200平成1  22曜日

3カ所で不法投棄を確認/車解体業者逮捕

 無許可で使用済み自動車(廃車)を解体・破砕処理したとして自動車リサイクル法(破砕業の許可)違反の疑いで平良市内の鉄スクラップ輸出入業者の経営者ら3人が逮捕された事件で、宮古警察署・県警生活保安課合同捜査班は21日午前、前日に引き続き、平良市荷川取の同社廃車置き場で現場検証を行った。廃車置き場からは3カ所目となる不法投棄現場が確認された。午後からは同市西原の鉱山でも検証が行われたが、不法投棄は発見できず、きょう22日も引き続き検証が行われる。

 荷川取の廃車置き場では3カ所目の不法投棄が見つかった。確認された3カ所の中で一番深い地中約5メートルまで、廃タイヤやバッテリーなどが次々に掘り出された。
 西原にある鉱山は以前、約3000台の廃車が野積みされていた現場。同社がプレス機を使用して撤去したが、廃タイヤや圧縮処理時に出た鉄くずなどが大量に放置されたままとなっていた。
 捜査班は廃車置き場と同様に廃タイヤなどを地中に埋めたとして、検証を行った。この日の検証では結局、地中に埋められた廃棄物は見つからなかったが、捜査班はブルドーザーで放置されている廃タイヤなどを撤去し、改めて地中に埋められた廃棄物を調べる方針。
 鉱山の現場検証では伊志嶺亮市長も捜査を見守り「許可が下りないまま処理しているとは思わなかった。市としても今後、パトロールを強化して不法な処理をしていないか監視したい。市民と行政が協力して取り組んでいきたい」と述べた。
 同鉱山の所有者は「廃タイヤも機械でチップ化すると聞いていた。本当に地中に廃棄されているのか信じられない」と困惑した表情を浮かべた。
 宮古署によると櫻井哲容疑者は容疑を否認。妻賢恵容疑者は「廃車を買い取ったが、プレスしていない」と一部否認。濱田繁容疑者は「会長(哲容疑者)に指示されて(プレス処理を)やった」と容疑を認めているという。
 3人は共謀の上、昨年11月3日ごろから今月3日ごろまでの間、重機やリサイクルプレス機を使用して、解体自動車212台の圧縮など破砕前処理を、県知事の破砕業の許可を得ずに行った疑い。宮古福祉保健所の再三の指導を無視し営業を行ったため、同所に告発された。

 写真説明・3カ所目の不法投棄現場が確認され、廃タイヤなどが掘り出された=21日、平良市荷川取

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埠頭の一部を無許可使用/逮捕業者・市港湾課の指導無視

 20日に自動車リサイクル法違反で宮古警察署と県警生活保安課合同捜査班に逮捕された平良市内の輸出入業者「テッツェ」の実質経営者櫻井哲(54)=同市松原=と妻賢恵(41)、現場責任者濱田繁(47)=上野村宮国=の3容疑者が昨年4月から、平良市港湾課が管理する第一埠頭の荷さばき地を長期間無申請のまま使用していたことが21日の本紙の取材で分かった。
 同日には捜査班の2人が同課を訪れ、職員にこれまでのいきさつや使用期限などを確認した。
 テッツェの昨年末までの未納利用額は94万5000円となっており長期間、申請のないまま無許可使用させていた港湾課は「平成13年から何度か申請して、許可を受けて借りていたが昨年4月からは申請書を出さずに無許可で使用していた。これまでにも口頭、文書で明け渡すよう通告し、指導してきたが言うことを聞かなかった」と話した。テッツェが無許可使用していたのは第1埠頭の1000平方メートルの荷さばき地でそこにスクラップを持ち込み、船に積み込んでいたようだ。
 一方で、テッツェと平良市は、昨年3月に下崎地区の埋め立て地売買契約を締結。売買代金8000万円のうち1000万円は平良市に支払われたが、残金の7000万円については期限を過ぎても支払われず同11月29日に契約解除となっていた。
 こうした状況から平良市としてもテッツェに対して長期間にわたる荷さばき地無許可使用について強く出られなかったことも予想される。
 無許可使用期間の使用料請求について同課は「昨年10月に同月までの納付書をテッツェに送ったが納金されていない」と説明したが、テッツェの事務所は港湾課と同じ平良港マリンターミナルビルの同じフロアにあることから、「なぜ長期間も無許可使用を許したのか」などの指摘も受けそうだ。
 契約破棄となった下崎埋め立て地の市有地にもいまだにテッツェの廃棄物が山積みされた状況で、昨年の契約解除後も使用している形になり市当局は使用料を請求する構え。今回の荷さばき地無許可使用分も94万5000円となっており、同社に対する平良市の対応が注目される。

