200平成16  4 26 曜日

フォースター(ドイツ)が逆転V2/トライ宮古島大会・

3位までを外国勢独占

 「波に乗れ 風になれ 20歳のストロングマン」をテーマに第20回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古広域圏事務組合など)は25日、池間島、来間島を含む宮古島全域で熱戦が展開された。節目となる20回の記念大会は、マルクス・フォースター(29)=ドイツ=が7時間41分23秒で昨年大会に続いて優勝した。女子は岡いずみ(34)=東京都=が初優勝した。最終出場者1434人に対して完走を果たしたのは1314人。完走率は91・63%だった。

 今大会には海外13カ国・地域の外国人選手を含む434人(男・1242人、女・192人)が出場した。スイム3キロ、バイク155キロ、ラン42・195キロの総距離200・195キロで、限界に挑む選手たちに島中が興奮に包まれるとともにトライ一色に染まった。宮古島地方は前日まで天候がぐずつき、レースコンディションが心配されたが、当日は朝方、小雨がパラついたが昼すぎからは太陽も顔をのぞかせ、まずまずのコンディションになった。午前6時30分の気温は21・6度、昼すぎには25・5度まで上がった。スイムコースでも波高は低く、好条件だった。
 レースはスイムの大会記録を持つ疋田浩気(31)=静岡県=がスタート直後から飛び出し、後続を引き離した。バイクに移ると1周目の城辺町保良川ビーチ付近でミッチェル・アンダーソン(28)=オーストラリア=が疋田を捉えトップに立った。後にはフォースターが続いた。ランに入るとフォースターが猛追、折り返して30キロ地点でアンダーソンをかわしトップに。その後は独走でゴールに飛び込んだ。
 女子はバイクまで外国人選手が引っ張ったが、ランに入ると岡、山倉紀子(40)=東京都=らが外国勢をかわした。千葉ちはる(32)=那覇市=はランが伸びず、連覇はならなかった。
 今年も4800人のボランティアが大会を支え、選手たちのレースを後押しした。ゴールの平良市陸上競技場では、名実ともに「ストロングマン」になった選手たちに温かい拍手が送られた。

 写真説明・19回大会に続き安定した走りで優勝したフォースター=25日、平良市陸上競技場

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女子・岡 いずみ(東京)が初制覇/トライ宮古島大会

 岡いずみ(34)=東京都=が見事、20回目となる記念大会を制して初優勝となった女子のレースは序盤、外国人選手が主導権を握った。
 スイムは名取仁美(20)=山梨県=が他の選手に泳力の差を見せつけて2位に3分半差を付けて到着。しかし、スイムを2位で終えたヘザー・ジョリス(35)=アメリカ=と同3位のジュリー・カーウイン(29)=カナダ=がバイクで実力を発揮。バイク終了時点では3位以下に9分以上の差を付けた。
 天気が回復して始まったランでは日本人選手の追い上げが始まった。スイム16位、バイク6位と着実に順位を上げてきた岡は得意のランに入ってその力を発揮した。
 トップでランをスタートした外国勢は気温が上がるとペースダウンし始めて「高い気温は得意」と話す岡が前を走る5人の選手を退けて25キロ地点でトップに立ち、結局2位に10分以上の差を付けて見事に初優勝した。
 2位には2001年大会2位の山倉紀子(40)=東京都=が入り、3位は昨年大会8位の塩野絵美(24)=東京都=となった。また、2連覇がかかった千葉ちはる(32)=那覇市=は11位に終わった。

 写真説明・記念大会を見事初優勝で飾った岡いずみ=25日、平良市陸上競技場

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「島が一体」いつまでも/20歳迎えたトライ大会・

選手、関係者が20年振り返る

 今年で20回の節目を迎えた全日本トライアスロン宮古島大会。出場選手も約200人から1500人までに増え、県内外をはじめ世界各国からの選手も参加するなど、宮古島大会の名が広まっている。大会関係者や第1回大会から出場している選手たちに、それぞれが見てきた大会の20年を振り返ってもらった。

