200平成16  1125曜日

合併目前 一転、廃案へ/下地町議会

 「平良市・城辺町・伊良部町合併推進協議会」(会長・伊志嶺亮平良市長)への加盟について審議する下地町議会(川満廣俊議長)と上野村議会の臨時会が24日、両議会議場で行われたが1人が退席で全会一致可決の上野村議会に対して下地町議会は、町当局が提案した「合併推進」決議案について議員と当局との意見が平行線をたどったまま、午前零時直前に流会。「合併推進」決議案と「合併法定協参加」の議案は廃案となった。今後の見通しは立っていない。
 この日の下地町議会は臨時会前に全員協議会を開き、以前同町の「市町村合併に関する調査特別委員会」が「単独自治体として自立すべき」との判断を下していることについて指摘がされたことから同委員会を再発足させて協議し直すことを決定。
 これを受け約2時間遅れで開会した臨時会をすぐさま休憩し、その間に同委員会を発足させて協議した。その結果、「合併推進」の判断となり、同委員会の判断は臨時会に報告され議員は全会一致で承認した。
 ところが、町当局が「宮古5市町村合併推進に関する決議」提案したことに対し、議会と当局との見解がかみ合わず長時間にわたり空転。結局、午前零時直前に川満省三町長が「宮古5市町村合併推進に関する決議について」の決議案と「平良市・城辺町・伊良部町合併推進協議会への加入について」の議案を廃案にし、臨時会を流会することが示されて幕引きとなた。
 流会後、川満町長は「廃案になり残念。再提案についてはこれから検討する」と話し、「できれば合併は推進したい」と合併賛成の立場を再度崩さなかった。しかし、平良市議会は30日に臨時会開催を予定し、この日の告示がタイムリミットだったことから、同町の合併加盟は困難な状況となった。
 川満議長は「議会の混乱を避けたい。少数意見を大事にする」と発言。その結果が採択せずに「廃案」との結論が導き出された。
 深夜に及んだ同町議会のドタバタ劇は本筋について審議することなく臨時会の流会となった。
 一方、上野村議会(平良隆議長)は24日午前、臨時会を開き、「宮古5市町村(平良、城辺、伊良部、上野、下地)合併推進に関する決議について」、「平良市・城辺町・伊良部町合併推進協議会への加入について」の2議案を審議し、全会一致で可決した。合併を推進していた同村の川田正一村長は「議会に理解してもらい、うれしく思う」と述べ、村当局と議会が一体となって今後の合併論議に取り組むと明言した。
 質疑で新里聡氏は「5、4市町村枠いずれの合併にも反対」と主張、@合併により平良市、伊良部町の赤字を私たちも負担しなければならないA上野村は他市町より、インフラ整備が進んでいる。そのため、合併後、整備率の低い他市町に事業が集中することが予想できる―などの反対理由を説明し、川田村長の見解を求めた。
 川田村長は「合併後すぐにバラ色になるとは思っていない。合併後の旧上野村をどのように発展させるかは今後、議会とともに考えたい」と答えた。
 同様に反対姿勢を示していた上地博通氏は「合併しなければ住民サービスが低下するというが、具体的説明がされていない」と質問。川田村長は「1、2年後でなく、10年後、今より住民サービスを向上させるのが目標。そのため、合併後も行財政改革を行っていかなければならない」と説明した。
 採決の際、新里氏は「村長に一任した以上、これ以上言うことはない」と述べ、退席。平良議長が残る10氏に採決を求めたところ、全会一致で両案を可決した。
 閉会後、川田村長は「これから協議会に参加し、上野村の考え方、宮古圏域のためになるような意見を出していきたい」とコメントした。

