200平成16  930 曜日

解職請求問題、議会に飛び火/伊良部町

 伊良部町議会(友利浩一議長)9月定例会の2日目の29日、一般質問が行われた。今月25日に浜川健町長の解職請求(リコール)は不成立で決着したが、解職請求代表者だった川満昭吉元町長との泥仕合は議会に飛び火し異常事態に発展した。浜川町長は、川満元町長時代の議会議事録のコピーを手に「川満元町長は『町民に一円の負担もさせない』と答弁しながら、沖縄海外漁業株式会社の損失補償に2億3000万円支払った」と声を荒げて述べ、町財政を圧迫させた要因の1つであると激しく批判した。嘉手納学氏の質問に答えたもの。

 この日は、嘉手納氏のほか、池間正榮、佐久本洋介、島尻始、洌鎌敏一、喜久川昭則の六氏が登壇し、町政全般について当局の考えをただした。
 同社は、1983年に県、平良市、同町、船主らが出資して第三セクター方式で設立した。当時の社長は川満元町長。県内の金融機関から事業運転資金として5億4000万円を借り入れた。84年に借入金が返還できない場合は、同町が2億3000万円を損失補償するとして、町議会で採択した。会社はその後、経営不振に陥り倒産した。
 嘉手納氏は、解職請求の署名運動中に、合併賛成派から町民にまかれたビラを読み上げた上で「2億3000万円の損害を与えたことは把握しているか」と質問。これに対し浜川町長は「1993年から10年かけて2億3000万円は支払った。町財政を圧迫させたのは川満元町長時代からである。私だけの責任ではない。新聞に私を能力が無いなどと載せていたが、この投稿がなければ沖縄海外漁業の問題は議会には出なかった」と怒りの声を上げ「町民に事実を公表した方が良いと思った」と述べた。
 また嘉手納氏は、85年に同町佐良浜地区の漁師らが乗った9隻の船団が、パプアニューギニアの政府に税金滞納などで足止めされた問題を取り上げた。
 嘉手納氏は「当時の川満町長は、人命救助のために、町に3000万円を負担させた」と語った。
 池間氏は、自衛隊と米軍による下地島空港の共同利用の動きについて、軍事利用への危機感を訴えた。浜川町長は「軍事利用させないというのが町民の意思。軍事利用は断固反対。今は、合併に向けて取り組んでおり、これからは郡民が一体となって対応すべき。下地島空港の有効活用は、宮古圏域の発展につながる」と答弁。01年に町議会で可決した「下地島空港における自衛隊機訓練誘致に関する決議」については、言及を避けた。
 町議会では、米軍再編による一連に動きに対しての抗議の意見書は上程しない予定。

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名月の下で伝統行事/十五夜

 十五夜(旧暦8月15日)にあたる28日、宮古各地区で綱引きや伝統の舞など古くから地域に伝わる伝統行事が催された。雲の切れ間から時折見える中秋の名月の明かりに誘われ、大勢の住民が催しに参加。1年に1度の夜を楽しんだ。
 

【マストリャー 上野村野原】
 上野村野原地区(砂川久雄区長)に伝わる伝統行事で、国の指定無形文化財、上野村指定文化財のマストリャーが同地区公民館で盛大に催された。男性は勇壮活発な棒踊り、女性は優雅な舞で、豊年を祈願した。
 マストリャーは「升取り屋」の意で、税を納めていた升元を表している。納税を終えた喜びと来期の豊作を祈願する祭祀で、人頭税時代から引き継がれているという。
 午後10時ごろになると、同地区内の「子組」、「寅組」、「午組」、「申組」の四つの升元から男たちが鐘の音を響かせ集落内を練り歩きながら公民館に集まった。また、あでやかな着物を身にまとった女性も集結、伝統行事の幕が開けた。
 会場内では男性、女性それぞれが一糸乱れぬ優雅で力強い舞を披露。最後は1つの大きな輪になりにぎやかにクイチャーを踊った。

 写真説明(上)・力強く勇壮な棒踊りを見せる男性=28日、上野村野原公民館

【マストリャー 城辺町福里】
 城辺町福里では28日夜、十五夜の伝統行事マストリャーが旧城辺町役場近くのブンミャーで行われた。1998年に50年ぶりに復活した福里のマストリャーも今年で7回目を数える。
 わらが敷き詰められたブンミャーでは、最初に数名の女性が四ツ竹を鳴らしながらゆっくりと踊り、その後、多数の老若男女が輪になって、威勢のいい掛け声とともにクイチャーを踊った。天候はあいにく雲が多かったものの、掛け声に誘われ、やがて満月も姿を見せ始めた。中秋の名月の下、人々は休憩を挟みながら何度も踊り、秋の夜空に豊年を祈った。

 写真説明・月光の中、クイチャーを踊る=28日、福里ブンミャー

【シーシャガウガウ 平良市内】
 「十五夜」の28日、市街地では、日没後に手作りの子供獅子「シーシャガウガウ」が出没した。子供たちが、民家の玄関や事業所、店などで「シーシャーガウガウ、シーシャーガウガウ」とにぎやかに連呼しながら厄払いの獅子舞を披露し、お駄賃をもらって歩き回っていた。
 「シーシャガウガウ」は市街地で子供たちに受け継がれている十五夜行事。板や紙などを使った獅子に変身して踊りを披露し、大人に褒美をねだる。現在は小銭がほとんどだが、昔は菓子などが中心だったという。
 西里通りの事業所などを「訪問」していた北中2年の平良慎太郎君、川満竜太朗君、下地優作君、高江洲翔拓君の4人組は、パーランクーを打ち鳴らしながら額に汗を浮かべて跳んだりはねたりの獅子舞を披露。「ちょっと恥ずかしいけど楽しい。最低5000円はもらいたい」と話していた。

