200平成16  11曜日

知念かおり3段、タイトル奪取/女流本因坊戦・

5期ぶりに返り咲き

 【東京で砂川拓也記者】囲碁の第23期女流本因坊戦(主催・共同通信社)五番勝負の第4局は2日、東京・市ヶ谷の日本棋院会館「幽玄の間」で打たれ、ここまで2勝1敗とリードしていた白番の知念かおり3段(30)=平良市出身=が234手までで小林泉美女流本因坊(27)=6段=に2目半差で勝ち、対戦成績を3勝1敗とし、タイトルを奪取した。女流本因坊のタイトルは1999年以来5年ぶり4度目。昨年2月の女流棋聖戦に敗れ無冠となってから約1年半ぶりに念願のタイトル。知念3段は「またタイトルを取れたのはうれしい。宮古で応援しているたくさんの人にうれしい報告ができるので良かった」と、「かおりスマイル」で喜びを表した。

 知念3段と小林女流本因坊のここまでの対戦成績は12勝12敗とまったくの五分。勝った方が通算成績で相手を一歩リードするだけでなく、知念3段が勝てばタイトル奪還、小林女流本因坊が勝てば土俵際で踏みとどまる大一番。
 黒のジャケットにチェックのスカートの小林女流本因坊が先に入室。丁寧に碁盤をふいた。次いで緑のカーディガンに黒のスカートの知念3段が入り、お互い目をつぶって精神統一した。林名誉天元の「時間になりました」の声で対局スタート。対局室にはピーンと張りつめた空気が漂った。
 序盤、互いに大場を打ち合いゆっくりとした展開で進み、黒番小林の右辺の構えに白番知念が打ち込んだ。この折衝で白がやや優位に。小林も攻めに転じるが、その後も知念が好調に打ち進め、「知念完勝」を連想させる形勢で進んだ。しかし中盤、中央で白112が打ちすぎとなり、石を切られ混戦模様に。その後は全くの形勢不明で、息詰まるヨセ合いが続いた。結局は白が最終盤でヨセをまとめた。
 知念3段は「中盤から良くなったのかな、と思って打った。思ったよりもずっとずっと難しかった。途中は、『悪いのかな』と思う部分もあった」と、厳しい対局を振り返った。
 立会人の林海峰名誉天元は「(知念3段)は終始冷静だった。黒115と切られたときは、大ピンチだったが、その次の白116のあてこみが妙手だった」と述べた。
 残り時間は知念3段、小林女流本因坊ともに1分だった。
 知念かおり3段の話 またタイトルを取れたのは、やはりうれしい。女流本因坊は初めて取ったタイトルでもあり、とても思い入れもあるので。宮古、沖縄には応援している皆さんがたくさんいる。うれしい報告ができるので良かった。(いちばん先に)やはり父に伝えたい。子供たちには、「勝ったらディズニーランドに行こうね」と言っていたので、それができて良かった。
 立会人・林海峰名誉天元の話 序盤はゆっくりとした布石かと思ったが、黒43で攻めに入った。しかしちょっと打ちすぎだった。白は54、56と上辺を取り、90と取ったときにはっきり優勢になった。白112は軽率な問題手で、黒113、115と大ピンチだったが、白116と何とかしのいだ。最善の手だった。終盤の細かい碁では双方に問題があったと思う。黒は163で白170のところに打っていれば、勝負は分からなかったかもしれない。白170の真ん中のコミがかりで勝負がついた。
 ■対局の経過 序盤、ゆっくりと出だしで、大場を打ち合う展開。右辺の黒の構えに知念3段が白30と打ち込み、この折衝で白優位に。休憩直前、小林女流本因坊が黒43で攻めの態勢に入った。
 休憩後、攻めに入った小林女流本因坊だったが結果的には攻めきれず。白90で知念3段が優勢に転じた。
 白は112を軽率に打ち、黒113、115とピンチに陥ったが、白116の「最善の手」(立会人・林海峰名誉天元)でしのいだ。
 終盤は細かい碁に。白は170手、真ん中にコミがかりで、勝利を引き寄せた。

 知念かおり(ちねん・かおり) 1974(昭和49)年7月28日生まれ。30歳。平良市出身。時本壱8段門下。日本棋院東京本院所属。1993年4月入段。96年8月に2段、97年9月に3段。同年10月第16期女流本因坊戦に挑戦し、初タイトル獲得。99年まで女流本因坊3連覇。2000年12月、女流棋聖のタイトル獲得、女流棋士初の2冠達成。03年まで女流棋聖4連覇。獲得タイトル数は女流本因坊3、女流棋聖4の計7。通算成績427局217勝210敗。04年の成績は36局22勝14敗。99年に棋道賞、女流賞。2000年に平良市民栄誉賞。夫・揚嘉源9段との間に1男2女。

