200平成1  19曜日

 伊良部町議会が『合併否決』/合併協議、振り出しに

 伊良部町議会(友利浩一議長)は18日、宮古5市町村での合併関連議案のうち廃置分合(合併是非)を賛成8、反対9の賛成少数で否決した。平良市、城辺町、下地町、上野村は可決となったが同町議会の否決で宮古の市町村合併協議は再び振り出しに戻り、圏域全体に衝撃が走った。今後は、4市町村による合併が特例債などの財政措置が受けられる期限となる今月末までにまとめきれるかが焦点となっているほか、合併離脱の伊良部町では、自衛隊誘致推進派の議員が上京して防衛庁幹部に要請を予定しており、自衛隊誘致の動きが一気に加速していく見込みだ。
 一方で、伊良部町議会が25日に臨時議会を開催し、5市町村合併議案を再提案する動きもあり、合併の枠組みについては4市町村と5市町村の両パターンで動きそうだ。
 今回の合併否決の判断は、16日の下地島空港への自衛隊誘致要請に伴う緊急動議が可決されたことが合併反対派町議の結束を固めた。また、議員直接の問題として議員リコールの動きなども絡んだことが大きく影響した。
 合併賛成の議員は、仲地昭人、久貝健寿、前泊国光、長嶺吉和、佐久田強、上地大平、佐久本洋介、嘉手納学の8氏。
一方、合併反対の議員は、喜久川昭則、池間正栄、洌鎌敏一、島尻始、島袋英二、川満成、豊見山恵栄、仲村正光、謝花浩光の9氏となっている。
 今回の議員判断では自衛隊誘致については反対姿勢だった池間氏が「合併反対」に、自衛隊誘致については賛成だった上地氏が「合併賛成」に移行した他は、誘致反対派は「合併賛成」、誘致賛成派は「合併反対」となっている。
 伊良部町議会では、以前から合併後の在任特例が認められなかったことなどへの不満が根強く、合併反対の議員の中からは「自衛隊を誘致すれば各種振興策が得られ、合併なしの自立が可能になる」との声が上がっていた。
 全国的にも注目を集めている町議会の一連の動向には県内外のマスコミも多数駆け付けたほか、傍聴席は合併賛成派、反対派で埋まり町議会の判断を見守った。
 また、浜川健町長は今後も今回の自衛隊誘致については反対する姿勢を議会後の会見で明言しており、当局とは別見解で動く自衛隊誘致が今後どのように展開するのか注目となっている。
 「宮古は1つ」を合言葉に「宮古島市」誕生を目前に控えた宮古5市町村合併だが、1つの自治体の議員1人の差で振り出しに戻る結果となった。

「迷惑懸けた」と陳謝/浜川伊良部町長
 伊良部町議会が宮古5市町村への合併を否決したことを受け、浜川健町長は18日午前、会見に応じ、「町長として合併の方針を示したが、議会で否決されて残念」と語り「宮古圏域に迷惑を掛けた」と陳謝し、今月17日の本会議では、自衛隊駐屯誘致が賛成多数で決議されたのに続いて、今度は合併が賛成少数で否決されたことに疲労困ぱいの表情をにじませた。17日夜は、合併反対の意向を示す数人の議員と交流し、合併賛成の賛同を得たとしてこの日の議会に臨んだが、その議員らは合併反対へ回った。
 浜川町長は、町議会の合併反対が信じられない様子で、日ごろの歯切れのいい言葉はなかった。
 自衛隊駐屯誘致の決議について、浜川町長は「(一部の議員らは)合併と自衛隊を切り離して考えていない。稲嶺県知事が(自衛隊問題などに)意向を示さないのに、私が自衛隊駐屯誘致について『イエス』とか『ノー』とか言えない」と語った。
 一部の議員らが、今議会で自衛隊駐屯誘致を可決する前に、浜川町長に対し「可決した場合は、多額の金が入る」と持ち掛けていた。
そのことに関し、浜川町長は「どこから金が入ってくるんだ。信ぴょう性を裏付けるものがない。金が入らない場合は、自衛隊駐屯誘致を決議した誰が責任を取るのか」と声を荒らげた。

