200平成16  13曜日

下地町議会、事実上の「合併反対」/

市町村合併の足並みそろわず

 下地町議会(川満廣俊議長)は12日に開いた臨時会で、多良間村を除く5市町村(平良市、城辺町、下地町、上野村、伊良部町)での宮古市町村合併推進協議会設置案について賛成4、反対7の賛成少数で否決、事実上「合併反対」の立場となった。一方、同日開かれた上野村議会(平良隆議長)の臨時会では、賛成多数で同案を可決。平良、城辺、伊良部の3議会でもすでに可決しており、今回、下地町議会が否決し5市町村による合併の枠組みが崩れたことで、合併枠の見直しが必要となった。

◎下地町議会
 合併推進の立場を示していた川満省三町長は「否決されたことは残念。5市町村の枠組みが問題ではないと思う。今後のことについてはこれから調整していかないといけない」と述べ、「国からの補助金が削減されたことで財政は非常に厳しい状態。これまで通り住民サービスができるか疑問」と懸念した。川満議長は「何のために合併するのかという反対者が多い。合併した後のJAの運営に対する批判が多いことも大きい。市町村合併しても同様にサービスが落ちるだろうという意識がある」と分析した。
 同協議会の設置について起立による採決では、川平洋、松永恵茂、村吉順栄、古波蔵小夜子の4氏が賛成、仲里誠高、上地優二、川満克佳、垣花武一、池間健榮、嵩原富三、保良榮男の7氏が反対した。
 このうち川満、垣花、池間の3氏はこれまで合併賛成の意向だったが、今臨時会では反対の立場を示した。川満氏は「将来的なことを考えると合併しなければならないが今はまだ早い。合併後のJAのことなど町民に不賛成の声が多い」、垣花氏は「支持者の意志を含めて反対した。財政が厳しいことは分かっているが、基金がある2、3年の間には何とかなるだろうという考えがある」と説明。池間氏は「合併には賛成だが、もっと議論する必要がある」と話した。
 法定協設置に賛成した古波蔵氏は「なぜ反対するのか分からない。失うものが大きい」、松永氏は「JA合併と市町村合併は別問題だと考えている。赤字団体になってから吸収合併するのか。合併するなら今だと考えている」と強調した。
 臨時会では、合併後の基金の取り扱いや第3セクターを含む財政公表についてなどの質問が挙がった。

◎上野村議会
 一方、上野村議会(平良隆議長)の臨時会では「宮古市町村合併推進協議会設置案」について賛成7、反対4の賛成多数で可決した。
 採決では砂川寛茂、川満盛一、宮国幸清、島尻幸夫、仲元成美、川満泰一、砂川栄市の7氏が賛成。上地博通、新里聡、砂川長一、芳山辰巳の4氏が反対した。
 質疑で上地氏は「協定項目の中で、上野村が挙げた意見は専門部会などで検討することになっているが、議案に明確に記載されていない」と質問。川田村長は「(法定協を)立ち上げ、協議し、条項に沿って各問題の専門家、必要とあれば民間からもメンバーを加え編成する」と述べた。
 続けて新里氏は、「伊良部町がリコール問題で揺れており、法定協設置案を議決しても伊良部町が離脱することが危ぐされる」と川田村長の見解を求めた。川田村長は「他の自治体のことなので明確に答えることはできないが、現段階では推進の意見だ。リコール問題を注視しながら前向きに論議を進めていきたい」と答えた。
 討論では上地氏が「上野村は分村の歴史を持ち、先輩たちが立派に村を築き上げてきた。合併した場合、先輩たちがやってきたものは無になる。村民福祉など大変なことはあるが、住民が一丸となれば乗り切れる」と反対。一方、砂川栄市氏は「交付税も年々減少している。財政面を考えると合併はどうしてもやらなければならない」と賛成した。

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「4市町村でも合併」/伊志嶺平良市長

 5市町村での合併法定協議会発足案を12日、下地町議会が臨時会で否決したことを受け、宮古市町村会長の伊志嶺亮平良市長は同日夕に会見を開き、今後の合併協議について方針を説明した。
 伊志嶺市長は「下地町議会が否決となって残念だが、来年4月か6月の合併に間に合うように頑張りたい」と下地町を除いた4市町村での合併に意欲を示した。
 また、「あす(13日)午前に首長会議を開き今後の方針を決定する」との見解を示したが、その後、首長間の日程の調整が付かずに会議の日程は白紙の状況となっている。
 そのほか、今後については「改めて各議会で全員協を開いて協議を進めなければいけない」と早急に仕切り直しして、合併に向け新たな枠組みを構築したいとの意向を説明した。

