200平成1  26曜日

自衛隊誘致反対を決議/伊良部町議会・合併も賛成に

 伊良部町議会(友利浩一議長)は25日、臨時議会を開き、「自衛隊の訓練および駐屯に反対する決議」を賛成16、反対1の賛成多数で可決、16日に決議した自衛隊誘致を事実上無効にした。また、再提案された5市町村合併についても一転して賛成13、反対4の賛成多数で可決した。これにより、10月1日に同町を含む5市町村が合併し「宮古島市」が誕生する見通しとなった。31日にも5市町村の合併を稲嶺恵一知事に申請する方針だ。
 今回の可決により自衛隊駐屯誘致と2001年に全会一致で可決されている「自衛隊機訓練誘致」の決議については効力を失うこととなり、下地島空港への自衛隊誘致について同町議会はすべての面で反対の姿勢を打ち出すこととなった。
 自衛隊訓練および駐屯に反対する決議については川満成氏が反対姿勢を示し、残りの16人の議員は賛成した。
 一方、5市町村合併については島尻始、川満成、仲村正光、喜久川昭則の4氏が反対となったが残りの13人の議員が賛成した。
 町民の約半数に当たる3500人(主催者発表)が集まった前日の自衛隊誘致に伴う住民説明会で、町民が求めた内容がそのまま議会判断となった格好。議会終了後、「住民勝利」と書かれた紙を掲げた町民が議場から出てくると、議会棟前に集まった町民から大きな拍手と歓声が上がった。
 この日の臨時議会は、自衛隊駐屯、訓練誘致の決議について議員調整が必要であることから、開会と同時に休憩となった。約1時間30分後に再開された。
 今回の議会判断について浜川健町長は「大変うれしく思う。これで、4市町村長にも胸を張って報告できる。自衛隊誘致反対も『民意』が反映された」と述べた。今後、国や県から下地島空港への自衛隊駐屯に関する要望があった場合については、「地元は常に反対の姿勢を示し続ける」と強調した。
同町議会は今月下旬、「自衛隊を誘致すれば各種振興策が得られ、合併なしの自立が可能になる」として、同町に自衛隊を誘致する決議を可決し、合併関連議案も否決した。しかし、住民から猛烈な反発が出たことから、この日の臨時会で一転して自衛隊誘致を撤回、合併反対派の多くが賛成に転じた。

■浜川伊良部町長「宮古は1つになれる」
 伊良部町議会(友利浩一議長)が25日に開いた臨時議会で、下地島空港への自衛隊訓練・駐屯誘致反対の決議案と宮古5市町村合併の議案をそれぞれ賛成多数で可決したことを受け、浜川健町長は同議会終了後、「4市町村の首長らに胸を張って報告することが出来る。これで『宮古は1つ』になれる」と述べ、笑顔を見せた。
今後同空港の軍事利用の動きがあった場合について浜川町長は、「絶対反対する、反対を堅持していく」と語った上で「合併した後は、下地島空港が宮古圏域を発展させるメーンとなる。新市計画の中で、下地島空港とその周辺残地の有効活用をきちんと決めてほしい」と期待した。
 この日の合併賛否を問う採決で、これまで合併反対の意向を示していた一部の議員らが急転直下、合併賛成に回った。このことに関し、浜川町長は「きのう(24日)開かれた住民説明会で、住民の訴えが合併に反対だった一部の議員の心を動かした。住民の意思を尊重した結果だ」と話した。
その上で「特に若い人たちが元気だった。改めて伊良部町の青年はすごいと思った」と7地区の青年会に感謝し「伊良部町議会は決める時は決める。さわやか議会だ」と評価した。

 写真説明・「住民勝利」と書かれた紙を掲げた町民が議場から出てくると、詰め掛けた町民たちから大きな拍手と歓声が上がった=25日、伊良部町議会棟前

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「民」の力を再認識/伊良部町・町長、議員リコールの動向注目

