200平成16  10 29曜日

伝統技術の保持継承に決意/全国重要無形文化財保持団体協・

平良市大会が開幕

 第13回全国重要無形文化財保持団体協議会平良市大会(主催・同協議会、同市、同市教育委員会、同大会実行委員会、同市総合博物館)は28日、マティダ市民劇場で開幕した。国から重要無形文化財保持団体に指定されている全国13団体と26の関係市町村が参加。きょう29日まで伝統技術の保持・伝承に向け意見を交換し、交流を深める。総会では、▽伝統工芸技術の保持・向上、伝承のための後継者育成に努める▽原材料の安定的な確保について適切な対策を図る▽作品の宣伝普及と需要拡大に努める―とする大会決議を採択した。

 マティダ市民劇場では同日夕、大会の開会式と総会、記念講演会が行われた。また、同日午後には、平良市総合博物館で各団体の作品が出品された秀作展が始まった。
 開会式で同協議会の江藤守國会長(福岡県久留米市長)は、「わが国では歴史的にも芸術的にも価値の高い多くの技術が伝えられているが、社会状況の変化で保存・伝承は非常に困難になっている。このような技術の保存・伝承は私たちに課せられた重要な責務。各団体が抱える問題解決のため知恵を出し合い、有意義な大会となるよう願う」とあいさつ。また新潟県中越地震のため来島できなかった「越後上布・小千谷縮布技術保存会」と、同県の被災者に対し見舞いの言葉を述べた。
 今大会実行委員会長の伊志嶺亮平良市長は開催地を代表して出席者を歓迎しながら、「伝統技術保持団体や関係行政機関が協調・連携し、課題解決に向けた継続的な取り組みを行う意味は大きく、地道な活動から技術の保存・伝承の確かな方向性が見い出せると信じている」と述べた。
 文化庁の河合隼雄長官(代読・佐々木正直同庁主任調査官)、稲嶺恵一知事(代読・安和朝忠宮古支庁長)がそれぞれ祝辞を寄せた。
 各無形文化財保持団体に貢献があった7人に、江藤会長から感謝状が贈られた。宮古からは、宮古上布保持団体の初代代表で、夫の下地玄信氏(故人)とともに宮古上布の啓発・普及、後継者養成に努めた下地ウメ氏が表彰された。
 総会では、03年度の事業と決算が報告され、04年度の事業計画案、予算案などの議案を承認。「国や地方自治体に対し、重要無形文化財保持団体の現状に理解をいただき、支援体制の強化など、よりよい政策の実現を求める」とする大会決議を採択した。
 記念講演会の後は、情報交換会が開かれた。きょう29日には宮古伝統工芸品研究センターや平良市内の苧麻畑などの視察が予定されている。

 写真説明・13の国指定重要無形文化財保持団体などが参加して開幕した全国重要無形文化財保持団体協議会平良市大会=28日、マティダ市民劇場

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宮工、5年ぶり2度目の優勝/県高校エコデンレース大会

 電気自動車の走行距離を競う第6回県高等学校エコデンレース大会(主催・県工業教育研究会など)がこのほど、県総合運動公園駐車場で開催され、ワイパーモーターの部で県立宮古工業高校が5年ぶり2度目の優勝を飾った。生徒たちは「(大会2連覇中の)中部工業に勝てた」と喜び、学校職員も「生徒たちの努力が実った」と活躍をたたえた。来月23日には大阪府で開催される全国大会に出場する生徒たち。平良翔太主将は「全国でも優勝を狙いたい」と力強い決意を話した。

 エコデンレースは県内工業高校の生徒たちが日ごろの自動車教育の一環として電気自動車を製作し、その走行距離を競うもの。大会の目的は生徒たちに「ものづくりの楽しさ」や「チームワークの大切さ」「エネルギーの尊さ」などを体験させることにある。
 大会には県内6つの工業高校から計11チームのエントリーがあり、宮古工業からは「Bassi Line2004」号と「マクガン」号が出場した。優勝したBassi Line2004号は1周185メートルのコースを1時間で計42周走り、2位の中部工業に1周差をつけてゴールした。マクガン号は3位だった。
 今回の結果について同校の内間誠治校長は「生徒たちは夏休み期間中も電気自動車の改良と整備のために時間を費やしてきた。その努力が優勝という結果で表れた」と高く評価。「11月の全国大会では3位入賞を目指してさらなる改良を進めてほしい」と激励した。
 優勝チーム顧問の玉城厚司教諭は「優勝には驚いているが、生徒たちの手作りによる自動車は大変素晴らしい出来」と生徒たちをたたえた。その上で「この車はもっと速くなる。全国大会で良い成績を残せるよう生徒たちと一緒に今後の改良に励みたい」と話した。
 生徒の平良主将は「中部工業に対抗意識を燃やして頑張ってきたので勝てて良かった。これからも改良を重ね全国大会でも優勝を狙いたい。このメンバーだったら必ずできる」と自信いっぱいに話していた。
 宮古工業から出場した生徒は次の通り。(敬称略)
 【Bassi Line2004号】▽ドライバー=平良翔太▽ピットマン=下地清隆、安元祐介▽カウント係=友利康浩
 【マクガン号】▽ドライバー=下地優貴▽ピットマン=仲宗根章仁▽カウント係=友利進弥

