200平成1  曜日

 3漁協の主張、不統一/伊架橋漁業補償、合意難航

 新年度着工予定の伊良部架橋整備事業に関し、県宮古支庁と3漁業協同組合(平良市、池間、伊良部町)が交渉を進めている漁業補償の合意が難航しそうだ。最終交渉に向けての3漁協の主張は統一されておらず、その主張を円満に収拾しない限り、今月23日に開かれる「第4回伊良部架橋漁業補償交渉委員会」での全面決着は厳しい。11日には同委員会開催の前段として、第3回漁業補償小委員会が開かれる。
上原正行・平良市漁協組合長は「2月18日に開かれた第3回伊良部架橋漁業補償交渉委員会では、地元伊良部町漁協からの参加者は3人」と前置き。その上で「伊良部架橋実現に向けて誠意が全くない」と強い不満を示し、「小委員会の集まりを見てから、 23日に予定されている委員会には参加するかどうか決めたい」と話した。
与那嶺昭夫・池間漁協組合長は「3漁協の配分率が決まらないので、23日の委員会には出席しない」と強調し、「配分率が決定しない限り、漁業補償の合意には応じない」と消極的な姿勢を示した。
一方、奥原隆治・伊良部町漁協組合長は「漁業補償交渉前に、行政などは伊良部町漁協とダイビングの協定を結ばない非協定業者との紛争を解決すべき」と、早期の和解対策を講じるよう訴え、「ダイビングをめぐる紛争を解決しないと、漁業補償交渉は難しくなる」と強く主張。県側は、先月18日に開かれた第3回伊良部架橋漁業補償交渉委員会で、最終漁業補償額5010万円を提示した。同委員会終了後、3漁協の交渉委員らは「補償額が少ない。合意できない」と声を荒げていた。
3漁協とも漁業補償額とは別途に、漁協施設の建て替えや製氷・冷蔵施設整備などの水産振興策の要望書を提出する方針。宮古地区市町村合併を控えた平良市と伊良部町がその要望を受け入れ新市の水産振興計画に反映させることができるどうか、後の交渉の中で行政の姿勢が注目される。

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平良さんが総理大臣賞受賞を報告/全国伝統的工芸品展

 【那覇支局】2004年度全国伝統的工芸品公募展に宮古上布「風車」を出品し、最高賞の内閣総理大臣賞を受賞した平良市の平良洋子さん(48)は4日午後、県庁に伊川征一商工労働部長を訪ね、3日に東京で行われた表彰式で内閣総理大臣からの賞状を受けたことを報告した。平良さんは「賞状をもらって実感がわいた。うれしい」と率直に受賞の喜びを述べた。伊川部長は平良さんを祝福し、「21年間の研さんの成果がこういう形で結実した。伝統工芸の行政に携わっている者として誇らしく思う。これからも技を磨き、後継者に伝授してもらいたい」と激励の言葉を贈った。
 報告は東京からの帰りに行い、平良さんの夫と子供2人の家族も伴った。姉に教わって宮古上布を織り始めて21年目になる平良さんは、これまでの苦労を聞かれ、「ただ好きでやってきたことなので、苦労という苦労はないが、しいて言えば糸(苧麻(ちょま)糸)があまり手に入らないこと」と話した。今後については、「これからも20年、30年と織りを続けていけたらと思う。もっと自分の技を磨いて、後継者育成も考えていきたい」と抱負を語った。
 同公募展は76年から開始し、04年度で29回目。同年度は363人から417点(210種類)の応募があり、16点が入賞。平良さんは最高賞の「内閣総理大臣賞」に輝いた。県内で内閣総理大臣賞受賞は4人目。

 写真説明・全国公募展での内閣総理大臣賞受賞を県の伊川部長(右)に報告した平良さん=4日、県庁商工労働部長室

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若年者雇用創出など強調/県労使就職支援機構報告会

 県労使就職促進支援機構(親泊一郎代表)が宮古地区をモデルに実施したワークシェアリングに関する提言の報告会が4日、平良市内のホテルで開かれ、同機構ワークシェアリングプロジェクト会議(眞榮城守定委員長)がまとめた提言書をもとに、自治体職員らにワークシェアリングの必要性を説明した。ワークシェアリングは、労働時間を短縮し仕事を分かち合うことで雇用や賃金、労働時間の適切な配分を目指すもの。眞榮城委員長は「ワークシェアリングによって若年者雇用を創出し、時間に余裕ができた人材やノウハウを活用することで地域活性化できる」と意義を強調した。
 同機構は、連合沖縄と県経営者協会の労使双方が共同で、就職促進に向け具体的な成果が現れるよう事業を展開している。今回は眞榮城委員長と、同機構副代表で県経営者協会専務理事の宮城正吉氏、同じく副代表で連合沖縄会長の狩俣吉正氏が宮古を訪れた。
 地方公務員や教職員のワークシェアリングを提言した背景には、2004年6月に、地方公務員法の採用に関する法律が一部改正され、いわゆる「短時間公務員」制度が実施できるようになったため。提言ではいくつかのワークシェアリングの方法を例示。例えば、55歳以上の職員で勤務時間を減らしたり、部分的に休業する代わりに若年者を雇用。短時間勤務となった職員は修学でスキルアップを図ったり、ボランティアや地域づくり活動に参加するなど、自治体や教育現場で培った経験を地域活性化に利用できる、としている。
 宮古をモデル地区としたのは▽独立した圏域で合併協議が行われ、圏域全体でワークシェアリングを推進できる可能性がある▽合併による人員削減が地域経済に与える影響が本島内と比較して大きいと考えられる―などが理由。課題には▽労使協議機関の設置と労使間の合意▽勤務時間の設定▽給与や昇級、地位▽短時間勤務職員などと臨時職員の待遇の公平性―などが指摘された。
 宮城氏は「合併を機に宮古地区でワークシェアリングを前向きに検討してもらえないかと考えている。それがモデルケースとして民間にも波及すると期待される」と呼び掛け。狩俣氏は「合併後は宮古地区でも人員調整が行われる。ワークシェアリングの発想をうまく利用し、柔軟な発想で危機感を持ってやらないといけない」と説いた。

