200平成1  28曜日

原告側が勝訴/伊良部町長リコール訴訟

 【那覇支局】市町村合併に賛成する浜川健伊良部町長の解職請求(リコール)に関し、「伊良部町の自治権を守る会」(川満昭吉会長)が、同町選管の署名修正(異議申し出を認めた)決定の取り消しを求めている訴訟の判決公判が27日、那覇地方裁判所(窪木稔裁判長)で行われた。裁判所は、町長解職請求の署名が詐偽に基づくものとして町選管が異議申し出を認容した署名448人のうち18人についてのみ詐偽を認め、そのほかは異議申し出を取り消す判決を下した。これにより、町長解職の住民投票の可能性が出てきた。同会の川満会長らは勝訴を喜ぶとともに、「全力を挙げてリコールを実現させ、町民の意思を尊重する新しい町づくりに踏み出す決意だ」と話した。
 判決が確定した場合、町選管が昨年9月に告示した町長解職請求の有効署名総数1936人から18人を差し引き、有効署名総数は1918人となり、解職請求に要する有権者総数の3分の1(1694人)を上回って住民投票の要件を満たすため、町選管は町長解職の住民投票を行うこととなる。
 町選管は一審に不服の場合、2週間以内に上告することができる。
 同町は、昨年1月25日に合併を問う住民投票を実施。即日開票の結果、「合併しない」が1773票となり、「合併する」を1016票上回った。
 浜川町長と町議会は住民投票条例に基づき、住民の意思を尊重するとしていたが、合併推進の方向を取った。これに対し川満会長らは住民の意思を無視しているとして昨年8月、必要な署名数(1694人)を上回る2082人の署名を町選管に提出して解職請求をした。町選管は同9月1日、1936人の署名を有効と告示した。署名簿の縦覧を経て、署名を取り消す異議申し出が837人出て、町選管は477人の異議申し出を認めて署名修正。結局、解職請求に必要な署名数に達せず、9月25日、町選管は解職請求を不成立とした。
 訴訟は、町長解職請求の署名が詐偽に基づくとの理由で町選管が異議申し出を認めた448人分について、詐欺による署名か否かを大きな争点とした。
 判決で、窪木裁判長は「伊良部町での合併問題は町を二分するような問題で、町長解職請求にまで発展し、これに対抗して異議申出書の収集活動が組織的に行われていた。同町で一般的能力を有する成人住民にとってそのような状況は十分認識可能な事柄。さらに、署名簿には『伊良部町長解職請求者署名簿』という記載があり、一般的能力を有する成人住民はその文言をいちべつすることで署名の目的を十分認識し得たと考える」と述べ、町選管による詐偽の認容の不十分さを指摘した。
top.gif (811 バイト)
 

一般会計、前年度比2%減の158億8千万円

市05年度予算一次内示

 平良市(伊志嶺亮市長)は27日、各部課に2005年度予算案を一次内示し、その概要を発表した。一般会計は158億8000万円となり、04年度の162億460万円よりも2・0%(3億2460万円)減となった。年々減少する国庫資金や三位一体改革などで平良市の財政は逼迫しており、新年度予算では市単独のハード(箱物)事業を初めて計上しなかった。昨年10月の予算編成説明会では04年度予算から8億2000万円減を見込んでいたが、各課に抑制を求めた結果、一次内示では3億2000万円まで抑えられた。最終内示は来月4日に行われる。
 昨年は初の歳入欠陥内示を発表し、国や県の指導を受け問題となった同市予算。国の三位一体改革など財政事情はさらに厳しさを増した。
 依存財源のうちで最も大きい地方交付税は昨年の6・3%減から、3・6%の増となった。一方、地方交付税減に対する財政措置として設けられた「臨時財政対策債」が国の予算方針により2億6150万円(47・0%)減となった。
 自主財源の柱となる市税は昨年財源不足のため過大に見積もった固定資産税、市民税などを正しく見積もり前年比4億3390万2000円(12・9%)減と落ち込み、構成比では自主財源が22・8%と昨年を0・5ポイント下回り、依然、国への財源依存が強い。
 同市は新年度予算から、これまでの「査定方式」からあらかじめ各部課の枠を決定する「枠配分方式」に切り替え、各部課とも枠内での徹底した見直し削減を図り、05年度の内示は歳入歳出の帳尻を合わせた。今回の内示について当局は「各部が自主的に予算削減に努めた」と述べた。
 歳出の抑制については、経済的経費の公債費が前年度比20・3%(5億2803万7000円)の大幅減。物件費も15・0%(2億3839万9000円)減となった。また、今年10月の市町村合併以降の市長や議会議員、臨時職員の報酬は計上されていない。
 新規事業としては健康と癒しの「エコツーリズム・海上の道」づくりの地域再生事業や宮古島で自生する有用植物の見本園などを整備する離島地域資源活用産業育成事業などソフト面のみ。平良市単独での箱物事業はなかった。
 継続事業として、根間地区都市再生区画整理事業(平良市単独事業での計上はしていない)や竹原地区土地区画整理事業などが盛り込まれている。
 10月1日に市町村合併する5市町村は9月30日に打ち切り決算を行い、10月からは新市の暫定予算が組まれる。合併後の初議会で3月31日までの新市予算が正式に決定する。

top.gif (811 バイト)

