200平成16  5 20 曜日

「合併」に揺れる上野村民/将来に不安の声 多数

 上野村議会(平良隆議長)が18日に行われた全員協議会で多良間村の離脱にともなう5市町村での法定協発足について否決の判断を下し、事実上法定協議会からの離脱となったことを受け本紙は19日、村民の声を聞いた。その内容は支持、不支持の違いはあるものの首長、議員のリーダーシップや将来に不安を訴える意見が多く聞かれた。ある60代の男性は「上野村長もそうだが平良市長のリーダーシップがまったく感じられない」と強く指摘。そのほかの意見の多くも疑問や不安を訴えるもので、判断を下した村議会にはこの村民の声に対する早急な対応が求められている。

 5市町村での法定協発足については上野村議会以外の議会は推進の姿勢。同村議会の判断は平良市の財政問題などを指摘し「まず任意協議会を立ち上げるべきで、これが駄目なら5市町村での法定協は認められない」との意向となった。
 この判断に対して60代の男性(無職)は「平良市の財政を指摘しているが村の財政もあっと言う間に破たんする。結局は首長、議員が自分の地位に固執している」と首長、議員の姿勢に疑問を呈する。
 20代の男性(団体職員)は「合併するならする、離脱なら離脱とはっきりした姿勢を決めてほしい。個人としては合併には反対」と合併に反対としながらも首長、議員にリーダーシップを求めている。
 20代の女性(会社員)は「この時期にきて判断するのは責任感がない。財政難は上野村も同じ。平良市が得をして上野村が損をするとは言えない」と村議会の判断に疑問を投げ掛ける。
 また、30代の女性(自営業)は「5市町村では平良市中心になるので3町村合併がいいと思う。目先のことだけ考えての合併には疑問が残る。合併後のことをしっかり見据えてほしい」、40代の女性(主婦)は「納得いかない。各部落を回ってでも説明すべきだ。子供たちの未来が不安でいっぱい。議員の判断を疑う。私たちの代表として恥ずかしい」など、女性からは合併の有無にかかわらず村の将来に不安を抱く意見が多く聞かれた。
 そのほか、30代の男性(自営業)は「なぜ今さら離脱するのか不思議でしょうがない。合併については関心がないというより、どうせ合併すると思っていた。個人的には3町村合併に賛成。合併は国に踊らされて進められているように感じる」と、合併は国の押しつけとの考えを述べた。
 議会判断を受けて村民の意向も支持、不支持さまざま。議会が合併に対する方針を示したことで、その判断理由や根拠、将来展望などをしっかりと村民に伝えていくことが求められている。

top.gif (811 バイト)

上里一将(宮高卒)、リーグ戦初出場/Jリーグ2部・C札幌

 上里一将=平良市出身、宮古高校卒=がついにリーグ戦初出場―。Jリーグ2部(J2)のコンサドーレ札幌に所属する上里は19日、札幌市の札幌厚別公園競技場で行われた第13節、水戸ホーリーホック戦に後半36分から交代出場。夢にまで見たプロのピッチに足を踏み入れた。後半40分にはゴールまでパスをつなぎチャンスを演出するなど活躍。ロスタイムにはフリーキックを任せられたが、GKにキャッチされ初ゴールは生まれなかった。試合は1対2で敗れた。
 上里は練習試合や若手主体のリーグのサテライトリーグなど少ない出場機会でアピールを続けた。柳下正明監督は「若手の中で一番成長している」と上里を高評価。第11、12節では遠征メンバーに帯同するなどトップチームに合流していた。
 上里がサッカーを始めた沖縄宮古南フットボールクラブの与那覇晃規監督は「出場できて驚きと同時に喜びでいっぱい。けが人などチーム事情があったが出場できて良かった」と喜んだ。

 写真説明・水戸ホーリーホック戦の後半途中からJリーグ初出場を果たしたコンサドーレ札幌のMF上里一将(ナンバー24)=19日、札幌厚別公園競技場(写真提供・北海道新聞社)

top.gif (811 バイト)

池間、伊良波さんの授賞たたえる/第8回平良好児賞・

関係者集い祝賀会

 第8回平良好児賞表彰式受賞祝賀会(主催・平良好児顕彰会)が19日午後、平良市内のレストランで開かれた。文学関係の識者をはじめ、大勢の関係者が詰め掛け、受賞作品の句集「花甘蔗(はなきび)」の著者、池間キヨ子さん(71)=平良市下里=と「池間民俗語彙(ごい)の世界」などの著者、伊良波盛男さん(61)=千葉県習志野市在住=の受賞を盛大に祝った。併せて故・平良好児氏をしのびながら、宮古における郷土文学のさらなる発展を誓った。

