嘉大橋はゼロだった」などと報告した。

 写真説明・活発な意見が出された臨時総会=20日、伊良部町漁協

top.gif (811 バイト)

市町村対抗から学区対抗へ変更/全宮古陸上競技

 宮古体育協会(安谷屋豪一会長)は今年度の宮古体育大会の全宮古陸上競技大会を学区対抗で開催することを決めた。これまでの市町村対抗では平良市が圧倒的優位であることや、競技力が低下していることなどを踏まえ陸上競技だけ特別な開催方法に変更した。宮古陸上競技協会の狩俣寛次会長は「学区対抗にすれば応援の人が増えるなど大会が盛り上がる」と強調しているが、各市町村体協主催の陸上競技大会の廃止や登録料など金銭的な問題も含めて課題は山積している。
 過去60回の大会が開催されている全宮古陸上の学区対抗には長い歴史があり、市町村対抗になったのは今から約30年前の第1回宮古体育大会からだ。市町村対抗について宮古陸協では「年々、盛り上がりに欠けた大会となっており、そのことが@競技力の低下A競技人口の減少につながっている」として体育協会に学区対抗を要望していた。
 陸協は学区対抗によるメリットとして▽競技力の向上▽同じようなレベルの選手が増えて予選から盛り上がる▽地域の人が出場できるので多くの観衆が集まる▽小さな町村の取り組む意欲がわく―などを挙げている。
 ただ、学区対抗によるデメリットもあり、これまで市町村体協主催で開催してきた各市町村単位の大会が取り止めになる可能性がある。この問題について平良市体協は通常通り学区対抗の市の大会も開催するとしているが、城辺町体協は「町の大会も郡の大会も学区対抗になれば選手は二重負担になる」などとして今年度は町の大会を行わない方針だ。
 さらには登録料の問題がある。全宮古陸上競技大会は日本陸連の公認競技であるため、出場選手は1人当たり1000円(保険料200円含む)を支払わなければならない。この登録料は各市町村単位で開催する大会では発生しなかったため、各学区に予算確保という課題が重くのしかかることになる。ただ、宮古陸協の狩俣会長は「今後、上部(沖縄陸上競技協会)団体と相談しながら登録料については考えていきたい」と話しており、登録料を安く抑えることを検討する。
 宮古体育大会で行われる競技はすべて市町村対抗。今回、陸上だけ特別に学区対抗で開催されるが、採点は市町村に振り分けられる。

top.gif (811 バイト)

苧麻(ちょま)栽培、静かなブーム/森林組合 ・株配布に希望者40人以上

 宮古上布の原料、苧麻(ブー)に対する関心が高まりを見せている。平良市からの委託を受けて栽培している宮古森林組合が行った苧麻の株配布では、定員40人以上の希望者が苧麻を求めて訪れた。各地で苧麻の個人栽培が広まれば懸念されていた原料不足の解消につながることから、関係機関では宮古上布の底辺拡大、継承・発展に期待を寄せている。
 苧麻に関してはこれまで生産者の高齢化により原料不足が懸念されていた。そのため平良市では、栽培面積拡大と糸を紡ぐ若年者の育成を図ろうと、宮古森林組合に苧麻栽培を委託。同組合では赤ブー、青ブー、竹富ブーの3種類の苧麻を約300平方 メートルの畑で栽培し、より質の高い苧麻栽培を目指してきた。今年度は竹富ブーの栽培は行わず、宮古の環境や土地に合った赤ブーと青ブーを中心に栽培していく。
 今回の株配布には宮古上布従事者以外にも苧麻や宮古上布に関心を持ち訪れた人もおり、福祉施設からも要望があった。担当の上原康嗣さんは「予想以上に多くの人が苧麻の株を求めてきた。栽培面積の増加で底辺拡大を図ることができれば。総合学習など学校教育にも取り上げられるようになり、良い方向に向かっている」と分析する。
 宮古織物事業協同組合では、収穫した苧麻の茎から繊維を採り糸を績(う)むための講習を行うなどして原料確保に努めており、今回配布した苧麻についても受け取った人たちを対象に糸績み講習会を行う予定。同組合の島袋朝子専務理事は「宮古上布への関心が以前と比べかなり高まってきている。将来的にはより多くの人が栽培し、糸績みまでできればうれしい。より細く質の高い糸が生産されるようになれば」と明るい兆しに喜んでいた。

