【那覇支局】NTT西日本(森下俊三社長)は5日午後、沖縄本島から宮古、八重山への海底光ファイバーケーブル(総延長約460キロメートル)の敷設工事着工式を那覇港ふ頭で行い、工事の安全と先島の振興を期待した。同ケーブルは、地元や県の要望を受けて同社が自費で総工費約21億円をかけて敷設する。工期は2005年3月までで、同4月から供用を開始する予定。光ケーブル敷設により宮古、八重山でのブロードバンドサービスが可能となる。
式典は国や県、市町村関係者を100人以上招待して行われた。主催者あいさつで、森下社長は「宮古、八重山の地域振興で、光ファイバーの要望があり、県は国の支援を得て海底光ケーブル敷設促進に関する海上環境調査、IT需要・基礎調査を決定した。これを受けて、当社も積極的に取り組み今回の工事着工にこぎつけた。当社は単に通信を担当しているだけでなく、光ファイバーによって先島の今後の発展に協力していきたい」とし、地元の支援を求めた。
来賓代表であいさつした稲嶺恵一知事は「宮古、八重山地区への光ケーブル敷設については地元の強い要望を受け、国、県、地元市町村、通信事業者で構成する研究会を設け、さまざまな角度から実現に向けて検討を進めてきた。その一環で県では昨年両地区のインターネット需要状況と光ケーブル敷設に係る海洋環境調査を実施した結果、海洋環境に配慮した最適な海洋敷設ルートを設定できた。この調査を踏まえ敷設するNTTに敬意を表する。支援してきた内閣府、総務省、総合通信事務所に感謝する」と述べ、光ケーブルによる先島振興への寄与を期待した。
敷設船「すばる」の是枝幸一船長に花束が贈呈された後、森下社長、稲嶺知事、渡辺信一・総務省沖縄総合通信事務所長、和田智明・内閣府大臣官房審議官沖縄政策担当、日隈康行・NTT西日本沖縄支店長の5人でテープカットし、着工を飾った。
現在、沖縄本島―宮古島間は旧方式の海底光ケーブルを使用し、また宮古―石垣島間は無線方式のため、ブロードバンド需要に対応できない状況。県は国の支援を得て、昨年12月補正で約3億2000万円の予算を計上、光ケーブル敷設のための基礎調査を実施。
敷設する光海底ケーブルは沖縄本島―宮古島間が延長約340キロメートルで、新海底光方式(FSR=電力の供給を必要とする中継器を設置せずに約350キロメートルまで電送が可能な方式)を適用。また宮古島―石垣島間は延長約120キロメートルで、ADMリングシステム(電気信号の多重・分離機能を有し、約120キロメートルまで伝送可能な方式)を採用する。
【ブロードバンド】 広帯域・高速通信の普及で実現できる次世代コンピューターネットワーク。
写真説明(上)・着工を記念してテープカットする森下社長(左から2人目)、稲嶺知事(中央)ら=5日、那覇港ふ頭
写真説明(下)・海底光ケーブル敷設着工式に国、県、市町村の関係者大勢が参列した=5日、那覇港ふ頭
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