200平成16  10 28曜日

法定外税導入を検討/合併後の地域振興策として

 市町村合併後の地域振興策の1つとして「法定外目的税」の導入に向け官民一体となった検討が進んでいる。これは今年の5月に下地敏彦城辺町助役を座長に県、平良市、城辺町、下地町、上野村、伊良部町と民間企業、コンサルタントで構成される私的ワーキンググループ「環境と雇用を考える会」が城辺町役場内に設置されてこれまで協議を進めてきた。同会では同税を元に企業を立ち上げ雇用を生み出し、「環境保全」と「観光振興」の各種取り組みを展開して合併後の地域振興策につなげていく考えだ。
 今回の法定目的外税の導入については観光客をターゲットにホテルなどの宿泊料金に同税を上乗せして請求する。例えば同税を100円と設定した場合は宿泊料に100円を上乗せして請求する方法だ。
 同税の仕組みは、宿泊施設のトン当たりの水道料金に課税し、実際に観光客が使用した水道料金が100円を下回った場合はその差額は宿泊施設側の手数料となることから施設側も新たな収入となる見込みだ。
 同税は新規財源として自治体に収められ、立ち上げられた企業の運営に活用される。設立された企業は「特別目的会社」として事業実施主体となり▽行政から公共施設の維持管理・保全事業の受託。または独自資金で新たな保全事業の実施▽物販や研修、情報サイトの開設など新サービスを提供し収入を得る▽地域のイベント情報、観光案内を発信し、宣伝広告料を得る―などを展開していく。
 27日に行われた宮古地区自治研究会ではこれまでの協議結果や今後の方針について各市町村の課長に座長の下地助役から報告が行われた。
 同ワーキンググループの設立主旨は、宮古には若年層を定着させる地域産業がなく、島外流出を招いていることに加えて来島する観光客数は近年頭打ちの傾向で増加が見込める状況でないことから、きれいな海、海岸、砂浜などの自然環境を維持、保全していくことが観光振興に直結するという観点のもと、そのための方策を調査研究するために発足した。また、環境保全事業の新規財源として「法定外目的税」導入についても検討してきた。
 2000年4月に施行された地方分権一括法で独自課税制度の要件が緩和。地方団体の課税自主権が拡大した。法定外税は法律に定めのない地方税を条例によって設けるものだが、新たに「法定外目的税」が認められた。
 さらに、これまでは法定外課税には自治大臣の許可が必要だったが、制度の改正で総務大臣との協議を経て同意が得られれば導入できるなど、要件の緩和も図られた。これを受けて数多くの地方団体は具体的な法定外税の検討をはじめており、すでにいくつかは導入されている。

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廃糖蜜を燃料に有効利用/「バイオエタノール」でCO2削減へ

 県とりゅうせき、沖縄製糖は、製糖過程に発生する廃糖蜜を原料に「バイオエタノール」を生成し、自動車燃料のガソリンに混合して実用化を図る実証事業を今年度(2004年度)中に宮古島で開始する。06年度までに島内にエタノール製造プラントを完成させ、宮古で製造されたバイオエタノールを使った実証運転を実施する。環境省の委託事業で、バイオエタノールの製造から燃料供給までの一貫した実証実験は国内で初めて。実証されれば粗糖生産地域の脱温暖化・循環型社会のモデルとして、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)の削減に向け、大きな貢献が期待される。

 「バイオエタノールの利用および普及に関する説明会」が27日、県宮古支庁で開かれ、元琉球大学工学部教授の新里隆男さん、実証事業に携わる、りゅうせき産業エネルギー事業部新エネ担当課長の奥島憲二さんが、同事業のバイオエタノールの導入に向けた取り組みについて関係者に説明した。
 今回の実証事業は宮古島を対象地域に、県とりゅうせき、沖縄製糖が共同で行う。バイオエタノール3%混合ガソリン(E3)を使用する。
 りゅうせきの奥島さんの説明では、04、05年度は外部調達のE3燃料を公共車両で実車実証する。りゅうせきはこれと並行して島内にエタノール製造プラントを島内に建設。06年度には島内で製造されたE3での実証に移り、普及に向けた最終段階とする。
 この事業が実現されれば、現在は家畜の飼料など付加価値の低い利用にとどまっている廃糖蜜を有効な資源として利用できるだけでなく、新たな産業の振興、循環型社会の構築につながると期待される。新里さんによると、宮古で年間に生じるキビ糖蜜8500トンからはバイオエタノール2400キロリットルが生産可能。E3に混合するのに必要なエタノールは年間700キロリットルで、島内で必要なエタノールは十分生産可能だという。E3の使用が進めば、現在に比べ年間800トンのCO2が削減される見込み。
 県は温室効果ガスの排出量を2010年度までに、2000年度レベルから8%削減する目標を掲げている。県内のCO2排出量は他県に比べ、自動車からの排出量が多く、製糖過程に生じる廃蜜糖を原料とした「バイオエタノール」を自動車用ガソリンに添加することは有効なCO2削減対策となることため、この導入、普及に力を注ぐ方針を示している。

