200平成1 6  24 曜日

合併推進 賛成多数で可決/伊良部町議会・住民投票結果とは逆

 伊良部町議会(友利浩一議長、定数18)3月定例会は最終日の23日午前、急きょ上程された「宮古地区市町村合併の推進に関する決議(案)」について採決の結果、賛成12人、反対5人の賛成多数で決議した。合併反対5人には、同決議案は事前に知らされていなかった。合併の意思を問う住民投票では、合併反対が圧倒的多数を占めていたが、その意思は議会の判断で完全に無視された。宮古6市町村では初めての決議。議会終了後、合併を表明している浜川健町長は「議会は苦渋の選択をした。住民投票の結果とは変わったが、町の行く末を考えた時は、議会の判断は良かったと思う」と述べた。そのほか新年度の一般会計などの6議案を可決して閉会した。

・反対派には知らせず 急きょ提出
 同決議案の提出者は、豊見山恵栄氏、賛成者は嘉手納学、佐久本洋介、謝花浩光、仲地昭人、洌鎌敏一、前泊国光、佐久田強、上地大平、長嶺吉和、喜久川昭則、久貝健寿の11氏。
 一方、合併反対者は仲村正光、川満成、島袋英二、池間正栄、島尻始の5氏。
 登壇した豊見山氏は、今年1月25日に行われた住民投票の結果や、その後の同議会全員協議会での協議内容、国の三位一体改革による地方交付税の大幅な削減で町の財政難などを説明。その上で「わが町の財政運営は全く見通しが立たない危機的状況が続き、住民に対する生活福祉サービスの低下が懸念される」と指摘した。
 さらに豊見山氏は「今後、広域的に取り組んで行財政運営を展開するのが効率的であり、行政サービスを確保するためには、宮古地区市町村の合併を推進すべきである」と強く訴えた。
 質疑討論で、川満氏は「全員協議会では住民投票の結果の民意を尊重すべきと話し合ったのではないか」と指摘。その上で「なぜ今ごろ、合併について決議すべきか」と、急ぐ決議に不満を表した。
 豊見山氏は「町の財政難を考え、きのう(22日)決議案として追加した」などと述べ理解を求めた。
 島袋氏は「財政難だけで合併すべきか」と疑問を投げ掛けた。
 佐久本氏は「町の自立は不可能」、嘉手納氏は「町の財政は今後も厳しくなる」と述べ、合併賛成を強調した。
 次いで採決に入り、賛成多数で可決された。
 新年度の一般会計は歳入歳出とも42億6625万6000円。新年度の特別会計の歳入歳出は、水道事業が約2億6000万円、国民健康保険が約7億2000万円、老人保健医療が約8億3000万円、介護保険が約5億4000万円、ゴルフ場事業が約7600万円。一般会計と5つの特別会計を合わせた予算総額は約67億1000万円。
 このほかに、「町村の財政基盤確立に関する意見書(案)がそれぞれ可決された。

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住民投票が告示/下地町・合併の意思問う

 下地町の合併についての意思を問う住民投票が23日、告示された。きょう24日から期日前投票が行われる。投票日は28日。住民投票は宮古地区では伊良部町、多良間村に次いで3番目。伊良部町、多良間村ではいずれも「合併しない」が半数以上を占める結果が出ており、6市町村の枠組みで協議が進められている中、下地町の住民投票結果が注目される。しかし、合併に対する住民の関心の低さから投票成立が懸念されており、川満町長は投票が成立しない場合は「議会と調整していきたい」との見解を示している。投票会場は下地町役場1階大会議室と来間離島振興総合センター。投票時間は午前8時から午後6時まで。投票資格者の2分の1以上の投票で成立すれば同日午後7時半から開票される。22日現在の同町の有権者数は2421人(男性1164人、女性1257人)。
 期日前投票の会場は下地町役場1階大会議室で、24日から27日まで。時間は午前8時半から午後5時。
 投票は「合併する」「合併しない」のいずれかを選択する二者択一で行われる。投票資格者は20歳以上で同町内に3カ月以上住所を持つ住民および永住外国人。
 合併に対する住民の意識高揚を図るため、同町では22日から各地で住民説明会を開始した。川満省三町長は今回の住民投票の結果を民意として尊重する意思を見せており、万が一、投票が不成立となった場合は「法定協議会から離脱するのか継続するのかを議会と調整していきたい」との見解を示している。

