200平成16  28曜日

電線地中化実現へ/内閣府05年度予算で了承

 【那覇支局】内閣府沖縄担当部局の2005年度予算の概算要求が27日、自民党の沖縄振興委員会で了承され、概要が公表された。要求総額は04年度予算に比べ16・2%増の3409億2900万円。昨年9月の台風14号の襲来後に特に要望の強かった、平良城辺線の電線共同溝整備事業(電線地中化)が新規事業として盛り込まれ、実現に向け第一歩を踏み出した。離島活性化に向けた重点施策として、「一島一物語」の考え方をもとに島の魅力が最大限に生きるよう取り組む「沖縄離島(美ら島)活性化特別事業」が新たに盛り込まれたのも大きな特徴。厳しい財政事情下で、今後の財務省との折衝が注目される。

 平良城辺線(県道78号)は平良市と城辺町を結ぶ幹線道路。事業ではこのうち県立宮古病院付近から宮古空港入口交差点までの2・75キロの両側歩道下、計5・5キロに電線共同溝を設置する。県が事業主体となり、予定される事業期間は08年度までで、総事業費は約17億円が見込まれる。
 重点施策にも挙げられている新規事業、沖縄離島(美ら島)活性化特別事業は7億7600万円。内訳は▽各島の具体的なアイデア、取り組みを支援する離島地域資源活用・産業育成事業に3億6800万円▽十分な通信容量情報基盤整備として離島ブロードバンド環境整備事業に3億円▽離島活性化人材育成・専門家派遣事業に6900万円▽災害・緊急時に備えた一定限度の生活基盤整備に向けた基本調査に3900万円―となっている。同部局は、離島活性化に向けた対応策の中に、沖縄振興開発金融公庫の融資制度に、教育資金離島特例と沖縄離島振興貸付(通称・美ら島貸付)を創設する考えも示している。
 重点施策には、港湾空港整備事業に新石垣空港整備事業が新規で盛り込まれ、事実上の事業化の運びとなった。沖縄科学技術大学院大学関連経費は05年度予算から大幅増となる80億円を要求し、同大学整備法人設立に向けた取り組みなどを推進する方針。
 概算要求総額の内訳は、基本的政策企画立案等経費が04年度予算比23・9%増の352億8800万円、沖縄振興開発事業費等が同15・3%増の356億4100万円。このうち道路や港湾整備を中心とした公共投資は同15・7%増の2964億500万円を、それぞれ要求する。
 新規事業は、非公共(ソフト面)で離島活性化特別事業のほか、ベンチャービジネストータルサポート事業、就農支援方策に関する調査事業など5件、公共投資(ハード面)は13件で、合わせて18件。

 写真説明・電線の地中化事業が予定されている平良城辺線

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全域拡大へ大きな一歩/電線地中化

 「もう停電の不安や電柱倒壊の恐怖におびえなくてもいい」―。内閣府が27日にまとめた2005年度沖縄関連予算の概算要求に、宮古島の電線地中化事業が盛り込まれた。台風が上陸するたびに停電の被害に悩まされてきた住民らは「停電がなくなれば台風の恐怖も半減するので精神的、経済的負担が軽くなる」と一様に喜んでいる。要請行動を展開してきた市町村関係者や議会議員も「大きな成果。この勢いを維持して電線地中化事業の拡大を要請していきたい」と話し、今回の概算要求に安どしながらも、さらなる離島苦の解消に向けた事業の拡大に決意を示した。

 同事業が実現すれば宮古病院付近から宮古空港への入り口交差点までの幹線道路2・75キロ(両側歩道下延べ5・5キロ)の電線が地中化され、大きな台風時における電柱の倒壊はなくなり、市民生活に影響を及ぼす交通が完全に確保される。さらに停電しにくくなるため、病院など住民生活と直結する重要な機関の停止も避けられる。
 同事業の導入を何度も要請してきた宮古市町村会の伊志嶺亮会長(平良市長)は「本当にありがたいこと。台風14号の際には(宮古島は)災害特区に認められなかったが、国も県もわれわれの苦労、要望を分かってくれた。これからも事業の拡大に向けて取り組んでいきたい」と話した。
 同行動に参加してきた平良市区選出の奥平一夫県議は「台風14号では宮古島のライフラインが切断され大きな被害を受けた。今回の電線地中化は災害に強い街づくりに向けての第一歩になると思う。国がしっかりと住民の要望を聞いてくれたことを喜んでいる」とコメント。宮古郡区選出の砂川佳一県議は「市町村を挙げて取り組んできた成果。まさに『災い転じて福となす』と言えるのではないか。ただ、これからが肝心。幹線道路だけでなく台風常襲地帯である宮古島全域の電線地中化に向けて加速度的な行動をしていきたい」と意欲を示した。
 沖縄電力離島カンパニー宮古支店の根間秀昌支店長代理は「国がやっていただけるということは大変素晴らしいこと。電線が地中化されれば景観も良くなる上に、台風災害における停電も減少して住民サービスが大きく向上すると思う」と感想を話した。
 事業実施区分で自動車販売・整備業を営む高江洲恵喜さんは「台風銀座と呼ばれる宮古島の電線が地中化されれば住民の経済的、精神的負担が軽減する。停電がなくなることも良いこと。観光振興を考えた場合も、景観が良くなるのでメリットが大きい。地中化されることには大賛成」と喜びを話していた。
 宮古島は昨年9月の台風14号で大きな被害を受けた。電柱が800本以上も倒壊し、宮古全域で停電が発生、特に農村部では1週間以上「暗闇の生活」を強いられる世帯もあった。これを受けて宮古各市町村や議会議員ら関係者が国、県に対して度重なる要請行動を展開。その成果が、今回の概算要求で表れている。

