200平成16  31 曜日

宮古病院 赤字4億2800万円/経営状況さらに悪化

 【那覇支局】県病院事業の2003年度決算概要によると県立宮古病院は4億2814万8841円の赤字で、前年度の赤字額2億9664万2281円に比べ1億3150万6560円の損失増となっていることが分かった。同年度の総収益は43億7910万1035円(前年度比5・0%減)、総費用は48億724万9876円(同2・0%減)。費用に対する収益の割合(総収支比率)は前年度比2・9ポイント減の91・9%、医業費用に対する医業収益の割合(医業収支比率)は同2・4ポイント減の84・4%と、いずれの指標も前年度を下回っており、経営状況は悪化している。

 県病院事業全体では、病院事業収益389億1798万587円(前年度比3・4%減)に対し、病院事業費用が413億1190万338円(同6・4%減)で23億9391万4462円(前年度比38・1%減)の赤字。累積赤字は390億5975万6616円と前年度に比べ6・5%増えた。
 同年度の県立病院全体の予定患者数は196万1079人。これに対し、実績が183万4349人と大きく下回った。
 宮古病院も予定患者26万4949人に対し実績は23万1073人と、大幅な差が見られるように、患者数実績が予定数を下回ったのが赤字の大きな要因。
 また、県立病院は急性期医療への転換を図るため長期入院患者の民間病院への転院などを進めているが、一方で急性期医療患者の入院は増えておらず、これも病院経営の悪化の一因になっている。
 病院ごとでは精和病院が黒字を維持したほかは六病院が引き続き赤字。赤字が多いのは南部(約7億3000万円)、北部(約4億5000万円)、宮古の順。
 県監査委員の意見書は、経営健全化に向け取り組むべき課題として▽未収金対策など医事算定部門の強化▽患者数の動向を的確に把握した上での適切な収支予算の編成▽病院現場と本庁、病院の各部門の連携による統一した取り組み―などを挙げている。


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「ご先祖様 また来年」/各家庭で旧盆送り日

 旧盆(ストゥガツ)最終日の30日は、先祖の霊を後生へ送り出す「送り日」。各家々には親族が集まり、紙銭(カビジン)やごちそうで先祖の霊をもてなし、向こう1年間の無病息災を祈った。深夜には線香で先祖の霊を屋外へ案内し、「また来年も来てください」などと呼び掛けながら家の門や庭先で墓のある方向に向かって手を合わせ、先祖の霊を送った。

 送り日と呼ばれるこの日は、あの世に戻る先祖の霊を盛大にもてなし送り出す行事で、仏壇にごちそうを供えたり、あの世のお金とされる紙銭を焼いたりしてもてなす。深夜になると庭先や道ばたで手を合わせる光景が多く見られる。
 城辺町の平良清善さん(68)宅では長男夫婦や孫たちが集まり、にぎやかに先祖をもてなした。午後11時ごろになると線香で先祖の霊を庭先まで案内。土産として紙銭、仏壇に供えた果物、酒、「神様の杖」とされるサトウキビなどを供え、家族の安全と繁盛を祈りながら墓のある方向に向かって全員で手を合わせ送った。
 平良さんは「毎年、子や孫たちと一緒に盛大に先祖たちを迎え送りしているので先祖の霊も喜んでくれてい

 写真説明・紙銭や土産物を供え合掌して先祖の霊を送った=30日夜、城辺町の平良さん宅の庭先

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勇壮に大綱引き/上野村宮国・旧盆の伝統行事

 旧盆の送り日に当たる30日夜、上野村宮国部落伝統の大綱引きが盛大に行われた。行事の始まりを告げるほら貝や鐘の音が集落内に響きわたると、会場となった宮国公民館には住民らが集まり、ぽっかりと浮かぶ月の明かりの下、それぞれ東西に分かれて威勢の良い掛け声を上げながら大きな綱を力の限り引き合った。今年は東に軍配が上がり、「豊作」が約束された。
 宮国の大綱引きは先祖の魂をにぎやかに送り、1年の豊作と大漁を祈願するもので、1995年3月に同村の無形民俗文化財に指定されている。
 綱引きに先立ち、部落の子供たちが「綱引き踊り」と呼ばれる踊りを部落内の各交差点などで披露。この後、東の雄綱と西の雌綱を同公民館横の交差点を中心に連結させて綱引きが始まると会場は熱気に包まれ、興奮のるつぼに。
 参加者は力強い掛け声とともに大地をしっかりと踏みしめ、真剣な表情で綱引きに挑戦した。東が勝つと豊作、西が勝つと大漁が約束される勝負は2勝1敗で東が制した。
 大綱引きに使用される綱は「キャーン」(シイノキカズラ)を太く編み上げて作る昔ながらのもの。昔は子供たちが中心となり、旧暦の七夕から9日間にわたり綱引きが行われていたという。しかし、当時は宮国の海岸一帯に生い茂っていたという原料となるキャーンの不足や子供の数が減ったことから、現在は先祖の霊を送る旧暦の送り日だけになったという。
 同部落の崎原勉会長は「大綱引きは部落が一体となって活気づく伝統行事。欠かさずに行っていくことで地域の文化を子供たちに伝え、伝統を守っていきたい」と話した。

 写真説明(上)・老若男女が大勢集まりキャーンで編んだ綱を引き合った=30日夜、上野村宮国
 写真説明(下)・綱を掲げながら威勢のいい掛け声を上げる若者たち

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砂川小、惜しくも『銅メダル』/九州ミニバスケ大会で3位入賞

