昨年11月1日から家畜排せつ物法が本格施行され、対象の農家に家畜排せつ物管理施設(堆肥舎)の整備が義務付けられているが、宮古地区における整備率は今年2月末現在78・9%(簡易対応を含めると85・4%)で、全体の2割の農家が未整備のままだ。県内南部、中部、北部、宮古、八重山の中で最低の整備率。県宮古家畜保健衛生所の松川善昌所長は「環境保全の観点からも整備は必要なこと。堆肥舎を整備して資源(排せつ物)を有効に活用してほしい」などと強調した。同所は巡回指導を徹底し、未整備農家に早期整備を促す方針だ。
同所のまとめで市町村別の堆肥舎整備率は▽平良市72・3%▽城辺町73・1%▽下地町100%▽上野村90%▽伊良部町80%▽多良間村77・2%―。下地町と上野村は県平均の80・4%以上だが、全体の整備率は県内他地区に比べると低い。
宮古地区の整備率が低い要因について同所の松川所長は「小規模経営の農家が多いためではないか」と分析。本島や八重山地区と違い、宮古地区には大規模経営の畜産農家が少数で、そのほとんどがキビや園芸作物との複合経営だ。このため堆肥舎整備の資金投入を渋る農家が多いという。
ただ、松川所長は「整備は必要。野積みは雨のときに地下浸透して地下水汚染にもつながる。堆肥舎を的確に整備し、良い畜産経営を心掛けてほしい」と話した。
同所は今後、完全整備に向けて堆肥舎整備の二分の一補助付きリース事業など国の補助をはじめ県、市町村単独の補助事業の活用を促していく方針だ。松川所長は「相談にはいつでも応じるので気軽に問い合わせてほしい」と呼び掛けている。
1999年11月に施行された家畜排せつ物法は5年間の準備期間を経て昨年11月から本格施行に移った。県宮古家畜保健衛生所をはじめ、JAおきなわ宮古地区事業本部、市町村、宮古農業改良普及センターなどは99年の法施行の段階から堆肥舎を整備するよう農家に対する巡回指導を実施してきた。
家畜排せつ物法 家畜排せつ物の野積みや素堀りなど不適切な管理を禁じ、その有効利用を促進するための法。地下に汚染水が浸透しないよう管理施設(堆肥舎)の整備が義務付けられている。
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