200平成16  7 10 曜日

奥平「緊急時以外は自粛を」/県議会一般質問・

米軍機の民間空港使用で

 【那覇支局】県議会(外間盛善議長)6月定例会一般質問2日目の9日、4番目に登壇した奥平一夫氏(自立21)=平良市区選出=は「下地島空港と宮古空港の軍事利用はさせるべきではないと思うが」として、知事の考えをただした。これには府本禮司知事公室長が答え、「米軍機の民間空港の使用は、日米地位協定第5条で認められているが、緊急やむを得ない場合を除き、米軍機の使用を自粛してもらいたいというのが県の一貫した方針」と述べ、使用時などに自粛を要請しているとした。
 米軍機の着陸回数について県は、宮古空港で復帰以来延べ93機、下地島空港で1979年7月5日の供用開始以来延べ305機と明らかにした。
 奥平氏はまた、宮古大浦産廃施設火災事故について質問。「検討評価委員会」の報告書の説明会を現地で行えないかについて屋嘉部長市文化環境部長は「今年2月に報告書を取りまとめ、平良市と地元自治会へ送付した。同委員会は、検討評価の過程で大浦地区住民との意見交換や現地調査の後で検討評価に着手し、最終報告書の取りまとめに当たっても全委員が地元に赴いて説明会を開催しながら真摯に対応しており、改めて説明会や討論会を開催する考えはない」と答えた。
 大浦住民の不安解消への考えについて屋嘉部部長は、検討評価の報告で「特に生活環境への影響はないものとしている」とし、事業者への指導とともに、平良市との連携で環境モニタリングを実施していく考えを示した。
 ハンセン病国立療養所の南静園、愛楽園の将来構想について、稲福恭雄福祉保健部長は「国の方針があると思われるので、その動向を見守っていく」と答弁。また両園が進めている「ハンセン病証言集編集事業」の予算について、稲福部長は「両園と編集事務局と連携して財政的支援を検討していく。県の05年度予算要求時期までには予算内容について十分に詰める」と答えた。
 04年度の600万円の県営公園の調査費について、末吉哲土木建築部長は「県営宮古公園(仮称)も含め、県営公園の地域配置バランス、規模、整備内容など総合的な観点から公園全体のあり方の検討を行うための費用」と説明した。
 宮古島周辺海域のオニヒトデ大量発生への対策で、稲嶺恵一知事は「周辺海域のサンゴ礁保全のため、重要サンゴ礁海域を定め、オニヒトデ駆除などの対策に取り組む」と答弁した。

 写真説明・米軍機の民間空港使用問題など県の考えをただす奥平一夫氏=9日、県議会

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両候補者に聞く/参院選沖縄選挙区

 【那覇支局】参院選投票はいよいよあす11日に行われる。選挙戦は最後の追い込みに突入している。沖縄選挙区で与野党一騎打ちの激戦を繰り広げている翁長政俊氏(55)=自民公認、公明推薦=と、糸数慶子氏(56)=無所属、民主・共産・社民・社大・みどりの会議推薦、自由連合支持=に、訴えている政策や選挙戦の手応えなどを聞いた。(編集局・川満幸弘)