 写真説明・5年ぶり2度目の優勝を果たした宮古工業の電気自動車「Bassi Line2004」号(右)と生徒たち。左の車は3位に入賞した「マクガン」号=28日、宮古工業高校

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入場者は2万4500人/第27回宮古の産業まつり

 今月16、17の両日に民間主導として2回目となる「第27回宮古の産業まつり」を開いた実行委員会は28日午前、県宮古支庁で実績報告を行った。
 入場者数は前年のまつりを1000人上回る2万4500人。出展業者などによる売り上げも好調で、前年比130万円増の1680万円という実績を挙げた。ただ、地元の農産物が品薄だったことや出展業者の減少などもあり、来年のまつりに向けて多くの課題も報告された。
 実行委は午前11時から会見を開き、中尾英筰委員長(沖縄宮古商工会議所会頭)やJAおきなわ宮古地区事業本部の下地隆弘本部長、宮古観光協会の藤村明憲会長らがまつりの実績と課題を報告した。
 報告によると、入場者は会場周辺の計4カ所で数えた結果、16日は9566人、17日は1万1480人となった。これに別の場所から入場した人(全体の15%)を加え、2日間の合計を2万4500人としている。
 入場者、出展業者の売り上げともに前年のまつりを上回っているが、出展業者の出展数が減少傾向で、2000年の第23回まつりの出展数80社に比べて今回は56社と落ち込んでいる。
 これらの結果について中尾委員長は「入場者は多くの観光客の来場もあり伸びている。民間主導となり、これまでと違う取り組みが良かったのではないかと思う。(出展業者の減少など)今後の課題解決に向けて努力していきたい」と感謝を込めて話した。
 宮古観光協会の藤村会長やJAおきなわの下地本部長、県宮古支庁の安和朝忠支庁長らは一様に地元農産物の品薄を強調。それぞれ地元農産物における地産地消の推進を訴えていた。

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大物マグロ楽々水揚げ/伊良部町・浮桟橋が威力発揮

 伊良部町佐良浜地区の漁師らが28日、16日ぶりに出漁を再開した。大物キハダマグロが浮桟橋に次々と水揚げされ、漁師らは「水揚げ作業が一段と便利になり、楽になった」と異口同音に語って喜んでいる。
 浮桟橋は10月3日から本格供用を開始した。この日の式典には同町の浜川健町長ら関係者多数が参加。浮桟橋が今後の水産業振興に寄与することや地域経済にもたらす活性化効果などを願った。
 供用開始以降、相次ぐ台風の影響で、漁師らは出漁を見合わせていた。今月13日から中断していた出漁は、28日から再開され、小型漁船約10隻が宮古近海に設置されているパヤオ(浮漁礁)へ向かった。パヤオを中心とした海域がマグロ漁場。全隻が午後3時までに佐良浜漁港に戻ってきた。
 漁師らは干潮の時は浮桟橋で水揚げする。浮桟橋は幅10メートル、長さ30メートルで総面積が300平方メートルの広いスペース。満潮の時は同町漁業協同組合前の岸壁で水揚げする。岸壁を利用するのは、岸壁の地表と船のデッキの高低差が小さいからというのが理由。
 海丸(4トン)の船長、与那城幸三さん(60)は、干潮のため浮桟橋を活用した。1匹で40キロ弱の大物キハダマグロを2匹水揚げした。
 与那城さんは「漁協前の水揚げでは、少なくとも2人の力が必要。しかし、浮桟橋では1人で作業しても疲れない。大変便利な施設だ」と話した。
 池原豊同町水産振興課長は「浮桟橋が最も機能を発揮する、来年の夏場が楽しみ。カツオやマグロが大量に水揚げされるので、漁師らの水揚げ労力はこれまでより半減される」と期待した。

 写真説明・浮桟橋により1人で大物キハダマグロの水揚げが可能になった=28日、伊良部町佐良浜漁港

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時を越えお目見え/ミヤコノロジカ、博物館に

 平良市総合博物館(砂川玄正館長)は開館15周年に合わせ、「ミヤコノロジカ」の骨格の展示を始めた。骨格は上野村のピンザアブ遺跡から発掘された標本を基に作られた。レプリカ全体の製作には沖縄県立博物館をはじめ、群馬県立博物館ほかの協力を得た。
 砂川館長は「15周年に間に合うよう製作を進めてきた。ぜひ多くの人に見ていただきたい」と呼び掛けた。
 ミヤコノロジカは1973年、新種で絶滅種として記載された。標本は宮古諸島でしか産出されておらず、世界的に見ても貴重種。
 ノロジカは現在、ユーラシア大陸北部などに生息しているが、ミヤコノロジカと比較すると体や角の大きさは極めて小さい。ミヤコノロジカのような大型の種類が亜熱帯気候の限られた地域からのみ産出されることは動物地理学上、注目に値するという。

 写真説明・博物館の開館15周年に合わせて製作されたミヤコノロジカの骨格のレプリカ

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