 写真説明(上)・5市町村での合併関連議案は採決の結果、合併賛成の少数起立で否決された=18日午前、伊良部町議会
 写真説明(下)・疲労困ぱいの表情で会見した浜川健町長=18日、伊良部町役場

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合併土壇場で伊良部町離脱/4市町村長「まさか」

 「伊良部町議会が合併議案を否決した」との情報が流れた18日、宮古圏域全体に衝撃が走った。合併議案を審議中だった他議会も合併議案は可決するも驚きを隠せない様子で、多くの議員が伊良部町の判断を疑問視した。平良市、城辺町、下地町、上野村の4市町村長らはこの日の夕方、合併推進協議会事務局で緊急の会議を持ち、今後の方針や認定などを確認。4市町村の法定協を22日に発足させ、23日には協議会を開催することとなっている。
 一方で、25日に伊良部町が臨時議会を開き5市町村の合併議案を再提案する動きがあることから同町の動きを見極めながら急ピッチの作業を展開することとなった。
 午後7時から始まった4市町村長と議会議長、総務課長による緊急の会議では▽伊良部町議会の臨時議会を見極める▽4市町村の合併推進協議会を設置する▽「新市建設計画小委員会」は設置せず、協議会で一括審議する―などが確認された。
 また、宮古広域圏事務組合など一部事務組合については解散の方針で進めていくこととなった。
 合併特例債など国からの各種支援策を受けるためには今月末までの合併申請が条件となっていることから、今後の作業はスムーズかつ迅速に行われることが宮古の合併が成立するかしないかの条件となっている。
 しかし、会議の席で一部の議長から全員協議会で話し合った結果、議員身分について協議が必要との意向も示されたことから、20日に行われる予定の市町村長と議会議員との意見交換会は議員身分を中心に行われる見込みでさらに23日の協議会もそれが争点となりそうだ。
 混迷が深まる宮古の合併協議。伊良部町が離脱し、さらに4市町村での合併協議が議員身分をめぐってさらに複雑化した場合は合併そのものが破たんする可能性も秘めている。
 伊良部町離脱で揺れ動いた1日も、宮古本島の市町村長と議長らが今後の方針と日程を確認して幕を閉じたが、これから3月31日までは合併を目指して急ピッチな作業が展開される見込みとなっている。

・平良市長 「最後まで希望持つ」
 大変残念。他町村は可決しており、4市町村で話しながら合併に向けて進めたいと考えているが、伊良部町についてもまだ臨時議会という線も残っていると思う。伊良部町議や町当局を説得して、伊良部町も一緒に、5市町村の合併ができるような形で進めていければと、希望的観測だが考えている。日程的にも大変厳しいが、県とも話し合いながら土日なしでもしっかり取り組みたい。最後まで希望を捨てずに頑張っていきたい。

・城辺町長 「残る自治体で推進」
 (伊良部町議会の否決は)非常に残念だ。最も懸念していたことが現実になってしまった。今後は残る4市町村で合併を進めるしかない。合併推進協議会でも万一のことを考えて4市町村の合併スケジュールを立ててあると聞いており4市町村でも間に合うはずだ。伊良部町が抜けることで大きなマイナスはないと考えるが、時間的なことが心配。伊良部町には自衛隊誘致のこともあるが、これについては反対の考えに変わりはない。

・下地町長 「5市町村がベター」
 (下地町議会の合併は)賛成多数で可決され、ほっとしている。伊良部町議会の否決については困ったなあという感じを持っているが、状況を把握していないので現段階では4市町村(でいく)とか、そういうコメントはできない。合併はこれまで、5市町村の枠組みで、確認されてきたので、5市町村がベターだと思う。その方向で、伊良部町議会や町長にお願いしていきたい。5市町村で合併することで、圏域が1つになり地域発展により結び付く。

・上野村長 「取り組みが水の泡」 
 住民サービスの向上につながると、これまで合併問題に取り組んできた。全会一致で可決された時は感慨深いものがあった。しかし、伊良部町議会が否決したことにより、これまでの取り組みが水の泡となってしまった。伊良部町の立場もあるが、(伊良部町の)離脱は圏域にとって大きなマイナス。今後スケジュールなどがどのようになるのか懸念があるが、伊良部町の動向を見ながら合併は推進していきたい。