 涙と笑顔、歓声と拍手―。3500人の伊良部町民の願いと訴えは、町議会の自衛隊誘致に対する判断を軌道修正させるとともに「島の未来は町民が決める」との姿勢を示すものとなった。一方、宮古の市町村合併は同町離脱後、4市町村で法定協議会を立ち上げて協議を進めてきたが、同町の5市町村合併可決で枠組みは「5」に決定。今月31日に5市町村合併で県への申請を残すのみとなっている。

■町議に対する疑念
 24日に3500人(主催者発表)を集めた住民説明会で「民意を尊重する」と自衛隊誘致・合併反対の町議は明言したが、臨時議会が開かれた25日も朝からたくさんの町民が町議の判断を見極めようと議会棟前に詰め掛けた。
 集まった町民の1人は「その時は『民意』を尊重するとしていたがまだ信用できない。実際に議会でどう判断するか見極めないといけない」と、町議に対する不信感は根強く残っていた。

■町議の自覚
 町民に不信感を与えた町議たちが住民説明会で示した見解は首を傾げたくなるものも多かった。
 今回の問題は自衛隊誘致要請の緊急動議や合併否決だけが前面に出ているが、実際はこの判断を下した町議がどれほどの自覚と住民の代表としての責任を持っていたかだ。
 住民に対してほとんど説明のないまま「住民のため、島の未来のため」と、住民を前に語る町議の言葉には説得力は感じられない。
 また、取材をする中で一部の合併反対・自衛隊誘致推進派から「新聞はうそばかりで事実を報道していない」「新聞はおかしな方向にもっていっている」「あんたたちが伊良部を駄目にしている」などの言葉が返ってきた。
 投げ掛けられた言葉については真摯に受け止めるとして、その町議たちは一体どれだけ事実、状況を住民に説明したのだろうか?今回の一連の動きと判断を変えたことにどれだけの責任を感じているのだろうか?臨時議会が終了し、町民が喜びに沸く中、彼らは笑顔で議場を後にした。

■民主主義
 これまでよく聞かれた「町長や議会が決めたことだから仕方ないさ」との認識は、住民説明会に集まった町民にはみじんも感じられず、3500人が発した「声」は大きなうねりとなって町議会判断を覆えさせた。
 今回の議会議決で一連の問題には一応の決着をみた伊良部町だが、現在も合併問題をめぐって合併反対派の住民団体が展開している町長リコール、議員リコール問題などの課題は残っている。
 しかし、合併推進を求める住民の「声」は着実に大きくなっていることから今後、この問題がどのように展開するのかも注目となっている。
 町民の意識が高まり、厳しい現実を見極めた上で自分たちの住む地域の「未来」を自らの手に取り戻した伊良部町民。その代表者たちも今後、町民を無視した動きは展開できなくなる。町民とその代表者たちが一体となって島の未来を考えれば子供たちに誇れる地域になるはずだ。
     (垣花尚記者)

 写真説明・民意を反映し、町議会が一転して自衛隊駐屯・訓練誘致反対、合併推進の方針となったことに万歳で喜ぶ町民たち=25日、伊良部町議会棟前

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新人・下地が出馬表明/多良間村長選挙

 【多良間】任期満了に伴い6月14日告示、同19日に投開票が行われる多良間村長選へ向け、前回の村長選で立候補した下地昌明氏(53)は25日、塩川集落センターで出馬表明を行った。下地氏は「熟慮を固め出馬を決めた。今の村政に対する村民の不満を打開し、開かれた行政を目指す」と述べ、村政刷新へ意気込みを見せた。後援会も発足し、会長に長崎一雄氏が就任した。会場には多数の支持者が詰め掛け、6月に実施される村長選へ向け一致団結を誓った。今回の村長選には現職の兼濱朝徳氏(55)も出馬に前向きな姿勢を見せており、前回同様、下地氏と兼濱氏の一騎打ちとなる公算が高まっている。
 下地氏の出馬表明は野党議員や農業委員からの出馬要請を受けて行ったもので、下地氏は「要請を受け、今の村政に村民の多くが不満を抱えていることが分かった。そうした不満を打開していかなければならない」と強調。「ガラス張りの行政を目指し、産業や地域の特性を生かした振興を図り豊かな多良間村をつくっていきたい」と決意を示した。長崎後援会長は「前回は1票差で悔しい思いをしたが、今回は圧勝へ向け、皆で頑張っていきましょう」と呼び掛けた。
 下地氏は基本政策に▽産業の振興▽交通・通信基盤整備▽教育・文化の振興▽福祉・厚生の充実▽保健・医療の充実▽生活環境の整備▽行財政改革▽観光振興―を掲げている。