 熊本県で行われた第24回九州ブロックスポーツ少年団ミニバスケットボール交流大会に県代表として出場し、3位入賞を果たした城辺町立砂川小学校男子ミニバスケットボール部が30日午後、帰島した。宮古空港では大勢の父母や学校関係者が選手たちを出迎え、活躍をたたえた。キャプテンの久貝仁人君は出場が決まっている次の九州大会(来年1月、佐賀県で開催)を見据え「次は優勝を狙う」と気持ちを改めた。
 九州大会で砂川は1、2回戦と連勝し、ベスト4入りを決めた。優勝まであと2勝と迫った準決勝で地元、熊本県代表の玉名町と対戦。開始直後こそ優位に試合を展開するも、第3クオーターでエースの友利魁志君(6年)の負傷退場というアクシデントに見舞われ、34―35と惜しくも1点差で敗れ「九州優勝」というチームの目標を果たすことができなかった。大会は、同じく県代表の高原(沖縄市)が優勝した。
 チームを率いた砂川栄作監督は「相手の方が勝とうとする気持ちが上だった。高原と決勝で試合をしたかった」と話した。
 キャプテンの久貝君は「(準決勝は)エースが退場してみんなの元気がなくなってしまった」と悔しさをにじませたが、「次の九州大会までにディフェンスを強化し、次こそは絶対に優勝したい」と意気込みを見せた。
 同行した池間巌校長は「選手たちは素晴らしいプレーを見せてくれた」と活躍をたたえた。

 写真説明・九州で3位と健闘を見せた砂川小男子ミニバスケットボール部=30日、宮古空港

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台風14号災害を振り返る/襲来から1年で写真展

 昨年9月に宮古島地方に襲来した台風14号の災害写真パネル展(主催・県宮古支庁)が同支庁1階ロビーで30日から行われている。9月3日まで。防災週間(8月30日―9月5日)に合わせて実施したもので、職員や訪れた住民らは足を止め、改めて台風の恐ろしさを実感している様子だった。
 台風14号は昨年9月10―11日にかけて宮古島地方を暴風域に巻き込んだ。最大瞬間風速74・1メートルという県内での観測史上歴代4位という強い風により、公共機関や民家が損壊。電柱も倒壊し、長いところでは約2週間にわたり停電した。また、横たわった電柱は幹線道路を遮断し交通がまひするなど住民生活に大きなつめ跡を残した。
 同支庁では「災害の未然防止と被害の軽減を図るには日常から災害に対する備えを充実・強化し、災害時に迅速に防災活動が展開できるようにしておくことが重要」とし、台風14号襲来から約1年となる時期に住民の関心を高め、災害に対する備えを促す目的で同展示会を開催した。
 展示会では、同支庁や宮古警察署、宮古島地方気象台、宮古教育事務所などが撮影した写真・パネルがずらり。大型バスの横転や、屋根の吹き飛んだ平良市中央公民館と城辺町立城辺中学校体育館の様子、窓ガラスが割れ、そこから入り込んだ強風により荒れ放題となった宮古空港管制塔、倒壊した電柱に押しつぶされた車の様子などの写真・パネルなどのほか、台風の経路図や農作物被害額など約60点が展示されている。

 写真説明・台風14号の残したつめ跡に改めて恐ろしさを実感する来場者=30日、県宮古支庁

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宮古Jr.ゴルフクラブ設立へ/環境生かし、健全育成も狙い

 青少年の健全育成を柱とした宮古ジュニアゴルフクラブが年内にも設立される。宮古ゴルフ協会(上地安増会長)をはじめ、宮古警察署、ゴルフ場ほか、学校関係者で構成する見通し。ゴルフ環境に恵まれた宮古島でジュニアゴルファーの育成に全力を尽くす。上地会長は「何よりも健全なる青少年を育成することが狙い。ゴルフを通して実践したい」と意欲を示す。さらに「(同クラブを)設立することで全国的な大会を誘致する際にも役立つ」と話し、組織化された受け皿のメリットを強調した。
 「ジュニアの段階から指導し、宮古島からプロゴルファーを誕生させたい」。宮古島にある3つのゴルフ場でエージシュート(自分の年齢以下のスコアでプレーすること)を達成した宮古ゴルフ協会の上地会長の夢だ。その夢は各ゴルフ場にも伝わったほか、ルール、マナー重視のゴルフ競技で、社会ルールを順守するという精神力を養えるという観点から宮古署も全面的な協力を申し出た。
 これら関係機関・団体による活動のスタートが今月中旬に開催した全宮古ジュニアゴルフ選手権になった。参加した児童・生徒の数は少なかったものの、ゴルフ協会のメンバーらは「開催できたことに意義がある。いいスタートを切れた」と総括した。
 この流れで今回、宮古ジュニアゴルフクラブの設立の話が持ち上がった。上地会長は「私自身、多くの方に支えられてエージシュートを達成することができた。これからは恩返しのつもりで、ジュニアの育成に全力を尽くしたい」と話す。「このクラブはジュニアの競技力向上だけでなく、大きな大会を誘致する際にも役立つ。今も全国ジュニアゴルフ選手権誘致の話があり、このような大会を受け入れる体制はどうしても必要だ」と話し、設立の意義を強調した。
 野津武彦副会長は「何よりも青少年の健全育成が狙い。ゴルフを通して多くのことを学び取ってほしい」と期待する。
 宮古警察署の國吉盛純副署長は「ゴルフは自分で自分自身を管理しなければいけないスポーツ。それが社会でも生かされると思う。宮古島から第2の宮里藍が誕生することを期待している」と話した。

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