200平成1  31曜日

職員8人の採用取り消し/平良市・

合併前大量採用に4町村反発で

 平良市(伊志嶺亮市長)は30日、新年度に採用を予定していた18人のうち、8人を正職員として採用しない方針を決めた。同日開かれた市町村長会議や5市町村合併推進協議会幹事会(幹事長・下地敏彦城辺町助役)で、合併前の職員採用に伴う首長申し合わせ事項を無視した格好の同市の方針に他の4町村から不満、批判的な意見が上がったための措置。伊志嶺市長は「申し合わせ事項を順守する」と明言。市は、合格者に対し、事情を説明した上で理解を得たい考えだが、今後、正職員として採用されない8人を含め、波紋が広がるのは必至な状況となっている。
 18人のうち、10人は予定通り正職員として採用する。正職員としての採用を取り消される8人のうち、6人に希望を聞き、希望があれば4月1日付で臨時職員として採用する。市担当者によると、残る2人は合格当初から「個人的な事情により1日からの勤務は難しい」と返答していたこともあり、採用を行わず、今後、勧奨退職者が出次第、臨時職員として採用する方針。
 平良市では同日午前、伊志嶺市長、下地学助役、担当部課長を交えて協議。18人のうち、3人の採用を行わないことで他町村の理解を求めた。
 平良市中央公民館で開かれた幹事会で、下地助役が市の現状を説明。「長期休養、市町村合併事務局への派遣職員などが計9人、定年退職者が9人で計18人が抜けると、市の行政運営にかかわる」などと苦しい現状を訴え、「この状況が続けば不利益を被るのは住民」として理解を求めた。
 他町村からの出席者は「平良市だけが申し合わせ事項を守らないのはおかしい」、「申し合わせを守るため、私たち(4町村)は内部で努力を重ねてきた。平良市も内部努力が必要では」などと申し合わせ事項を守らない市の姿勢に対して不満が上がった。
 結局、「市町村長会議で申し合わされた事項なので、幹事会では決定できない」との意見が上がったため、急きょ、市町村長会議を開き、協議することとなった。
 一連の動きを受けて開かれた市町村長会議でも他町村長から同様の意見が上がったため、伊志嶺市長が申し合わせ事項を順守し、オーバーしている8人に対して新年度での採用を行わない、とした。
 新年度の職員採用については今年1月11日の市町村長会議で、職員適正化計画の管理定数を基本に「定年退職者については予算計上しない」との申し合わせ事項が確認されている。
 しかし、平良市が今回予定していた18人の採用は、この申し合わせ事項を無視したものとなった。平良市の管理定数は399人で今年度末の退職者予定は12人(定年退職9人)となっている。
 9人の定年退職者分について予算計上しない(補充しない)ということは、管理定数からその分を引いた人数(390人)が採用許容範囲となるが、現職員数392人から退職者12人を引いた380人に18人を採用することで職員数は398人となり、許容範囲より八人オーバーする結果となっていた。

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伊良部漁協が15億7000万提示/架橋漁業補償・

県は5000万、30倍以上の開き

 新年度着工予定の伊良部架橋整備事業で漁業権の一部が抹消されることから、第4回伊良部架橋漁業補償交渉委員会(主催・県宮古支庁)が30日午後、平良港マリンターミナルで開かれた。前回の交渉で県が最終提示した漁業補償総額5010万円に対し、伊良部町漁協組合長で交渉委員の奥原隆治氏が同漁協単独の取り分の漁業補償金として15億7000万円を提示した。このけた外れの提示額に安和朝忠支庁長、伊志嶺亮平良市長、浜川健伊良部町長らは一瞬、ぼうぜん。平良市と池間の2漁協は県側の提示額を大筋で認めていたが、奥原氏の発言に猛反発、波乱含みとなった。約2時間かけて交渉は進められたが、3漁協の見解が不一致であることから、基本合意に至らず結論は先送りとなった。 
 漁業補償交渉委員は、各漁協とも23人ずつで計69人。この日は平良市漁協(上原正行組合長)8人、池間漁協(与那嶺昭夫組合長)13人、伊良部漁協10人の計31人が出席した。
 交渉委員の上原組合長と勝連智氏(池間漁協)は、県側の提示額について「大筋で認めている」とそれぞれ意見を述べた。
奥原組合長は「組合員が、伊良部架橋が架かる海域から水揚げした金額を基に損失補償を計算した。それで伊良部漁協だけの分の15億7000万円を提示したい」と述べた。
 突然の高額提示に、平良市漁協の上原組合長は反発。「これまでの委員会の集まりで、漁協独自で補償金は出さないように決めたのに、なぜ伊良部漁協は単独で出したのか」と、単独提示を受け付けた県側の姿勢を追及した。
一方、池間漁協の与那嶺組合長は「伊良部架橋の総事業費は360億円。この事業費の内の3億6000万円を漁業補償額として提示したい」と提案した。
 上原組合長は「持ち帰って池間漁協と検討したい」と語った。