 写真説明・5期ぶりに女流本因坊に返り咲き笑顔を見せる知念かおり3段=2日、東京・市ヶ谷の日本棋院会館

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歳入欠陥4億4500万円に/平良市・特別交付税の減額で

 平良市財政非常事態克服実践本部(本部長・伊志嶺亮市長)会議が2日午前、同市役所内で開かれ、2004年度の歳入欠陥額が4億4500万円に膨らむことが報告された。本土の自然災害などで、今年度の特別交付税が当初見込み額より落ち込むことがほぼ確定しているためだ。これまで市は財政非常事態の克服に向けて未納金の徴収など各種取り組みを強化してきたが、ここにきて歳入欠陥額の膨らみは大きな痛手で、今後さらなる歳出抑制策を講じる必要性に迫られた。伊志嶺市長は「仕方がない。別の分野で削減を図っていくしかない」と述べ、各部課に対し取り組みの強化を指示した。
 同市の歳入欠陥額は今年4月に約5億6000万円を見込んだが、7月には普通交付税が見込み額を上回ったことや、同市の歳出抑制努力などで3億1100万円まで圧縮されていた。だが、普通交付税とは一転して特別交付税は減額措置が取られることから同市の歳入欠陥額は再び膨らむことが確定している。同市の試算によると、特別交付税は当初見込み額の5億4400万円より1億3378万1000円少ない4億1021万9000円になる見通し。
 この歳入欠陥額の膨らみについては同日の会議で対応策を協議。新たな歳入を確保するため市有財産の売却を促進することや公共施設の使用料などにおける減免措置の廃止、事務・事業費の一部削減案も検討した。一部課長からは「1−3月の給与に手をつけるということも考えなければならないのでは。これが一番効果はある」などとする声もあった。
 この日の会議では市民委員会からの申し入れに対する協議も実施。下水道未接続の家屋への対応については市民委員会の要望通り未接続者を調べてリストを作り、接続運動を繰り広げることで決定した。保育料滞納問題は今後も登園停止を視野に入れて個別訪問を実施するほか、払えない市民には法律事務所を紹介するとした。奨学金貸付制度は「検討課題」として廃止に向けての結論を持ち越した。

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地元囲碁ファン大喜び/知念、女流本因坊奪取に

 5年ぶりにタイトル奪取―。囲碁の知念かおり3段がタイトル奪取に王手をかけて迎えた第23期女流本因坊戦の第4局が行われた2日、知念3段が幼いころ通って手ほどきを受けた平良市内のこすみ囲碁教室では、地元の囲碁ファンらが大勢集まり、インターネットで中継される対局の様子を見守った。午後7時すぎ、知念3段のタイトル奪取が決まると、祝福の歓声が上がった。市内鏡原にある知念3段の父・正夫さんの自宅では真喜屋浩後援会長ら囲碁関係者や親せきが集まって祝宴が開かれ、「乾杯」を繰り返しながら、女流本因坊返り咲きを祝った。
 午前9時半に対局が始まると、こすみ囲碁教室では教室を主宰する池間博美さんらが、インターネットの中継を見守りながら、対局の展開を予想した。
 終局が近くなると、教室は知念3段のタイトル奪取を期待する囲碁ファン・愛好者約40人で、膨れあがった。午後5時ごろまでは、知念3段の優位な形勢に教室内も余裕の雰囲気だった。しかしその後、盤中央で混戦になると、教室内にはやや落ち込んだ空気も漂った。以降は一手ごとの激しいヨセ合いに、思わず「かおり頑張れ」との声が掛かるなど、息詰まる様相だった。
 午後7時前、インターネット中継の対局がストップ。見守っていた囲碁ファンが碁盤を取り囲み一斉に盤上を数え、知念3段の優位を確認。しかし接戦とあって、一様に確信が持てず、確定情報を待った。しばらくすると父・正夫さんに、知念3段の夫・揚嘉源さんから、「2目半勝ち」の電話が入り、教室内は歓声と共に大きな拍手に包まれた。
 知念3段を幼いころ手ほどきした池間さんは「この10年間で7回も女流本防戦を戦うということだけでもすごいこと。2年前に2連勝の後に3連敗してタイトルを失い、その後もなかなか勝てなかった。しかし今回は2局目、3局目の勝ち方が、本来の力強さが出て内容が良かったので、期待していた」と話した。
 アマ6段の正夫さんは「よく頑張ってくれた。最高です。挑戦者になるだけでも大変なことなのにタイトルを奪還できて、とてもうれしい。中盤でやられたと思ったが、持ち前の粘りで持ち直した」と目を潤ませた。そしてタイトル奪還で「宮古の囲碁ファン、応援してくれる人たちにも恩返しができた」と話した。
 真喜屋浩・知念かおり後援会長の話 5年ぶりのタイトル奪取で、きょうはこの上ない喜びを感じている。やってくれると信じていた。1局から4局まで接戦でハラハラした戦いで、最終的には1目、2目の争いだった。今後は(5期連続タイトル獲得でなれる)名誉本因坊目指して頑張ってもらいたい。