 写真説明・苧麻栽培が静かなブームを呼んでいる

top.gif (811 バイト)

半数以上が飲酒絡み/昨年のDV相談18件

 配偶者からの暴力(DV=ドメスティックバイオレンス)に関し、昨年1年間に宮古警察署(伊波盛春署長)が相談を受けたのは前年比7件増の18件で、2001年4月のDV防止法施行後、最多だったことが同署のまとめで分かった。このうち半数に当たる9件は飲酒絡み。緊急避難所の設置も求められている。
 昨年の相談件数18件のうち、飲酒絡みのケースは判明しているものだけで九件。同署生活安全課の知念克幸課長は「飲酒の有無を問う項目がないため明確ではないが、実質は9件をさらに上回るだろう」と話す。裁判所への保護命令申し立て件数は5件。01、02年は皆無、03年は1件だった。
 DV法施行後、同署が受けた相談件数は▽01年(4月以降)が7件▽02年が15件▽03年が11件▽04年が18件─で計51件。このうち事件化したケースは23件だった。
 相談内容によると被害者は全員女性で、年代別には30代が36%、20代と40代がそれぞれ28%と、子育て世代の20代から40代までの女性が9割以上を占めている。知念課長は、個人的な推測と前置きした上で「子供を抱えてでは状況を変えることが難しく、問題の解決に結び付きにくいのでは」と分析し「未然防止が難しい問題だが、緊急避難所の設置など社会整備も必要」と話した。
 昨年12月に施行された改正法は、配偶者(事実婚含む)に限っていた保護命令対象を離婚後の元配偶者にも拡大したほか、子供に対する接近禁止命令の発令も可能にした。

top.gif (811 バイト)

合併後も組織存続を/城辺町土地改良区事務所

 城辺町土地改良区合同事務所の各改良区理事長は20日、市町村合併後の同事務所存続を求め、仲間克町長に要請書を提出した。同事務所では土地改良の際に受益農家が支払う負担金の訪問徴収などを行っており、解散することで今後、徴収が困難になることや土地改良区運営に支障を来すことなどを危惧(きぐ)し存続を求めた。仲間町長は組織の必要性を認め「どうしても存続しなければならない。合併協議会へも存続を求めていきたい」と前向きな姿勢を見せた。
 同事務所は町内にある5土地改良区で組織されており、1985年8月に宮古唯一の組織として設立。負担金の借入・償還を行い対象農家への訪問徴収、督促状発行などを実施している。向こう10年から17年の間は借入金の償還をしていかなければならないため、組織の存続を求めた。
 要請に訪れたのは、同町福東土地改良区の宮国哲二理事長、大川土地改良区の照屋秀雄理事長、同町友利土地改良区の奥浜貞夫理事長、同町下北土地改良区の野崎達男理事長、同町砂川土地改良区の砂川安英理事長ら。宮国理事長が仲間町長へ要請文を手渡した。
 要請文では「解散となれば賦課金(負担金)の徴収が困難になり、土地改良区の運営に支障を来す恐れがある」「各土地改良区の効率的な運営を図っていくためには存続が是非必要」として、合併後も存続していくよう求めている。訪れた理事長らは、負担金未納を防ぐため事務所の重要性を強調。「事務所が軸になって取り組む必要がある」と理解を求めた。
 仲間町長は「大事な組織であり、それなりに成果も上げている。どうしても存続しなければならない。宮古全体でまとめて組織拡大を図っていってもいいのではと考えている」と述べた。

 写真説明・仲間町長に要請文を手渡す宮国理事長(右から3人目)=20日、城辺町役場

top.gif (811 バイト)