200平成16  9 16曜日

下地島空港を日米共同使用/在日米軍再編で米政府が検討

 下地島空港を「協力的安全保障拠点」と位置付け、米軍と自衛隊の補助的な機能として活用するとの一部報道が15日に流れ、宮古圏域には同空港の軍事利用化検討との報道に困惑と反発の声が上がった。この問題は米政府が在日米軍の再編問題に絡み、米軍嘉手納基地を自衛隊と共同使用するとともに下地島空港を補助的な機能として活用する具体案を日本政府に提示したことが、複数の両国関係者筋から明らかになり一部報道で伝えられた。平良市議会の一般質問でもこの問題は取り上げられ伊志嶺亮市長も強い反発の姿勢を示すなど、圏域は1日この問題に揺れた。

 米政府が同案を日本政府に提示している中で、一方の防衛庁は「防衛力の在り方検討会議」の結論に▽航空自衛隊那覇基地所属のF4戦闘機部隊を機動力の高いF15戦闘機部隊に変更▽下地島への戦闘機の移駐―を明記するなど、米軍再編を前提とした見直しの一部がすでに日本側でも検討されている実態も示された。
 下地島空港について米側は、日米共同訓練や補助飛行場としての役割を想定し、防衛庁側は「南西方面の態勢強化」を掲げ下地島空港に戦闘機の移駐を目指していることから、防衛庁案が実現した場合は下地島空港にF15戦闘機が移駐することも予想されている。 
 しかし、下地島空港の使用については1971年に当時の琉球政府と日本政府が下地島空港は民間航空以外に使用しないとの確約書を交わした経緯や県議会決議があり、圏域はこれを前面に押し出して反発していく見込みだ。
 下地島空港は1969年に琉球政府がジェットパイロットの訓練飛行場として誘致し、伊良部町の下地島に建設された。79年には公共用飛行場として新たに設置が許可され、供用開始となった。80年からはYS11型機の定期便が就航したが利用客が少なく、94年に運休した。また、ここ数年米軍機がフィリピンでの訓練に向かう途中の給油地として同空港を強行使用するなど米軍使用の恒常化が懸念されていた。同空港の面積は362ヘクタールで3000メートルの滑走路を有している。

 写真説明・米軍と自衛隊による軍事利用化が懸念されている下地島空港

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住民ら一斉に猛反発/下地島空港日米共同使用

 伊良部町の下地島を「協力的安全保障拠点」と位置付け、補助空港の役割として想定した案を、米政府が日本政府に提示していた問題を一部のマスコミが報道した15日、宮古各地で衝撃が走った。住民の中から「軍隊が使用すると、伊良部町がテロの標的になる。軍隊はいらない」、「戦争につながる軍民共用は反対だ」など猛反発の声が上がった。
 宮古市町村会長である伊志嶺亮平良市長は「米政府が下地島空港を日米共同使用する具体案を日本政府に打診していることに対し、驚きと強い危機感を覚えている」と述べた上で「下地島空港は、屋良覚書・県議会付帯決議で民間機以外の利用を認めていないので、自衛隊などの軍事利用をさせてはならない。宮古圏域の平和と安全を守るためにも、今後、軍事的に利用されることは絶対に容認できない」と強く反発した。
 浜川健町長は「補助空港を想定しているようだが、絶対反対だ。日米合同の利用があってはならない。またさせてはならない」と怒りを表した。
 謝花浩光同町議会副議長は「伊良部町は、自衛隊訓練機誘致について、県や国に要請したことはあるが、それは市町村合併の話しが出る前の要請だった」と説明した上で「今は市町村合併を推進しているので、今回の問題は宮古広域で考えてほしい」と提起し、軍民共用に向けての動きに反発の姿勢を示した。
 同町に住む40代の女性は「下地島空港に軍隊が来ると核兵器が持ち込まれる。米国が戦争する国からテロの標的になる」と声を荒らげた。
 屋良覚書は、1971年に下地島空港の建設に対し、日本政府と琉球政府(屋良朝苗主席)が交わした確約書。