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台風13号、宮古を直撃/最大瞬間風速48・8メートル

 宮古島など県内離島を暴風域に巻き込んだ大型で強い台風13号は12日午後3時現在、石垣島の北北西約380キロの海上を時速25キロで北西に進んでおり、宮古島からは次第に遠ざかっている。台風は今後、勢力を弱めながら中国に上陸し、14日には熱帯低気圧に変わる見込み。宮古島地方気象台によると、宮古島地方は12日午前6時に暴風域を抜けた。最大瞬間風速は11日午後8時10分に記録した48・8メートルだった。
 今回の台風は干ばつに苦しむ宮古島各地に「恵みの雨」をもたらした。各地で大雨があり平良市では229ミリを観測した。

 同気象台によると12日午後3時現在の台風の中心気圧は950ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は40メートルで、中心から半径190キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いている。今後、台風は勢力を弱めながら北西に進行。13日午前3時には中国・華中(北緯28度50分、東経120度25分)に達する見込み。
 台風の影響で宮古島地方には大雨が降った。今回のようなまとまった雨は6月9日以来。同気象台の調べによると、降り始め(10日)からの各地の雨量は▽平良市229ミリ▽城辺町220ミリ▽伊良部町157ミリ▽多良間村120ミリ―(12日午後4時現在)。

 写真説明・強風で倒れた街路樹=12日、平良市・池間島

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被害総額3億4000万円/台風13号、各地につめ跡残す

 大型で強い台風13号は11日から12日にかけて宮古島を暴風域に巻き込んだ。宮古島は12日午前6時ごろ、暴風域を抜けた。県の被害速報によると、被害額はサトウキビを中心に総額3億4300万円。平良市大浦湾では赤土が流れ込み海岸の一部が汚染された。平良市内で強風にあおられるなどして男性2人がけが。停電は延べ1万4500世帯に及び、住民らは不安な夜を過ごした。空・海の便は、台風が遠ざかった午後からは通常運航に。市民らは、庭や道路に散乱した折れた枝や木の葉などの後片付けに追われた。

【農作物被害】
 県宮古支庁は12日、台風13号の被害速報値(午後5時現在)を発表した。被害総額は3億4319万5000円で、中でもサトウキビの被害が3億572万8000円と大きく、全体の約9割を占めた。施設被害は2405万6000円、野菜などを含めた農産被害は3億1776万4000円に上った。
 農産物被害を項目別に見ると、サトウキビは3億572万8000円、被害率4・8%だった。被害率が最も大きかったのは上野村の7・5%、次いで下地町5・6%、城辺町5・4%、伊良部町4・6%、平良市3・5%、多良間村3・0%と続いた。
 サトウキビは全体的に倒伏状態や葉の裂傷が見られるが、降水量が200ミリ前後と多かったため、茎の折損は少なかった。しかし、春植えでは梢頭部折損被害の大きい畑が見られる。平良市、城辺町、上野村の一部の畑では吹き返しによる被害が見られる。
 野菜はキュウリやカボチャ、スイカ、ナス、ゴーヤー、オクラ、ヘチマ、パパイヤなどで合計1159万6000円の被害があった。
 林業では、宮古森林組合の木炭窯の天井部が落ちて、中の木炭も被害を受けた。
 施設関係の被害は、公立文教129万円、農林水産業175万6000円、公共土木2038万円、その他公共施設63万円で、合計2405万6000円となった。 

 写真説明(上)・サトウキビでは倒伏や葉の裂傷などの被害が見られる
 写真説明(中)・スイカなど露地栽培の作物は大きな被害を受けた=下地町洲鎌
 写真説明(下)・収穫を控えたパパイアは強風で実が落ち、枝が折れた=下地町与那覇

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2081人分の署名を提出/伊良部町・浜川町長の解職請求で

 宮古地区市町村合併の推進を表明している浜川健伊良部町長の解職請求(リコール)を目指して有権者の署名収集行動を展開していた、合併反対団体「伊良部町の自治権を守る会」会長の川満昭吉解職請求代表らは12日午後、同町選挙管理委員会(佐和田恵剛委員長)に2081人分の署名簿を提出し受理された。
 リコールに必要な有権者数の3分の1に当たる1695人を386人上回っており、今後の町選管の審査が注目される。受理した町選管は、受理した同日から20日以内に署名簿について審査し、署名の有効、無効を決定する。審査で問題がない場合は、町選管は署名簿を関係者の縦覧に供する。
 署名簿の署名に関し異議がある関係者は、縦覧期間中に町選管に異議を申し出することができる。異議申し出を受けた時は、受けた日から14日以内に決定する。
 異議の申し出が無い場合または異議が決定した場合は、有効署名の総数を告示し、署名簿は川満代表者に返される。
 解職を問う住民投票の実施が決定するかどうかについては紆余(うよ)曲折が予想され、今後の署名簿のチェックが大きな鍵を握っている。

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