 主催者を代表して松原清吉選考委員が「池間さんの作品はとてもセンスの良い作品。伊良波さんはとても味のある素晴らしい力作だった。多くの人に読んでほしい」と絶賛し、「これからも宮古が文学の盛んなところとして内外から評価を受けることを祈る」と述べた。
 「花甘蔗」は池間さんが10年以上にわたった創作活動の集大成。よりすぐりの300句を収めている。池間さんは「賞の重さを感じている。句の中には宮古の自然、人々、出会いがすべて込められている。これからも賞に恥じないように、背伸びせずにゆったりとした気持ちで作句活動を続けたい」と喜びを語った。
 伊良波さんは「池間民俗語彙の世界」、「鬼虎伝説」など出身地の池間島にこだわった著述活動を続けており、単一作品ではなく一連の活動が受賞の対象となった。受賞者あいさつで伊良波さんは「小さいときから生まれた池間島が大好きだった。ふるさとのことを書いて認められたのが非常にうれしい。今後も詩、小説、民族文化などマイペースで活動したい」と話した。
 表彰式後は盛大な祝賀会が催され、受賞作品と著者をたたえるとともに、今後のさらなる活躍に期待した。

 写真説明・第8回平良好児賞に輝いた池間さん(左)と伊良波さん=19日、レストランクール

top.gif (811 バイト)

第8回平良好児賞 受賞者喜びの声

 ・「俳句は生きている証」/池間 キヨさん(71歳)
 「予期せぬ賞で驚いた。周囲からの反響も大きくて…」と、喜びの中に戸惑いが交錯している様子。受賞作の句集「花甘蔗(はなきび)」には、15年の創作活動から300句が収録されている。今年2月に完成した。1句1句に思い出が込められている。
 「俳句を振り返ると、生きている証しになる」。これまでを回想し、「指導をいただいた先生、周りの友人たちに感謝したい」と話す。
 俳句の魅力は「要らない言葉はすべて省く潔さ」。句を詠むときは、台所でふと思ったこと、足を運んだ場所で頭に浮かんだことなど、日常の感覚を大切にする。「特別に背伸びはしない」。
 句集をまとめたことで、客観的に自分の作品を見つめ直せた。「見えてきた課題を克服し、ものの見方を深めたい」と意欲を高める。

 池間 キヨ子(いけま・きよこ) 1932(昭和7)年9月11日生まれ。71歳。平良市西里出身。54―93年の40年間、平良中などで教べんを執る。88年俳句サークル「藍の会」、90年結社「鷹」に入会。92年より通信俳句詩「荒妙」に投句、沖縄俳句研究会会員。

 写真説明・受賞の喜びを語った池間さん=19日、平良市のレストランクール

・「活動の原動力は愛郷心」/伊良波 盛男(61歳)
 「池間民俗語彙(ごい)の世界」や「鬼虎伝説」、詩文集「神の鳥」など、池間島や宮古にこだわった一連の著述活動が受賞の対象となった。「ふるさとのことを書き、それがふるさとに認められたことがうれしい。格別だ」と素直に喜びを表現した。
 高校生のころ、短歌を詠み始めたところから創作人生が始まった。世界はやがて詩や小説に広がった。活動の原動力は「子供のころから培った愛郷心」だ。
 沖縄本島へ、本土へとわたっても池間や宮古の情報はこまめに集めた。異郷に住み、「灯台下暗し」で見えなかったことが、客観的に見られるようになり、愛郷心は増幅した。
 還暦をすぎ、創作意欲は増すばかり。「来年あたりには、島に引き上げたい」。実家を増築して研究室を作る計画だ。

 伊良波 盛男(いらは・もりお) 1942(昭和17)年8月14日生まれ。61歳。平良市池間島出身。池間郷土学研究所代表研究員。79年山之口獏賞受賞。詩集に「南島語彙集T」、「アーラヤ川紀行」など、小説に「鷹の舞う島」、「海を越えて」など著作多数。千葉沖縄県人会相談役も務める。
 
 写真説明・ふるさとでの受賞を喜んだ伊良波さん=19日、平良市のレストランクール

top.gif (811 バイト)

働く姿に興味津々/平良市 北小2年生が町探検

 平良市立北小学校(新崎治校長)の2年生62人は19日、生活科の「町探検学習」の一環で、同学区内にある20カ所の事業所を見学に訪れた。児童たちはそれぞれの職場で働く人々の姿に興味津々。メモを取ったり質問するなどして積極的に見聞を広めた。
 この単元では、地域の施設を見たり調べたりすることで、自らの生活とのかかわりを知ることが狙い。児童たちは、16グループに分かれて少人数で行動。約20人の父母が協力し、各グループに同伴して子供たちの社会勉強をフォローした。
 このうち、宮古毎日新聞社(真栄城宏社長)では、パソコンを使って紙面を構成する様子や輪転機で新聞を印刷する作業などを見学。「新聞は何時に出来上がりますか」「1日に何枚作りますか」「インクは何種類ありますか」などと質問を連発し、分かったことを各自のノートに記入して知識を深めていた。
 対応した職員は、記者が取材をして配達員が各家庭に配るまでの過程で、さまざまな役割の仕事があることを説明。「新聞がたくさんの人の手を経て届けられていることを知ってもらいたい」と話していた。

 写真説明・印刷工場で新聞が出来上がる様子を見学する児童たち=19日、本社

top.gif (811 バイト)



top.gif (811 バイト)