・6年間で雇用倍増達成/翁長政俊
 
 ―今選挙で一番訴えていることは何か

 憲法改正や自衛隊のイラク派遣、年金問題と、全国的な争点もあるが、私は特に沖縄問題をしっかりと県民に訴えている。米軍基地の整理縮小と経済振興策の2つだ。特に雇用倍増を訴えている。他府県に比べて沖縄の失業率は常に2倍近い。現在7%台の失業率を4%台まで改善していく。雇用倍増では、沖縄の産業構造改革を行い、新しい産業を興す。沖縄がブランド力を持つ本土市場で勝負のできる足腰の強い沖縄産企業をつくらないとならない。そうしない限り自立はあり得ない。
 県民の意識調査で米軍基地の整理縮小については、段階的な整理縮小を支持する県民が7割を超えた。基地の整理縮小は段階的計画的に行う必要がある。普天間移設については、いま稲嶺知事が進めている辺野古移設案を支持している。
 ―当選したとき、真っ先に取り組む問題は何か
 雇用、失業問題が最重点。その解決に向け産業の活性化にまず取り組む。そのために、今知事が進めている新振興計画の裏付けとなる国予算の確保が大前提。雇用倍増は自分の任期6年の間に、4%台を達成する。また、基地から派生する事件事故から県民の人権を守るための日米地位協定の抜本的な改革に取り組む。
 少子高齢化が進む中で、社会保障制度の再構築。医療、年金、介護、トータル的な財源の確保を含めた制度の見直しを行う。
 ―宮古の振興策で力を入れることは
 1つは、伊良部架橋の建設に向けて、本予算の確保に全力で取り組みたい。それと、農林水産業の振興をしっかりやる。そのために地下水を確保する。農業用水、飲料水含め、伊良部に橋が架かると送水するので今の地下ダムのキャパでは足りなくなるはずだから。また、昨年の台風14号で電柱が壊滅的打撃を受けた。電柱の地中化を島全部にやる必要があると思う。
 離島の航空運賃の低減は継続してやっていく必要がある。宮古では資源循環型の社会をつくり環境問題をしっかりやらないとならない。自然をしっかり守り、歴史的遺跡や文化的遺産も整備する。保健医療、福祉の施設も充実させていく。
 ―自衛隊の多国籍軍参加について賛成か、反対か(理由含めて)
 基本的には国連決議に基づき行われる多国籍軍での活動は賛成。わが国は憲法で決められた範囲があるので、憲法、イラク特措法の枠内で活動することが重要。日本の自衛隊はわが国の指揮権の下で、引き続きこれまで行ってきたイラクへの人道復興支援にとどめるべきと考える。ただ、この問題は重要なだけに国会議論と、国民への説明責任が足りない感がしている。なぜ多国籍軍に入らないとならないのか、国民に分かりやすいように説明しないといけない。
 ―選挙戦の手応え、勝算はどうか
 非常に反応はいい。よく人が集まり、話を聞いてくれ、手を振って返してくれる。終盤に向けしっかりと自公、組織力を生かしながら浮動層を取り込む運動を展開していけば間違いなく勝利すると確信している。

・憲法、年金法改悪許さない/糸数慶子氏
 ―今選挙で一番訴えていることは何か
 まず年金の問題。今回の年金法の改悪を許さない。廃案にして再度国会の場で議論すべきだ。また、私は基本政策として、平和憲法を改悪させない。唯一の地上戦があり、県民の4人に1人が亡くなったこの沖縄から、平和を発信していく。教育基本法改正問題も、国家統制の下に子供たちの教育をし、愛国心を植え付けていくのは、やはり元来た道へ戻ると危ぐされる。平和憲法と教育基本法は絶対改悪させてはいけない。
 ―当選したとき、真っ先に取り組む問題は何か
 やはり年金の問題。年金法を廃案にして再度国政の場で議論し、国民に分かりやすく、老後が安心でき、若者が加入できる年金制度に改めていきたい。
 また沖縄に新たな基地は造らせない。米軍普天間基地移設で名護市辺野古の海を埋め立てることは、沖縄の自然を破壊し観光産業に、大きな不利益になる。しかもそこは世界でも稀少種のジュゴンの生息地でもある。海の汚染にもつながる。普天間基地は国外移設がベターな選択だと思う。いま在外米軍基地の再編のチャンスなので、ハワイなど持ってきてほしいというところへ移設すべき。
 ―宮古の振興策で力を入れることは
 やはり観光産業。農業や漁業を観光と連動させることが大事。具体的には、農業、漁業の自給率をもっと高める。今はどんなに観光客を送り込んでも食材は本土から入ってきている。地元で取れた食材を地域で加工して、それを観光客に提供していく「地産地消」で地域は潤っていくと考える。また観光現場で対応できるよう若者たちを育てる、人材の育成が離島振興で重要。
 教育と医療の問題も大きい。教育、医療格差を取り除いていく。
台風常襲地帯なので、電線の地中化も大事。島の隅々まで電線地中化にする。海岸の護岸も、環境に配慮したエココーストにする。
 さらに太陽光発電は資源を大事にする意味でもどうしてもやっていきたい事業。
 ―自衛隊の多国籍軍参加について賛成か、反対か(理由含めて)
 反対だ。自衛隊をイラクに派兵したこと自体、憲法9条に抵触する問題。これまで政府は多国籍軍参加は憲法に違反すると言っていながら、いきなり参加を決めた。言っていることと行っていることがとても矛盾する。ブッシュ政権に追随して、しかも米国は大統領選挙直前だから、その直前に国会での論議も経ずに、いきなり閣議決定した。民主主義の根幹を揺るがすその手法そのものがすごく問われる。現憲法を変えていこうという動きと同時並行で既成事実をつくっていくことが許せない。自公政権は国民に目が向かず、米国のブッシュ政権にしか向いていない。
 ―選挙戦の手応え、勝算はどうか
 勝算あり。国頭から宮古、八重山までその地域に入ると、かなりの人が出てきた。握手をしながら年金を何とかしてくれ、憲法を改悪してくれるなという言葉が返ってきた。ただし、選挙は水物、最後まで気を引き締めて、しっかり政策を訴えていく。