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「在任特例」適用を確認/合併3市町

 平良市・城辺町・伊良部町の市町村合併論議に伴う「議会議員の定数および任期に関する検討委員会」(新城武男委員長)の第3回会議が24日、城辺町農村環境改善センターで開かれ、挙手による採決の結果、合併後の一定期間、3市町の現行の議員が在任できる「在任特例」を適用することを賛成多数で確認した。特例の適用期間は次回委員会で協議し、12月22日開催予定の合併推進協議会に報告、協議される見込み。定数については特例を適用せず、法定定数の26で確認した。
 在任特例を適用する理由としては▽合併後の市長と議会議員の同日選挙と、それによる市民の混乱を避けたい▽合併後の新市における予算編成等で現在の議員が各市町の意見を反映させたい―が主な理由となっている。会議では議会議員の委員が前回の委員会同様、在任特例の適用を主張。これに住民側からは賛否両論の意見が出された。結局、新城委員長から挙手による採決が提案され、その結果、在任特例の適用に賛成する委員が16人と多数を占め、同委員会として在任特例を適用する方向性を確認した。
 城辺町議会議長の伊志嶺幹夫委員は「これまで進めてきた市町村合併の推移を、私たちがしばらくの間チェックしたい。同時選挙をすると、地域の声がいきなり減る可能性もある。地域の声を議会に反映していくことは私たちの仕事だ」と説明。伊良部町議の謝花浩光委員は「伊良部町議会は在任特例の10カ月の適用でまとまっている。合併後の新市で予算が完全に執行されたかを見届けるのが目的」と述べた。
 これに対し学識経験者から平良市の森田義海委員は「合併後の新市の予算執行などを見届けたいのは分かるが、同時選挙を行って住民の信を問うべき。私の周りでは10人が10人とも特例は反対だと言っている。見届けたいのなら極端な話、『もう一度立候補すれば』と言いたくなる」、城辺町の前里財徳委員は「合併によって三役はみな失職する。議員も痛みを分かち合うべきだ。一般の声を聞くと新しい市長と議員で新市をスタートすべきという意見が多い。選挙を2度やればその選挙費用もかさむ」などと特例適用に強く反対した。
 一方住民側でも平良市の下地勝子委員は「市長選と議員選挙は別に行う方が、市民の意見が反映されるという人が多い」、伊良部町の池間作一委員は「現実的に在任特例は適用した方が良い。郡部で合併反対の声が上がっているのは地域の声が届かなくなるのではという懸念があるから。最初は地域の声を反映してもらいたい」と述べ、在任特例の適用に賛成した。
 平良市議の川満俊夫委員らは「平良市議会では同日選挙を避けるべき、との理由で6カ月以内(の特例適用)という柔軟な結論になった」などと説明し、できるだけ短い期間の特例適用との考えを示した。
 在任特例 合併後2年以内は選挙なしで新市の議員に在任できる特例

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宮工高が全国初制覇/エコデンレース

 全国の高校生が自作の電気自動車の走行距離を競う「’04エコデンレース」(主催・全国自動車教育研究会)が23日、大阪府で行われ、県立宮古工業高校(内間誠治校長)の「BassiLine(バッシライン)2004」号がワイパーモーター部門で優勝した。初の全国制覇を果たしたメンバーは24日夕、胸を張って帰島。3年連続でドライバーを務めた平良翔太君(3年)は「3年間取り組んでようやく優勝できた。本当にうれしい。支えてくれた皆さんのおかげ」と満面の笑みだった。今回同校から初めて乾電池部門に出場した「マクガン」号は、目標の完走を果たし21位となった。
 ワイパーモーター部門は、車のワイパーモーターを50ccバイクのバッテリーで動かし、1時間の走行距離を競う。BassiLine2004号は1周300メートルのコースを35周(10・5キロ)走り、2位に4周(1・2キロ)差をつけた。
 メンバーは休日返上で改良を重ねた。リーダー役の平良君は「学校では何度も試走した。レースには、風や路面状況などを考え一番良い状態を見極めて臨んだ」と振り返り、喜びをかみしめた。
 引率した玉城厚司教諭は「目標の10キロを超えて安心していたら、大きなおまけが付いた。みんなが協力し合い、自分の役割を果たした結果だ」と話し、出迎えた教職員や父母らに感謝した。
 内間校長は「夢が実現した。毎日遅くまで取り組んだ生徒、職員の頑張りをたたえたい」と大喜びだった。
 出場した生徒は次の通り。(敬称略)
 【BassiLine2004号】▽ドライバー=平良翔太▽ピットマン=下地清隆、安元祐介▽カウント係=友利康浩
 【マクガン号】▽ドライバー=下地優貴▽ピットマン=仲宗根章仁▽カウント係=友利進弥