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宮古地域 1人当たり所得195万円/01年度市町村民所得

 【那覇支局】県企画開発部(花城順孝部長)は23日、統計課がまとめた2001年度市町村民所得の概要を発表した。市町村民所得(県民所得)は2兆7335億円となり、前年度に比べ1・3%減少。1人当たり市町村民所得は205万9000円で、前年度より2・0%減少した。宮古地域の市町村民所得は1816億円で、前年度より2・3%減少。1人当たり市町村民所得は195万円で、前年度より2・5%減少、県内六地域の中で最も低かった。県平均(205万9000円)を100とした指数は94・7。市町村別で城辺町は119万3000円で県内最下位、下地町は141万6000円で下位から3番目だった。

 宮古地域の市町村内純生産は1077億3700万円で、前年度と比べ4・2%(47億円)の減少。民間工事の減少が大きく影響した。
 宮古地域の市町村民所得を項目別にみると、雇用者報酬は720億円で前年度より3・4%減、財産所得は54億円で13・9%減、企業所得は312億円で2・7%増となった。市町村別の増加率では下地町が前年度に比べ4・4%増加した一方、他の5市町村は減少した。
 宮古地域の1人当たり市町村民所得を市町村別でみると、平良市が225万円(前年度比3・1%減)が最も高く、次いで多良間村が186万9000円(10・8%減)、上野村が178万9000円(3・0%減)、伊良部町が1589万9000円(0・5%減)、下地町が141万6000円(3・2%増)、城辺町119万3000円(1・8%減)の順。下地町だけが前年度より増加。多良間村は大幅に減少した。
 市町村民所得 経済活動に伴い新しく生み出された価値(付加価値)が労働、土地、資本といった生産要素の提供者に分配された額。企業の利潤などを含み、年金・恩給・社会保障給付などの移転所得は含まない。余暇時間や社会資本の整備状況、歴史・文化的資産などの価値も含まない。一方、物価や家賃の高騰、治安悪化などを防止する経費の増加などが市町村民所得を膨らませることもある。1人当たり市町村民所得 市町村民所得を総人口で割ったもの。市町村経済全体の水準を表している。

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優良県産品に推奨/宮古織ハイビスカス染バックなど

 【那覇支局】2003年度県優良県産品に、「宮古袋もの」(川満信子代表)=平良市東仲宗根=の「宮古織ハイビスカス染ショルダーバッグ」「同きんちゃく手さげ」など、27社の55商品が選ばれた。
 22日、那覇市の沖縄産業支援センターで推奨状交付式が行われ、川満さんをはじめ、認定を受けた商品を手掛ける事業所の代表らに推奨状が贈られた。
 推奨状を手にした川満さんは「(宮古織は)私の生きがいですから、頑張らなくちゃ、という気持ちです」と笑顔で話した。
 宮古織は、宮古上布の原料である苧麻を太めに紡いで染色し、織り上げる工芸品。ハイビスカスから取り出した染料で染める技法は川満さんの息子・久さんが生み出し、その工程を担う。「織り」はかつて宮古上布の織り手だった4人の熟練の女性が担当。川満さんは商品のデザイン、仕上げをする。「変わった商品を出したいと、いつも工夫して挑戦を続けている」と話し、今後の活動に決意を新たにしていた。
 県優良県産品推奨制度は1980年度にスタートし、これまでに1355点が推奨を受けている。今年度は78点の申請があり、飲食良品の部で42点、生活用品の部で13点の計55点が推奨された。
 県商工労働部の伊川征一部長は「推奨を受けられた皆さんの商品開発の熱意、たゆまぬ努力に敬意を表する。今後さらなる品質向上に努め、販路拡大に尽力されるよう期待している」と述べた。

