2004年(平成16年)
5月 4日
火曜日
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県議選まであと1カ月/各陣営、支持拡大に全力
今月28日告示、6月6日投開票の県議選。選挙本番まで1カ月と迫り、6人が立候補を予定している宮古地区(平良市区、宮古郡区=ともに定数1)では、各陣営とも支持拡大に全力を注いでいる。2選挙区とも現職に新人2人が挑む3つどもえの公算が大きく、従来の「保革一騎打ち」の構図が崩れている。特に宮古郡区は保守系同士の戦いとなっており、各陣営が入り乱れて勢力拡大を図っている。
立候補を表明しているのは平良市区で現職で2期目を目指す坂井民二氏(54)=自民公認=と、保守系無所属の新人で前市議会議員の嵩原弘氏(49)=公明推薦=、革新系無所属の新人で前市議会議員の奥平一夫氏(54)の3人。宮古郡区では現職で2期目を目指す砂川佳一氏(60)=自民公認、公明推薦=と保守系無所属の新人で前城辺町教育委員、自営業の下地一美氏(52)、同じく前上野村助役、会社役員の西里秀徳氏(61)。
平良市区では年明けまで現職の坂井氏以外の動きはなく無風選挙も予想されたが、1月初旬に嵩原氏が「自公協力」路線を支持する勢力の後押しなどで、立候補を決めた。革新勢力は市議団が市三役選任に絡んで分裂状態にあったことから、保守系候補による一騎打ちとの見方も強まった。しかし革新陣営は4月になって候補者擁立を決め、奥平氏に白羽の矢を立てた。
すでに革新勢力の中には保守陣営の揺さぶりに応じて、支持スタンスを転換した部分もあったため、奥平氏の立候補表明でその動きがどう変わるかが焦点だ。今回の選挙は2002年の市長選挙と同じ対立構図となっており、特に保守陣営内部での確執の深さがうかがえる。
宮古郡区は自民公認の砂川氏に、保守系の新人下地氏と西里氏の2人が挑む「保守分裂選挙」。同区での保守系同士の争いは1988年の福里一郎氏と芳山弘志氏との一騎打ち以来となる。城辺町以外は、はっきりとした革新勢力が表立って存在しないため、革新陣営は独自の候補者擁立が困難だった。革新勢力は現職以外の支援に動いており、各町村で複雑な構図となっている。
3氏とも選挙区5町村のすべてに後援会事務所や連絡所を構え、活動の拠点を置いている。そして主な団体からの支持・推薦を取り付ける方法などで支持拡大にしのぎを削っている。各陣営とも有権者が5000人を超える伊良部町の動向が選挙戦を大きく左右すると見ており重点的に活動を展開している。
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県議選立候補予定者インタビュー(平良市区)
宮古毎日新聞ではこれまでに立候補を表明している6人に、立候補の理由や決意などを聞いた。4日(平良市区)、5日(宮古郡区)にわたってインタビュー要旨を掲載する。
・観光産業に取り組む/4年間の経験生かす
坂井 民二氏 (54歳)
―なぜ立候補を決意したか
市議3期、県議としてこの4年間、宮古圏域発展のために努力してきたが、残された課題がある。立候補するのはその課題解決、圏域発展のためだ。
―稲嶺県政に対する評価は
米軍基地問題をはじめ、沖縄振興計画の促進のためによく頑張っている。離島振興に関しても、伊良部架橋をはじめとした諸課題によく取り組まれており、大変評価している。
―「自公体制」についての基本的な評価は
自公連立を否定するものではないが、今回の平良市区の選挙を見ると、公明のやり方には非常に疑問を感じている。
―県議になって最も取り組みたいことは
これからの1番のテーマは観光産業だ。外から人を呼び、お金を落としてもらう方法を考えなければならない。観光産業の発展によって、農業林産業にも相乗効果が表れ、公共工事も雇用の場も増える。人が来るためには、福岡や名古屋からの直行便など「足」の確保も重要だ。
―市町村合併に関する基本的な立場は
基本的には賛成。
―賛成の理由は
合併によって財政の合理化が期待される。その辺をリーダーがしっかりとらえた形でやらなければならない。
―有権者に対するアピールを
県政で4年間貴重な経験をした。これは大きな財産であり、「継続は力なり」という言葉の通り、この経験を次に継続することが圏域のためになる。引き続き、県政で頑張らせていただきたい。