 写真説明・「’04エコデンレース」で優勝した「BassiLine2004」号と、乾電池部門で完走した「マクガン」号のメンバーら=24日、宮古空港

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事業系ごみ、早期に有料化へ/平良市財政非常事態克服本部

 平良市財政非常事態克服実践本部(本部長・伊志嶺亮市長)の第10回本部会議が24日、同市役所であり、受益者負担の観点から事業系ごみの有料化に向け早急に調整に入ることを確認した。また、ゆいみなぁ(同市働く婦人の家)、市営球場、テニスコートなどの使用料の減免措置停止を決定。住民票や戸籍関係書類などの発行手数料についても、県内11市の最高額に合わせる方向で、12月議会への上程に向け調整を進める方針だ。
 生活環境課の試算によると、2003年度の事業系ごみは96万3810キロで、この量で1キロ当たり25円の費用を徴収すると、2400万円余のごみ処理費用を歳入として計上できる。逼迫(ひっぱく)する財政の健全化を目指す当局は、一般家庭ごみも含め早期に有料化を目指したい考えだが、議論の結果、まずは事業系ごみの有料化を目指すことで一致した。早い時期に宮古清掃施設組合の幹事会、合併推進協議会の幹事会などで調整する方針。一方、一般家庭ごみの有料化について同課は、市民への周知に時間がかかるとして慎重な姿勢を示した。
 市が管理・運営する施設は、市の主催・共催事業などいくつかの用途で減免措置が認められてきた。しかし同本部市民委員会などの議論を踏まえた今回の会議の結果、▽ゆいみなぁ(平良市働く婦人の家)▽平良市体育センター(市営球場)▽カママ嶺公園庭球場―の3施設とシルバー人材センターが使用する以外の平良市勤労青少年ホームについて減免措置の停止を決定した。
 住民票や戸籍、税務関係書類などの発行手数料に関しては、企画室から平良市を含む県内11市の現状が示された。この中で平良市が最高額になっていない住民票抄本など11項目を見直し、12月議会に条例改正案を上程する方針を確認した。

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「篠原鳳作の世界展」開幕/俳句や写真など一堂に

 昭和初期に宮古島で3年半教べんを執り、無季俳句で優れた才能発揮した鹿児島県出身の篠原鳳作(しのはらほうさく)。23日午前、「俳人 篠原鳳作の世界展」(主催・平良市立図書館、主管・鳳作の会)が同図書館で幕開けし、大勢の市民が訪れて俳人、鳳作の叙情作品群に感動していた。12月3日まで。
 同日午前9時の同館前のテープカットでは、伊志嶺亮平良市長、久貝勝盛同市教育長、上地照子鳳作の会代表の3人がはさみを入れた。
 同館2階の主会場には、「篠原鳳作年譜」や「写真でふりかえる鳳作の姿・俳句25選」「旧制宮古中学校時代の鳳作」「父・篠原鳳作について」「カママ嶺公園に鳳作句碑の建つまで」「鳳作関連書籍・新聞資料等」「宮古の俳句の今」「鳳作展記念吟行会作品展示」のコーナーが設けられている。
 鳳作の写真・資料などの提供では、鳳作の長男である正義氏、鳳作の甥壽宏氏、鳳作の教え子の平良雅景(賀計)氏らが協力した。来場者らは、宮古で撮られた鳳作のモノクロ写真を見入り、俳句の作品に陶酔された。

 篠原鳳作(しのはら・ほうさく) 1906(明治39)年生まれ。本名国堅鹿児島県鹿児島市出身。29(昭和4)年に東大法学部卒業。31年県立宮古中学校(現在の宮古高校)に教諭として赴任。34年鹿児島第二中学校に転任。36年に死去。享年30歳。
 宮古に教師として赴任中、無季俳句への理論研究と実作に情熱を傾けた。カママ嶺公園に建つ句碑の「しんしんと肺碧きまで海の旅」は、代表作の一句。客船で鹿児島県へ向かう途中に見た紺碧色の海を詠んだものという。鳳作は優れた数々の俳句を発表。今では「新興俳句の旗手」「夭折の詩人」として全国的に有名。

 写真説明(上)・大勢の市民が訪れ、俳人、篠原鳳作の叙情作品群に感動していた=24日、平良市立図書館
 写真説明(下)・宮古島に暮らしていた時の篠原鳳作

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校名同じで友情深める/岩手県の宮古工業高校が来島

 県立宮古工業高校(内間誠治校長)と同名の縁で交流を深めている岩手県立宮古工業高校(及川敏昭校長)の生徒らが24日、同校を訪れ、交流会を行った。
 きょう25日まで、授業参観や野外活動などを通して北と南の友情を深める。
 来校したのは、佐藤善徳生徒会顧問と前生徒会長の竹山剛史君(3年)、現生徒会長の箱石善昭君(2年)の3人。交流会では、宮古島の工業生らが三線演奏や手作りのサーターアンダギーをプレゼントして歓迎した。
 この後、授業の様子や校内を見学し、宮古少年自然の家に移動して野外炊飯や夜間ハイクなどを体験した。宮古島の工業生は、14人が参加して楽しい思い出をつくった。
 交流会で竹山君は「宮古島は海がきれいで緑が多い。学校行事などの情報交換するなどして交流を深めながら、沖縄の自然を満喫したい」と話した。
 内間校長は「2400キロ離れているが、同じ名前の工業生同士、心を1つにして互いのきずなを深めてほしい」とあいさつを述べた。

 写真説明・授業の様子を見学する佐藤教諭(左から2人目)、箱石君(同4人目)、竹山君(同5人目)=24日、県立宮古工業高校

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