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知念、タイトルに王手/女流本因坊第3局・9目半差で下す

 第23期女流本因坊戦5番勝負の第3局が27日、岩手県花巻市の佳松園で行われ、挑戦者の黒番知念かおり3段が250手までで小林泉美女流本因坊を9目半差で下し、タイトルに王手をかけた。劣勢の碁を中盤の戦いで逆転する迫力満点の碁だった。第4局は11月2日、東京都の日本棋院会館で行われる。
 序盤過ぎ黒は自陣に打ち込んできた白の攻めを誤り、白が形勢をリード。しかしその後、黒は中央の戦いを有利に展開し盛り返した。中央の戦いは右辺に波及。白はここで白の一団を次々に取り込んで60目以上の大地を作り、形勢をリードした。終盤に入ってもヨセをうまく打ち、差を広げ逃げ切った。
 終局は午後6時50分。持ち時間各四時間のうち、知念は残り3分、小林は1分だった。
 知念かおり3段の話 「序盤は悪い手があり少し苦しかった。中盤は闇試合の感じで、難しかったが白が2手入れた右下隅がコウになり、下辺も取って少し良くなった。中央に思ったより地が付き勝ちが見えた。第4局も、今回と同じように意識せず、悔いのない碁を打ちたい」
 真喜屋浩・知念かおり後援会長の話 「勝って王手をかけた。しかし、戦いはこれからであり、次の一戦を勝ち抜いて今度こそタイトルを奪還してもらいたい。宮古の囲碁ファンは、そのことを期待しており、かおりさんは応えてくれると信じている」

 写真説明・知念かおり3段が第1手を打ち対局が始まった=27日、岩手県花巻市の佳松園(岩手日報社提供)

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きょうから平良市で総会・作品展/全国重要無形文化財保持団体協

 第13回全国重要無形文化財保持団体協議会平良市大会(主催・同協議会、同市、同市教育委員会、同大会実行委員会、同市総合博物館)が28日、開幕する。
 大会秀作展が行われる同博物館で午後1時30分からテープカットが行われた後、マティダ市民劇場で午後4時から開会式と総会、記念講演会が行われる。大会には国から重要無形保持団体の認定を受けている13団体が参加し、情報を交換するとともに、秀作展ではそれぞれの作品も展示される。
 地震で被災した新潟県からも「越後上布・小千谷縮布技術保存協会」が出品しているが、新潟の担当者からは同大会事務局に出席できない旨の連絡があったという。
 伊志嶺亮市長は「来島を期待していたので残念だ。大きな被害を受け、大変な状況であり、お見舞い申し上げたい。早急な復興を祈っている」と述べた。
 同大会は、全国の重要無形文化財保持団体と関係する市町村が参加し、文化財の保存に関する調査研究や具体的方策の推進、技術伝承と保存活用に役立てるのが目的。13団体が持ち回りで開催している。
 秀作展はきょう28日から11月28日までの1カ月間、同市総合博物館で行われる。開幕から11月7日までは入場無料。期間中、保持団体による製作実演もある。
 詳細は同大会事務局(電話:0980-72-3751、内線277)、平良市総合博物館(電話:0980-73-0567)まで。

 写真説明・地震の被害に遭った新潟県から「越後上布・小千谷縮布」も出品されている=27日、平良市総合博物館

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本村邦彦さんに「平沼亮三章」/日本陸上競技連盟

 県立宮古高校教諭で同校駅伝部顧問の本村邦彦さん(51)が26日午前、埼玉県で開催された国体で陸上競技の優秀な指導者に贈られる日本陸上競技連盟の「平沼亮三章」を受章した。27日夕に帰島した本村さんは「これまで生徒たちと一緒に頑張ってきたことが認められてうれしい」と喜びを話した。
 平沼亮三章は高校生および18歳未満の陸上競技選手の指導者として功労を残した人をたたえる章。宮古では美里泰雄さん、多良間勉さんに次いで本村さんが3人目の受章になる。
 本村さんは主に長距離や駅伝の指導者として各校で活躍。1998年に宮古高校駅伝部を県大会3位に導いたほか、全国高校総体に陸上・走高跳で出場した友利徳郎さんをはじめ、常に県内トップクラスだった中・長距離のエース、仲間正彦さん(当時、宮工)の指導にも当たった。
 これらの功績が認めらて平沼亮三章を受章した本村さんは「宮古には素質を持った人が多い。そんな生徒を指導し、九州で通用するような選手を育てたい。駅伝では県大会で優勝し、全国大会に出場したい」と新たな決意を話していた。
 本村さんは平良市西原の出身で77年に琉球大学を卒業後、石垣中学校を皮切りに教員生活をスタートさせている。

 平沼亮三章とは 陸上競技において優れた指導者をたたえる章。平沼氏は1929年に日本陸連の初代会長に就任し、32年にはロサンゼルス五輪選手団長を務める。51年、横浜市長に当選、2期務める。55年にはスポーツ界初の文化勲章を受章。59年2月に死去し同年、勲一等瑞宝章を追贈される。79年には野球殿堂入りを果たすなど各界で多大な功績を残した人物。

 写真説明・平沼亮三章を受章し喜ぶ本村邦彦さん=27日、宮古空港

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