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合併離脱を決定/上野村議会

 上野村議会(平良隆議長、定数12)は15日、全員協議会を開き、多良間村と下地町を除く4市町村での合併枠に参加ししない方針を固めた。議長を除く11人が意見を述べ、賛成は4、反対は7。同案を支持した川田正一村長や同村労働組合の主張は議会からの理解を得られなかった。川田村長はきょう16日に開かれる市町村長会議で経過を報告する予定。
 反対したのは上地博通、新里聡、砂川寛茂、砂川長一、砂川栄市、芳山辰巳、川満盛一の7氏。このうち、川満氏は13日の全員協では態度を保留していた。また、砂川寛茂、砂川栄市の2氏は先月12日に開かれた臨時会で5市町村での法定協発足案に賛成していた。
 全員協に先立ち、7氏は15日午前、市町村合併に反対すると書面に署名、捺印し川田村長に提出していた。
 賛成は川満泰一、宮国幸清、仲元成美、島尻幸夫の4氏。
 同村役場で開かれた全員協で反対派は「自立し、特色ある村づくりを進めるべき」、「上野村は下地町から分村した歴史を持つ。先輩たちは当時、苦労したと聞いている。もう一度、一から始めてもいいのでは」、「長い目で見た場合、自立した方がいい。宮古は1つというが、複数の自治体があってもいい」、「苦しければ苦しいほど知恵が出てくる。上野村は独自の文化をつくっていける」などとそれぞれ述べ、反対姿勢を強調した。
 対して賛成派は「村長と職員との意見も一致している」、「下地町から分村した当時と今では社会基盤が全然違う。合併し新しい道を模索するのが得策では」などと合併推進の立場を示した。
 協議終了後、川田村長は「これから、耐えられないほどの痛みを伴うだろう」と単独自治体としての道は厳しいとの見解を再度強調した上で、「2回にわたり協議したが、4市町村案は反対ということになった。他市町(平良、城辺、伊良部)を待たせている状況なので、時間的余裕もない。上野村の遅れから他自治体が合併できなかったら宮古の大きな損失となる」とコメントした。

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「合併せず」の判断に困惑/上野村内の区長・

議員からの相談「なかった」

 上野村議会(平良隆議長)が15日に開いた市町村合併の枠組みに対する全員協議会で合併反対多数となり合併からの離脱が決定した直後に行われた上野村当局の区長に対する説明会では、村議会が「合併せず」の判断を下したことにほとんどの区長が困惑を隠しきれない様子で「なぜ5市町村では賛成で4市町村の合併は反対なのか理解できない」「上野村の状況を最も理解している村職員の9割が『合併推進』ならその意見を尊重した方がいい」との意見が出された。また、議員が合併の方針を示す際に相談等はあったかの質問には参加したほとんどの区長が「ない」と答えた。
 今回参加した区長は村内9部落の区長のうち8区長が参加。そのうち区長長の崎原勉宮国区長を含む4人が「合併した方がいい」との立場を示し、そのほかの区長は「戸惑っている」「詳しいことは分からない」などを理由に態度を決めかねていることを説明した。しかし、「合併すべきではない」との見解を示した区長は1人もいなかった。
 区長から出る意見としては「一部の村議は最初から合併反対の姿勢を示していたが、合併賛成だった議員が多かったので結局は合併すると思っていたがなぜこんな状況になったか分からない」や「下地町を参考にするのはおかしい」「いきなり合併反対の方針となり驚いている」など村議会の判断に困惑を隠しきれない様子。
 区長見解を聞いて川田正一上野村長は「村議は区長とのある程度の話し合いを持って判断していると思っていた」と驚いた様子で話した。
 この区長説明会は直前の全員協で「合併せず」の村議意見が多数を占めた後に行われたため、一部区長からは「反対してもいいが自立に向けた策が村議に本当にあるのか」「合併について村議との話し合いはほとんどなかった。どこの地域でも同じだと思う」と議員判断に疑問を呈した。
 下地町離脱後、「合併推進」だった議員の一部が「合併せず」へと方針を変えた。その理由としてよく「一度は合併推進の姿勢を示したが多くの村民が合併反対の意思を示しているので自立の道を選んだ」との答えが多く聞かれた。しかし、部落のまとめ役である区長のほとんどが「話し合いが持たれていない」との見解を示したことを考慮すると「別の理由」や「別の思惑」が影響したことも予想される。

