200平成16  7 21曜日

「県産品の優先使用を」/奨励月間で要請行脚

 県産品奨励月間(主催・同実行委員会、会長・島袋周仁県工業連合会長)の一環で、「県産品奨励キャンペーン」の要請団が20日、宮古を訪れ、県産品の優先使用を訴えた。要請の中では、県産物品の優先使用をはじめ、公共工事における県内企業の優先発注、県産リサイクル資材の優先使用を求めた。要請団はこの日、平良市、下地町、上野村、城辺町の各役場と平良港湾事務所を訪問。きょう21日は二手に分かれ伊良部町と多良間村で要請行動を行う予定。

 要請書では@公共工事では地元企業を優先し、同時に特記仕様書に明記する県産建設資材の優先使用について業者への指導を徹底するA特記仕様書の中に「県産リサイクル資材の優先使用」を追加記載するB物品などは県産品を優先使用し、同時に住民に対しその意義を啓もうする―ことを求めている。
 平良市役所では伊志嶺亮市長と池間青昌市議会議長、市幹部らが要請団の説明を受けた。
 宮古要請団の団長を務める桑江良一県工業連合会副会長が「自立型経済を確立するには県産品奨励運動を進めて県内の経済循環を高め、地域活性化に直接つながる地場産業の振興を図ることが最も有効な手段」とし、県内企業への公共工事の優先発注と県産品の優先使用に特段の配慮を求める要請書を読み上げ、伊志嶺市長に手渡した。
 これを受け伊志嶺市長は「企業の実力が沖縄の実力。三位一体改革のあおりで行政としても危機感を持つ一方、沖縄ブームで観光客数は伸び、その関連での活性化も出てきている。皆さんの力も借りながら、今後もしっかり頑張りたい」と述べ、要請を歓迎した。
 池間議長は、「農業生産者の立場からも県産品の優先使用はよく理解できる」とした上で、「県内企業が本土企業に負ける道理はない。一生懸命頑張っていただきたい」と激励した。
 要請後の懇談の中では県産リサイクル資材が話題に上った。要請団からは「県では県産リサイクル資材の認証制度が定められた。各企業がこの認証を進めると同時に県内の公共事業で優先使用を進めることが重要だ」などの声があった。
 伊志嶺市長は「離島は特に廃棄物問題が深刻。宮古全体で廃棄物がなるべく少なくなるよう努力している」と宮古の現状を説明し、リサイクル資材の優先使用に理解を示した。
 要請団のメンバーは次の通り。
 【団長】▽桑江良一(県工業連合会副会長、沖縄ホーメル社長)▽古波津昇(県JIS協会副会長、拓南製鐵社長)【団員】▽金城政秀(久米島の久米仙総務部長)▽平安山敏之(琉球セメント宮古センター所長)▽松田和明(同営業次長)▽上里望(オリオンビール宮古所長)▽富城淳(大同火災海上保険宮古支社長)▽新垣司(金秀アルミ工業課長代理)▽大城義光(沖縄鋳鉄工業営業)▽国場和也(拓南伸線営業)仲里伸二郎(沖水化成営業)

  写真説明・伊志嶺市長に要請書を手渡す桑江団長(右)=20日、平良市役所

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共に生きる社会考える/ハンセン病判決3周年でシンポ

 ハンセン病国家賠償請求訴訟で2001年5月に熊本地裁が国のハンセン病患者隔離政策を「違憲性が明白」とし、国の敗訴が決まってから3年。「ハンセン判決3周年記念シンポジウム〜共に生きる社会を目指して」(主催・同実行委員会)が20日、平良市内のレストランで開かれた。6人のパネリストが、判決から3年を経た現在でも依然残る差別や偏見をどのように解消し、療養所入所者・退所者と社会が互いを尊重して生きていくかを考えた。会場には130人余りが訪れ、関心の高さをうかがわせた。コーディネーターを務めた「みやこ・あんなの会」の亀浜玲子さんは「ハンセン病への差別・偏見を互いに考え、たゆまぬアクションを起こそう」と呼び掛けた。