 写真説明・左手に推奨状、右手にきんちゃく手さげを掲げ、笑顔の川満さん=22日、那覇市小禄の沖縄産業支援センター

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66歳で学士取得/前泊シゲ子さん、通信教育で近畿大法学部を卒業

 平良市荷川取で前泊商店を営んでいる前泊シゲ子さん(66)は、通信教育で近畿大学法学部法律学科を19日付で卒業し、学士(法学)の学位を取得した。前泊さんは「通信教育は私の生涯学習。家族の協力があってこそ卒業できた。人生の中でこんな素晴らしいことができ、感激している」と喜びを話した。これまでにも近畿大学豊岡短期大学を通信教育で卒業し、家庭と保健の中学校教諭2種免許などを取得している。
 前泊さんは店を経営しながら空いた時間を活用しようと、息子の勧めで1990年に県立泊高等学校の通信教育を受け始めた。同校を卒業した94年に近畿大豊岡短期大生活情報学科の通信教育を受け、中学校教諭2種免許(家庭・保健)、社会福祉主事、児童指導員の資格を取得した。短大で修得した単位を生かし、2001年4月に近畿大へ3年生として編入。その後3年を経て今年3月に卒業した。
 近畿大の通信教育では128単位を修得するため、国際法や親族相続法、保険法、刑法、民法など法律について17教科を学んだ。各教科ごとにレポートを提出し、試験を受け単位を修得。「安楽死」をテーマに原稿用紙50枚にわたる卒業論文を提出した。
 前泊さんはこれまでを振り返り「楽しかった」と笑顔。「店番をしながら、趣味の琴をしながらの『ながら勉強』で学位が取れた。勉強したことでいろいろ物の見方が変わってきた。これからも少しずつ勉強を続けていきたい」と意気込みを見せた。また「通信教育はいつでもやりたいときに無理なくできる。卒業証書を受けた時は涙があふれた。ぜひ多くの人に受けてもらい、この喜びを味わってもらいたい」と話した。
 今後は、準指導員の資格も持っている琴の教室を本格的に始めていく予定。

 写真説明・近畿大学法学部法律学科を通信教育で卒業した前泊さん=22日、平良市荷川取の前泊商店

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雌の赤ちゃん誕生/愛称募集・宮古馬21頭に

 平良市西平安名崎(狩俣)の宮古馬牧場で在来種の宮古馬の母「雛子」が20日午前6時から同7時にかけて雌の赤ちゃんを無事出産した。子馬は母馬の乳を飲み、元気よく走り回っていた。今年度、宮古馬の出産は2頭目。今回の子馬の誕生により宮古馬の総数は21頭(雄11頭、雌10頭)となった。
 牧場主は、島尻博之さん(43)・美智枝さん(42)夫妻で、1996年に宮古馬保存会(会長・伊志嶺亮平良市長)から増頭交配の委託を受け飼育し、今年で九年目。現在は子馬を含めて五頭飼育している。
 宮古馬は昨年、病気などで立て続けに4頭が死亡。02年度から年間、4、5頭の子馬の誕生を目指す「増頭5カ年計画」をスタートした矢先の出来事で、同会の関係者は大きなショックを受けていた。しかし、生まれた子馬が雌であることから「今後の増頭に大きな期待が持てる」と喜んでいる。
 今回生まれた子馬は宮古地区の小学生以下を対象に名前を公募する。募集開始は未定。
 詳しくは宮古馬保存会事務局(電話72・3092)まで。

 写真説明・誕生した宮古馬の雌と母馬の雛子=20日、平良市西平安名崎の宮古馬牧場

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