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知事が特別表彰を授与/宮農高環境班・

国際水コン大賞受賞祝賀会

 【那覇支局】県立宮古農林高校(下地恵吉校長)の環境班が8月17日にスウェーデンで開かれた「ストックホルム・ジュニア・ウオーター・プライズ(青少年水大賞)」国際コンテストで「水のノーベル賞」と呼ばれる同大賞を受賞。この国内初、アジア初の栄誉ある受賞をたたえ、県は15日午後、那覇市内のホテルで受賞報告会・祝賀会を開いた。その中で、稲嶺恵一知事は同環境班に児童生徒等特別表彰を授与した。同環境班を代表して川平勉君は「多くの方から素晴らしい評価を受け、ほんとにうれしい。この名誉ある受賞は、先輩方や先生方、地域の人々など多くの方の協力のおかげ。私たちはこれからも地下水保全の研究に一層取り組みたい」と喜びと感謝を述べた。

 会場には、稲嶺県知事や外間盛善県議会議長ら多くの県関係者や教育関係者、高校生(220人)らが詰め掛けた。同環境班からは同校3年の川平君、砂川大輔君、山口香さん、砂川大己君、2年の下地孝平君が参加した。
 主催者あいさつで、山内彰教育長は「国際的舞台でのグランプリであり、学びの国際性、地方の国際性が実証されたことは大変意義あること。また、離島のハンディキャップを優位性に変えた」と生徒たちをたたえ、今後の活躍を期待した。
 受賞報告を同環境班顧問の前里和洋教諭が行い、スライドを使いながら、環境班の研究取り組みやストックホルムでの発表の様子を紹介した。前里教諭は「物質循環をしながら地下水を保全していく。農業と地下水の共生を進める。世界の20億人が地下水に依存している中で、この研究は世界に役立つ可能性がある」と、意義を強調した。
 同環境班の研究発表はストックホルムで発表した川平君、砂川君、山口さんの3人がスライドを使いながら、英語と日本語の両方で行った。そのなめらかな英語のやりとりや、内容の濃い日本語での発表に会場から万雷の拍手が送られた。
 受賞の喜びを、下地校長は「朗報が届いて以来、祝電や電話が相次ぎ、反響の大きさに驚いた。秋篠宮殿下やスウェーデン大使、4省庁での報告ではこの賞の重みをひしひしと感じた。生徒たちの対応は素晴らしかった」と深い感激を込めた。 
 この後、稲嶺知事が県児童生徒等特別表彰状と記念品を授与。「発表内容は、農業と水資源の保全に大きく貢献するもので、本県の将来に明るい展望を開くものとして、頼もしく感じた」と喜び、会場の高校生を含め、「沖縄の特性に目を向けた研さんを」と激励。県経営者協会と県工業連合会、JAグループ沖縄から奨励金が贈呈された。

 写真説明・県知事から県児童生徒等特別表彰を受けた宮農高環境班=15日、那覇市のロワジールホテルオキナワ

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春季キャンプは2カ所で/オリク・近鉄合併新球団・

宮古は1次、2次は高知など候補

 オリックスの中村ゼネラルマネジャー(GM)は15日、来年の春季キャンプについて、2カ所で実施する方針を明らかにした。昨年までのオリックスのキャンプ地である沖縄・宮古島で1次キャンプを行い、2次キャンプ地へ移動する。2次キャンプ地は高知や近鉄のキャンプ地だった宮崎・日向などが候補に挙がっている。同GMは「阪神方式で行う。近鉄とも話をつけている」と話した。

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