200平成16  31 曜日

伊良部架橋に3億5000万円/国土交通省・

実施設計費計上で事業化決定

 【那覇支局】国土交通省は30日付で2004年度予算事業個所の伊良部架橋(=一般県道平良下地島空港線)に3億5000万円計上を内示した。内閣府沖縄総合事務局と県土木建築部が同日明らかにした。橋りょう部分の基本設計費、取り付け道路や海中道路の実施設計費として予算化された。着工準備の調査費は、01年度から3年間で3億円に上るが、今回、実施設計費を含んだ倍額以上の予算計上で実現へ大きく踏み出した。今年8月ごろ終了する環境影響評価の後に基本設計や実施設計に着手する。同架橋は、05年度の着工を目指しているが、埋め立て免許の取得や3漁協の漁業補償の同意などが必要とされる。
 今回の予算では、道路の計画延長7キロのうち、約4キロの橋りょう部分の基本設計費と、平良市久貝側と伊良部町池間添側の3キロ余の取り付け道路と同町池間添側で埋め立て造成する海中道路0・7キロの実施設計費。
 県が04年度国庫支出金要請で約7億円を求めたのに対し、今回の予算では3億5000万円にとどまった。しかし、05年度は公有水面埋め立ての手続きや漁協の漁業補償に入る予定に現段階で変更はない。05年度着工のためには埋め立て免許を04年度中に取得しておくことや、共同漁業権を有する3漁協(平良市、池間、伊良部町)の同意を得ることなどがスムーズに進む必要がある。
 伊良部架橋は平良市久貝と伊良部町池間添をつなぐ道路。架橋部の4キロの長さは瀬戸内海を横断する明石架橋にほぼ匹敵し、離島架橋としては国内最長となる。全体事業費は約380億円を見込んでいる。

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「実現への第1歩。気を緩めるな」/

伊良部架橋予算化で浜川伊良部町長

 国土交通省が新年度予算に計上した伊良部架橋の基本設計費や実施設計費など3億5000万円が30日に開かれた閣議で了承された。これを受け、浜川健伊良部町長や宮古市町村会長の伊志嶺亮平良市長らは、郡民の協力に感謝を表した上で「今回の予算化は実現に向けての第1歩。気を緩めるな」と、今後の活動強化に決意を新たにした。一方、伊良部町民らは「宮古郡民の夢が実った」と高く評価し、初要請か30年の節目の年に同架橋が事実上、実現に向けて動き出したことに喜びをかみしめていた。

 1974年に当時の伊良部村が離島苦解消などの目的で、沖縄開発庁長官に「伊良部架橋の早期実現」を初めて要請した。初要請から今年で30年を迎えた。
浜川町長は「宮古郡民が1つになって国や県に要請を続けてきたおかげで閣議決定となった。郡民に感謝でいっぱい」と頭を深々と下げた。その上で「いよいよ実現するという実感がわいてきたが、これからも気を引き締めて早期着工に向けて取り組んでいきたい。架橋の間接的なメリットは大きい。下地島空港やその周辺残地の利活用に弾みが付き、経済活性化につながる」と、今後の取り組みや架橋効果などを語った。
 伊志嶺市長は「予算が閣議決定されたということで、この30年の中で大きな1歩だと思う。おそらく宮古圏域での最後の大きなプロジェクトになると思う」と強調。その上で「ここまでこれたのも山中貞則先生のおかげ。心から感謝している」と話し、今後の架橋と関連する公有水面の一部消滅に伴う漁業補償の調整に意欲を示した。
 川満昭吉元伊良部町長は「予算が確保され大変喜んでいる。この30年間で宮古が1つなったことに感謝し、郡民の皆さんご苦労さまでした。架橋が実現すると、10年後の宮古に明るい展望が開ける」、島尻健二伊良部架橋促進青年会議会長は「予算化されたが、気を緩めず早期着工に活動を強化したい」とそれぞれ述べた。
 上地憲美さん(24)=公務員、伊良部町=は「架橋が実現すると、祖母を宮古病院へいつでも連れて行ける」と早期実現に期待。平良たよりさん(38)=臨時職員、同町=は「架橋が早く実現してほしい。子供たちが橋を渡って都会の子供たちと交流するのが楽しみ」と話した。
 洌鎌和吉さん(36)=ホテル支配人、同=は「架橋が完成すると、伊良部観光が活性化する。観光客のレンタカーやマイカーがどっとやって来る」と展望する。浜川素直さん(50)=団体職員、同=は「橋が架かると、その日に水揚げされた鮮魚が県外へ出荷される。伊良部町漁業協同組合の魚卸市場も島外からの買い物客でにぎわい活気が出る」と予想する。

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新人 西里が出馬表明/県議選宮古郡区・

政策の柱に農業振興

 6月6日に投開票される県議会議員選挙の宮古郡区(定数1)で、前上野村助役で会社役員の新人、西里秀徳氏(61)=保守系無所属=が30日午後、同村農村環境改善センターで正式に出馬表明した。西里氏は「宮古郡区は県内で最も農業の盛んな地域。農業の活性化が最重要課題だ」と述べ、農業振興と連動した離島振興の充実を訴えた。併せて観光や教育の振興に全力で取り組む考えを示した。同区は西里氏のほか、現職の砂川佳一氏(60)、新人の下地一美氏(52)が正式に出馬を表明しているため、3つどもえ選挙になる公算が大きい。