坂井 民二(さかい・たみじ) 1949(昭和24)年9月24日生まれ。平良市西里出身。東京写真大学工学部(現・東京工芸大学)卒。89年、平良市議初当選。以降3期連続当選。2000年、県議会議員初当選。02年、県議会総務企画委員会副委員長。
・主要要請項目を実現/県政と国政一直線に
嵩原 弘氏 (49歳)
―なぜ立候補を決意したか
正しい政治を行うために決意した。疑問に思う点を是正していかなければならない。合併も控えている中、私でなければならないという声が多い。県政と国政を一直線につないでいく。
―稲嶺県政に対する評価は
県民の生活向上のため大変頑張っている。米軍基地問題も言うべきことをしっかり国へ伝え、三位一体改革も離島県の現状を国へ訴えている。
―「自公体制」についての基本的な評価は
良い体制だと思う。県政も自公体制で良い方向へ向かっている。自民党、公明党の支持を取り付けているので、自公体制を構築していけると思う。
―県議になって最も取り組みたいことは
政策を実現できるよう行動を展開していく。合併後の宮古圏域をしっかりとらえ、これまで要請している主要項目を実現できるよう取り組んでいきたい。学校施設の充実、整備にも努め、生涯教育のため県立、市立図書館に総合的な機能を持たせた整備をしていきたい。農業では地下水保全に配慮した農業振興に努め、畜産では畜産農家の収益が上がるような補助メニューに取り組んでいく。
―市町村合併に関する基本的な立場は
6市町村が望ましいと考えているが、各自治体の意見も尊重しないといけない。厳しい財政状況が数字で示されており、この状況で従来通りの行政サービスを維持できるかを考えると厳しい。
―有権者に対するアピールを
県政への現場代理人として頑張り、県政、国政を一直線につなぐ立場で政策を実現するよう取り組む。よりいっそうの支持をお願いしたい。
嵩原 弘(たけはら・ひろし) 1954(昭和29)年8月28日生まれ。平良市東仲宗根出身。東京読売理工専門学校建築科卒。01年に平良市議会議員初当選。
・若年者の雇用を創出/平和と環境問題発言
奥平 一夫氏 (54歳)
―なぜ立候補を決意したか
下地島空港、宮古空港の米軍機強制使用問題や西原の産廃問題など、圏域が抱える課題について現状では圏域住民の気持ちを県議が代弁していない。それをしっかりと伝え各種課題解決のために県政の場を目指した。
―稲嶺県政に対する評価は
米軍普天間飛行場の代替施設問題にしても、あれだけの海を埋め立てて新たな基地を造ろうとすることは県民の痛みを知らないし、強い憤りを感じる。しかし、地域協定の見直しについては一定の評価はできると思う。
―「自公体制」についての基本的な評価は
理念の違う2つの政党が政権を守るために無理矢理に体制をつくっている感じ。常に平和主義を掲げてきた公明党の自衛隊イラク派遣、有事法制等についての現在の見解にも疑問を持つ。ただ政権を維持するためだけの感がして理解できない。
―県議になって最も取り組みたいことは
平和と環境を重視した取り組みを中心に、圏域経済発展のためにも情報通信関係の企業を立ち上げるなど若年者の雇用を創出する。また、産廃問題についてはこれまで私自身環境問題に対する認識が足りなかった。これを反省してしっかりとした対応をしていきたい。
―市町村合併に関する基本的な立場は
多良間村が合併協から離脱して残念に思うが少なくとも残りの5市町村はまとまった方が良い。地方分権、地域活性化のためには「自立」が必要。合併はその良いきっかけになると思う。
―有権者に対するアピールを
平和、環境問題について圏域住民の思いを県政の場に発信していく。
奥平 一夫(おくひら・かずお) 1949(昭和24)年7月20日生まれ。平良市西仲宗根出身。沖縄大学卒、93年市議会議員に初当選、3期務める。
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八重干瀬(やびじ)大にぎわい/大型連休・ダイビングで満喫
平良市池間島北東に広がる八重干瀬では3日、ゴールデンウイークで本土から訪れた大勢の観光客らのダイビングやシュノーケリングでにぎわった。高速旅客船による「八重干瀬周遊クルージング」も行われ、家族連れらが船上からコバルトブルーの海と浮上したサンゴ珊群を心ゆくまで堪能した。
