200平成16  10 20曜日

上野村で再検討の動き/市町村合併

 平良市、城辺町、伊良部町の3市町で現在、協議を再スタートさせている宮古地区の市町村合併協議。しかし、離脱を表明した上野村の内部で合併参加を探る動きが水面下で進んでいる。一部の議員が城辺町の仲間克町長に接触し、合併協議への同村参加の可能性について意見を求めたとの情報に基づき本紙が取材したところ、同村が単独自治体として存続した場合、一部事務組合の負担金などが大幅に増加することなど、同村の財政状況ではその捻出が厳しいことなどから「合併」を再考する動きとなったようだ。

 18日には同村の幹部が川田正一村長に対して合併について再検討するよう申し入れたとの情報もあったが、そのうちの1人は「村長にはただ現状を説明しただけ」と述べた。
 しかし、川田村長に同様の質問をしたところ「議員との話し合いも持っていない今の段階では何とも言えない。そういった動きについては肯定も否定もしない」と明言を避けたものの否定はしなかった。
 しかし、仲間町長は役場の課長級職員に対して上野村が合併を再検討していることをすでに報告しており、実質は上野村内部で動きがあることは確かなようだ。
 今回の動きの発端となったのは合併後に建設が予定されている清掃センターと葬祭場に係る同村の負担金増額などだ。
 両施設とも新市は合併特例債を使って建設することが現実的であることから、離脱した自治体はその施設を利用する場合の負担金(均等割り)と使用料などが発生し、同村の財政状況ではその捻出が現実的に困難なことから合併を模索する動きになったようだ。
 また、同村のある職員は「実際、清掃センター、葬祭場などに対する負担金を今の財政状況で捻出するのは現実的に不可能。合併した新市も財政は厳しい状況で上野村を優遇するようなこともないと思う。こういった状況に陥ることが分かっていた。合併に反対した村議は何を考えているか分からない」と厳しい口調で話した。
 しかし、賛成多数で「合併せず」の判断を下した村議会は、行財政改革特別委員会を立ち上げて現在自立への道を探っており、今後同村内部でどのような動きがあるのか注目されている。

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一昼夜暴雨風域に巻き込む/台風23号・

最大瞬間風速33.4メートル

 超大型で非常に強い台風23号は19日午後6時現在、与論島の南南西30キロにあって、1時間に30キロの速さで北北東に進んでいる。台風は19日午前零時から午後1時までの13時間、宮古島地方を風速25キロ以上の暴風域に巻き込み、島内では強い暴風雨が吹き荒れた。19日午前4時6分には平良市で最大瞬間風速33・4メートル、18日の降り始めから19日午後5時までの雨量は81・5ミリを観測した。宮古島地方は午後4時に、多良間島地方は午前8時25分に、それぞれ暴風警報が解除された。

 風速15メートル以上の強風域が直径1600キロの「超大型」台風で、宮古島地方気象台によると宮古島地方はきょう20日の午前中までは強風域にあるとみられる。波浪警報と強風高潮注意報は継続して発令されている。沿岸の海域では20日にかけて北西の非常に強い風と猛烈にしけた状態が続くことから、引き続き厳重な警戒が必要。
 台風の中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートルで、中心から東側260キロ、西側240キロ以内では風速25メートル以上の暴風。中心から半径800キロ以内では風速15メートル以上の強風が吹いている。19日は勢力を保ったまま沖縄本島を縦断しながら北上した。台風は速度を上げて進み、20日午後6時には高知市の東40キロを中心とする半径190キロの円内に達する見込み。

 写真説明・台風による高波が岸壁を越えて冠水した=19日午後2時30分ごろ、平良港

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空・海の便、まひ/台風23号・宮古発着すべて欠航

 台風23号による影響で19日、宮古発着の空、海の便は終日全便欠航、島外への交通機関はまひ状態となった。
 宮古発着の空の便では、日本トランスオーシャン航空(JTA)が、全21便欠航、1024人に影響が出た。また、琉球エアーコミューター(RAC)は全6便欠航、影響人数は85人。全日空(ANA)では全5便欠航、約100人に影響した。
 この日の宮古空港は予約の込み合う便も少なかったため、特に混雑もなく閑散としていた。各社とも、きょう二十日の運航予定は決定に至らなかった。
 平良港と伊良部町の佐良浜港を結ぶフェリーも終日欠航した。

 写真説明・航空便が全便欠航となり空港は閑散としていた=19日、宮古空港

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存続それとも民営化?/平良市立4保育所

 平良市立4保育所の将来像を、民営化に移行するか、しないかを柱に検討する諮問機関「公立保育所の健全運営を考える会」(川満美代子委員長)の第4回会議が18日、同市役所で開かれた。公立保育所の現状をチェックした上で今後の課題を探り、最終的には公立の存続、または民間への移管を含めて将来の在り方をまとめ、12月末までに伊志嶺亮市長に答申する。事務局で同市児童家庭課の下地敏雄課長は「決して民営化ありきではなく、将来像はまだ白紙」と中立の立場を強調し、現状を説明した。