 写真説明・子供たちによるシーシャガウガウが獅子舞を披露して歩き回っていた=28日、平良市西里

【大綱引き 平良市狩俣】
 1年の豊作に感謝し、平良市狩俣自治会(池間等志会長)でも伝統の大綱引きが行われた。大勢の地域住民が参集し、大地を力強く踏みしめ東西に分かれて綱を引いた。今年は3勝2敗で西が勝利し「豊漁」が約束された。
 集落内に設けられた特設ステージであいさつした池間会長は「去年、今年と台風の年だったが、豊作に感謝しましょう」とあいさつ。また、「子供から大人まで一体となって盛り上がる行事。楽しんでいきましょう」と呼び掛けた。
 祭りは子供たちによるエイサーで幕開け。会場となった県道230号線(通称・池間大浦線)は一時封鎖され、大勢の地域住民が詰め掛けた。
 雄綱、雌綱を連結させ、綱引きが始まると会場は熱気の渦に。参加者は「せーのヨイショ」、「ヨイショ」の掛け声に合わせて綱を引いた。
 東が勝つと「豊作」、西が勝つと「豊漁」が約束される勝負は五回勝負で行われ、西が3勝2敗で勝利した。

 写真説明・大勢の地域住民が参加し、豊作に感謝しながら大綱引きを楽しんだ=28日、平良市の狩俣小学校前

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洲鎌栄一が引退表明/ボクシング 元日本フェザー級王者

 ボクシングの元日本フェザー級王者の洲鎌栄一(28)=尼崎=が28日、兵庫県尼崎市の所属ジムで現役引退を表明した。洲鎌は「世界戦で力を出し切った。打ち合って負け、世界のすごさを知った。これ以上続けても、気持ちを持って行けない」と話した。今後はボクシングを離れ、新たな人生をスタートさせる。
 洲鎌は7月24日に韓国・ソウルで行われたWBC(世界ボクシング評議会)フェザー級タイトルマッチで王者、池仁珍に世界初挑戦。王者をダウン寸前まで追い込むなど善戦したが、10回TKOで敗れた。
 洲鎌は「ボクシングを始めて10年。会長をはじめ、スタッフや多くのファンに支えられた。幸せなボクシング人生を送ることができた。応援ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。
 尼崎ジムの小島祥一会長は「引退は残念だが本人が決めたこと。世界戦では力を出し切り、納得のいく試合だった。十年間よく頑張った」と話した。

 洲鎌栄一(すがま・えいいち) 1975(昭和50)年生まれ。96年にプロデビュー。97年には全日本新人王獲得。01年に日本フェザー級王座を獲得。3度防衛の後、02年に王座陥落。通算戦績は31戦26勝(19KO)4敗1分け。両親は城辺町出身。

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知念3段、先勝ならず/女流本因坊戦第1局

 第23期損保ジャパン杯女流本因坊戦五番勝負の第1局が29日、富山市内のホテルで行われ、白番の小林泉美女流本因坊が168手までで挑戦者の知念かおり3段に中押し勝ちした。第2局は10月13日に、東京都の日本棋院会館で行われる。
 序盤は互いに地を囲い合うゆっくりした進行。中盤に入り黒は、上辺で白を攻めにいったがうまくいかず、右辺の白模様を消しにいった石も攻められ碁を苦しくした。結局、右辺の一団の石はコウでしのいだものの代償が大きく、形勢を損ねた。119手目以降、黒は追い込みに入ったが及ばなかった。
 終局は午後6時1分。持ち時間各4時間のうち、残りは小林が2分、知念が3分だった。
 知念3段の話「左下から下辺にかけての分かれがつらかった。その前に先に攻めなければならなかった。これから2週間あるので、気持ちを切り替えて頑張りたい」。

 写真説明・対局後戦いを振り返る知念3段(右)と小林女流本因坊=29日、富山市の富山第一ホテル(写真提供・北日本新聞社)

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産業まつり、来月16、17日/今年もドイツ村で開催

 「島産品(しまさんぴん) 地産地消でしまおこし」をテーマに第27回宮古の産業まつり(主催・同まつり実行委員会)が10月16、17日の2日間にわたって上野村のうえのドイツ文化村で開催される。県産品の展示即売会や宮古の織物展、ファッションショー、Tシャツデザインコンテストなど多彩なイベントが催される予定。29日、県宮古支庁で開かれた実行委員会で決定した。
 産業まつりは「時代のニーズに対応した新製品の開発と品質の向上を促進し、幅広く県民にPRすることで県内産業に対する県民の意識を深める」という理念の下、国の三位一体政策により、中央依存の体質から自立的発展に向けて魅力ある経済活動拠点を創出し、活力ある民間主導の自立型経済を構築しなければならないとし、宮古圏域でも地域特性を生かした新産業の創出、新規産業の育成を支援する機会として開催される。
 イベントは▽県産品展示即売会▽サトウキビに関する生産加工品および奨励品種展▽マルチメディア展▽宮古の織物展、ファッションショー▽Tシャツデザインコンテスト▽みゃーくの味郷土料理フェアー▽宮古観光関連施設巡りバスツアー▽ロボット展▽消費生活展―など。
 また、ストックホルム青少年水大賞を受賞した県立宮古農林高校環境班が開発した有機肥料「バイオ・リン」の紹介、電気自動車の試乗会の開催も検討する方針。
 そのほか、経営の改善技術の発展などで大きな成果を上げ、他の模範となる実績を収めた個人、業者に対して「宮古地区産業振興賞」を贈呈する。
 オープニングセレモニーは16日午前9時50分から。関係者のテープカットなどが行われる。

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