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【解説】合併離脱、自衛隊誘致で活性化もくろむ/伊良部町

 「8対9」で5市町村合併を否決した伊良部町議会。その2日前には下地島空港への自衛隊誘致要請の緊急動議を急きょ提案可決、その際の賛否は「9対8」で可決となった。合併から離脱し自衛隊基地を誘致して国から振興策を引き出したい一部の伊良部町議の意向は圏域全体を巻き込んで混迷の未来に向かって走り出した。

■合併と自衛隊誘致
 「合併から離脱し、自衛隊誘致で活性化を」。2月の下旬ごろから一部町議にこの認識が生まれた。県の幹部も務めた県議会議員が一部町議と面談した際に「合併から離脱した方が国も自衛隊誘致を進めやすい。振興策で島は活性化する」などの意向が投げ掛けられたようだ。
 これを受けて事態は急展開する。先月28日には伊良部町商工会が町議会に自衛隊誘致を求める要請書を提案。この動きの中で表に出てきたのが南西諸島安全保障研究所の小幡光俊理事長だ。
 小幡氏は後日、記者会見を開き自衛隊誘致に伴うこれまでの流れを説明し「町議会が自衛隊駐屯決議をすれば『屋良覚書』問題などは国が解決する」などと述べるなど、これまでの経緯についても説明した。こうした流れの中で自衛隊誘致は合併の是非と関連して水面下で動き出した。

■財政、要請、将来
 合併を予定していた5市町村の中で伊良部町の町財政は平良市同様に最も危機にひんしている。5市町村合併についてはこれまで上野村、下地町で離脱の動きはあったが、伊良部町は最も合併には不利な離島でありながら平良市、城辺町とともに離脱することはなかった。
 その要因は厳しさを通り越した財政状況だ。2005年度予算については、今議会中に示されるが「再建団体」は目前に迫っていると言っていい。
 自衛隊誘致運動に伴う振興策を目当てに誘致派の町議は活発に動く見込みだが、いつごろから振興策に伴う財政的な支援があるのかも見えていない。
 また、下地島空港は県管理空港であり、伊良部町だけでその利活用の判断はできないし、それは県が握っている。その県を飛び越えて、ただの所在自治体である伊良部町議会の一部の議員が誘致に動く構図が、どの程度の影響力を持つのか疑問が残る。
 そのほか、伊志嶺亮平良市長や川満省三下地町長も自衛隊配備には反対姿勢を今議会で示しており、圏域全体の将来に影響を与えるこの問題を「伊良部町だけの問題として片付けて良いのか」などの指摘に対する答えも見えない。

■複雑な状況
 今回の問題は地元、県、国それぞれの情勢に加え伊良部町議の周辺事情が交錯し合って複雑化した。
 国は昨年12月に新防衛大綱を策定し、自衛隊の下地島空港駐屯も視野に入れているようだ。その意向を受けて県選出国会議員と一部の県議が伊良部町議に「合併せずに自衛隊誘致を」と働き掛けた。
 しかし、町内情勢はさらに複雑な状況にあった。同町議会が求めた「在任特例」が適用されないこととなり、同様に求めた「宮古市」が住民アンケートの結果「宮古島市」に変更となったことに加え合併反対グループの「伊良部町の自治権を守る会」が町議のリコール運動を展開していることも町議の意向に大きく影響した。
 自衛隊誘致要請には国防上の理由などを含めた振興策を大義に掲げているが、実際の内容はそれぞれの議員の周辺情勢の方が大きく影響した観が強く感じられ、自衛隊誘致の要請を可決し合併を否決した本意は見失われているようだ。
    (垣花尚記者)