 写真説明・5年ぶりのタイトル返り咲きを祝って「万歳」や「乾杯」が繰り返された=2日、平良市の知念正夫さん宅

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伊良部高、リーグ戦全勝/県高校新人バレー

 2004年度県高校新人体育大会バレーボール競技は大会最終日の2日、具志川市総合体育館で男女の決勝リーグを行い、男子の伊良部は「3強」と目される西原、美里工業を下し、リーグ戦3戦全勝で優勝を飾った。伊良部は12月下旬に行われる九州新人大会に県代表として出場する。
 リーグ戦2試合目となった西原戦はリードを許す苦しい展開となった。立ち上がりということもあってか、第1セットは集中力を高めきれず、18―25で落とした。気持ちを入れ直した第2、3セットは流れを引き戻し、25―21、25―20と連取し、セットカウント2―1。逆転でリーグ戦2勝目を挙げ、王手をかけた。
 「優勝決定戦」となった美工戦。西原戦でつかんだ流れをそのままに第1セットを25―16で先取。第2セットは一進一退の攻防が続き、ジュースにまでもつれこんだが、27―25で振り切り、セットカウント2―0で美工も破った。
 9月の全沖縄秋季大会は2位。今回はその雪辱を期した。大会前に国体県代表として主将の池間智暖、上地祐輔がチームを抜けるなど、練習不足の部分もあったが、池間主将は「不安はなかった。試合を重ねるごとに、コンビネーションも良くなった。勝負どころでブロックが良く決まった。そこからリズムが生まれた」と振り返った。
 城間亮監督は「(伊良部、美工、西原は)力の差はない。ちょっとすきを見せたら負ける」と、厳しい試合を終えほっとした様子。「国体メンバーがチームに良い刺激を与えた」と話した。
 来年2月の「春の高校バレー」県予選を前に、12月の九州大会に出場する。池間主将は「コンビの種類が少ない。もっと多彩な攻撃ができるようにしたい」、城間監督は「九州でどのくらいできるかが大事。そこで良い結果が出れば、2月につながる。県第一代表に恥じない試合をしたい」と、それぞれ意気込みを示した。

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平良君(宮高3年)が市長賞/平良市民総合文化祭「高校生の主張」

 第31回平良市民総合文化祭の関連行事「高校生の主張大会」(主催・同市、同市教育委員会、同市文化協会)が2日、マティダ市民劇場で行われ、計9人の弁士が出場してそれぞれの主張を堂々と展開した。審査の結果、「今を生きる」と題して発表した宮古高校3年生の平良昌樹君が最高賞にあたる市長賞を受賞。祖父の死を通して生きることの意義について考え「『あの時頑張って良かった』と思えるような悔いのない生き方をしたい」と熱弁をふるった。
 この大会は、高校生の知性と教養をはぐくもうと開催。演題は自由で、内容などの論旨と話し方などの表現力を審査した。高校生らは、人生観や将来の夢、人間関係、市町村合併など多岐に渡るテーマでそれぞれ弁論を展開、豊かな表現力で聞き手に訴えた。
 市長賞を受賞した平良君は「中学生のころにも意見発表を行ったことがあるが、高校生になってからは機会がなかった。緊張したが、高校生活最後の大会で有終の美を飾ることができてうれしい」と笑顔で感想を話した。
 また、優秀賞には「小さくて大きな一歩」の演題で発表した宮古高校2年の下地恵誠君が選出された。代わり映えのない毎日を打開しようと将来の夢について考え、現在は具体的な目標を立てて充実した日々を送っていることをつづり「人は『変わりたい』と思った時から大きく成長した新しい自分に一歩近づいている」と、自信に満ちた発表を行った。
 優良賞には「努力と夢と憧れと」と題して話した宮古工業高校3年の川上千廣さんと、「出会いの中で」を発表した宮古農林高校3年の仲間舞夢君の2人が受賞を果たした。
 会場には各高校の生徒らが集まって壇上からの弁に耳を傾けていた。

 写真説明・(左から)優秀賞の下地君、市長賞の平良君、優良賞の仲間君、優良賞の川上さん=2日、マティダ市民劇場

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