 シンポジウムは▽宮古における療養所退所者について▽入所者の終生在園保障と宮古南静園の将来構想▽共に生きる社会にするために何が必要か―などをテーマに、2時間余りにわたって意見を出し合った。
 南静園自治会の宮里光雄自治会長は自らの過去を振り返り、現在もエイズなどの病気で無知、無理解によって差別があることに反発した。園の将来構想については「現在の入所者は園で生涯を送りたいという人が多い。現状を維持しつつ、いかに新しい施設に転換するかが課題だ」と話した。
 「宮古退所者の会」の知念正勝代表は「判決直後は喜んでいたが、時間がたちその喜びは冷めつつあると強く感じる。郡内には約100人の退所者が生活するが、やはり外に出られない肩身の狭い生活だ。病気のことを分からないから差別・偏見はまだまだ残る」と現状を報告した。
 元平良市議で「ハンセン病と人権を考える会・宮古」の石垣義夫共同代表は「全国各地で『無らい県運動』があった。それは迫害の歴史だ。戦前に始まり、戦後も治療で治るようになった状況下でも恐怖心と無知を背景に隔離は続いた。差別や偏見が増幅された当時、騒いだ人の責任は大きい。歴史的な検証が必要だ」と説いた。
 南静園の園長を務めたこともある宮古市町村会の伊志嶺亮会長は「治療薬も開発され、治る病気と知りながら、われわれの側から国に過ちと求める動きがなかったことは医師の責任」と医師の立場から謝罪した。園の将来構想については早急に方向性を策定することを明言した。
 ハンセン病国家賠償請求訴訟西日本弁護団の徳田靖之代表は、退所者が病院や美容院などで利用しづらい状況にあることを指摘し「どのような施設でも退所者が楽に利用できる社会をつくらないといけない。また退所者が療養所での福祉や医療を求めた際の法整備も必要だ」と持論を展開した。
 沖縄愛楽園(名護市)の証言集編集委員で琉球大学法文学部の森川恭剛助教授は「入所者・退所者の同意があれば、きちんと名前を出した形でこれまでにない記録を作りたい」と強調した。
 シンポジウムに先立ち徳田さんによる基調報告も行われた。
 同シンポジウムは6月20日に開催予定だったが、台風6号の接近により延期となっていた。

 写真説明・ハンセン病回復者への差別の解消、南静園の将来構想などについて活発な議論が交わされたシンポジウム=20日、平良市のクールレストラン

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女子高生のスカート内を盗撮/宮古島分屯基地所属の自衛官を逮捕

 平良市西里の書店で、立ち読みをしていた高校1年の女子生徒(15)に背後から近づき、スカートの中をカメラ付き携帯電話で盗撮したとして宮古署は18日午後8時、同市西里に住む上野村の航空自衛隊宮古島分屯基地所属の空曹士、吉本雅之容疑者(32)を県迷惑防止条例違反で現行犯逮捕した。
 吉本容疑者はたびたび同店を訪れ、盗撮を繰り返しているということで同書店の店員からマークされていた。同日、同店から吉本容疑者が来店したとの通報を受け、現場に急行して警戒に当たっていた署員が犯行を確認した。同署によると、吉本容疑者は犯行を認め、反省の色を見せたという。20日午後には身柄を那覇地方検察庁平良支部に送検した。
 吉本容疑者が所属している同基地の佐々木透司令官は「訓練などもまじめに取り組むまじめでおとなしい隊員だった。社会人、自衛官としても遺憾である。被害者の方には申し訳なく、おわび申し上げます。事実については現在、本人が取り調べを受けているため報道以上の内容は承知していませんが、今後、事実関係を調査し、厳重に処分します」との内容のコメントを発表した。

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農家負担、10トン当たり1000円/下地町・干ばつ対策の「かん水」

