200平成1  23曜日

今年度比10億円減へ/平良市来年度予算

 今月20日に予定していた平良市(伊志嶺亮市長)の2005年度予算一時内示が遅れている。昨年10月の各部局に対する同年度予算編成説明会では、今年度比でマイナス8億2000万円減額で調整するとの方針が示されたが、ここにきて歳出面の国保関係の医療費などが予想より上回りさらに2億6000万円が不足となっている。一時内示が延期となり27日に行う予定だが、財政課と各部課との調整は厳しい内容となりそうだ。
  昨年も今年度予算編成の一時内示前の段階で平良市は、当初歳入と歳出の差額が約10億円発生し、一時内示で約6億7000万円の歳入不足のまま内示する異例の予算編成となった。
  これは全国的に話題となったが結局、国や県の指導を受け歳入、歳出面を見直して帳尻を合わせて最終内示を行った。
 昨年10月の各部課に対する来年度予算説明会では、国の三位一体改革など、さらに厳しさを増した内容であることが説明され、今年度当初予算額162億400万円に比べ8億2000万円減の153億8400万円を見込んでいるとの方針が示された。さらに、これまでの「査定方式」から、あらかじめ各部課の枠を決定する「枠分配方式」に切り替えることも説明された。
  しかし、ここにきて新たに国保の医療費など2億6000万円の歳入不足を抱えることになったことに市財政課は「さらに歳出抑制策を考えないといけない」と頭を抱える。
  現段階で来年度予算は当初予定の8億2000万円減とさらに不足額として発生した歳入不足2億6000万円を加えて全体でも今年度比でマイナス10億円が見込まれている。
  当局はその対応策として歳出抑制をさらに厳しくする方針でこれは実質的に各部課に配分される予算枠の減額にもつながり、今後の編成作業、一時内示後の調整は一層厳しい内容となりそうだ。

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「軸足はしっかりと」巨人の山倉さんが野球教室

 プロ野球読売巨人軍の元捕手で現在はNHK野球解説者の山倉和博さん(49)を講師に迎え、少年野球教室(主催・宮古野球連盟)が22日、平良市営球場で開かれた。山倉さんは「守備は打球を体で止める」、「打撃は軸足が動かないようにしっかりと構えること」など基本動作の重要性を訴えながら、子供たち一人ひとりにていねいに指導。参加した約100人の児童・生徒がプロの技術を学んだ。
  教室は午前9時30分にスタート。午後5時ごろまで、キャッチボール、ノック、素振り、トスバッティング、ランニングなどの基本トレーニングを重点的に実施した。
  このうち、バッティング練習で山倉さんは「軸足をしっかりと保ち、動かないように構える」、「投手がボールを投げてからバッターに届くには1秒もかからない。打ち返すためには早めに準備し、球を待つこと」などとアドバイス。守備練習では「ゴロはしっかりと腰を落とし、捕球する。特に外野は絶対に後ろにそらしてはいけない。最低でも体で止めるように」と指導した。
  参加した佐和田広大君(伊良部小6年)は「リードの取り方や、盗塁のスタートの切り方が勉強になった。習ったことを忘れず、将来はプロ選手になりたい」と笑顔で感想を話した。
  山倉さんは「宮古の子供たちは『うまくなろう』とする姿勢がうかがえる。これからもプロ選手を目指して頑張ってほしい」とエールを送った。
  山倉さんは福岡県出身。1978年にドラフト1位で早稲田大学から巨人に入団。セ・リーグを代表する捕手として活躍し、87年には、巨人の捕手としては初めて最優秀選手(MVP)に輝いた実績を持つ。
  山倉さんはきょう23日には、城辺町のオーシャンリンクス宮古島で行われる、新潟県中越地震被災者支援チャリティーゴルフコンペ(主催・巨人ファンクラブ「てぃだの会」)に参加する予定。

 写真説明・元プロ野球選手の山倉さんが、児童・生徒たちに熱心に指導した=22日、平良市営球場

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「健全育成」などテーマに意見交換/県PTA研究大会

 「育てよう生きる力、ワイドーの心を!」〜自立・共生・創造の人づくり〜をスローガンに、第47回県PTA研究大会宮古大会(主催・県PTA連合会、宮古地区PTA連合会)は22日、宮古5市町村7会場の分科会で始まった。同大会の宮古開催は8年ぶり。県内各地から約1200人の会員が参加し、「組織・運営」「健全育成と地域活動」「家庭教育」などのテーマに分かれ、PTAの役割について意見を交わした。きょう23日は午前9時から、平良市総合体育館で全体会が開催され、記念講演や各種表彰のほか、大会宣言を採択する。
  このうち北中学校体育館での特別分科会では、「自他の生命や人権を大切にする教育を考える」を議題にシンポジウムが行われた。北小学校PTA副会長の上里栄子さん、粟国村立粟国小中学校校長の大城徹さん、県教育庁生涯学習振興課指導主事の長浜真浩さんがパネリストとして登壇し、それぞれの立場から意見を発表した。伊良部中学校校長の下地玄幸さんがコーディネーターを務めた。
  北小PTAの上里さんは、「豊かな心をはぐくむための環境づくりこそがPTA活動の大きな目的。親と子の触れ合いが豊かな心を育成する大切な環境づくりだと考える」と持論を展開。週に 1度のペースで行っている始業前の読み聞かせ活動などを紹介し、「子供は地域ぐるみで育てるものであり、学校で子供たちと顔見知りになることで校外でも声を掛けやすくなる」など、その意義を強調した。
  粟国小中の大城さんは福祉施設でのボランティア活動や学校での人権教育に関する研究授業などについて説明。「人権教育の内容に迫る前に、子供たちの成長のために学校教育や家庭教育、社会教育が一体となるネットワークづくりを進めなければならない。学校と地域の距離を縮めることが先決」と課題に言及した。
  県教育庁の長浜さんは、スクールカウンセラーの配置など、人権教育にかかわる行政としてのさまざまな取り組みを挙げ「学校教育においては、豊かな人権感覚が十分身に付くよう、ボランティア活動や自然体験活動などを実施し、家庭や地域では関係機関と信頼関係を築き、差別や偏見のない個々の人権が尊重される社会をつくることが大切だ」との意見を述べた。

