200平成16  19 曜日

宮農高・環境班が国際水コン最高賞を受賞/

「バイオ・リン」研究に世界的評価

 「Bio―P(バイオ・リン)」が世界一に―。スウェーデンのストックホルムで開催された「ストックホルム・ジュニア・ウオーター・プライズ(青少年水大賞)」国際コンテストに、日本代表として出場した県立宮古農林高校(下地恵吉校長)環境工学科環境班が17日、最高賞に当たる同大賞を受賞した。日本人の受賞は初めて。高校生による8年間におよぶ地下水保全への研究活動が世界的に認められ関係者を喜ばせている。

 同日行われた式典では、同班を代表してコンテストに出場した3年生の川平勉君、山口香さん、砂川大輔君に、スウェーデンのビクトリア王女から賞金5000米ドル(約55万円)と水晶のトロフィーが贈られた。
 班長の川平君は「環境班の8年間におよぶ研究の成果が国際的に認められた。非常にうれしい」と喜びを語った。
 式典に先立ち、発表と質疑応答が2日間にわたって行われた。生徒たちは飲料水を地下水に頼る宮古島の地下水汚染の現状やその原因が化学肥料にあることを突き止め、解決策として有機肥料「バイオ・リン」を開発、農家に普及するなど地域での実践活動を発表した。コンテストには26カ国参加した。
 選考委員会は「宮古島のために環境に優しい有機的な肥料を開発および適用した。この研究は世界中の多くの場所で適用可能だ」と選考理由を挙げ、地下水保全に対する研究を高く評価した。
 同班は6月に「第6回日本水大賞」とそのジュニア部門で国際コンテストの出場権となる「青少年研究活動賞」をダブル受賞していた。生徒らは19日に国王主催の夕食会に出席。21日午後3時に帰島する予定。

 写真説明・ストックホルム青少年水大賞を受賞した宮古農林高校環境工学科環境班のメンバー(左から)川平君、山口さん、砂川君。右はスウェーデンのビクトリア王女(SIWI提供)

 ■ストックホルム青少年水大賞 ストックホルム国際水協会(SIWI)主催。1994年設立、97年以降国際賞となった。20歳以下の高校生などが対象。青少年が地域や地球レベルで共通の水環境と関わり、水の保全、保護、水資源管理への関心を支援することを目的に開催される。コンテストでは水問題解決のために革新的な方法を用いて技術および自然・社会科学分野での実用的なプロジェクトの内容を競い合う。「水のノーベル賞」とも呼ばれる「ストックホルム水大賞」のジュニア版。

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「金メダルだ」「日本の誇り」/宮農・環境班の快挙に関係者 歓喜

 17日にスウェーデンのストックホルムで開催されたストックホルム・ジュニア・ウオーター・プライズ(青少年水大賞)国際コンテストで同大賞を受賞した県立宮古農林高校環境班。最高賞受賞の吉報はすぐに広まり関係者らは喜びに沸いている。数々の賞に輝いた同班だが、国際コンテストでの受賞は初めて。関係者らは受賞の報告に「金メダルだ」「日本の誇り」などと同班の快挙を手放しでたたえた。

 受賞の一報が学校に届いたのは18日午前7時。現地で生徒らを引率する前里和洋教諭から同4時に連絡を受けた妻、由紀子さんが具志堅三男教頭に伝えた。
 具志堅教頭は「もしかしたらと期待していた。実際に受賞の知らせを聞いて感激した。オリンピックの金メダルに値する」と興奮気味。具志堅教頭は1日中電話の前に座り各関係者らに喜びの報告を行ったという。
 発表を見守った前里教諭は「受賞には驚いた。生徒たちは落ち着いて発表したが各国のレベルが高く受賞は厳しいと思っていた。大賞発表で『ジャパン』と呼ばれたときは会場が総立ちになった」と振り返り、「受賞は各関係者や島民の支援があったおかげ」と支援者らに感謝した。環境班第1期で現在、同校の教諭を務める松原勝也さんは「自分たちが始め、やってきたことが実を結んだ。地道な努力の結果が実を結んだ」と大喜びだった。
 各関係者の声は次の通り。
 伊志嶺亮平良市長 世界の舞台で研究成果を発表しグランプリを得たことは宮古島、日本の誇り。生徒だけでなく指導に当たった先生や周囲の皆さんにもお礼を言いたい。これからも頑張ってほしい。
 安和朝忠宮古支庁長 学問的な研究成果が世界で評価された。受賞を機に実用に官民挙げて取り組むことで、研究成果が宮古島はもとより全国へ活用されていくことを期待する。
 渡真利光俊宮古島上水道企業団企業長 第一報を受けたときは感激のあまり鳥肌が立った。宮古島の生命の水を守る努力が世界に認められたと思う。
 波名城なつきさん(元環境班、現琉球大学農学部2年) 世界に認められるような発表をした後輩を誇りに思います。