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推進事業検討委が発足/廃車リサイクル

  自動車リサイクル法にのっとった離島での廃自動車リサイクルシステムを構築する「廃自動車リサイクルシステム構築推進事業検討委員会」が発足し、4日、県宮古支庁で委嘱状交付と第1回検討委員会が行われた。委員は有識者4人で、琉球大学工学部の屋良秀夫教授が委員長を務める。任期は3月31日までで、県が実施する廃自動車リサイクルシステム構築推進事業について技術的な視点や離島の状況を踏まえた視点から検討・評価し、意見を述べていく。
 県では毎年約8万台の使用済み自動車が出ており、宮古地区では2004年度で約1万2000台の野積み自動車が確認されているという。こうした現状を打破するため、県が主体となり宮古地区をモデルに自動車リサイクルシステム構築推進事業を実施する。平良市荷川取に実証研究として解体ラインを設置し、適切な解体を行いながら▽専用解体工具の研究開発▽解体作業の効率化実証▽海上輸送費の低減化実証―を図り、事業で開発した技術やノウハウを周知し離島型廃自動車リサイクルシステムの構築を目指す。
 自動車リサイクル法は今年1月1日からスタート。自動車リサイクル料金に輸送費は含まれていないが、2005年度から離島支援事業として、最高8割の出えん金が出るシステムとなっている。
 海上輸送費は未解体車輸送で1台当たり平均約4万2700円だったのが、実証事業では1台当たり平均約6400円になる。
 第1回委員会では自動車リサイクル法の概要や同事業の説明などが行われ、また、実証現場の視察も行われた。
 委員は次の皆さん。(敬称略)
 ▽委員長=屋良秀夫琉球大学工学部教授(機械基礎工学、溶接工学)▽委員=井上英夫中央大学理工学部教授(精密機械工学)、新里隆男元琉球大学工学部教授(熱工学、内焼機関)、下地一明自動車整備振興会宮古支部長(自動車整備技術)

 写真説明・廃自動車リサイクルシステム構築推進事業で実証のため設置した解体ラインを視察する一行=4日、平良市荷川取

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愛好者らが一堂に/「サンシンの日」で演奏会

 「サンシンの日」の4日、野村流伝統音楽協会宮古支部、宮古民謡協会、宮古民謡保存協会はそれぞれサンシンの日にちなんだ集いを開催した。会員や愛好者ら多数が参加し、三線の音色を響かせ民謡を歌い、伝統芸能に思いをはせた。
 野村流伝統音楽協会宮古支部(与那覇寛仁支部長)は平良市中央公民館で「サンシンの集い」を開催。約40人が参加し、「かぎやで風」や「恩納節」などの宮古民謡ほか、沖縄民謡など幅広く全25曲を演奏し、古典音楽の世界を堪能した。
 宮古民謡協会(新垣初男会長)は城辺町の上区構造改善センターで「大演奏会」を開いた。会員をはじめ愛好者ら総勢約百十人が参加。「とうがにあやぐ」「豊年の歌」「家庭和合」などを演奏し、にぎやかなひとときを過ごした。また多良間村から参加した来間勝子さんに教師免許状を贈り、普及発展に期待した。
 宮古民謡保存協会(喜屋武稔会長)はJAおきなわ宮古事業本部農民研修センターで「さんしんの日大演奏会」を行い、午後6、7、8時のラジオの時報に合わせ「かぎやで風」を演奏。RBCラジオが実施するイベントに参加し、ラジオを通して県内の三線愛好者らと一斉演奏で時間を共にした。
 
 写真説明(上)・にぎやかな雰囲気で各種宮古民謡を演奏した宮古民謡協会のさんしんの日大演奏会=4日、城辺町上区構造改善センター
 写真説明(下)・ラジオの時報に合わせ「かぎやで風」等を演奏した宮古民謡保存協会=4日、JAおきなわ宮古事業本部農民研修センター

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