200平成16  7 17 曜日

「現予定地の撤回ない」/広域葬祭場建設・

市町村長が理事会で方針確認

 宮古広域圏事務組合(代表理事・伊志嶺亮平良市長)の2004年度第1回理事会が16日、同組合で行われ、周辺住民から反対の声が上がっている広域葬祭場建設予定地問題について理事の市町村長らは「現予定地の白紙撤回はしない。他の地区での建設に可能性があるのであれば検討する。しかし、無理な場合は現行の予定地で建設すべき」との判断となった。他地区での可能性は模索するも現行の予定地を基本とすることでまとまり、今後、反対周辺住民がどのような行動を展開するか注目される。

 今回の理事会では建設予定地の周辺住民から建設場所の変更を求める運動が起こり、2324人による反対署名が届けられたことなどが事務局から報告された。
 これに対して理事からは「署名には他町村、島外、他府県の人もある。中身が分からずに署名したとも予想される」「このままではどこが建設地になっても反対運動が起こり、建設できない」「決定したことについて理事会が簡単に姿勢を崩してはだめ」など現予定地で強行することを求める意見や「別の場所でもいいが、たらい回しになるような状況は避けるべき」など反対運動に配慮はするものの早期の建設を求める意見が多く出た。
 ある理事は「反対住民が葬祭場の建設は必要との認識で今の予定地に造らないでほしいとの見解ならば、自分たちで建設可能な新たな地区を提示するべき」と述べ、反対ありきの姿勢には批判的な見解を示した。
 結局、葬祭場の建設については、現行の建設予定地を基本として他の地区でも建設の可能性があれば模索するが、困難な場合は今の予定地で建設していくことが確認された。
 そのほか理事会では7月議会を今月29日に開くことや職員給与の特例に関する条例などの提案議案を全会一致で承認した。
 広域葬祭場建設をめぐっては同事務組合が建設予定地選定を行い建設場所を平良市鏡原の袖山墓地公園隣の市有地に決定した。その理由としては▽市有地で用地取得が容易▽法規制のかかる半径200メートル以内に学校などがない▽町村部への交通の便が良い▽海岸沿いは津波などの自然災害の被害を受ける可能性がある―などを理由に挙げ、市町村長も現地を視察して同地での建設を決定した。
 しかし、「広域葬祭場建設予定地に反対する地域住民の会」(下地隆義代表)が葬祭場建設そのものには賛成とするも▽火葬場建設場所として、あまりにも住宅地が近い▽周辺地域の環境悪化が進み地域発展の阻害要因になる▽環境悪化は子や孫に残す負の遺産▽現存する墓地公園も地域の振興発展に悪影響を及ぼしており、これ以上の環境悪化は容認できない―などを理由に反対している。

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首長 意見激しく対立/5市町村合併・

今月中の法定協発足困難

 今月末に各市町村議会議決で発足が予定されている5市町村での市町村合併法定協議会について、16日に行われた宮古広域圏事務組合理事会後に多良間村を除く5市町村長が首長会議を行った。この席で川田正一上野村長は5市町村の法定協発足を議会議決する臨時議会開催について「今月中に行うのは無理」と発言。6月6日に5市町村長で申し合わせた7月中の法定協発足について初めて困難との見解を示した。
 この会議では、伊志嶺亮平良市長が「今月末に市議会の臨時議会を開催して5市町村の法定協発足についての議案を提案する」との方針を示した。
 これに対して川田村長が強く反発。「上野村議会が求めた任意協を設置しない代わりに44項目の協定項目について各議会で協議し、修正部分は首長会議ですり合わせることで確認されている。これまで一度も首長会議は開かれていない。平良市だけが臨時議会で法定協設置を提案するのはおかしい」と不満をぶつけた。
 これに対して伊志嶺市長は「協定項目については法定協を発足してからその協議会の中でやるべきもの。それに今月末までの議会議決も首長間で確認されている」と反論した。
 平良市の言い分に対しては川満省三下地町長も「何回か首長会議を行ってから5市町村が同時に臨時議会を開催して各議会に提案した方が良い。平良市だけが先にやると不自然」と指摘した。
 結局、平良市の案については他町村長の理解が得られないまま会議は終了した。
 首長間の認識のずれが露呈することとなった今回の会議。結局、自分たちで決定した今月末の法定協発足が無理との判断が下されただけとなった。