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FM中継局が開局/RBC・ラジオの雑音解消

 琉球放送の島元馨常務と宮城善勇・テレビ本部技術局長の2人が25日、宮古毎日新聞社を訪れ、4月1日の『宮古FM中継局』開局を伝えた。
 島元常務は「AM放送をFM放送に切り替えることで、(RBCiラジオが)昼も夜も雑音なくクリアな音で聴けるようになる。地元のみなさんに、ぜひ周知してほしい」と話した。
 新たな中継局は、伊良部(FM82・7MHz)と多良間(同82・2MHz)の2局。これまでのAM1152kHzは、5月1日をもって終了する予定で、5月2日からはFM放送のみとなる。
 同中継局の開局は、宮古広域圏事務組合が事業主体となり進められてきた。今後、宮古地区では、本島との情報格差が改善され、観光産業の振興、離島振興ならびに災害情報の提供が図られるものとして期待されている。
 
 写真説明・琉球放送の島元常務(左)と宮城局長が「宮古FM中継局」の開局を伝えた=25日、本社

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14個人、2団体を表彰/平良市・心豊かなふるさとづくり

 第22回心豊かなふるさとづくり表彰式(主催・平良市民運動実践協議会)が25日、平良市内のレストランで行われ、緑の街角賞やクリーン賞など14個人2団体を表彰した。緑の街角賞を受賞した与那嶺哲夫さんは「緑で潤う庭造りを心掛けていた。栄えある賞に恐縮している」と受賞を喜んだ。
 主催者を代表して前川尚誼会長は「昨年は相次ぐ台風に見舞われたが、市民の積極的なボランティア参加により、環境整備、緑化復旧、心和む街づくりができた」と述べ、「市町村合併後も市民実践運動が規模拡大し充実した活動ができることを願います」と今後の発展に期待した。
 平良市民運動実践協議会は1977年に組織された。83年には「緑の街角賞」表彰規定が制定され、これまでに20団体と200個人が受賞している。93年には「クリーン賞」「親切運動活動賞」も新設され16団体15個人、合わせると35団体215個人が表彰されている。
 表彰を前にクリーン、グリーン、グレイシャスの各部会の代表が選考経過を報告。各受賞者らの庭園が写真で紹介され、ほかの受賞者からは感嘆の声が上がった。その後、受賞者1人ひとりに前川会長から賞状が手渡された。与那嶺さんは「過去の受賞者宅の素晴らしさに感動していた。私には無縁の賞と思っていた」と感想を述べた。
 県宮古支庁の安和朝忠支庁長、平良市の下地学助役、平良市議会の池間青昌議長があいさつし受賞者の活動をたたえた。
 ▽クリーン賞=富永洋子、みやこ学園、伊佐正信、寺西弘▽緑の街角賞=与那嶺哲夫▽緑化推進賞=友利達雄▽植栽美化賞=仲里一雄▽庭園美化賞=砂川富三▽緑の塀賞=大嶺敏彦▽花いっぱい賞=砂川富士子▽緑と花の空間賞=神里喜三郎、新里好広、友利誠永、下地孝▽親切運動活動賞=謝敷幸子、鏡原中学校

 写真説明・緑の街角賞やクリーン賞、親切運動賞などを受賞した皆さん=25日、平良市内のレストランクール

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