200平成16  1124曜日

特別・秀墨賞146人を表彰/全宮古書道展表彰式

  第23回全宮古書道展(主催・書心会、宮古毎日新聞社)の表彰式が23日、平良市内のホテルで行われた。高校・一般の部大賞の下里真智子さん(雅号・双楓)、児童の部で大賞に輝いた平良静香さん(北中3年)ら特別賞57人と、児童・生徒に贈られる秀墨賞89人の計146人が表彰を受けた。受賞者を代表して下里さんは「受賞は思いがけない朗報だった。これをステップに、急がず、奥深い書の道を書友と共に歩みたい」と喜びを示した。

 表彰式は、第1部(秀墨賞)が午前10時30分から、第2部(特別賞)が午後1時30分から、それぞれ挙行された。
 第2部の主催者あいさつで宮古毎日新聞社の松原清吉編集局顧問は「宮古の書道熱は年々高まる一方。今回、1000点余りの作品が寄せられたのがその証しだ。出品された皆さんは、これからも書に対する熱意を新たにし、心と技を磨いて、立派な作品を残してほしい」と述べ、受賞者を激励した。
 式では書心会の天久宏会長や本社の松原編集局顧問をはじめ、宮古市町村会長の伊志嶺亮平良市長、宮古市町村議会議長会の池間青昌会長(平良市議会議長)らが賞状を手渡した。受賞者は緊張の面持ちで賞状を受け取り、会場に訪れた多くの家族や友人らと喜びを分かち合った。
 宮城公子審査委員長は「小学校低学年まではどの作品も元気よく力強さがあり、中学年、高学年は正しく美しく書くことへの自覚が感じられる。中学生は練習不足で『あと一歩』の作品が多い。高校・一般の部は文字だけでなく、筆や紙、墨など細かい部分まで気を配ってほしい」などと講評した。
 受賞者代表の下里さんは「受賞は、良い師の適切な指導と周りの支えがあったからこそ。身にしみて感じている。中学時代の恩師から祝福のはがきも届き、じーんときた」と感極まっていた。
 今回の書道展には、初めての出品となる宮古養護学校の児童・生徒の作品を含む1012点の応募があった。展示会は今月12日から14日に平良市中央公民館で開催。応募作品や招待作品に加え、沖縄県の発展に尽くした元衆院議員で平良市名誉市民の故山中貞則氏が愛用していた筆や硯などの特別展も行われた。
 
 写真説明(上)・児童の部で特別賞を受賞した児童・生徒ら=23日、平良市のホテルアトールエメラルド宮古島

 
 写真説明(下)・高校・一般の部の特別賞を受賞した皆さん=23日、平良市のホテルアトールエメラルド宮古島

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新種のエビ、洞穴で発見/宮古浮沈説再考か

 ヒメヌマエビ属の一種の新種エビがこのほど、宮古本島の洞穴地下水域から発見され、またオハグロテッポウエビ(テッポウエビ科)が宮古では初めて確認されていたことが23日、分かった。2種のエビを見つけた琉球大学非常勤講師の藤田喜久氏(31、岡山県出身)と同大大学院生の川原剛氏(23、福岡県出身)の2人は「2種とも淡水性のエビ。宮古島は、かつて島が海中に沈んでいたと考えられているが、その場合は淡水性のエビは生きられない。古地史を再考する必要がある」と話し、宮古が予想以上に淡水性のエビの宝庫であることに驚いていた。
 琉球列島に生息するヌマエビ科のエビ類について、これまで諸喜田茂充同大教授が7属18種と発表していた。今回宮古で発見された新種エビで19種になる可能性が高くなった。
 オハグロテッポウエビは、環境省レッドデータブックでは危急種に指定。これまで南大東島の洞窟や八重山の黒島の古井戸などで確認されている。宮古での生息が確認されたことから、生息分布が拡大した。
 藤田氏らは、新種エビとオハグロテッポウエビのほかに、宮古本島でチカヌマエビ(ヌマエビ科)も見つけた。チカヌマエビは、宮古では2001年に伊良部島で初観察され、同ブックでは希少種で掲載。体長は3種とも2−3ミリ。
 藤田氏らは「宮古でエビが生息する地下水域では、最近不法投棄のごみが増えており、環境汚染が心配」と語り「地下水が汚染されると、エビ類が滅びるのでは」と警鐘を鳴らした。
 近年宮古の洞穴地下水域に生息するエビ類や貝類などが全国の研究者の間で注目されており、今後各分野の研究者らが調査に着手するものと予想されている。

 写真説明(上)・宮古本島の洞穴地下水域から発見された新種エビ
 写真説明(中)・宮古では初確認されたオハグロテッポウエビ
 写真説明(下)・伊良部島に続いて宮古本島で観察されたチカヌマエビ

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歌や三線、踊りで魅了/第9回宮古民謡の夕べ

  宮古民謡保存協会が主催する第9回宮古民謡の夕べが21日、マティダ市民劇場で開催され、会員らが歌・三線に太鼓や琉球舞踊などを披露。満員の観客を魅了した。この日は6月に行われた第12回宮古民謡コンクールの新人、優秀、最高の各部門の合格者による歌・三線の演奏もあり、日ごろのけいこの成果を発表した。
 舞台は総勢約90人の大演奏「とうがにあやぐ」「大世栄」で幕開け。約80人の会員による荘重な演奏をバックに、久田本流久田多嘉子舞踊研究所の踊り手が優雅に舞い、観客の心をつかんだ。
 第1部の中盤、6月のコンクールの合格者が登場。それぞれ緊張した面持ちながら、新人部門が「豊年の歌」、優秀部門が「豆が花」、最高部門が「池間の主」をそれぞれ堂々と歌い上げ、観客から大きな拍手を送られていた。
 コンクール合格者のほか、各民謡研究所がハイレベルな合唱や独唱を披露。賛助会員の各舞踊研究所は琉球舞踊で舞台に花を添えた。
 主催者あいさつで、同協会の喜屋武稔会長は「会員一同は、宮古の文化遺産である宮古民謡をこよなく愛し、保存・継承して後世に伝えるべく研究を重ねて民謡の普及・発展に努めている。今回の公演を一緒になって楽しんでほしい」と述べ、大勢の観客や、日ごろの同協会への支援に感謝を込めた。