 同市では、2004年度から公立保育所運営費の補助金1億4000万円(国庫、県)が全額カットされ、今後の運営が財政的な困難を強いられている。同会ではこの危機的な状況を踏まえ、公立存続または民営化の将来像を検討し、存続する場合は維持可能な運営方法の提示、民営化の場合は移管先や現在の職員の処遇なども含めて提言することになっている。
 この日の会議では、保育料の徴収状況や職員の配置状況などについて事務局からの説明を受けた。この中で職員状況が正職員3割、臨時・パート職員7割と身分の安定しない臨時職員らが圧倒的多数を占めている状況について、「財政難による民営化」の構図が当局の中に透けて見えるとして強い不安の声が上がった。前泊博美委員は「正職員が3割しかいないというのは、以前から将来的には民営化または民間委託を行おうという思いがあったからなのでは」と指摘。これに対し総務課の喜屋武重三主幹は「役所全体の動向を見た場合、保育所までは手が回らなかった」と否定。下地課長も「保育所の将来については現段階でまったく白紙」と強調した。
 平良美千代委員は「子供の将来を預かる現場に対し、臨時職員が多くても問題ないという考えには納得できない」、垣花美恵子委員は「公立がなくなりはしないかという不安の声が保護者の間でも広がっている」などと意見を述べた。
 また、奥平玄孝委員は「民間に委託すると質が低下するとの意見があるが、それでは現在、民間保育所に通っている子供たちの保育環境が悪いのかというとそうではない。もっと慎重に議論すべき」と話した。
 2003年度までの保育料の累積滞納額は390万9600円。このうち111万1040円を徴収、徴収率は28・42%だった。事務局からは「今後は(徴収率)50%を目標に、差し押さえの手段も視野に入れて強く呼び掛けていく」と説明があった。
 同会の委員は次の通り。(敬称略)
 ▽川満美代子(委員長)▽垣花美恵子▽下地宏幸▽砂川美恵子▽富浜隆昌▽森東むつみ▽奥平玄孝▽根間修▽楚南幸哉▽平良美千代▽友利明子▽前泊博美

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過去最高の44万1900円/10月肉用牛競り・子牛1頭平均価格

 宮古本島の10月肉用牛競りが19日、JAおきなわ宮古家畜市場で開かれ、子牛(生後12カ月以内)1頭平均価格は44万1954円で取引が成立し、1993年5月の同市場運用開始以来、過去最高の高値を記録した。この価格は前月に比べ2万2880円高の高値。平均キロ価格は前月比66円高の1651円で成立した。成牛を含めた全体の販売額は1億5463万4550円。同市場の競り値は右肩上がりで推移しており、要因には農家の飼育向上と米国のBSE(牛海綿状脳症=狂牛病)問題の影響が挙げられる。
 今月競りに上場された子牛は343頭。このうち340頭が競り落とされ、計1億5026万4450円を売り上げた。1頭平均価格は去勢が48万2235円、雌が37万6885円といずれも高値。1頭の最高価格は去勢の60万2700円だった。
 成牛を含めた全体の上場頭数は377頭で、このうち365頭の取引が成立。1頭平均価格は去勢が48万2235円で雌が34万4291円で競り落とされた。平均のキロ単価は1524円だった。
 今回の高値に同市場を運営するJAおきなわ宮古地区事業本部は「牛がそろっており(上場された牛に体重のばらつきがないこと)、農家の飼育努力がうかがえる」と話している。
 同市場の子牛1頭平均価格は今年8月に過去最高(43万4973円)を記録。今月の競りはこの価格を6981円上回った。年間の目標販売額を30億円に設定しているJAおきなわ宮古地区事業本部など関係者にとっては最高の取引を続けている。

 写真説明・子牛1頭44万円台の取引が成立した10月期肉用牛競り=19日、JAおきなわ宮古家畜市場

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メキシコから研修生/宮古の地域保健活動を視察

 宮古の地域保健活動を学ぼうとメキシコから研修生として来島している看護師ら8人が19日、県宮古支庁に安和朝忠支庁長を表敬訪問した。一行は台風23号の影響で研修初日となる同日の日程の変更を余儀なくされたが、これから始まる11日間の研修に意欲を見せた。
 一行を出迎えた安和支庁長は、「宮古の保健状況だけでなく、歴史や文化などたくさん学び、帰国してからの活動に生かしてください」と激励した。
 研修生を代表して看護師のマルガリタ・ピネダ・マルティネスさんは「温かい出迎えありがとうございます。各地で皆さんが家族のように親しく出迎えてくれるので、研修に集中しやすい。期間中、よろしくお願いします」とあいさつした。
 研修は1カ月以上にわたり、沖縄本島、宮古ほかの保健施設などを視察し、連携体制などを学ぶ。宮古では福祉保健所職員らによる各種講演を受講するほか、城辺町立西城小学校での交流会、学校保健視察(22日)などを予定している。
 研修はメキシコの地域保健分野を今後、強化するため地域保健従事者を対象に行われている。

 写真説明・安和支庁長(前列左から2人目)を表敬訪問したメキシコからの研修生ら=19日、県宮古支庁

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