200平成16  10 21曜日

議員改革案を痛烈批判/上野村役場職員

 上野村議会行財政改革特別委員会(委員長・砂川寛茂副議長)が示した「職員の夏のボーナス全額カット」などの改革案に対し、同村職員が「私たちにだって生活がある。議会は自分たちのことを棚に上げている」などと反発を強めている。改革案は今後、同委員会の作業部会で法律や条例と照らし合わせて選別、具体化するため、実行すると決まったわけではない。しかし、職員らは「(合併に反対した)議会が来る12月にも定例会で議員定数を削減するなど模範を示すべき。反対した責任という認識が低すぎる」と批判している。

 改革案は同委員会の今後の活動に向け「今後取り組まなければならない行財政改革案」を議員12氏に提出を求めていたもの。8氏から案が出された。
 改革案の内容は▽役場職員も給料引き下げを行い、将来は民間と同等とする▽夏のボーナス全額カット▽管理職手当ての廃止―など。
 一方、議員定数、報酬など議会の構造改革案は▽報酬を1年目20%、2年目と3年目は5%カットし、賞与も同様にカットする▽次の選挙から議員を8人にする―など。「職員の夏のボーナス全額カット」に比較すると、議員の報酬削減は段階的で、議員に支払われる「夏のボーナス」について「全額カットする」という意見はない。議員定数削減も「次回選挙から」となっており、残された約2年間の任期については触れられていない。
 これら改革案に対し職員は強く反発。男性職員は「実施されると決まったわけではないが、職員のボーナス、給与をカットすることにより、住民税など村の収入も減ることになる。歳出を削れば歳入と帳尻が合うわけではない。そこまで考えているのか」と議会の改革案に対し異論。また、「案とはいえ、財政の基本部分の仕組みを分かっていないからそのような意見を出す。このような意識を持っているのがおかしい」と続けた。
 別の男性職員は「あれこれ案を出しているが、改革案を実行した場合の効果が数字として示されていない。認識が甘い」と痛烈に批判。「議会は改革案の策定に向け特別委員会で協議しているが、少なくとも自立案は自立を判断した時に持っていなければならないもの。離脱を決めてから模索することがおかしい。先のことを考えずに結論を急いだことを証明している」と語気を強める。
 自衛隊基地の使用料増額、ユニマットの高橋洋二社長の住民登録要請などを挙げた職員は「他力本願。それは自立ではない」と一蹴した。
 若手男性職員は「私たちにも生活がある。もしそうなった場合、多くの職員は辞職すると思う。そうなれば行政サービスも満足にできなくなる。村民のためになるとは思えない」と話し、「私たちのボーナスは全額カットで、議員だけ段階的な削減というのはおかしいのではないか」と非難した。

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「単独」「合併」で揺れ動く上野村議会・当局が非公式会合

 4市町村合併(平良市、城辺町、伊良部町、上野村)から正式に離脱を表明し、自立の道を選択した上野村(川田正一村長)で再び合併に向けた動きが進んでいる。川田村長ら村当局は20日午前、同村議会(平良隆議長)の全議員(12人)と非公式で会合を開き、村が単独自治体として存続した場合、一部事務組合の負担金が大幅に増加、同村の財政状況ではその捻出が厳しいことなどを説明した。会合終了後、川田村長は本紙取材に対しノーコメントを貫いたものの「合併」を再考する動きに対し否定しなかった。
 複数の出席者の話を総合すると、会合では、川田村長や同村職員から一部事務組合の同村の負担金が大幅に増額となることが説明され、当局から議会に対し合併に向け再考するよう打診が行われたという。
 会合に出席した市町村合併賛成派の議員は本紙の取材に対し「一部事務組合の負担増加が説明された。もともと、4市町村合併の時に反対した理由が分からなかった。合併に向け再検討することは良い傾向」などと話した。
 合併反対派の議員は「(会合の内容は)まだ発表する段階ではない」と厳しい口調で話した。
 合併を推進していた川田村長は「本紙20日付の紙面で『上野村で再検討の動き』という報道による会合か」という質問に対し否定も肯定もせず、会合の内容についても口を閉ざした。
 平良議長も「今後、改めて議員1人ひとりに合併についての意見を聞く機会があると思う」と再検討の可能性を示唆した。
 現在、宮古地区では平良市、城辺町、伊良部町の3市町で法定協議会を立ち上げ、合併に向けた取り組みが始まっている。上野村が合併に参加する場合には、時間を要する電算システム関係の作業もあり、今週中の方針決定が条件となりそうだ。

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農村関係被害4600万円台風23号・県宮古支庁速報

 超大型で強い台風23号が通過した20日、県宮古支庁総務・観光振興課は災害速報をまとめた。それによると、農産物(サトウキビと野菜)で4589万1000円の被害が発生している。人的被害は報告されていない。停電が500戸、電話回線の故障が20戸、それぞれ発生した。
 速報は20日午後3時30分現在の市町村からの報告分。サトウキビは、台風の中心からそれたため折損等の被害は比較的少なく、一部の地域で倒伏状態や葉片裂傷が見られる。被害額は▽平良市922万4000円▽城辺町985万1000円▽下地町493万3000円▽上野村340万円▽伊良部町728万3000円―の計3469万1000円。多良間村では被害がなかった。
 野菜は、平良市、城辺町、上野村で、カボチャ、ピーマン、ナスなどの被害があったほか、上野村と城辺町では野菜ハウスの一部にビニールやネットなど施設の破損が見られた。野菜の被害額は、作物で▽平良市266万7000円▽城辺町656万4000円▽上野村40万円―の計963万1000円。