 写真説明・去年の台風14号で倒壊した電柱=城辺線・城辺町内 (資料写真)

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「早期制定を」大浦住民代表が訴え/平良市環境保全条例案

 平良市環境保全条例案について審議している同市議会の文教社会委員会(下地秀一委員長)は27日、前日の建設業界など関係3団体代表の意見聴取に引き続き、大浦自治会の代表と同条例案検討委員会の代表にそれぞれ意見を求めた。同自治会を代表して「大浦の産廃問題に取り組む会」事務局長の下地博和氏が「住民、行政、議会が一体となって環境保全条例案を早期に制定すべき。議員も大浦地区の現状を見て、この問題について言いたいことが言えない住民たちの目線で考えてほしい」と強く訴えた。
 この日は下地氏と同条例案検討委員会の副委員長を務めた山内正夫氏がそれぞれの立場で条例案の早期制定の必要性を示した。
 下地氏は大浦地区の空撮写真を使って土石採取跡や具体的な業者名を示した不法投棄の可能性がある地区について委員に説明した上で「大浦地区は今『危篤』の状態。議員には足元の現状を見てほしい。また、合併後の制定というが本当に合併後には制定できるのか。今の協議は条例案なのに施行規則案にばかり協議が集中しているのはおかしい」と現状の協議のあり方に苦言を呈した。
 山内氏は今年の3月末に伊志嶺亮市長から同条例案の改正について委嘱を受けて以降、2カ月で6回、合計25時間の協議を行い、より分かりやすく文言などを修正したことを報告した上で「みんなが考えて条例を制定すべきであり、各業者が心配していることについては今後協議していけば良い。何の心配事のない影響もない条例を制定しても意味がない」と述べた。
 同委員会では前日に同条例案の見直しや撤回、慎重審議を求めている県建設業協会宮古支部、宮古地区宅地建物取引業会、宮古地区生コンクリート協同組合の関係3団体の代表を招集し意見を聴取している。
 今回2日間にわたり行われた意見聴取を受け、今月31日に再度、委員会を開催して同条例案について協議する予定だ。

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旧盆は古里で/宮古空港 帰省客でにぎわう

 きょう28日は旧暦7月13日で、この日から旧盆入りする。初日は先祖の霊を迎える「ンカイ」で、「ヤームトゥ(本家)」に親せき一同が集まり線香の煙とともに先祖の霊を迎え入れごちそうや紙銭でもてなし、30日の「送り日」の夜には、先祖の霊をあの世に送り出す。迎え日を前日に控えた27日、宮古空港は旧盆を古里で過ごそうという帰省客と出迎えに来た家族らでにぎわいを見せていた。
 このうち、静岡県から帰省してくるめいの家族を伊良部町から迎えに来ていた女性は、温かい笑顔で出迎え。帰省した女性(30)は「旧盆は故郷で過ごそうと思い帰って来た。旧盆に帰省するのは久しぶりですが、孫の顔を見せると親が喜んでくれます」と話していた。旧盆の帰省ラッシュはきょうピークを迎え、送り日翌日の31日にはUターンラッシュが始まる。

 写真説明・旧盆を古里で過ごそうという帰省客でにぎわった到着ロビー=27日、宮古空港

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設立10周年で記念誌/宮古写真愛好家協が発刊

 8月10日に設立10周年を迎えた宮古写真愛好家協会(与儀一夫会長)はこのほど、設立10周年記念誌を発刊した。
 同協会10年の歩みをはじめ、会員のメッセージ、各写真コンテストの内容、新聞報道記事などが盛り込まれている。27日会見した与儀会長は「これまで支えてくれた多くの皆様に感謝したい。10周年を節目にこれからも頑張っていこうと思う」と話した。発刊報告は同日午後2時から平良市役所内であり、与儀会長と翁長靖夫事務局長が会見して発表した。
 記念誌はA4判の73ページで▽会長あいさつ▽会員メッセージ▽協会の経過報告▽設立新聞資料▽写真コンクールおよび展示会新聞資料▽全日本トライアスロン宮古島大会写真展資料▽バタフライフォトコンテスト資料▽会員関係資料▽協会会則および会員名簿―で構成されている。
 同記念誌の発刊あいさつで与儀会長は「写真と音楽は世界の言語だと言われています。このような激動の期間を歩んできた協会もこの10年を節目に、反省も踏まえてこの世界の言語をもっと楽しんでいきたいと思う」と述べている。
 同協会は来月中に設立10周年祝賀会の開催を予定している。

 写真説明・記念誌の発刊を報告する与儀会長(左)翁長事務局長=27日、平良市役所

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