 写真説明・テッツェが無許可で長期間使用していた荷さばき地=21日、平良港第1埠頭

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知念女流本因坊に允許(いんきょ)/東京で就位式

 【東京で菊地優子記者】囲碁の第23期女流本因坊就位式が21日、東京丸の内の東京会館で行われ、女流本因坊位を5年ぶりに奪回した知念かおりさんに日本棋院から允許状(いんきょじょう)、主催の共同通信社から賞金と賞杯が贈られた。
 知念さんは昨年の9月−11月にかけて行われた五番勝負で、当時の女流本因坊小林泉美(女流名人・JAL女流早碁)を退けて、5期ぶりの返り咲きを果たし、本因坊位に就いた。
 共同通信社の山内豊彦社長は「タイトル奪取、おめでとうございます。古巣に戻られた気持ちではないでしょうか。先輩夫婦のキャリアが勝ったのでしょう」とあいさつした。知念本因坊は「今日の就位式で、やっと実感がわいてきました。小林さんと対局できるというだけでうれしかったが、見守ってくれる方たちのおかげで良い結果につながったと思う」と謝辞を述べた。知念さんの父親である知念正夫さんは「1局目は負けたが、2局目で勝ててほっとした。まさかのまさかの3連勝だった」と顔をほころばせた。
 会場には知念さんの家族や親せき、各界から大勢の関係者が駆け付け、知念かおり本因坊の就位を祝った。

 写真説明・共同通信社の山内社長(左)から賞杯を受け取る知念本因坊=21日、東京会館

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遠のく美ぎ島、不法投棄続く/城辺町・撤去した場所にまたごみ

 「誰がいったい、なぜ?」―。昨年3月、城辺町が多額の予算を投じてごみを一斉撤去した城辺町の比嘉、吉野の両地区に、またも大量のごみが不法投棄されている。同町保健課の池村直記課長は「どうしようもない状況。これだけ清掃活動をしているのにまったく分かってくれない。もうごみを撤去する予算もつけられない」と現状を嘆いた。ごみは家庭から出たと思われるものがほとんどで、住民が捨て、町が撤去し、また住民が捨てるという住民と町のいたちごっこが続いている。「美ぎ島宮古」は遠のくばかりだ。
 比嘉の不法投棄場所は仲尾峰ファームポンドの近くで、人目に付きにくい場所だ。この場所は町が昨年3月、ごみの一斉撤去を実施したばかり。その場所にまたしても空き缶や空き瓶、洋服、書類、冷蔵庫、車のタイヤ、洗濯機など大小さまざまなごみが捨てられている。
 「崖下の大量ごみ」で知られる吉野地区の現状もひどい。ゴルフ場の裏側にある崖下のごみはもとより、その崖に行くまでの農道沿いに100メートル以上にわたってトタンや廃タイヤ、ホイール、大型の流し台、冷蔵庫などありとあらゆるごみが散乱している。
 町保健課は定期的にパトロールを実施して監視してきたが月日とともに増えていったという。池村課長は「以前は領収書など誰が捨てたのか分かるごみも捨てられていたが、今はそのようなごみもなく、不法投棄が悪質化している」と現状を説明した。その上で「今後は部落民総出による清掃活動も考えなければならないと思う。部落の責任という意識を持ってもらいたい」と今後の対応を話した。さらに「これまで以上に警察と連携して監視する」と強調し、告発も視野に入れた強い姿勢で臨むことを強調した。
 比嘉地区出身の照屋秀雄議員は「大変な問題だと認識しており、今後は部落が一丸となって不法投棄をなくしていけるような取り組みを講じる必要がある」と話し、併せて役場当局との連携も強調した。
 同町には環境美化推進条例があり、不法投棄した場合は5万円以下の罰金が科される。