【台風23号による食品の影響】
 沖縄本島を直撃し、本土に上陸した台風23号の影響で空、海の便が相次いで欠航。スーパーやコンビニエンスストアでは野菜や乳製品などが入荷されず、空いた陳列棚が目立ち始めた。きょう21日には那覇―宮古を結ぶ船便の一部が回復し入荷が再開する見込みだが、那覇経由で入荷する商品は本土からの入港が未定となっているため、完全な回復のめどは立っていない。また相次ぐ台風の襲来で本土産野菜への影響も大きく、さらなる価格の値上がりが懸念されている。
 ほとんどのスーパーでは牛乳やヨーグルトなど乳製品の陳列棚が空に近い状態に。牛乳は地元産を増やし対応しているほか空の便を利用した入荷でまかなっているが、ほとんどは船の入港を待つ状態になっている。また、海が荒れ漁ができないため魚介類の入荷も遅れる見込み。
 野菜や果物など青果物については、飛行機や船の便が回復しても本土での収穫量が減っているため、品薄と価格値上がりは避けて通れない状況に。すでに通常価格の1・5倍ほどに値上がりした商品もあり、今後さらに値上がりする可能性も高いという。これから旬を迎えるダイコンやハクサイは収穫前に被害を受け、柿、リンゴなどの果実も落果で収穫量が減るなど今後の影響が懸念されている。
 ある主婦は「野菜が少ない上に高いので家計のやりくりに困る。実家から野菜をもらうこともあるが、同じように台風の影響を受けているので野菜が少ない」とため息混じりに話した。

 写真説明・船や飛行機の相次ぐ欠航で入荷が遅れ、空きが目立つ陳列棚=20日、平良市内の大手スーパー

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今年の台風被害 16億8000万円/5個来襲 住民うんざり

 超大型の台風23号が通過した宮古地区。今年はこれまでに5個の台風が襲来した。県宮古支庁が台風ごとにまとめている災害報告の数字を合計すると、今年襲来した5個の台風による被害総額は約16億8000万円に上っている。このうち農林水産関係の被害が約15億4000万円と、被害総額の実に9割。6月(台風4号)、8月(台風13号、17号)、9月(台風21号)、10月(台風23号)と断続的に襲来。南海上には台風24号も控えており、相次ぐ台風が住民をうんざりさせている。
 農林水産関係の被害が最も大きかったのが、6月9−10日に襲来した台風4号。一晩で宮古島地方を通過したスピード台風で、特に収穫時期だった葉タバコに大きな被害を与えた。葉タバコの被害額は6市町村で4億7036万4000円。サトウキビや果樹などの農作物、水産施設など農林水産関係の被害額は9億6453万5000円。被害総額は9億7650万円だった。
 8月の台風13号と台風17号も大きな被害をもたらした。11日から12日にかけての台風13号ではサトウキビで3億324万4000円の被害が出るなど、農林水産関係で3億2211万6000円の被害。被害総額が3億4523万2000円。
 8月23日から24日にかけての台風17号もサトウキビの被害が1億8711万7000円に上るなど、農林水産関係被害が2億243万1000円で、被害総額は3億1104万5000円となっている。
 先月26−27日に接近した台風21号の災害速報では、さほど大きな被害は見られなかった。先の台風23号の災害速報では、被害総額が4589万1000円と算出されている。
 台風はまた停電をも引き起こし、住民生活にも大きな影響を与えた。台風4号で1万3600世帯、台風13号で4800世帯、台風17号で6600世帯と、相次ぐ停電で住民は不便な生活を強いられた。
 はるか南のグアム島付近には台風24号が控えている。宮古島地方気象台によると、今週末の宮古への接近の可能性は現時点では薄いものの、今後の動きには十分な注意が必要だ。

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手作り演劇を披露/宮古養護学校教諭ら

 県立宮古養護学校(玉元江美子校長)の教諭らは20日、同日スタートした校内読書月間にちなみ、手作りの演劇「野田の森の仲間たち」を披露した。児童・生徒の読書への意欲を促そうと、教諭らが団結して楽しいステージを展開。子供たちは目を輝かせて劇に見入っていた。同月間は11月9日まで。
 この劇は、美術教諭の町田節子さんを座長に教諭らが「野田の森一座」を結成、脚本、芝居、美術、照明、音楽、演出などそれぞれの役割を分担し、勤務外の時間を利用して作り上げたという。内容は「カエル君」と「ウサギ君」が旅の途中の「黄門様」と「角さん」に出会い、友情を深める成長物語。役柄に合わせて作った顔のかぶり物とコミカルな演技が特徴の「マスクプレイ」で、子供たちの視線をくぎ付けにした。
 観賞した野崎高之君(小学5年)は「みんな格好良かったです。ありがとうございました」とうれしそうにお礼を述べた。
 玉元校長は「苦労して準備したと思うが、皆さんの努力が大きな感動を与えてくれた」と興奮冷めやらぬ様子で話し、教諭らをねぎらっていた。

 写真説明・子供たちのために、教諭らが協力して演劇を披露した=20日、宮古養護学校

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