元専務理事の私的流用により多額の不明金が生じている沖縄宮古商工会議所(中尾英筰会頭)の商工貯蓄共済制度の欠損が実質2500万円になっていることが22日、分かった。同日開かれた常議員会で同会議所監事の上里道明税理士が概要を明らかにした。中尾会頭は共済制度の再建策に見通しが付いたとして、「これからが大事。一から出直したい」と決意を述べた。この日は状況説明が行われただけで、問題が起こったとみられる期間の執行部や常議員の責任については言及がなかった。
上里税理士の説明によると会員からの預り金総額1億900万円に対し、実際の銀行残高や一般会計への繰り入れ、元専務理事からの回収見込み分、中尾会頭からの拠出金などを差し引くと、現段階の実質欠損は2500万円となっている。今後、一般会計からの繰り入れや手数料収入などで欠損を埋めながら、共済制度の再建を図る。中尾会頭は再建に自信を見せ、「加入者への払い戻し(積み立て満期)のヤマ場(ピーク)を今年6月と3年後の6月とみている。今年6月の払い戻しは2200万円だったが、滞りなくクリアした。再加入などにより以前より内容が良くなった。資金は十分にあり3年後のヤマ場も超えられると思う」と述べた。
また元専務理事を横領容疑などで宮古署に刑事告訴していた件については、今年4月23日付で取り下げたことも報告された。取り下げた理由について中尾会頭は「少しでも(不明金を)回収して共済制度の再建に充てたかった。約1370万円を元専務理事から回収することにしているが、うち1000万円は回収した。残りの回収についてもめどが付いた」と説明。告訴して法的に元専務理事の責任を問うより、当人の賠償能力を勘案し、告訴を取り下げて少額でも回収することを選択した。
中尾会頭ら執行部は常議員会で、共済制度の再建にめど付けができたと自信を見せたが、再建策が計画通り進まなかった場合の処理法については結論を先送りしている。
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