 写真説明・コンクール優秀部門の合格者は22人で「豆が花」を歌い上げた=21日、マティダ市民劇場

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久松小など6校が県大会へ/宮古地区小中学校音楽発表会

 第26回宮古地区小・中学校音楽発表会(主催・宮古地区小・中学校音楽研究会)が23日午後、平良市のマティダ市民劇場で開催され、小学校8校、中学校16校が参加して合唱や合奏を披露した。発表中の児童生徒の表情は生き生きと輝き、その気持ちが込められた歌声による合唱は会場の父母や祖父母の感動を誘っていた。発表後の審査で小学校の部は久松(5年)をはじめ、上野、東が、中学校の部は西辺、下地(3年)、平良が来月28日に沖縄市で開催される全沖縄学校音楽発表会に出場することが決まった。

 発表会は午後1時ごろ小学校の部で開演。西辺を皮切りに南、久松、上野、北などが次々と合唱を披露した。児童らは最後まで元気良く楽しそうに合唱していた。県大会出場を決めた東は大人数で「『こ』の歌」と「歌おう」をリズミカルに歌っていた。
 この後、中学校の部が行われ、はじめに平良中3年生が「大地讃頌」を重量感のある歌声で合唱し、会場の聴衆を引き付けた。続いて、福嶺中が伴奏なしで「狩俣ぬくいちゃ」を披露、テンポに強弱を付けた合唱は会場を大いに沸かせた。その後も各校の生徒が聴き応えのある合唱を次々と披露していた。「ブラックパンサー」を歌い県大会出場を決めた西辺の合唱は圧巻。男子、女子のハーモニーはもとより、各パート間のバランスも見事で、その完成度の高さが審査員から高い評価を得た。下地は息の合ったリコーダー四重奏で県大会出場を決めた。
 講評で審査員の黒澤吉徳さん(作曲家)は「素晴らしい合唱の数々で感動した」と評価。その上で「音楽全体に言えることは、歌う人も曲を書く人も楽器を弾く人もそれぞれ、その時間は幸せになれるということ。心地よい音楽、体全体に染みわたる音楽をこれからも続けてほしい」と児童生徒たちを激励していた。

 写真説明・小学8、中学16の各校が合唱を通して音楽の楽しさに触れた=23日、マティダ市民劇場

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鳳作賞に池間キヨ子さん/「篠原鳳作展」記念吟行会

 平良市立図書館(與那覇邦子館長)は、きょう24日から開催する「俳人 篠原鳳作の世界展」に先駆けて先月23日に行った記念吟行会の優秀作品と講評を22日、公表した。
 吟行会は、篠原鳳作の代表作「しんしんと肺碧きまで海の旅」の碑が建つカママ嶺公園周辺で行われ、22人が参加して計43点の投句があった。審査の結果、池間キヨ子さんの「神の留守鳳作の海黄濁し」が鳳作賞に輝くなど、計6点が選ばれた。選者は、藍の会主宰の真榮城いさをさんが務めた。
 同展は、24日から来月3日までの期間、同図書館で開かれ、今回の入賞作品も展示される。結果は次の通り。(敬称略)
 【鳳作賞】▽池間キヨ子「神の留守鳳作の海黄濁し」
 ▽講評=神の留守とは巷間の俗説をもとに生まれた江戸時代の季語。陰暦の9月30日には日本のもろもろの神は出雲にむかって旅立つ、といわれている。俳句の季語では「神の旅」。そして、そのころに吹く風を「神送風(かみおくり)」ともいう。
 作者は鳳作の「海の旅」の「碧さ」を想い、誘われるように鳳作の句碑のある丘に佇(た)ったとき、おりしも、もっとも大気の澄みわたる11月の海の黄濁しきった色に驚き、慄然とするのであった。
 俳句作法としては下五の「黄濁し」と男性的ともいえる勁(つよ)い把握に切迫感があり、情景をよく自分のうちに引き付けて詠んで、作者の心のありようまで見せてくれている。
 季語の「留守」という言葉には、さむざむとしたうつろな感じも出ていて、季語が活きている作品である
 【碧海賞】▽安田久太郎「色鳥の碧の一字を落しけり」
 ▽講評=色鳥とは秋の季節に渡ってくるいろいろな美しい小鳥たちのことである。
 「海の旅」の鳳作の肺を碧く浸した海。その海の碧に染まりながら千キロ以上もの旅をしてきた小鳥たち。その小鳥たちの中の1羽が、島にたどり着いたとき、碧色の一片を落としたと言うのである。「一字を落しけり」の自在な表現にひかれる。
 【海の旅賞】▽友利昭子「鳳作の丘にて風を聴くばかり」
 ▽講評=無季の句であるが、「風を聴く」に季節感がある。
 「風を聴くばかり」の素直な表現が快い韻となっているばかりでなく、一種の寂寥感を読者に伝えている。
 【竜舌蘭賞】▽砂川孝子「鳳作の句碑へ行く道花つるぼ」
 【浜木綿賞】▽渡久山和子「霜降の句碑の目覚める音のあり」
 【さしば賞】▽辻泰子「公園のほぼ中央や新松子」

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