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歩行者天国にぎわう/宮古まつり開幕

 第31回宮古まつり(主催・平良市、宮古市町村会、沖縄宮古商工会議所、宮古観光協会、実施団体・宮古まつり実行委員会)は16日から3日間の日程で開幕した。祭り初日となった16日は市内の3通り商店街を会場とした歩行者天国に大勢の人が訪れ、初日の夜を楽しんだ。初めてのレゲエライブも開催され、夕方の明るい時間から若者が集まり大盛況だったほか、宮古の特産品を集めた物産展もあり、祭りを盛り上げた。
 16日は市内の西里大通り、市場通り、下里通りを車両通行止めに。午後5時30分ごろから平良第一小学校マーチングバンドなどがパレードを繰り広げ、歩行者天国が始まった。
 通りにはたこ焼きやかき氷、綿あめ、金魚すくいやダーツなど、さまざまな出店がずらりと並んだ。通りには家族連れやカップル、友人同士のグループなどの多くの人々でごった返した。浴衣に身を包んだ女性の姿やかわいい甚平姿の子供たちが祭りムードに華やかさを添えた。
 きょう17日は、午前10時から漲水御嶽と宮古神社で豊年祈願祭が行われ、午後7時から「ミス宮古発表会」で新しいミス宮古3人がお披露目される。同40分から大綱引きと続く。
 あす18日は市多目的前福運動場で芸能祭とオリオンビアフェスト2004でクライマックスを迎える。
 昨年までメーンイベントだった芸能パレードは予算不足により中止となった。

 写真説明・大勢の来場者でにぎわった歩行者天国=16日、西里大通り

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流量調整踏み切る/干ばつ傾向、地下ダム貯水量が低下

 最近の干ばつで砂川地下ダムの貯水量が減り続けているため、宮古土地改良区(仲間克理事長)は16日から、同ダムに係る畑について適正量しか使えないようバルブの流量調整に踏み切った。対象区域は平良市、城辺町、下地町、上野村の4市町村約1900ヘクタール。同改良区では、現在の気象状況では貯水量回復のめどが立たないとしてこの措置を取ることにした。

 砂川地下ダムの満水時の有効貯水量は710万トン。昨年も干ばつとなり9月8日には貯水率59%まで減っていたが、その後台風14号の雨によって95%まで回復した。
 しかし、今年も昨年同様に春先から干ばつ傾向となり、4月から再び減少。7月15日現在の貯水率は76%(有効貯水量549万1000トン)に下がっている。
 揚水量は特に今月上旬から急増し、13日には8万1000トンを記録した。これは適正使用量の1・4倍。水位は1日平均約10センチ下がり続けている。
 水の無駄遣いが見られるのは、U型の畑でしかも一部の人によるもの。給水栓からホースを畑に引き、垂れ流しているという。こうした使い過ぎのサトウキビ畑の場合▽土壌の肥料が流出し、やせ地になる▽根が深く張らず倒れやすくなる―などの弊害が指摘されている。
 また、水の使い過ぎでは、ファームポンドが空になる可能性もあり、その場合、送水管に空気が吹き込み、管を破壊する危険性があるという。
 同区では、このように水の使い過ぎが作物の成育や施設管理に悪影響を及ぼすため、適正使用を呼び掛けている。
 福里地下ダムに係る畑については、貯水率が98%と余裕があるため、バルブによる流量調整は実施しない。

 写真説明・日照りが続く宮古のあちこちの畑でスプリンクラーによる潅水(かんすい)が行われている=16日、城辺町砂川

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事件発生から6年/城辺町老女殺害事件・

再び暗礁に乗り上げた捜査

 1998年7月17日に平良市西原の真謝漁港近くで城辺町新城に住む無職、城間カ子メガさん(かにめが、当時85)が他殺体となって発見された事件から、きょう17日で6年となった。今年2月、被害者宅近くに住む下地フジ子さん(63)が容疑者として逮捕、送検され、捜査は一気に解決に向かうと思われたが、検察は「現時点では有罪、無罪を決定できない」として処分保留のまま釈放。捜査は再び振り出しに戻った格好となった。宮古警察署は「捜査は適正だった」と正当性を主張。しかし、下地さんと夫の肇さん(67)は「逮捕は不当だった」と県警と宮古署に謝罪を求めている。事件の経緯、関係者に与えた影響と現況をそれぞれの視点から探る。

