200平成1  4 20曜日

漁業補償額で平行線/伊良部架橋意見交換会

 伊良部架橋で漁業権の一部が抹消されることに伴う漁業補償についての意見交換討論会が19日午後、伊良部町漁業協同組合(奥原隆治組合長)で行われた。同漁協の漁業交渉員と県宮古支庁の関係者ら多数が出席。県が最終提示した漁業補償金5010万円について、交渉員らは「上積みできないか」と要望。県側は「上積みできない」と強調。双方の主張は平行線をたどり、全面決着は不透明の情勢だ。交渉員らは、新たに天然モズクの損失補償を要求しており、県側は今後の対応に苦慮しそうだ。
 交渉員の奥原組合長は、先月開かれた第4回伊良部架橋漁業補償交渉委員会で、同漁協単独の取り分として漁業補償金15億7000万円を要求した。
 この日の同討論会で、奥原組合長は個人的な考えと前置きした上で「県が提示した漁業補償金は少ない。総会を開いた場合には組合員の賛成は得られない」と述べ、否決される可能性を示唆した。
 県側は「漁業補償金は国が閣議決定した算定基準で算出した。これ以上の上積みは無い」と重ねて強調し理解を求めた。
 奥原組合長は「県は、特定区画漁業権内でモズク養殖している平良市久松漁民については、漁業補償金とは別個に損失補償することになっている」と述べた。
 その上で「架橋が架かる海域から伊良部漁民は今、毎日天然モズクを採っており、金額にして70万円。ひと月では約2000万円だ。採取船は13隻。このモズクも損失補償すべきではないか」と訴えた。
 県側は「考えたい」との発言にとどまった。

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大物マグロ 次々揚がる/伊良部町漁協

 宮古近海に大物マグロが回遊する時期を迎え、伊良部町漁業協同組合の魚卸市場に19日午後、1匹の重さが40キロを超えるキハダマグロが2匹水揚げされた。漁民らは「幸先の良いスタート。今年は大漁の年になりそうだ」と言葉に力を入れた。
 大物キハダマグロは、近海に設置されている浮き魚礁(パヤオ)周辺の海域で釣れたもの。先週から大物が次々と水揚げされている。ある漁師は大物マグロ6匹を水揚げし30万円を稼いだという。
 この日の大物マグロは、仲買人の池間幸弘さん(58)が漁師から引き取った。池間さんは「平良市の仲買人に1匹5万円で引き渡します」とホクホク顔だった。
 また池間さんは「2日前に重さ16キロの大物カツオが揚がった。初めて見る大物だった」と興奮気味に話し、今期のカツオ一本釣り漁業の大漁を期待した。

 写真説明・重さが46キロもあった大物マグロ=19日、伊良部町漁協の魚卸市場

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男女とも世代交代の予感/第21回トライ大会総括

 「ストロングマン 新たな感動のステージへ」をテーマに、第21回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古広域圏事務組合など)は17日、国内外から1295人が出場し、スイム3キロ、バイク155キロ、ラン42・195キロの計200・195キロのコースで競われ、総合は松丸真幸(30)=茨城県=が、女子は今泉奈緒美(21)=福岡県=が、それぞれ初優勝を飾った。日本勢の総合優勝は7年ぶり。実行委員会を中心に4800人のボランティアが運営を支え、今大会も大きな事故もなく無事終了した。21回目の「新たなステージ」を迎えた大会を、振り返る。

■レース
 今大会は、史上まれに見るデッドヒートが繰り広げられた。過去四度の出場で3度、トップ20入りしていた松丸と、韓国選手初の栄冠を目指すパク・ビョン・フン(33)=韓国=によるランでのトップ争い。
 松丸は力強い走りで前を行くパクを追走。24キロ付近でいったんパクをとらえた。このまま後退するかに見えたパクだったが、追いすがり、28キロ付近で松丸を抜き返す。しかし松丸は冷静さを失わず、31キロ付近で再逆転。初優勝を果たした。2位はパク、3位は初出場のチャン・マクレー(33)=アメリカ=。
 過去2回連続でトップ10入りの河原勇人(27)=東京都=は4位。2度目の優勝を狙った田村嘉規(36)=名護市=は5位。
 女子は、初出場の今泉の強さが際立った。スイムを2位で上がるとバイク、ランではトップを守った。新鋭の台頭が目立った今大会。「新たなステージ」に突入し、世代交代を予感させた。

■ボランティア、住民
 早朝から夜遅くまで、今大会もボランティアが運営を支えた。総勢4800人。これに加え、沿道に駆け付けた住民は、歌や踊りで選手を鼓舞した。新聞の選手名簿を見て名前を呼んで選手たちを応援する姿は、宮古島大会の名物で魅力だ。ゴール地点、平良市陸上競技場では、選手の家族や友人、多くの住民らが詰め掛け、エールを送る。
 優勝した松丸は「ゴールまでハイタッチなどをしたかったが、コースが広いためにできない。観客と選手の間の距離を縮めてはどうか」との提案もあった。今以上に観客と選手が一体となれるよう工夫すれば、トライアスロンを志す人たちのあこがれは増す。

■年齢制限
 今大会は第17回大会以来4大会ぶりに66歳以上は出場できない年齢制限が設けられた。実行委員会は▽若い選手の参加増、競技人口の拡大を図る▽医療救護部の高齢化による負担増▽長時間の競技で地元ボランティアに負担―などを理由に挙げる。
 しかし選手側から反発の声は高い。60歳以上の選手でつくる「宮古島オーバー60の会」は嘆願書などで年齢制限を行わないよう切望。トップ選手の田村も「出られない人は本当に希望も夢もなくなっていることを、もう一度考えてほしい」と訴える。
 実行委だけでなく、選手を交えた議論も必要かもしれない。

