200平成16  4 10 曜日

座礁台湾漁船 撤去のめど立たず/

1カ月も放置 油流出、沈没の可能性

 今年3月12日に台湾のはえ縄漁船「永吉豊2号」(79トン)が航行中に平良市池間島北方の八重干瀬のドゥ干瀬に誤って乗り揚げてから、今月12日でひと月を迎える。鋼製の漁船は水船状態で撤去のめどは立っていない。燃油タンク4基には、まだA重油が残っており、平良海上保安署では、厳重な警戒態勢で監視を続けている。地元の3漁協(平良市、池間、伊良部町)では、大量の油流出による環境汚染が憂慮されるとして、来週中に台湾政府と船主との連絡窓口になっている中琉文化経済協会(那覇市)に漁船の撤去・油抜き取り作業の早期実施を求める要請を行う。

  今月20、21、22日の3日間は八重干瀬まつり。本土からの観光客を八重干瀬へ上陸させている宮古フェリーでは「乗り揚げている漁船の様子を見てから、上陸させるサンゴ礁を決めたい」と、漁船に神経をとがらせる。
 漁船は船首を東に向け、水深10メートル以下のサンゴ礁ふちに乗り揚がった状態。甲板の大部分は水没。舳先やマスト、船端、煙突、倉庫、船尾の大部分はまだ水面上に残っている。
 事故以来、さびの発生が急速に進み、船底には亀裂が数カ所見られるという。今後台風や強いうねりが発生した場合、漁船がサンゴ礁の地表へ移動し広範囲にわたってサンゴを破損、かく乱することも予想され、外洋に流された場合には沈没の可能性が高い。
 同署の調べによると、漁船は台湾で155キロリットルのA重油を積み込んでいた。漁船を調査した結果、壁で仕切られた4つの漁倉に積まれていたA重油は無かった。キャップ付きの燃油タンク16基のうち、10基は空の状態で、残り4基からは油が確認されたが残量は不明。
 この漁船は先月11日、台湾蘇奧港を出港。
翌日の12日午後10時30分ごろ、ドゥ干瀬に激突、座礁した。乗組員13人はヘリによるつり上げで救助された。
 事態を重く見た県は、先月31日、同協会に対し、台湾政府と船主へ漁船の早期撤去対応などを要請していた。現在、同政府と船主からの具体的な撤去作業などについては示されてない。

 写真説明・ドゥ干瀬に乗り揚げて水船状態となった台湾漁船。燃油がまだ残っており、環境汚染が憂慮されている=7日、平良市池間島北方の八重干瀬

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折れたサンゴも採取禁止/八重干瀬(やびじ)に上陸する観光客対象

 フェリーで八重干瀬に上陸する観光客や船員、アルバイト、ボランティアなどを対象にした「八重干瀬観光上陸における観光振興と環境保全のガイドライン(案)」について協議する会合が9日午後、平良港マリンターミナル2階で開かれ、全会一致で承認された。環境保全重視の観点から、生物や折れたサンゴの採取は全面的に禁止された。宮古で、フェリーに乗船する観光客などを対象に禁止行為を決めたのは今回が初めて。地元の人が獲物を捕るためのフェリー乗船は認められない。
 この日の会合は、平良市と宮古観光協会の呼び掛けで、同ガイドラインの賛同提示者であるフェリー会社2社や漁協3組合、市民ボランティア「サンゴ礁ガイド」経験者有志などから約20人が出席した。
 同ガイドラインは、八重干瀬観光上陸(八重干瀬まつり)に関して観光振興と環境保全の両立を図るのが目的。法的拘束力や罰則はない。
 同ガイドラインの中で環境保全に関して、「生物採取を一切してはならない」の文言を明記し、折れたサンゴであっても生きているので採取してはならないとした。フェリー会社に対しては「フェリー接岸によるサンゴの損傷は避けられないため、フェリー各社はサンゴが豊富に生息する個所への接岸・上陸を極力避ける」と協力を求めている。
 一方、観光振興に関しては、宮古観光協会、フェリー各社は「誤解を招く恐れのある広告の排除に努める」と明記した。これまで県内外にアピールしていた「幻の大陸」の表現が消えるかどうか注目されそうだ。
 同市などでは、同ガイドラインの賛同者をさらに増やしたい考え。一般市民や観光客への周知徹底を図るため、同ガイドラインのビラを作製し配布する。

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シイラが回遊/伊良部町「通り池」・観光客の間で人気

 伊良部町下地島の観光名所「通り池」にひと月前から、シイラ(シイラ科、別名マンビキ)4匹が回遊している。背中の青緑色が宝石のように輝き、観光客らの間で人気を呼んでいる。
 シイラは、全長1・8メートルまで成長する。腹部は黄褐色で、小さな黒点が散らばる。黒点は興奮すると色が変化する。雄と雌は仲良く、本土では縁起魚として有名。雄は成長につれて頭が出っ張り、おでこの形になる。
 通り池のシイラは、目測で1・5メートルほどの大きさ。水面すれすれに泳ぎ回り、陽光が差し込むと翡翠(ひすい)のような光沢を放つ。
通り池を訪れていた20代の観光客の女性は「きれい!」と感嘆の声を上げ、デジタルカメラを向けていた。

 写真説明・青緑色に輝くシイラ=8日、伊良部町下地島の通り池(伊良波彌記者撮影)

