「第3回地域資源を活かした しま興し講演会」(主催・城辺町、共催・武蔵野免疫研究所、うるばな宮古、かぎすま宮古)が9日午後、平良市のマティダ市民劇場で開催され、大学教授らが宮古島のビデンス・ピローサ(和名・タチアワユキセンダングサ、方言名・ムツウサ)の効能などを紹介した。会場には地元だけでなく島外からも300人以上が参加、ムツウサの限りない可能性について考えた。城辺町の仲間克町長は「ムツウサの効能について、地元でも認識を深めてほしい」などと話し、地域資源を生かした新たな産業の育成に協力を求めた。
この講演会はムツウサという宮古島の地域資源を生かした島興しが狙い。この趣旨に賛同し沖縄総合事務局や県、県産業振興公社が後援するなど、これまで「雑草」と呼ばれきたムツウサに期待を寄せている。
講演会は午後4時30分から開かれた。はじめに星薬科大学臨床化学教室の瀬山義幸教授が講演し、ムツウサの効能を紹介した。「ムツウサはビタミンEやビタミンCに類似した抗酸化作用を有する」とした上で「過酸化脂質により誘発される疾患(糖尿病や動脈硬化など)を予防する」などと話した。ほかにインスリンの分泌促進や血糖を下げる効果も示した。
北里大学医学部皮膚科の増澤幹男教授はムツウサを主成分とするお茶による病気の予防について講演。実際の患者に服用してもらったデータを示し、「特に、手足の冷えが改善された人が多かった」と強調した。さらに口内炎を抑制することも報告。まとめとして@熱を下げるA痛みの軽減B炎症を抑えるC毒作用を除くD血液中の脂肪を少なくするE血液の流れを良くする―とした。
会場の参加者はそれぞれの教授の報告を聞きながらうなずき、メモを取るなどしてムツウサに関する知識を深めていた。
講演会ではほかに、宮古農林高校の前里和洋教諭が「宮古島の農業の活性化と地下水保全との共生を目指して」と題して講演したほか、アトラクションも催され、最後まで大きな盛り上がりを見せていた。
宮古島では現在、14農家が計7モナムツウサを栽培している。城辺町や武蔵野免疫研究所によると、ムツウサは花粉症やアトピー、糖尿病の治療に役立つため、近年は全国各地で脚光を浴び始めているという。すでにムツウサを原材料とした商品は「かんぽう茶」などが販売されており、全国各地に愛飲者がいるという。
写真説明・大学教授らがムツウサの効用を実験データを基に示した=9日、マティダ市民劇場
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