この日は晴天に恵まれ、絶好の海のレジャー日和。大勢のダイバーらがウエットスーツに身を包み、平良市荷川取漁港などからダイビング船に乗って八重干瀬へ向かった。
ダイビング船数10隻がそれぞれのポイントで停船。ダイバーらは水中散歩で美しい海底やカラフルな熱帯魚などを観賞した。
大阪に住む30代の加藤陽子さんは「八重干瀬の海を初めて潜った。透明度が良かったので感激しました」と声を弾ませた。
八重干瀬の浅瀬では、親子連れがシュノーケリングに挑戦。子供たちは元気いっぱいに水しぶきを上げていた。
東京から訪れた小林一郎さん(40)と妻の淳美さん(37)、長男の輝貴君(6つ)、諒輔ちゃん(2つ)の四人はシュノーケリングを満喫。一郎さんは「小さな子供でも安心して楽しめた。来年も来たい」と語った。淳美さんは「子供たちがクマノミを見つけて喜んでいたので、家族のいい思い出になりました」と話し、家族のきずなが深まったことに大満足の様子だった。
高速旅客船は、子供から大人までの約30人の客を乗せて平良港を出港した。約30分で八重干瀬に到着し、サンゴ礁の間を縫って低速でクルージング。「魚が見えた」「派手な水色」などの歓声を上げる子供もいた。
新垣克さん(29)と子供の優美さん(10)克人君(7つ)、みなみちゃん(4つ)の4人は初めてクルージングを体験した。克さんは「子供たちが八重干瀬を見て喜んでくれたので、とても充実した1日だった」と感想を話した。
新垣さんの親せきの吉田泉さん(31)と息子の拓馬君(7つ)、ひかるちゃん(5つ)の3人もクルージングを楽しんだ。新垣さんは「子供たちが予想以上に感動していたので楽しかった」と語った。
同周遊クルージングは6日まで行われる。詳しい問い合わせは、宮古フェリー(電話0980-72-3263)まで。
写真説明・晴天に恵まれ大勢のダイバーらでにぎわった=3日、平良市池間島北東の沖合にある八重干瀬
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GWで駐車場満杯/宮古空港・夜間も200台が居座る
ゴールデンウイーク(GW)に入り宮古空港では、観光客や里帰りする家族連れで連日にぎわいを見せているが、迎えに来た利用者からは「駐車したいが駐車場が空いていない」との苦情の声が上がっている。
同空港の駐車場は昼間では駐車スペースの約9割が使用されている状態。特に到着・出発の入り口近くに駐車することがまったくできず、また、車両が通行するスペースに駐車された車両も多い。
空港駐車場を管轄する平良市空港課によると駐車場の利用は▽午前7時―午後9時まで▽1回の駐車は2時間以内―などと規則を設けているが、週末などを中心に依然として夜間駐車が後を絶たないという。
空港関係者は「『車が止められない』という苦情は毎年のようにある。看板や張り紙でルールの周知を図っているが、なかなか理解してもらえない」と利用者のモラルの低さに肩を落とした。
長期にわたる駐車には、車両ナンバーから所有者を割り出し、指導を行っているが、GW期間中も依然として約200台が夜間駐車している。
写真説明・満杯状態となっており利用者から苦情の声が上がっている=3日、宮古空港駐車場
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これは珍しい/多良間村・黄金のソテツ咲く
【多良間】多良間村でソテツの葉っぱが黄金色に輝き、道行く人の目を楽しませている。住民らは「黄金のソテツは富みを招く植物」と話し、縁起が良く貴重で珍しい植物であることから、今後は観光PRに活用したいと意気込んでいる。
ソテツを庭先で愛情込めて育てているのは、下地春賢さん(65)=同村塩川。
下地さんは「今から30余年前に、里山で色鮮やかに輝く小さなソテツを見つけて採取した。樹齢は50年以上」と語り、家宝のソテツの元気ぶりに大満足の表情を見せた。
同村ふるさと民俗学習館に勤務する垣花昇一さん(50)は「黄金のソテツは、多良間村には1本しかない。観光の目玉の1つにしたい」と、地域挙げての観光PRに向け意欲を示した。
黄金色に色付いた葉は、これから緑色に衣替えしていく。
写真説明・学校帰りに黄金のソテツを観賞する子供たち=4月30日、多良間村(伊良波彌記者撮影)
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