 写真説明(上)・流し台や冷蔵庫、廃タイヤなどあらゆるごみが農道沿いに散乱している=21日、城辺町吉野
 写真説明(下)・昨年ごみを一斉撤去した場所にまた大量のごみが不法投棄されている=21日、城辺町比嘉

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関節症で新治療法開発/国立名古屋医療セ・新城清医師(宮高卒)

 平良市出身で国立病院機構名古屋医療センター形成外科医長の新城清医師(61)=写真=がこのほど、変形性関節症や骨壊死(骨の組織が死んでしまうこと)の新しい治療法として、骨の中にたまる関節液を骨外へ排除する方法を開発した。入院の必要がない短時間の手術で、ほとんどの患者の経過は良好だという。新城医師は「この治療法は体に優しく、(現在主流の)人工関節よりも効果は大きい。整形外科医ならできる治療であり、国内だけでなく世界中に広めたい」と話し、全国の医療機関に資料を送付するなど同治療法の周知に努めている。
 変形性関節症、骨壊死により日本では年間約10万人が人工関節手術を受けている現状があり、その数は増加の一途をたどっている。しかし新城医師は人工関節について、「治せば十分使える大事な関節を切除することや、大きな異物を体の中に入れるのが問題だ」と指摘する。人工関節では患者の約3%に感染症が起こり、その場合は人工関節を取り除かなければ感染が治まらない。また術後5−10年が経過すると、人工関節を支える骨がもろくなり骨折や脱臼などの合併症を併発して、約30%の患者が人工関節の入れ替え手術を必要とする。変形性関節症や骨壊死の原因は現在でも不明とされているが、新城医師は長年の研究から関節に付いた傷口が入り口となり、関節液が骨内に広がることが原因と推定。これを骨外に抜く方法を開発した。
 新城医師が「骨髄ドレーナージ法」と名付けた手術法は、骨に直径9ミリの穴を開け、直径8ミリのピンを入れてそこからたまった関節液を除去するもの。手術時間は局所麻酔で15分前後と短く、術後ほどなくして痛みは収まるという。2年前から施術した中で変形性関節症では31例中30例、骨壊死では11例中9例で症状が好転した。車いすで生活していた86歳の女性が、手術の翌日には歩行器を使って歩けるようになった例もある。
 新城医師は来月3、4日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで行われる日本人工関節学会に出席する。その後、4−6日に宮古に里帰りする予定。

 新城 清(しんじょう・きよし) 1943(昭和18)年11月7日生まれ。平良中学校、宮古高校、大阪大学医学部卒業。70年8月、医師免許証取得。名古屋大学医学部整形外科学教室勤務、国立名古屋病院整形外科勤務、岐阜県厚生連久美愛病院病院整形外科部長などを経て、86年より国立名古屋病院(現・国立病院機構名古屋医療センター)形成外科医長。

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民族衣装など展示/平良市総合博物館・アイヌ工芸作品展開幕

 平良市総合博物館では21日から2月20日まで、企画展示室にて「アイヌ工芸作品展in宮古」(主催・小河原憲子、伊澤ふさ子、内浦きよ子)を開催している。
 アイヌ文様刺しゅう作品・伝統作品の民族衣装やマタンブシ(鉢巻き)のほか、創作作品の▽テーブルセンター▽ポシェット▽タペストリー▽バッグ、木彫工芸作品のハシや茶さじなど、約160点の作品を展示。
 23日までアイヌ文様刺しゅう作品実演も行われ、北の大自然がはぐくんだ伝統美、アイヌ伝統工芸を間近に見ることができる。
 問い合わせは平良市総合博物館(電話0980-73-0567)まで。

 写真説明・民族衣装やタペストリーなど約160点が展示されている=平良市総合博物館

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