200平成1  17曜日

 下地島を自衛隊基地に/伊良部町議会が決議

 伊良部町議会(友利浩一議長)の3月定例会は16日、本会議を開き、「先島諸島圏域の安全確保のため緊急に下地島空港等に自衛隊の駐屯を政府に要請する決議」の緊急動議を追加上程し、採決の結果、賛成9人、反対8人の賛成多数で可決した。今後、政府や関係機関に要請することになっており、同空港へ自衛隊駐屯配備に向けた動きが急進展しそうだ。同議会は、過去に自衛隊機訓練誘致を決議した経緯があるが、自衛隊誘致の決議は今回が初めて。宮古の5市町村は今月18日に臨時議会を開き、合併について決議する方針だが、同町の決議には暗雲が漂っている。
 緊急動議は、この日午後2時から再開された本会議で提出された。提出者は豊見山恵栄氏、賛成者は喜久川昭則、洌鎌敏一、川満成、島袋英二、島尻始、仲村正光、謝花浩光、上地大平の8氏。登壇した豊見山氏は「平成16年11月10日未明、中国の原子力潜水艦が先島諸島を潜航横断するという、恐ろしい事態が発生した」と前置き。その上で「この事態に対し先島圏域の首長は、誰一人として国や県に抗議する者もなく、また沖縄県もこの問題に関して一言のコメント、中国に対しての抗議を行っていない。誰が、地域を守り県民を守るべきなのか全く認識していないのが確認された」と説明し、先島圏域の住民の安全確保のためには自衛隊駐屯が必要と訴えた。さらに「米軍の下地島空港の使用は断固として認めない」と強調した。
 この後、質疑応答が行われた。自衛隊誘致反対派の佐久本洋介氏は「合併を控え、どうして今ごろ自衛隊誘致か」と質問。これに対し、豊見山氏は「今が時宜を得た誘致」と、具体的な理由を避けた。
佐久本氏は再質問し「自衛隊が来ると、米軍はいつでも使用可能となる」と追及。豊見山氏は「米軍の使用は断固として認めない」と答えた。
同じく誘致反対派の嘉手納学氏は「県を飛び越えて国へ要請することは、国が県へ圧力を掛けて誘致しやすいようにするのでは」と疑問を投げ掛けた。
豊見山氏は「私は、そうは思わない」と答えるにとどまった。

 写真説明・緊急動議は賛成多数の起立で可決された=16日、伊良部町議会

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自衛隊誘致決議に「残念」/浜川伊良部町長

 伊良部町議会が「先島諸島圏域の安全確保のため緊急に下地島空港等に自衛隊の駐屯を政府に要請する決議」の緊急動議を可決したのを受け、浜川健町長は16日午後、会見に応じ、「18日に開かれる臨時議会で宮古5市町村合併の決議の採決が行われるが、今の状況ではどうなるか怖い」と、自衛隊誘致賛成派の議員9人の動向に強い警戒感を示した。
 浜川町長は「稲嶺知事が沖縄の基地返還問題で訪米している中で、自衛隊駐屯誘致が決議されたことは残念。最も残念なのは、稲嶺知事に要請しないで、政府へ要請すること」と複雑な心境を語った。
 また浜川町長は「自衛隊誘致賛成派の一部議員から事前の打診は無かった。ここまできたら、一部議員の人間性、常識が疑われる。こんな大事なことを、伊良部町議会だけで決めるのはどうか」と話した。