【事件の経緯】
 当時、行方不明の城間さんは自宅から約15キロ離れた真謝漁港わきの道路で、両手両足をロープのようなもので縛られ他殺体で見つかった。県警と宮古署では所持品などから城間さんと断定し本格的な捜査に乗り出した。
 しかし、発見された遺体は腐敗が進んでおり、司法解剖では殺害方法や場所、死因、時期などを特定できなかった。また、城間さん宅からは現金約98万円余り、遺体の側から発見された持ち物の中には現金約2万円が発見されたため、「金銭目的の犯行の可能性は低い」と判断された。
 事件発生から5年7カ月が過ぎた2004年2月27日午前8時23分、逮捕令状を持った捜査員が自宅に訪れ、下地さんを殺人の容疑で逮捕。同時に家宅捜索し証拠品としてメモなど20数点を押収したという。
 自宅に残された夫の肇さんは「逮捕状には殺害場所は『平良市内か宮古郡内』、時期は『7月上旬ごろ』、殺害方法は『なんらかの方法』としか書かれてなかった」と説明。「こんな逮捕状では誰もが逮捕されてしまう」と当初から不当性について言及していた。
 会見した宮古警察署の石垣用秀署長(当時)と國吉盛純副署長は「容疑者を逮捕しました」とだけ発表。記者の質問に対しては「捜査にかかわるから言えない」の一点張りで一方的に会見を打ち切った。同月29日には下地さんを送検、身柄を那覇地方裁判所平良支部に移した。
 警察、検察の取り調べに対し下地さんはかたくなに無罪を主張し、黙秘を続けたという。
 結局、逮捕から23日後の3月20日夜、下地さんは処分保留のまま釈放。会見で石垣署長は「警察では適切な捜査を行ってきた。今後も検察と捜査を進めていきたい。細かいことは言えない」と述べるにとどまった。
 また、那覇地方検察庁も「容疑者は取り調べにおいて黙秘するなどしており、現時点では起訴、不起訴を決することができないので、捜査を継続していきたい」とコメントを発表、捜査の正当性を主張した。
 対する弁護団は処分について「事実上の無罪だ」と説き、「今後、下地さんが逮捕されることはない」と強調した。

【逮捕から5カ月…】
 逮捕前に左足を骨折したという下地さん。取り調べの際、「けがした足には無理な体勢で身体検査を強要された」とし、現在も左足を引きずって歩く。趣味のゲートボールもままならない状況だという。
 肇さんは「妻が受けた取り調べは精神的にも拷問以上だ。かわいそうすぎる」とうつむく。
 2人は「どこに行っても人の目が気になる。逮捕前の日常には戻れない」と苦悩の毎日を送る。
 5、6月には相次いで「告発」という文書を発表。下地さんが逮捕された状況、無実の証明などを生々しくつづり、捜査に疑問を投げ掛け、宮古署と県警に強く謝罪を要求している。
 肇さんは「妻の件が一過性にならないようにしなければならない」と現在、7―8人で編集委員会を立ち上げ、下地さんの受けた取り調べ、拘留中の生活などを記録した手記を発刊する準備を進める。失われたという日常生活を取り戻すためだ。
 2人の励みは宮古の友人のみならず、沖縄本島や東京都にも支援する会が発足しているということ。「私の無実を信じてくれる。こんなうれしいことはない」。

【宮古警察署】
 本紙は宮古署に対し、@容疑者を逮捕したが、釈放されたことに対しての基本方針と今後の考えはA下地さん夫妻を中心とした関係者は現在も「違法である自白頼みの逮捕だった」と批判、捜査の不当性を強調しているがB押収品は捜査の何らかの手掛かりとなり、捜査の進展につながったかC下地さん夫妻が発行している「告発」についての見解はD下地さん夫妻は「元の生活には戻れない」と、公式の場で謝罪を求めているが、応じる考えは―という5項目の質問を行った。それに対しての返答は「捜査は適正に行われた。現在も継続中である。質問の1つ1つについては捜査中であり、回答はできません」と、これまで同様のコメントを発表した。

【新城住民】
 地元、新城住民は困惑の表情を隠せない。70代の女性は「もう、思い出したくないです」。80代の女性は「真犯人だと言って同じ部落の人を逮捕し、すぐに釈放…信じられない」と捜査に疑問を投げ掛けた。60代の男性は「すぐにでも本当の真犯人を逮捕してほしい」と求めた。
 時効は2013年7月17午前零時をもって成立する。

   (福里賢矢記者)

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