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22日に政府などに要請/自衛隊誘致で豊見山議員ら

 今月16日に開かれた伊良部町議会の3月定例会で、緊急動議の「先島諸島圏域の安全確保のため緊急に下地島空港等に自衛隊の駐屯を政府に要請」が決議されたのを受け、同要請を提出していた豊見山恵栄氏と自衛隊駐屯誘致に深くかかわっている南西諸島安全保障研究所理事長の小幡光俊氏の2人は22日、政府と防衛庁など関係機関へ自衛隊配備の要請活動を本格化させる。豊見山氏が18日、明らかにした。
 小幡氏は、今年に入ってから下地島空港への自衛隊駐屯誘致について、豊見山氏らと会い協力を求めていた。
豊見山氏は、同町議会の一部議員らに同誘致の話しを持ち掛け協議を重ねていた。
 小幡氏は、今月の3月定例会で、同誘致を緊急動議するよう豊見山氏らに協力依頼。豊見山氏は、賛成議員8人から署名を取り付けて緊急動議を提出し、可決にこぎ着けた。
同要請は、昨年11月10日未明、中国の原子力潜水艦が先島諸島を潜航横断したという問題を取り上げ「先島諸島の首長は、誰一人として国や県に抗議しなかった」と指摘。その上で、先島圏域の住民の安全確保のためには自衛隊駐屯が必要であることを訴えている。

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収入役廃止案を可決/多良間村議会

 【多良間】多良間村議会(長嶺春勝議長)3月定例会は18日、一般質問が行われ、閉会した。今定例会では収入役を置かない条例制定案など20議案を原案通り可決。新年度から収入役廃止となったが、出納室の機能を担う会計課の新設についての議案は賛成少数で否決されたため、助役、収入役ともに不在となる多良間村では、4月から村の会計機能が停滞する。兼濱朝徳村長は今後の対応について県へ指導を仰いでおり、県からの返答次第では再提案の方向も検討している。
 否決された「多良間村課設置条例の一部を改正する条例」案は、新年度から会計課を新設し▽歳入歳出予算の収支および決算に関すること▽現金の出納および保管に関すること▽支出負担行為の協議および審査並びに確認に関すること―など村の財政にかかわるすべての業務を行うというもの。
 反対した議員らは、会計課の新設とともに課長が就任することに対し、人件費の増加を懸念。行財政改革に逆行するとして反対した。結果、同案は賛成少数で否決され、新年度から財政を管理する機能が4月から停滞することとなった。
 現在の兼本武雄収入役は今年度で任期満了を迎えるが、兼濱村長は行財政改革の一環として2005年度から収入役を廃止し、助役に兼任させる見解を示していた。助役は01年から不在のままで、兼濱村長は今年5月に任期満了に伴い実施される村議会議員選挙以降に、助役の人事案件を提案する予定。
 同案否決については一般質問でも取り上げられ、兼本収入役は「4月から村の出納業務が廃止され、白紙になる。大きな影響を与える」と懸念。兼濱村長は「厳しい状況。県からいい指導があれば良いが、不可能であれば改めて提案するかもしれない」と示唆した。
 また「出納室を新設するには職員を増やさなければならないが、会計課であれば現状の定数でも対応できる。また設置するよう指導も受けている。再提案になるのであれば、今後議会としっかり調整していきたい」と話した。

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新校舎完成し落成式/上野村立上野中学校

  老朽化に伴い、改築工事が行われていた上野村立上野中学校(与那覇正博校長)の校舎がこのほど完成。18日、同校で落成式が行われた。同村の川田正一村長ら関係者が出席し、新校舎での生徒たちのますますの活躍に期待を寄せた。
 新校舎の建築面積は1740平方メートル。総事業費は2億5882万5000円。校舎内は木張りを取り入れ、温かみのある雰囲気を演出している。
 1階には校長室や職員室、多目的教室などがあり、2階には各学年の教室やコンピューター室が設置される。
 式典で川田村長は「上野中生徒の頑張りが上野村の発展につながる。素晴らしい新校舎で、誇りを持って学び、伝統を積み重ねてほしい」と述べた。
 同村教育委員会の狩俣廣一教育長は「新しい校舎で心機一転、博愛の心を持ち、勉強、スポーツボランティア活動などに頑張ってくれることを期待します」と激励した。
 与那覇校長は「これまで、生徒たちを見守った旧校舎と、地域の方々の支えに感謝し、新校舎で頑張ります」とあいさつした。
 生徒を代表して生徒会長の小禄洋平君(2年)は「楽しみにしていた。新しい学舎を造ってくれた皆さんに感謝したい。4月には新校舎で新入生を迎え、みんなでいろいろなことにチャレンジしていきたい」と決意を新たにした。

 写真説明・完成した上野中学校新校舎

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