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自主独立採算目指す/うえのドイツ村・三位一体改革で継続困難

 上野村(川田正一村長)から年間約2000万円の補助を受けて運営されている、うえのドイツ文化村の自主独立採算による健全運営を目指す「うえのドイツ文化村自立促進研究会」が9日、発足した。同村役場で行われた第1回の会合では垣花義一助役を会長に選任したほか、委員らが同文化村の長所、改善点などの意見を出し合った。また、管理する博愛国際交流センター(理事長・川田正一村長)と職員1人ひとりの意識改革を求めた。同研究会では年内に計5回の会合を開き、川田村長に答申する予定。

 冒頭、あいさつした川田村長は「オープン当初からの目的である自主独立採算に向け、委員1人ひとりの立場から意見を出してもらいたい」と述べた。
 会長に選任された垣花助役は「補助を行っている上野村も国の進める三位一体改革で財政が苦しくなっており、支援が厳しい状況」と現状を説明し、委員1人ひとりの意見を求めた。
 委員からは▽村民の愛着が強い▽駐車場、トイレなど観光施設としての設備が整っている―などの長所が上る一方、▽入場料を徴収した方が良い▽建物だけで中身が薄い▽駐車場から博愛記念館が遠い▽PR不足▽観光客だけでなく、国際性を生かし、宮古の小学校の社会学習に利用しては―など、改善や要望を求める声が出された。
 中小企業診断士の西里喜明委員は一般論であると前置きした上で、「財団のトップはほとんどが名誉職的な色合いが強い上、責任が問われない。財団そのものがサービス業としての自覚を持ち、お客様を満足させるという意識を持つことが大事」と強調。「ドイツ文化村で仕事に従事する1人ひとりに意識改革が必要だ」と訴えた。
 同研究会は、同文化村が活気にあふれ、宮古圏域の観光振興と地域活性化が図れるよう自立可能な具体的プログラムを策定することを目的に発足。財団法人組織や、財政運営の分析、成功事例などを調査、研究する。
 第2回委員会は8月中旬に行われ、予定されている成功事例の調査のための視察地などを決定する方針。
 委員は次の通り。(敬称略)
 【会長】垣花義一上野村助役【副会長】砂川正吉上野村企画調整課長【委員】▽吉瀬武(ユニマットリゾート総支配人)▽比屋根安春(ドイツ文化村テナント入居者)▽渡真利 子(同)、我如古三雄(博愛国際交流センター専務理事)▽太田幸次(同支配人)▽島尻義彦(沖縄ツーリスト宮古支店長)▽砂川能樹(バス・タクシー協会)▽川満勝也(県宮古支庁総務観光振興課主幹)▽渡久山明(宮古観光協会事務局長)▽上地博通(学識経験者)▽吉井良介(宮古観光協会青年部長)▽砂川一弘(上野村総務課財政係長)▽砂川明有(上野村建設課長補佐)▽西里喜明(中小企業診断士、C・S・Dコンサルタント)