 20回連続出場の城本徳光さんは20年前と今を比べ「運営がスマートになった。すべてにおいてすきがない。地元住民の意識も変わり、沿道の応援が変わった」と評価する。また「この大会には愛がある。洗練されている割には事務的な感じがしない。みんながもてなしの気持ちでやっている大会。それがまた出たいという気持ちにさせてくれる」と話した。第1回、2回大会を制覇した中山俊行さん、第4回大会を制した山本光宏さんはともに第1回からの参加。20回まで続いた要因として「盛り上げようという地元の一生懸命さ」「島が1つになって盛り上げていこうという気持ち」を挙げ、「選手にはその気持ちが伝わる。そういう気持ちでいつまでも続けてほしい」と願った。
 宮古観光協会の藤村明憲会長は「参加選手も増え、経済効果もある。官民一体となり、皆で小さな難儀を分けて大きな喜びを感じる。それが選手にも伝わり宮古島を好きになるのでは」と分析した。伊志嶺亮大会長は「トライアスロンの効果が大きいのは、宮古はひとつになれば地域発展できるという気持ち。それが東京や大阪直行便、伊良部架橋実現にもつながったと思う。もろもろに発展させる要素がある。ぜひ、30回、40回大会と続けていきたい」と抱負を話した。

 写真説明・20年を振り返る中山さん(左)と城本さん=25日、平良市陸上競技場

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「長いレース お疲れさま」/高校生ボランティアがマッサージ

 今年のマッサージ班(柴田邦子部長)は、高校生を中心に計250人が参加。心を込めたマッサージで、長丁場のレースを乗り越えた選手たちの体を癒やした。
 会場の平良市営体育館内には、この日のために講習を受けた高校生らが待機。次々に訪れる選手たちにマッサージを施した。
 柴田さんは「高校の運動部やボランティア部などで先輩から後輩に受け継がれ、良い流れが出来ている。人のために役立つ喜びがボランティア精神の種になり、今後も大きく成長してくれれば」と期待を寄せた。
 参加した平良勇人君(18)は「トライアスロンの体験談だけでなく、その人についてのいろいろな話が聞けて楽しい。選手の気持ちよさそうな顔が印象に残った」と充実した表情で話していた。
 また、マッサージを受けた赤川洋さん(36)=兵庫県=は「地域の高校生と交流を深めるいい機会になった。担当してくれた生徒と、将来はトライアスロンで勝負しようと約束したので、負けないように練習を積みたい」と笑顔。「スポーツマンは感謝の心を忘れてはいけない。そのことが、若い人たちに少しでも伝わっていればうれしい」と話していた。

 写真説明・大勢の高校生らが、レース後の選手の体をマッサージして喜ばれた=25日、平良市総合体育館

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ゴールの感動を演出/宮古高校放送部

 「応援している選手へメッセージをお願いします」―。スタート・ゴール会場で、高校生インタビュアーのさわやかな声が響く。宮古高校放送部(下地薫部長)は、大会を盛り上げるアナウンサーらの補助スタッフとして活躍。会場を訪れた人々の温かい応援の声を拾う。
 この日の高校生メンバーはスタート、ゴールの両会場で計12人。アトラクション参加者や大会を支えるボランティア、応援に駆け付けた人たちの生の声を届ける。部長を務める下地さんは「ほとんどリハーサルのない一発本番で緊張するが、たくさんの出会いがあって楽しい。ゴールで選手の帰りを待つ人たちの気持ちをうまく伝えたい」と意気込む。
 また、選手がゴール会場に姿を見せると、プロフィールをチェックして素早くアナウンサーに手渡す。そんな裏方としてのサポートがあってこそ、アナウンサーが選手名を高々とコールし、会場全体を盛り上げることができる。下地那枝さん(2年)は「表には出ないけれど、大切な仕事がたくさんあることが分かった」と、視野が広がった様子。
 「みんなで力を合わせて、心のこもった応援の声を1人でも多くの選手に伝えたい」と、真摯な気持ちでマイクを握る。

 写真説明・高校生インタビュアーとして大会を盛り上げる宮古高校放送部のメンバー=25日、平良市陸上競技場

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