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大量不法投棄見つかる/城辺町新城・

長年ごみ捨て場、撤去には時間

 城辺町新城地区の原野に大量のごみが不法投棄されているのが九日、確認された。同町保健課が同日までに撤去作業を実施したが、ごみは地中からあふれ出てくる始末で完全撤去には至っていない。同課は今後、重機を入れて地中に埋もれているごみを掘り起こす方針だ。同町では昨年5月には長間地区の採土跡で大量不法投棄が発見されたばかり。このとき町は対策委員会を設置して町民のモラル向上を訴えてきた。今回、新城で発見されたごみには最近捨てられたとみられるごみもある。環境美化を推進する町の訴えは届かなかったようだ。

 「なんと言えばいいのか。もう言葉が見つからない」―。同町保健課の池村直記課長は頭を抱えた。「これだけ(不法投棄はいけない)と訴えているのに…」と話すとともに、これまで同様に投棄者に対しては罰則も含めた強い姿勢で臨む考えを示した。
 問題の不法投棄現場は人目に付きにくい小さな道の側。北海岸線にある同町総合運動公園の野球場から1−2キロ離れた場所にある。ごみは生活で排出されるものがほとんどで、住民による投棄と思われる。テレビや洗濯機、電気ストーブ、電子レンジなどといった電化製品をはじめ、タイヤや洋服、木製の電信柱、瓦などさまざまなごみが散乱。ごみは長年にわたり捨てられてきた形跡が見られ、現場は地域の「ごみ捨て場」と化しているようだ。
 町保健課は8日に一斉清掃を行い、表面上のごみについては燃やせるごみや燃やせないごみに分類した。ごみ袋は50袋以上になった。この清掃で表面上は片付いたが、埋もれているごみは人の手では無理と判断、今後は重機を入れて掘り起こす方針だ。同課職員は「なんでわざわざここに運んできて捨てるのかが理解できない。もう行政の力だけではどうしようもない。住民のモラル向上が望みだ」と険しい表情で話した。同課の池村課長も「不法な投棄は絶対にやめてもらいたい」と繰り返す。その上で「撤去作業は税金で対応しているということを分かってほしい」と沈痛な面持ちで話した。

 写真説明・大量のごみが不法投棄されている現場。右の道路わきにはいまだに大量のごみが埋まっている=9日、城辺町新城

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大会成功向け気合い/トライ実行委・事務局を総合体育館へ移転

 今月25日に開催される第20回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古広域圏事務組合など)の本番へ向けあと2週間余りとなった9日、大会を運営する宮古トライアスロン実行委員会は、宮古広域圏事務組合内にあった事務局を平良市総合体育館2階に移転した。事務局移転出発式では「ガンバロー三唱」で大会の成功へ気分を盛り上げた。コース沿道には早くも選手の横断幕が登場。大会本番に向け島内はトライアスロン一色に包まれる。
 出発式で同委員会の下地利幸事務局長は「これから臨戦態勢に入る。この2週間は体力勝負だ。自分の持ち場を固めて大会を成功させましょう」とあいさつした。
 移転先となる同体育館には電話機15台、コピー機やパソコンなどが運び込まれた。移転作業を終え二木哲実行委員長は「事故のない安全な大会にしたい。大会スタッフと住民が一丸となって大会を成功させましょう」と呼び掛けた。
 事務局には同組合の職員ら約30人が詰め、大会に関する問い合わせや各種ボランティアとの打ち合わせ、外国人選手やマスコミの対応などに万全を期す。
 今大会には前回同様1500人の選手がエントリー。宮古からは76人(男67人、女9人)が参加するほか、海外から14カ国、男女計56人が出場する予定。

 写真説明・沿道には横断幕も登場し大会の雰囲気を盛り上げている=9日、平良市西里

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 字有地は組合員の総有と認定/那覇地裁平良支部・

下里公設市場敷地など3件を

 平良市下里公設市場敷地など3件の土地所有権をめぐり、下里字共同組合がいわゆる字有地である同土地の総有の確認と、この字有地の一部共有名義人ら被告に対し共有持分移転登記を抹消するよう求めていた訴訟の判決公判が9日、那覇地方裁判所平良支部で開かれた。溝國禎久裁判長は原告側の主張を全面的に認め、3件すべての土地が同組合を構成する組合員の総有に属することを認定。併せて、持分全部移転登記によって持分権者となっている被告に同登記の抹消を命じた。すでに確定している布干堂跡地の所有権をめぐる訴訟と同様の判決が下った。
 今回争われた土地は平良市下里公設市場敷地の同市字下里西里1番をはじめ、カーズク(湿地や沼地、ため池の意)と呼ばれてきた同市字下里ヨシキ底942番の4、同市字下里腰原1290番の3件。いずれもいわゆる字有地であるが、法律上、「字有地」では登記できたいため、字組合は1954年、土地保存のために当時の字組合役員ら21人の共有名義で登記した。しかし、その後一部の共有名義人が自分の持ち分として名義を売買したりして共有権を主張したことから同組合が1996年6月、その一部の共有名義人を相手取り土地総有確認および移転登記抹消を求める訴訟を起こしていた。
 これまで原告は組合の当事者能力や当事者適格を有すると訴え。被告は▽原告が権利能力なき社団とはいえない▽当事者適格も欠落するに至っている―などと主張していた。
 判決では原告組合が「当事者能力を有するものと認める」とし、当事者適格も有すると認定。権利能力なき社団としての組織が瓦解しているという旨の被告側の主張を退け、3件の土地は同組合を構成する組合員の総有に属することを認定するとともに、被告に共有持分移転登記の抹消を命じる判決が言い渡された。

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