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11月7日開催に決定/クイチャーフェスティバル

 第3回クイチャーフェスティバル2004〜んなまからどー宮古ぬ世〜(主催・同実行委員会、宮古毎日新聞社)が11月7日、カママ嶺公園多目的広場を会場に開催されることが決定した。同実行委員会の下地暁実行委員長は9日、RBC宮古サテライトスタジオで会見を開き、参加団体やボランティアへ多く参加を呼び掛けた。下地実行委員長は「足元の文化を見つめるいいイベントにしたい。小・中・高校から1校でも多く参加してほしい」と述べた。
 同フェスティバルは宮古に古くから受け継がれているクイチャーを「宮古のアイデンティティー」と考え、各地に存在したクイチャーを掘り起こし、宮古全体のうねりにしていくことを目的に開催されている。
 大会には伝統クイチャーの部に8団体、創作クイチャーの部に8団体(原則として30人以上)、ああぐや獅子舞などその他の部に2団体を目安に参加団体を募集している。演舞時間は伝統の部が5分以内、創作の部は4分以内。申し込み締め切りは9月30日。
 新たな試みとして、小学校マーチングバンドによる演奏で参加者全員がクイチャー大競演を行うことも予定している。
 創作クイチャーの部の基本ルールは▽踊りは従来あるクイチャーをイメージさせる手拍子と跳ね上がる振りなどを一部取り入れること▽曲は自由だが「ヒヤササ」「ニノヨイサッサイ」など、クイチャー本来のおはやしを入れること▽衣装、メーキャップは他府県の民族衣装や沖縄本島のエイサーなどと類似しないこと―。
 大会では創作の部に出場した団体からプカラス賞(総合)、パニパニ賞(踊り)、アパラギ賞(衣装)など選考・表彰する予定。
 問い合わせ先は同実行委員会事務局(電話0980-75-5702)かパック宮古支社(電話0980-73-3515)まで。

 写真説明(上)・会見し参加を呼び掛ける下地実行委員長(中央)と粟國和伸事務局長(左)=9日、RBC宮古サテライトスタジオ
 写真説明(下)・大盛況に終わった第2回クイチャーフェスティバル2003(資料写真)

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「宮古の素晴らしさを」/与儀一夫さん・

「美ぎ島の彩(かぎすまのいろ)」写真展始まる

 宮古写真愛好家協会会長で、今年5月に写真集「美ぎ島の彩」を出版した与儀一夫さんの出版記念写真展が9日、花ギャラリーTOMOEで始まった。15日まで。時間は午前10時から午後7時(最終日は午後5時)まで。与儀さんは「地元の人に宮古の素晴らしさを見直してもらう機会になれば」と多数の来場を呼び掛けている。会場では写真集の販売も行われている。定価4500円(税込み)。
 この写真展は、写真集に収められている108点の作品から、風景写真を中心に45点を展示。初日から多くの人が足を運び、島の自然のさまざまな表情に見入っていた。
 また、この日は午後7時から市内のホテルで出版祝賀会も催され、写真集を監修した写真家の平井順光さんらが出席して写真集のクオリティーの高さを評価するとともに、さらなる活躍を期待した。
 今回で2度目の個展となる与儀さんは「宮古を言葉で伝えるには限界があり、今回の写真展、写真集が観光客や地元住民に対するメッセージになれば。この島の素晴らしさを見直し、自然を大切に守ろうという思いが伝わればうれしい」と話した。
 また、約700枚の写真の中から写真集用に作品をセレクトしたという平井さんは「島を知り尽くしている地元の写真家だけあって、どの作品も完成度が高い。宮古を代表する写真集であり、現在の子供たちが大人になったとき、島の姿を振り返ることができる貴重な資料にもなり得る」と高く評価した。

 写真説明・写真集「美ぎ島の彩」を出版した与儀一夫さんの写真展が開かれている=9日、花ギャラリーTOMOE

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