 写真説明・式典ではビクトリア王女(左)から、賞金やトロフィーが環境班メンバーに贈られた(SIWI)提供

【 Bio−P(バイオ・リン)とは 】
 宮古島の土壌に含まれるカルシウムと化学肥料中のリン酸が反応し、作物に吸収されない難溶性リン酸カルシウムになり土壌に蓄積していることに着目。これまでに堆積した土壌堆積リンを分解し再利用することを目的に開発された資源循環型の有機肥料。
 製糖工場から出るバガスや糖蜜、さらには建築廃材(木材チップ)なども活用して作られている。
 1996年から実験を開始し、98年に島の土壌から能力の高いリン溶解菌の分離選抜に成功。同菌を利用した有機肥料はバガスや糖蜜を菌のエサとして作り「バイオ・リン」と名付けた。
 01年には木材チップを基質にした改良型の開発にも成功。同班の実験で土壌堆積リンの再利用も可能だと分かった。
 「バイオ・リン」は土壌蓄積リンを開放する機能を持つほか、過剰な化学肥料の投与を抑えることで硝酸態窒素による地下水汚染を軽減し、地下水保全に効果がある。
 今後の普及とその効果に期待が集まる。

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農家に「恵みの雨」/台風15号・地下ダム貯水率も回復へ

 台風15号の影響により、16日午後から18日午後にかけて城辺町で188ミリの雨があった。宮古地区各地の一部道路では冠水し、交通に支障を来したが、干ばつ傾向に頭を悩ませていた農家は「台風13号で倒れたサトウキビも起き上がるし、私たちにとっては恵みの雨だ」と喜んでいる。また地下ダムの貯水率低下を懸念していた宮古土地改良区では、台風13号に続く大雨で「砂川、福里の両地下ダムともに貯水率は回復する見込み」と話している。
 降り始めの16日午後3時から18日午後5時現在の各地の降水量は、城辺町の188ミリに次いで、平良市で165・5ミリ、伊良部町で159ミリ、多良間村で142ミリを記録。
 城辺町でサトウキビを栽培する女性は「干ばつの期間が長かったので、今回の雨のように降り過ぎるくらいでちょうど良い」と話した。
 同じく同町の男性は「この雨で台風13号の塩害も解消される」と安どの表情を浮かべた。
 同土地改良区では「地下ダムは徐々に浸透した水を貯水するため、すぐに水位が上昇するわけではないが、台風13号に続く今回の雨で回復が見込まれる」とコメントした。

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総勢200人が琉舞など披露/宮古老人クラブチャリティー公演

 第5回宮古地区老人クラブ活動資金協力芸能チャリティー公演(主催・同連合会)が18日、平良市のマティダ市民劇場で行われ、6市町村の各老人クラブ連合会から総勢約200人が出演し、琉球舞踊などを披露した。会場には大勢の観客が詰め掛け、舞台で繰り広げられる各余興を堪能した。
 宮古地区老人クラブ連合会の新里盛繁会長は「創立以来会員の親ぼく交流を深め、『健康、友愛、奉仕』の3大運動を基本に、高齢者の健康づくりと生きがいづくりを各地域で推進している。今後もいっそうの協力と支援をお願いしたい」とあいさつで述べている。
 チャリティー公演は2部構成で行われた。舞台は平良市西原みどりの会による「トーガニアヤグ」で幕開け。伊良部町、城辺町、上野村、多良間村、下地町のクラブの会員が出演し、鮮やかな衣装と優雅な舞で観客を魅了した。
 同連合会は1968年6月に結成。現在は6市町村老人連合会、95単位クラブから構成され、約5000人の会員が各活動を展開している。

 写真説明・そろいの衣装でにぎやかな踊りを披露=18日、マティダ市民劇場

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3人がグランプリ受賞/第25回宮古民謡あーぐ大会

 【那覇支局】在沖宮古民謡協会(来間武男会長)が主催する第25回宮古民謡あーぐ大会が15日、浦添市民会館で開かれた。厳正な審査の結果、新人賞の部門など4部門に34人が合格。グランプリ賞に宮國敬巧さん、嘉島里私さん、松川茂夫さんの3人が合格した。
 今回はグランプリ賞部門に4人出場し3人が合格。また、最高賞部門に13人出場し5人合格、優秀賞部門に13人が出場し8人が合格、新人賞部門には18人が出場し全員が合格した。
 各部門の合格者は次の通り。(敬称略)
 【グランプリ賞部門】▽宮國敬巧▽嘉島里私▽松川茂夫
 【最高賞部門】▽津波古智政▽新崎昭三▽坂井亜希子▽下地美江子▽下地邦夫
 【優秀賞部門】▽砂川博伺▽瀬名波知佳▽ブリ・モハメット▽玉城正智▽美里幸子▽保里紀子▽上栄原悦子▽川満克子
 【新人賞部門】▽友利明菜▽亀山千晶▽下地武春▽平良天厘沙▽宮平友博▽嘉島早奈江▽伊波里美▽嘉島恵子▽高山陽花▽川満香多▽下地はるか▽南由香▽真榮田咲子▽岡本典子▽アンギセンティカ・バンカストゥティ▽本村千尋▽宮國昭彦▽崎原美也子

 写真説明・各出場者が練習の成果を披露した=15日、浦添市民会館中ホール

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