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水使用量未収1000万円/土地改良区組合

 宮古土地改良区組合員らがかんがい排水施設を利用し、水を使用する際に発生する賦課金(水使用料)の未収額が、1000万円(累積)以上になることが同改良区の2003年度決算で分かった。水使用の賦課金徴収は九四年にスタートしているが、未収は97年から発生、それ以降は年々累積が膨らんだ。同改良区は今後、未収金の徴収体制を強化させるほか、悪質な滞納者に対しては水停止の措置も講じる方針だ。
 同改良区のまとめによると、賦課金未収は97年に6万3000円、2000年には54万円、02年は120万円、03年は746万円も発生し、累積は1038万27円に膨らんでいる。
 水使用の賦課金は10アール当たり年間1500円。T型(スプリンクラー)の場合、整備完了の全面積に賦課し、U型(ホース型)の場合は水使用申請に基づいて地積割で賦課する。ただ、同組合ではT型の場合でも申請を求めている。賦課金の徴収は口座振替か、組合員自らが支払う。
 滞納の要因は、支払い拒否の組合員がいることやかんがい整備地区による申請なしの水使用、耕作者の変更による手続き上の問題、水の使用量に伴うトラブルなどさまざま。同改良区でも滞納者の正確な実態把握ができておらず「誰がどれだけの料金を支払うのか、これからしっかり査定し徴収していく」と説明。座喜味一幸事務局長は「公平性を保つためにも、査定して支払う必要がある農家に対しては厳しく対応していくつもりだ。水停止も行う。今後は賦課金が流量制に移行していくので、そのためにも現在の滞納者の実態把握の作業を急ぎたい」などと話した。
 同改良区では、水の使用量に賦課金を掛ける流量制への移行を積極的に推進する。これは現行の賦課金では水をいくら使おうが、10アール当たり年間1500円とする料金体系に多くの農家から苦情が出ているため。06年度から段階的に移行させる方針だ。

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32年の歴史に幕/航路標識事務所が廃止

  第11管区海上保安本部の石垣海上保安部航行援助センターの発足に伴い、宮古島航路標識事務所(沼田好弘所長)がきょう31日付で同センターに統合され廃止されることになった。同日午後5時に海上保安庁の庁旗を降ろし、32年間の歴史に幕を閉じる。船舶が安全で能率的に航行するよう各種情報を提供してきた役割を終える。
 同事務所の前身である宮古島ロラン航路標識事務所が、沖縄が本土復帰した1972年5月15日に発足。城辺町保良地区にあった米軍の宮古島ロラン局を引き継ぎ運用を開始した。現在の事務所名称に改称されたのは、97年4月1日。
 沼田所長は、最初の事務所が開所した時に3年間勤務し、今回の勤務(2年間)で2度目。「最初赴任した当時は、自動車は左ハンドルだった」と懐かしみ「宮古の海は美しい。住みやすく、人情が厚い島」と話した。
 仲宗根朝則次長は「宮古島の海はきれい」と評価しながら「しかし、近年は海岸にごみが多くなった」と、地域住民や観光客らに環境美化への意識高揚を訴えた。
 復帰当時の職員数は10人。現在は7人で、東京都や鹿児島県、那覇市、石垣市などに転勤する。

 写真説明・沼田所長(左から3人目)らは32年間の歴史を惜しんで記念撮影に応じた =28日、平良市内の宮古島航路標識事務所

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ヤギにクラシック/美山羊(みやぎ)牧場でユニークな飼育

 平良市内で「美山羊牧場」を営む宮城淳一さんはこのほど、牧場のヤギにクラシックなど音楽を聴かせるユニークな飼育を始めた。
 きっかけはあるテレビ番組。他の動物に音楽を聴かせる飼育方法を目にした宮城さんが「何らかの成果が生まれれば」と期待して始めた。
 小屋の中にはスピーカーが設置され、クラシックやラテンなどさまざまな音楽が流れると、ヤギも「メェー、メェー」と音楽に合わせて鳴き声を響かせる。元気いっぱいに育っている。
 牧場では40頭ほど飼育されている。小屋のそばには運動場が併設され、ひづめを研げるようにと岩場を設置するなど愛情たっぷりに育てている。
 宮城さんは「沖縄広しといえど、ヤギに音楽を聴かせているのは僕ぐらい」と笑顔を見せる。
 また、宮城さんらヤギを飼育する仲間12人は毎月「ヤギ模合」を開き、ヤギ談義に花を咲かせているという。

 写真説明・小屋の中にはスピーカーが設置され音楽が流れている=29日、平良市内の美山羊牧場

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