 写真説明・会見で心境を語った浜川町長=16日、伊良部町役場

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どうなる合併?自衛隊誘致決議で/伊良部町議会の判断注目

 開会中の伊良部町議会(友利浩一議長)で16日に一部町議から出された「下地島空港への自衛隊駐屯要請」の緊急動議決議が賛成多数で可決されたことを受け、今度は18日に5市町村議会で一斉に行われる市町村合併の議会議決で同町の判断に不安を抱く関係者の声が大きくなってきている。緊急動議提案者の豊見山恵栄氏も「合併は大丈夫だと思うがどうなるか分からない」と含みを残しており、不安要素が解消されないまま宮古の市町村合併は18日の最終判断を迎えそうだ。
 今回の緊急動議が合併判断に与える影響について、合併推進の立場を取っている佐久本洋介議員は「合併議決前に緊急動議が行われたことで合併の判断も分からなくなった。18日は『合併せず』の判断が下される可能性が高くなった」と、今回の緊急動議で「合併反対」の動きに拍車が掛かることを懸念している。
 合併議決前の緊急動議について豊見山議員は「合併とは関係ない」とする一方で、18日の合併判断については「個人としてはまだ決めていない。これからみんなと話し合って決めたい。署名した9人も合併に対する判断は流動的だと思う」と述べた。
 9対8の小差で可決となった今回の緊急動議。町議間の調整のないまま合併議決前に提案され、可決となったことが合併にどのように影響するのか。緊急動議の可決を受け合併反対派の動きに拍車が掛かれば一気に「合併せず」となり、合併を予定している宮古本島4市町村への影響を配慮する意向が働けば「合併」となる見込みだ。
 しかし、18日に同町議会が「合併せず」の判断を下した場合、4市町村合併への取り組みは日程的に困難とする意見もあり、同町の「合併せず」判断は宮古の合併そのものを崩壊させる危険性もはらんでいる。

 写真説明・「下地島空港への自衛隊駐屯要請」に伴う緊急動議可決後、マスコミのインタビューに答える提案者の豊見山議員=16日、伊良部町議会前

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合併への影響懸念/自衛隊誘致決議で平良市長

 伊良部町議会が下地島空港への自衛隊誘致要請の緊急動議を可決したことを受け、宮古市町村会長の伊志嶺亮平良市長は16日、「残念だ。昨年11月の郡民総決起大会にも伊良部町議会から代表が参加しており、議会も総意で自衛隊誘致を反対していると思っていた」と遺憾の意を示し、「市町村合併に悪影響がないことを願っている」と述べた。また同日の平良市議会3月定例会一般質問でも伊志嶺市長は「日米安保条約もあり、自衛隊誘致は米軍と表裏一体。断固反対したい」と述べ、同空港の軍事化に反対する姿勢を改めて強調した。
 緊急動議可決の知らせを受けた伊志嶺市長は「防衛庁幹部との話し合いの中で、何かこれまでと違った感触があったのか、今回の議決になってしまった。宮古圏域として下地島空港は平和利用すると確認しており、それに沿って市町村会として頑張っていきたい」と話した。また稲嶺恵一知事も同空港への自衛隊誘致は行わない立場を表明していることに触れ、「浜川町長も県の見解を踏まえて対応してほしいと思う」と語った。
 開会中の平良市議会(池間青昌議長)3月定例会は同日、一般質問1日目が行われ、下地島空港への自衛隊誘致について伊志嶺市長は「一部住民により自衛隊誘致の動きが行われていることを大変憂慮している。自衛隊配備は、有事の際に攻撃目標となる可能性が高い。一切の軍事化に反対する強い姿勢で臨みたい」と述べた。上里樹氏への答弁。
 この日の一般質問では、市町村合併関連でも質問が相次いだ。伊志嶺市長が15日、報道陣に「伊良部町議会が18日に合併議案を否決した場合に備えて準備している」と発言したことを新城啓世氏が「市町村合併に影響がある」と追及。これをめぐって一時間ほど議会が空転し結局、伊志嶺市長は「伊良部の方々に誤解を与えたことを謝罪したい」として同発言を撤回した。
 このほか前川尚誼、池間豊、与那覇昭雄、川満俊夫の4氏が登壇。当局の姿勢をただした。

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沖糖31年ぶり10万トン割れ/キビ原料搬入終了・

宮糖伊良部も大幅減産

 沖縄製糖宮古工場(砂川玄悠工場長)と宮古製糖伊良部工場(渡久山和男工場長)の2004−05年期産サトウキビ原料搬入が、16日終了した。両工場ともに今期は台風・干ばつの被害の影響で大幅減産。糖度は沖糖は平年並みを維持したものの、伊良部工場は品質取り引きが始まった94−95年期以来、最も低い水準となった。
 