■出場選手枠
 大会に出場できるのは1500人。今大会には1834人の応募があり、300人余が「落選」の憂き目を見た。しかし実際に出場選手登録をしたのは約1300人。
 実行委も頭を抱える。「できるだけ1500人に近い選手数で大会を行いたい」としつつも、選手のけがや新年度の異動が重なることなどが、出場辞退の要因と見る。
 実行委では選手からのアンケート回収した上で、「できるだけ多くの選手が参加できるよう、今後も検討を重ねたい」としている。

■「宮古島市」で新たな出発
 市町村合併に伴い、これまで主催者だった宮古広域圏事務組合は9月末で解散。10月1日に誕生する「宮古島市」が同大会を引き継ぐ。多くのノウハウを持った同組合職員らが運営の中心になるだろうが、これに新たな職員を加えることで、新たなアイデアが注入されることを期待したい。
 選手からは「住民と触れ合える機会がほしい」(河原)との要望もある。主催者による選手中心のイベントのみならず、選手と住民が今以上に一体感を持てる民間の関連イベントも、今後、必要といえよう。
 21回を数え、「新たなステージ」に入った今大会。3億8000万円(おきぎん経済研究所試算)もの経済効果を生み出す宮古の中核イベントとして、これからも大切に育てなければならない。
   (砂川拓也記者)

 写真説明・選手と住民が一体となり、成功に終わった第21回大会。次回以降のさらなる盛り上がりも期待

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「春陽展」8回目入選/下地明増さん(86歳)

 画家の下地明増さん(86)=平良市下里=はこのほど、絵画と版画の公募展「第82回春陽展」に8回目の入選を果たした。下地さんは昨年、同展の会友に認定されたが、体調不良のため出品を断念していた。「今回の入選で元気が出た。まだまだ描ける」と、今後の創作活動にさらなる意欲を見せている。
 下地さんは、1986年の第63回展を皮切りに、過去7回入選。昨年は会員(審査員)審議の承認を受け、同展絵画部会友(293人)に認定された。今回の入選作品は「さとうきびの束」で、油絵F100号(161・5センチ×130・5センチ)。今月23日から5月7日までの期間、東京都上野の東京都美術館で開催される展覧会のほか、名古屋展、大阪展でも展示される。
 サトウキビをテーマに描き続ける下地さんは「(サトウキビは)地味で題材としての魅力には欠けるが、身近な素材に価値を見出し、郷土をみつめていきたい」と話す。毎年、意欲的に出品しているが、昨年は体調を崩して断念した。「創作に歳を感じ、もうだめかな、と弱気になったが、今回の入選で生き返った気分」と笑顔。「絵を描くことは生きること。宮古の若い人たちにも活動を継続して道を開いてほしい」と呼び掛けた。
 東京・名古屋・大阪の展覧会を鑑賞する人へは招待券を贈呈する意向。詳しくは下地さん(電話:0980-72-2582)まで。

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宮古で初の野球交流試合/強豪・前原高と地元3高

 県高校野球春季大会ベスト8、県新人中央大会ベスト4の前原高校野球部を招いての第1回沖縄本島・宮古地区高校野球交流試合(主催・県高等学校野球連盟)が23、24の両日、平良市民球場で行われる。宮古からは宮古高校など3校が出場、強豪チームと熱戦を展開する。交流試合は宮古地区では初めて行われる。主催者側では試合当日、大勢の来場を呼び掛けている。
 県高等学校野球連盟宮古地区の校長理事、新崎直昌翔南高校校長らが19日、記者会見を開き発表した。
 新崎校長は交流試合を支援する日本トランスオーシャン航空(JTA)、ホテルニュー丸勝などの協力に感謝した上で、「選手たちのレベルアップが図れ、野球を通して健全な人材を育成できる」と開催の意義を説明。今後は毎年、交流試合を定期的に実施する方針だという。
 前原高校は甲子園出場実績を持つ強豪の一角。23日に来島し、同日午後零時30分から宮古高校と、午後3時から宮古工業高校と対戦。
 翌24日には午前9時から翔南高校と交流試合を行う。また、交流試合に先立ち、23日正午から開始式が催されるほか、県高等学校野球連盟の島袋恭一審判部長が講師となり、投手と捕手を対象にした講習会も予定されている。

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基礎体力強化で合宿/スキージャンプチーム

 日本空調サービスのスキージャンプチームが、宮古島で合宿を行うため11日、来島。下地町のマリンロッジ・マレアを拠点に、30日までの日程で、基礎体力強化のための筋力トレーニングに励んでいる。
 同チームの宮古島合宿は今回で2回目。ナショナルチームメンバーで今年1月のオーストリアワールドカップで9位になった東輝(ひがし あきら)さん(33)、昨年12月の朝日ノルディックスキー大会(北海道)、全道ノルディックスキー競技大会(同)で優勝した西下和記さん(23)、同2位の葛西賀子(よしこ)さん(24)の3人が参加している。
 東さんは「来年開催されるトリノオリンピックが最大の目標。今回の合宿はそれに向けての第1歩。宮古島でしっかりと基礎づくりをしていきたい」と意気込みを語った。
 3人は、オリンピックやワールドカップなど、世界の舞台で活躍することを目指しており「機会があれば宮古の人たちにも応援してほしい」と呼び掛けた。
 宮古島について3人は「南国の宮古島はこの時期でも暖かい。いい環境の中でトレーニングに励める。近くにある砂浜なども利用して、バランス感覚なども付けていきたい」と話し、また「北海道とは違う変わった食べ物も多いので、いろいろチャレンジしながら食べてみたい」と好奇心旺盛に話した。

 写真説明・宮古島合宿に意気込む(左から)東さん、葛西さん、西下さん=19日、下地町のマリンロッジ・マレア

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