 下地町(川満省三町長)は20日、同町干ばつ対策会議を開き、かん水は20日から開始し、農家負担額を10トンタンク1台当たり1000円とすることなどを協議し決定した。9台の潅水車両をフル稼働させ、干ばつに対応していく。同町では、潅水希望農家は部落会長に申し込むよう呼び掛けている。
 干ば20日から実施▽10アール当たり30トン(10トンタンク3台分)をめどに行う▽農家負担額は1000円とする▽潅水にかかる燃料費は運転手負担とする▽取水個所は沖糖の揚水場を使用する―などの事項について協議し決定した。担当者によると、今のところ目立った干ばつ被害はないが、このまま小雨状態が続けば、スプリンクラーなどの設備が整っていない地区では希望者が増加してくるという。

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気温33度、今年最高/宮古地方

 宮古島地方は20日、太平洋高気圧の影響で今年一番の暑さとなった。宮古島地方気象台によると、最高気温は午後1時52分に33・0度を記録した。市内では日傘を差しハンカチで汗をぬぐう女性たちの姿が目に付いた。
 この日は全国的にも猛暑に見舞われ、千葉県市原市では午後1時20分に40・2度を記録。気象庁のある東京都千代田区大手町で午後零時5分に39・5度と観測史上最高を更新した。
 同気象台によるとこの暑さは、太平洋高気圧の勢力が西に拡大したことで、南風が入りこんだことが原因とみられる。
 きょう21日の予想最高気温は32度と20日よりは若干気温が下がる予報。

 写真説明・今年一番の暑さに日傘を差し暑さをしのぐ女性も多く見られた=20日、平良市内の下里通り

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役員ら中心に親ぼく模合/在沖保良郷友会・発足から36年目

 【那覇支局】「保良の人間は肝美ぎ(ツムカギ)だよ。毎月1回の模合は皆で語らい楽しく盛り上がる」
 在沖保良郷友会(下地明芳会長)の役員や支部長、歴代会長らが続けている親睦模合。1961年ごろ有志らが始めた模合の中から話が広がって、毎年新年会を開催するようになり、69年1月には保良郷友会の正式発足へと発展した。初代会長の松川寛良さんと副会長の砂川吉雄さんの尽力が大きかったという。現在の会員数は約250世帯、約950人に達する。親睦模合は家回りのときもあったが、上里芳盛さん(52、現副会長)が経営する那覇市前島の居酒屋「磯味もり」で行うようになって10年になる。
 下地会長は「戦後間もない厳しい時代に郷友会の基盤を築いた先輩方の努力に大変感謝している」と真顔で語る。
 砂川和雄さん(76)は「沖縄本島に移住して、もう長い。故郷の保良の発展をいつも願っている。模合では郷里のこともいろいろ聞けていい」と笑みをこぼす。
 保良のジンヤーの上里メガさんの娘という友利克子さん(62)は、郷友会の敬老会で毎年、琉舞を披露してきた。「母は地域でとても慕われ、評判の人だった。その母を知っている人々を喜ばせたい」との思いを持ち続ける。
 下地富森前会長は「郷友会を愛する気持ちで模合を続けている。二世、三世になって行事が減ってきているので、何とか以前の活況を取り戻したい」と再活性を期す。
 店主の上里さんは「開店のときから郷友に利用してもらい、恵まれていると思う。ここでは宮古の人と会えて、その交流がすごい」と強調する。
 語る中で、議論も出てくるが、ジョークも交ざり合う。「仲間のきずなは最高。楽しい」と口をそろえる。下地会長は「これからも役員一同、郷友会発展のため、全力で頑張りたい」と意気込みを示した。
 現役員は次の通り。(敬称略)
 ▽会長=下地明芳▽副会長=下地勇栄、上里芳盛▽女性部長=友利克子▽芸能部長=下地富森▽青年部長=砂川雅英
 (編集局・川満幸弘)

 写真説明・毎月の模合を楽しむ在沖保良郷友会の仲間たち=那覇市前島の居酒屋「磯味もり」 

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