 写真説明・県内各地からPTA会員が集い、その役割などを考えた分科会=22日、北中学校体育館

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民族の誇り強調/アイヌ古式舞踊公演

 「アイヌ古式舞踊公演in宮古」(主催・同公演実行委員会)が22日、平良市中央公民館で開催された。アイヌの人たちが伝統の歌(ウポポ)や演奏、踊り(リムセ)を晴れやかに披露、訪れた観衆はアイヌ民族の間で継承、発展を続けてきた古式舞踊の数々を堪能した。
 公演は午後2時から開かれ、はじめに出演者の代表が「私たちはこれからもアイヌ民族の伝統を引き継いでいく」と話し民族の誇りを強調した。
  この後、公演がスタート。15人ほどの出演者が円座になりウポポ8曲を披露した。
  続いてトンコリという楽器演奏があり、アイヌ民族特有のギターのような弦楽器を使い、静かな音色を会場に響かせた。
 公演の締めはリムセという踊り。種まきや大地を踏みしめる様子をダイナミックに表現したほか子守歌(イフンケ)を披露した。最後はポロリムセという宮古のクイチャーのような踊りを見せた。曲の途中、出演者が観客席で踊ると数人の観衆が一緒に踊り、北と南の人たちがアイヌ文化を通して交流を深めていた。
  アイヌ民族 北海道に古くから住んでいた民族だが、居住年代は1万年くらい前という説から5000年前からとする説など学説は一致しない。明治時代に本州から多くの移住者が北海道に入ったことで、アイヌの人たちは生活や生産の手段を失い貧困にあえいできた。近年にいたるまで、いわれのない多くの差別を受けてきた。

 写真説明・リムセ子守歌(イフンケ)を披露する出演者=22日、平良市中央公民館

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光さがさず、自分が光に/ハンセン病女性の生涯熱演

 「光ってものをさがすんじゃない、自分が光になろうとすることなんです」―。ハンセン病を患い、視覚や体中のほとんどの感覚を失いながら懸命に生きた女性、藤本としさんを描いた一人芝居「地面の底がぬけたんです」の公演が21日夜、マティダ市民劇場であり、舞台女優の結純子さんが約2時間にわたって熱演した。来場した観客は結さんの迫真の演技にかたずをのんで見入った。公演は県と県人権啓発活動ネットワーク協議会が主催する人権啓発活動の一環。
  藤本としさんは1901年、東京・芝琴平町の生まれ。18歳で自分がハンセン病であることを知り、計り知れない衝撃を受けた。「地面の底がぬけたんです」は、このときの藤本さんの心境を表した言葉だ。
  その後、両親を亡くし、何度も自殺を図ったが果たせず、以来各地の療養所を転々とした。その間に全身の感覚は次々とまひしていき、47歳で失明した。しかし藤本さんは感覚の残された舌で点字を読んだ。この芝居の元になった同名の随筆集は、藤本さんが残した自伝的な聞き書き。87年、岡山県の国立療養所邑久光明園で86歳でこの世を去った。
  失明した後も舌での点字訓練に耐え、「光なんてもんはどこかにあるもんじゃない。光ってものをさがすのでなく、自分が光になろうとすること」という思いで生きた藤本さん。結さんはその魂が乗り移ったかのように、過酷な生涯を演じ切った。
  公演を終えた結さんは「私の母も東京生まれの東京育ち。としさんに縁を感じ、本が絶版になることが残念で一人芝居を続けている。そのおかげで療養所におられる目の見えない方々と友達になれた。そのご苦労だけでなく、素晴らしい方々を表現したい、という思いで舞台に立っている」と話した。
  仙台から宮古を訪れ、この公演を見る機会に恵まれたという千葉礼子さん(69)は「としさんの『自分が光を放つ』という考え方に感動した。素晴らしかった。これからの自分の生き方も、そのようにしていきたい」と語った。
  芝居に先立ち、宮古南静園自治会長の宮里光雄さんが登壇した。宮里さんは「藤本さんは極限の中で障害を克服し、想像を絶する努力で自分の世界を確かにした。人間としての機能の大部分を失いながら、精神的自立で失われた一筋の光芒をつかんだ」と話した。

 写真説明・藤本としさんの生涯を熱演する結純子さん=21日、マティダ市民劇場

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フラワーフェスきょう開幕/うえのドイツ文化村

 沖縄花のカーニバル2005 第 3回フラワーフェストinうえの(主催・上野村、同村観光振興協議会など)がきょう23日、開幕する。2月27日まで。メーン会場のうえのドイツ文化村では、午後2時からオープニングセレモニーが行われるほか、「押し花オリジナルメッセージカードづくり教室」、150人に花の苗をプレゼントするイベントが催される予定。
  開幕前日となった22日、同文化村ではサルビア、ベゴニアといった9種類の色彩豊かな花々を並べる作業など、関係者が準備に追われていた。
  また、期間中は「Welcome Flowerキャンペーン」を展開し、同村内のホテルや観光施設、ゴルフ場などの玄関ロビーや広場を独自のアイデアで飾花する。

 写真説明・ 開幕に先立ち、色とりどりに開花した花々に見入る観光客ら=22日、うえのドイツ文化村

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