 出馬表明は午後1時から行われ、会場には西里氏の大勢の支持者が詰め掛けた。地元上野村議をはじめ、下地町や多良間村の一部議員も顔をそろえた。
 前上野村長で西里氏後援会長の砂川功氏は「西里氏は20歳代で上野村の経済課長となったほか、その後は土地改良事業や地下ダム事業などに尽力してきた」と西里氏の手腕を高く評価。その上で「立候補したからには勝たなければならない。最後の最後まで皆さんに支援していただきたい」と訴えた。
 この後、西里氏が政策を発表し▽生産者主体の農業振興策でもうかる農業の実現▽漁業試験場の宮古誘致▽県立宮古病院の新築移転、医療・福祉の充実▽伊良部架橋の早期着工および下地島空港残地利用促進▽宮古観光センターの設置▽大学および専門学校の宮古誘致▽若者定住のための宮古職業訓練校の設置▽教育・文化・スポーツの振興―の8項目を掲げた。
 大学、専門学校の誘致に関しては「宮古島に人が集まる」と強調。市町村合併については賛成の意思を示しながらも、多良間村の動向を挙げながら「もう少し時間をかけたほうがいいと思う」との見解を示した。
 西里氏は「農業振興のためには生産農家と行政、政治がそれぞれの角度から取り組まなければならない。今は政治の光が届いていない」と話した。その上で「農業振興にかけては誰よりも自信がある。皆さんの期待に必ず応えてみせる。農業と観光で宮古島を元気にしたい」と力強い決意を述べ、支持を求めた。
 最後は参加者全員でガンバロー三唱を行い、西里氏の初当選に向けて気勢を上げた。
 西里秀徳(にしざと・ひでのり) 1943(昭和18)年1月10日生まれ。61歳。上野村新里出身。67年同村経済課長。80年に宮古郡農協営農指導部長、86年に同村助役に就任。90年には宮古土地改良区初代事務局長に就任した。現在は上野村内にあるパラダイスプランの会長を務める。妻・キヨさんとの間に4男2女。

 写真説明(上)・西里氏の初当選に向けガンバロー三唱で気勢を上げる支持者ら=30日、上野村農村環境改善センター
 写真説明(下)・県議選出馬表明の中で決意を述べる西里秀徳氏

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再選向け支持者気勢/県議選平良市区・坂井氏が事務所開き

 6月6日投開票の県議会議員選挙平良市区で出馬を表明している現職の坂井民二氏(54)の後援会事務所開きが30日、市内西里の同後援会事務所で行われ、集まった支持者らが2期目の当選に向けて気勢を上げた。
 あいさつで坂井氏は「あっという間の4年間だった。私なりに稲嶺県政を支えながら圏域のために頑張ってきた。県議として頑張った4年間の経験は私の自信になっている。この経験を今後の圏域発展のために活用したい」と2期目に向けて強力な支持と支援を訴えた。
 長浜恵和後援会長は「坂井氏は4年間、圏域発展のために頑張ってきた。この豊富な経験を生かしてこれからも活躍してほしい。2期目の当選に向け組織を挙げて一致団結して頑張ろう」と呼び掛けた。
 国外出張中の稲嶺恵一知事に代わり駆け付けた牧野浩隆副知事は「坂井氏は市民、宮古郡民にとって頼もしい政治家。これからも稲嶺県政を支える一員として活躍してほしい」とあいさつし、稲嶺知事からの応援メッセージを代読した。
 そのほか、下地幹郎前衆議院議員、外間盛善自民党県連会長、西銘順志郎参議院議員、儀間光男浦添市長から応援のメッセージが寄せられた。
 最後は集まった多数の支持者全員でガンバロー三唱を行い2期目当選に向け気勢を上げた。

 写真説明(上)・坂井氏の2期目の当選に向け、支持者らがガンバロー三唱で気勢を上げた後援会事務所開き=30日、市内西里の坂井氏後援会事務所
 写真説明(下)・4年間の経験を強調し支持、支援を訴える坂井民二氏

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平良市の復旧対策本部が解散/台風14号被害

 平良市災害復旧対策本部(本部長・伊志嶺亮市長)が30日解散し、各担当者が災害確定状況や義援金支給状況、復旧支援状況を報告したほか、今後の課題を確認した。課題には「電線地中化に向けた要請活動」などが盛り込まれた。
 席上、伊志嶺本部長は「台風14号の被害に対しては多くの方々から厚志をたくさんいただいた。復旧は国・県の迅速な対応もあり早く進んだ。義援金の配分も無事に終わった。皆さんの労苦に感謝する」とあいさつした。
 報告によると、人的被害は死者1人、重傷5人、軽傷が52人。住家被害は全壊9世帯、半壊43世帯、一部破損610世帯となった。公共施設や農林水産業、商工などを合わせた被害総額は34億5800万円だった。
 避難状況としては10世帯、20人が市役所に避難したことが報告された。義援金は3998件に対し、総額8288万5000円が支払われた。
 災害復旧支援では▽「ごみ一掃・アララガマ作戦」の実施▽中小企業者への資金借り入れあっせん(県10件、公庫24件)▽鉄骨ハウス、パイプハウス撤去費用の助成―などが報告された。
 今後の課題として▽大型台風を想定した防災計画の見直し▽公共施設の耐風力強化▽大型台風時における防災マニュアルの作成▽雨戸設置推奨(ガラス窓対策)▽電線類の地中化に向けた要請活動―などを示した。

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