全国6施設に胎児標本114本/「宮古南静園でもあった」

 ハンセン病患者が入所していた国立療養所などの関連六施設に、入所者が出産した胎児の標本114体が残っていたことが26日までに、厚生労働省が設置した第三者機関「ハンセン病問題検証会議」(座長・金平輝子元東京都副知事)の調査で分かった。宮古南静園退所者の知念正勝さんは「南静園にも同様の標本があった」と証言する。しかし関連記録は残されておらず、目的など詳細な事実は闇の中だ。
 知念さんは1951年に入所。翌年に、戦後焼け残った建物の医局内で胎児が入った瓶を見たという。「医局の陳列棚に、胎児と何らかの液体が入ったガラス瓶が3本、無造作に置かれていたのを友人と一緒に見た」と話し「どうしてそのような保存をしたのか、あるいはなぜ皆の目が届く所に置いてあったのか…、無神経だよね」と振り返った。
 同園自治会長の宮里光雄さんは「記録はないが、ホルマリン漬け標本があったことを記憶している人が何人かいる。戦後何年かたって火葬されたようだが遺骨は残っていない。胎児の親の了解を得た上で保存したのか、あるいは園の独断で行ったのかは分からない」と話した。
 ハンセン病問題検証会議は全国各地の療養所入所者が受けた人権侵害の実態を調査するため設置され、03年7月から調査を開始。27日、841人の入所者・元入所者らから得た回答、施設内調査などを基にまとめた報告書を同省に提出する。個人情報を除き閲覧も可能となる。胎児標本の時期は24−56年までで、半数は正確な出生日が不明。大半は人工中絶手術によるものだが、29体は体長などから人工早産か正規の出産とみられるという。
 同会議は「研究目的とは考えにくく、法の不備もあって目的もなく残されたのではないか」と指摘。「60%以上の胎児標本は優生保護法が成立する48年以前の作製で、法に基づかない医療行為で命を奪われた」と結論付けた。また、入所者はかつて死後に遺体を解剖されることが多かったが、解剖の承諾書に署名を求められた人は回答者513人中の125人。本人承諾なしの解剖が当然と受け止められていたという。
 現在の入所者は約3500人だが、約800人が認知症(痴呆症)。回答者も全体の2割程度にとどまった。全国ハンセン病療養所入所者協議会の神美知宏事務局長は「人間の尊厳を傷つけられ、もう忘れたいという思いが強く、(回答へ)一歩を踏み出せなかったのだろう」としている。

top.gif (811 バイト)

自慢の料理で交流/西会津町と平良市

 福島県西会津町と平良市の食生活改善推進員研修・交流会が27日、平良市中央公民館であり、推進員らがそれぞれの地域の食材や料理を紹介しながら食文化を交換した。
 両自治体の推進員らの交流会は、今回で8回目。互いの食生活を知り、健康づくりへの知識を高めることなどを目的に毎年交互に行き来し、食を通じて交流の輪を広げている。
 この日は、それぞれ持ち寄った食材を使って自慢のメニューを料理。平良市が赤いエプロン、西会津がピンクのエプロンで調理台に立ち、食材の特徴や利用法などの情報交換をしながら手際よく進めていた。
 作ったメニューは、西会津が、新巻きさけや酒かす、水に浸してつぶした大豆を使った「粕汁」と「わらびの中華和え」「うどのじゅうねん味噌和え」の3品。平良市は、「小豆ご飯」「島野菜とおからのサラダ」「昆布の酢の物」など、11種類の料理を紹介した。夕方からは料理を並べ、余興を交えた交流会を催した。
 今回初めて来島したという鈴木和子さんは「活動2年目の新米だが、まったく違う食文化に触れることができてとても楽しい。互いに健康的な食生活を目指していきたい」と笑顔で話した。
 平良市の下地弘子会長は「西会津は、冬には野菜が少ないらしいので、ミネラルいっぱいの南国野菜に興味を持ってもらいたい」と話していた。

 写真説明・地元の食材を生かした料理で交流する西会津と平良市の食生活改善推進員ら=27日、平良市中央公民館

top.gif (811 バイト)

宮古でも韓流ブーム?/韓日女性親善協が来島

 韓国ソウルの女性たちで組織する社団法人韓日女性親善協会(李堯植会長)が26日来島し、27日、島内観光で宮古の自然や文化に触れたほか日韓女性親善協会宮古支会と交流を深めた。伊志嶺亮平良市長や安和朝忠宮古支庁長も表敬訪問し、韓国や宮古の文化や話題に花を咲かせた。一行は28日に帰路に就く。
 今回の来島は交流が目的で、同協会2代目の会長に就任した李会長のあいさつを兼ね、総勢8人で宮古島を訪れた。伊志嶺市長は「遠い宮古島まで来ていただいて感謝したい」と歓迎。10月に市町村合併を控えていることなど宮古島の様子を紹介した。
 李会長は、「文化的に交流することで互いに勉強になる。ぜひ韓国にも来てほしい」と呼び掛けた。
 日韓女性親善協会宮古支会(真壁カツ会長)らが一行を歓迎し、島内観光では東平安名崎やうえのドイツ文化村、来間島などめぐったほか、宮古に根付く文化の紹介として宮古織物事業協同組合や苧麻村を視察し、宮古上布に触れた。
 夜は夕食会や歓迎会が盛大に開かれ、互いに情報交換しながら交流を深めた。

 写真説明・伊志嶺市長を表敬訪問した韓日女性親善協会のメンバー
=27日、平良市役所

top.gif (811 バイト)


top.gif (811 バイト)