■沖糖宮古工場
 今期(第52期)の原料搬入量は9万4709トンで、10万トン割れは21期以来31年ぶり。平均糖度は基準値(13・1度)を0・82度上回る13・92度となった。トン当たり農家手取り額は2万402円(基準価格比172円高)。農家手取り総額は19億3225万7000円だった。
 同工場の原料搬入は1月17日から始まり、59日間で9万4709トンが搬入された。前期の11万5012トンより2万303トン(17・7%)の減。反収は5・8トンで前期の6・9トンを1・1トン(16%)下回った。
 原料の糖度区分別内訳は基準糖度帯(13・1−14・3度)が49・1%、14・4度以上30・8%で基準以上が8割を占めた。13・0度以下は20・1%だった。糖度の最高は16・2度、最低は11・5度だった。
 同工場管内のサトウキビは幼苗のころ台風14号(03年9月)の影響を受け、成育を阻害された。さらに昨年相次いだ台風や干ばつで例年にない被害を受けた。
 同工場の操業は雨続きでハーベスターの稼働率が低下し、14日から15日の午前中にかけてラインがストップするなど停滞。15日午後から再開し16日原料搬入を終了した。今期製糖操業はきょう17日中に砂糖をたき上げ、終了する。操業日数は減産のため、前期の60日より5日短縮された。
 今期操業について砂川工場長は「品質は平年並み。生産量は予想していた通り減産となった。製糖期に入ると、雨天続きでハーベスターの稼働率が低下し、農家の皆さんは苦労した。今後に向けては全天候型のハーベスターへの改良、防風林対策、地力増強が課題になる」と話した。

■宮糖伊良部工場
 今期(第43期)の原料搬入量は3万1657トンで、第21期以来22年ぶりに4万トンを割る厳しい実績となった。平均糖度は11・85度と基準値(13・1度)を1・25度下回った。トン当たり平均農家手取り額は1万8578円(基準価格比1652円安)だった。
 同工場の製糖操業は、1月13日から始まった。以来、63日間で3万1657トンのサトウキビ原料が搬入された。前期の5万7782トンより2万6125トンの減収。平均反収は3・9トンで昨年(6・6トン)比4割減の不作となった。
 原料の糖度区分別内訳は、基準糖度帯(13・1−14・3度)が16・8%、14・4度以上が3・1%、13・0度以下が80・0%で、全体の2割しか基準に達しなかった。糖度の最高は16・6度、最低は8・3度だった。
 品種別構成比は、農林8号59%、農林15号15%、F172が14%となった。
 ハーベスターの刈り取り構成比は13%で、昨年と比べ4ポイント低下した。
 同工場管内のサトウキビは、昨年相次いで襲来した台風や干ばつのダブルパンチを受け大被害を被った。
 台風では梢頭部の折損や葉裂傷の被害が出た。干ばつ時には、葉が黄ばむ黄化現象や立ち枯れ茎が見られた。
 同工場の製糖操業は、きょう17日中に砂糖をたき上げて終了する。操業日数は、減収のため前期の114日より50日短縮した。

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大型トラックと正面衝突/城辺町砂川・軽貨物車の男性死亡

 16日午前9時20分ごろ、城辺町砂川の町道で、軽貨物車と大型トラックが正面衝突するという事故があった。この事故で、無免許で軽貨物車を運転していた同町砂川に住むペンキ工、砂川和彦さん(44)が全身を強く打ち、約1時間後に死亡した。
 宮古署によると、軽貨物車は町道を県道201号線方面から同町下里添方面(西城付近)に向け、緩やかな左カーブを進行中、対向車線に入り、対向車線を走行してきた大型トラックと正面衝突したという。
 事故の衝撃により、軽貨物車のフロント部分は大破。砂川さんは全身を強く打った状態で車内に閉じ込められた。通報を受けて駆け付けた消防署員が、車両の一部を切断して砂川さんを車外に出し、そのまま宮古病院に搬送したが、午前10時41分、死亡が確認された。
 事故現場は交通量の少ない見通しの良い緩やかな左カーブで、城辺町立砂川小学校の北方、約1キロの地点。
 同署では現在、事故原因などを捜査している。
 宮古地区では、今回の死亡事故により、今年に入っての交通事故死亡者数は3人となり、昨年同時期(04年3月16日)のゼロ人を大きく上回っている。
 同署では、今年に入って発生した死亡事故がすべて郊外であることなどから、郡部での取り締まりも強化する方針で「小さな違反でも大事故につながる。徹底した取り締まりを実施する」としている。

 写真説明・トラックと衝突した軽貨物車。運転手は車内に閉じ込められたため、車両を一部切断して車外に出された=16日、城辺町砂川の事故現場

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